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空白を満たしなさい    著  平野啓一郎

空白を満たしなさい   著  平野啓一郎




感想

ドラマをすでにみているので、ちょっとドラマの感想も含めています。
まずは、ドラマから。
ドラマは放映時に、全部鑑賞。
やはり初回から、惹きつけられる物語だったので、最後まで楽しむことができました
というか、考えさせられたということかな。
とくに、主人公の、空白の時間がはっきりしたとき。
主人公は、自殺・・・してしまったんですね
殺害でも事故でもなく、自分で自ら命を絶ってしまった・・・最初は、もしかしたら、なにか、サスペンス要素が?とも
思ったのですが、いや~~~自らでした。
それを、ドラマのなかで、後悔するのですが
そういうシーンでは胸が痛くなりましたね

ラストどうなるのかと思いながらの鑑賞でしたが
たぶんあれは・・・・・だろうなと思って(見たものが推測する感じだったけど)、
結構見た後は、沈んでいました~~(笑)

木下 (藤森慎吾)がいなくなってしまった時に
嫌な予感はしていたんですけど、やっぱり
どよ~~んとなりました。

最後の、風吹ジュンさんとの会話が印象的でしたね→(母親との会話ね)

ということで、月並みですが
自殺はしてほしくないという思いを強く感じました。

で、原作本へ。
ドラマのあと、すぐ読んだのですが
いろいろあって、まとめられませんでした。
いまやっと、まとめました(笑)。ちょっと忘れてしまった部分も多いんですけど。
倉庫に眠っていたのを加筆しました

ドラマの後なので
だいたいの筋書きはわかっていたものの
ところどころで当然、違うところもありました。まず、難しいです(笑)
物語として楽しむというより、生きること、死ぬことを考えさせるような本です。

そして、この原作を、よく上手に、ドラマ化したな・・・って、思いました
非常に、見やすいように脚色してあったなっていまさらながらに思います。


分人主義という言葉が、小説の中に何度も出てきて
あ~~平野さんが訴えている分人主義ってこういうことかって感じました。私は、「本心」→「ある男」という
流れでしか作者の本は読んでいなかったので。きっと初期の作風はもっと難しいんだろうなあ。
→ちなみに、ドラマではこの、分人という言葉は出てこない。


一番の違いは
佐伯の存在ですよね
佐伯は原作では死んでしまうんですよね。
そして、ドラマでは、ゴッホの話は、佐伯が語るって構成でしたけれど
原作では
池端ですね。NPOの法人の人ですね。ドラマでは確か滝藤さんかな。

ラストは原作も
同じです。抱き締めるまでは、もうあと少しなのよね~~~
ドラマでも印象的なセリフが多かったのですが、原作ではガツンとくる言葉がさらに多かったです。
文字で残されるので、人生で迷った時、読み返して、指南書として手元に置いておきたい感じでもありました
ちょっと小難しいかんじでもありますけど(笑)

以下、私が残しておきたいという個所を抜粋(ちょっと正確ではないかも)

☆「個人の死後に遺るものとして、「記憶」、「記録」、「遺品」、「遺伝子」、「影響」(P406)
→なるほどな~~~と思って思わずメモしたくなったかな。

☆主人公が息子に空白について説明する場面
生きたい!そう思って死んでいった。
自分で自分を殺してしまった。なぜなら間違ってしまっている自分を消したかったから。
まともになって璃久(リク)たちと一緒に幸せに生きたかったから。そう生きたかったんだよ、璃久、生きたかった

→ちょっと、正確ではないかもしれないけれど、この箇所、せつなかったね~~
ここは、ドラマと同じだけど、泣けてしまった・・・


☆死は傲慢に人生を染める(P297)
確かこれは、ラディックさんかな。この言葉も印象的。


ラディックさん(人助けをして死んでしまった人ね)の言葉は、宗教的な部分もあって
なるほど~~なあと、思いながらの読書。
グノーシス主義って言葉も知らなかったからお勉強しました(ラディックさん難しかったよ・・・)

「もし神が人間を作って、その人間が自殺をするのだとすれば、責任は神にあります。そんな風に作ったのですから。
自分に似せて。私は、時折、考えることがありました。神は全知全能です。神に不可能はありません。
すると神は自殺することが出来るのかと。神は有です。存在です。万物があることの根拠です。その神が自殺してしまったのなら
すべて無になるでしょう」(P294)

→なるほど~~。こういう話させられると、聞き入ってしまうわ



今回、こういう機会に、平野さんの本を手にすることが出来て良かったです
なかなかに難しいのですけれど、
自分自身が、成長でき、知らなかった知識が増えるような気がするからです。
この手の本は、とっつきにくい感じはしますけれどね(笑)

あと一つ
璃久が描いていた
桃の絵、あれは意味があるのかな~~

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(アマゾンより画像引用)
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ある男  著  平野啓一郎

ある男  著  平野啓一郎


あらすじ


弁護士の城戸は、かつての依頼者である里枝から、「ある男」についての奇妙な相談を受ける。
宮崎に住んでいる里枝には、2歳の次男を脳腫瘍で失って、夫と別れた過去があった。長男を引き取って14年ぶりに故郷に戻ったあと、「大祐」と再婚して、新しく生まれた女の子と4人で幸せな家庭を築いていた。ある日突然、「大祐」は、事故で命を落とす。悲しみにうちひしがれた一家に「大祐」が全くの別人だったという衝撃の事実がもたらされる……。
里枝が頼れるのは、弁護士の城戸だけだった。

(アマゾンより、あらすじ引用)





感想


「本心」に続いての平野作品。お友達に勧められたのと、映画化もあるときかされて、早速挑戦しました。
本心・・・でも感じたのだけど、
作家さんの、ある意味、主義主張・・を、登場人物を介して
表現していっているのかな・・って感じることが、この作品で多々・・感じられました。
情報量が多くて・・・(笑)
メインのお話以上にいろいろな、エピソードが語られるのです

(主人公は、在日三世。
ヘイトスピーチ、死刑制度、夫婦間の問題(城戸さんのね)など、
いろんな問題も物語ではでてきます・・・ね)


結婚していた男が亡くなり、親族に連絡したところ
いや~~~この人は弟ではないよ・・他人だよ・・と判明。
・じゃあ、私が愛した人は誰なの?という、ミステリータッチですすんでいきます。
もちろん、この、男が、いったい、誰かということは、物語で明かされるわけです


あと面白いことに、物語の導入も
この物語を書く作家が、バーで城戸さんという男と出会い、聞かされたお話です・・・と言っているんですね。
だからいろいろと、いろんな話が語られるわけでもあるんですね。

ということで、弁護士の城戸章良(あきら)の視点で物語は始まります
彼が
離婚調停で携わった谷口里枝(前の名字が夫の姓、米田、旧姓は武本)
の、夫、谷口大祐(だいすけ)の過去を調べます。

早々とネタバレですが。

実は、彼(谷口大祐と呼ばれる男・・・ね)
戸籍を交換していたんですね。実際は原誠という人物なんです。

そして、理由は、凶悪殺人犯の息子だから・・・・ということ。
ただ、独りだけと交換していたわけでなく
原誠はまず、
曽根崎義彦という人物と戸籍交換

しかし、曽根崎義彦の人生が嫌なのか
再び戸籍を交換します
それが、
谷口大祐。つまり、谷口は二度目の戸籍交換の相手です。
そして
本物の谷口大祐は、いまは、曽根崎義彦となっているということですね






里枝の前夫の息子悠人が
読書家で
変身物語オウィデイウス著とか
「芥川龍之介全集6」」を読んでいて、紹介しているわけですけど、その本たちが気になったなあ。

あと、谷口、夫(名前を偽っていたほうの人ね)の
過去の恋人、美涼。
それも気になったなあ。そんなに好きなキャラではなかった・・(笑)
城戸章良がその彼女に、惹かれるような感じもちょっとな~~と、思いました。

このお話、過去を偽っていた男が犯罪者の息子という設定だけど。
そういえば、その手のものを題材にした小説って他にもいくつかあったりして(他の作家さんで)、私も読んだことあり。
実際、過去は気にしないといってはいても、気にはなるよね・・・って思うことも多々。
この小説は
そこまで深くは踏み込んではいなかったけど、二人の間に子供もいるわけで。
過去を隠していた男との間にできた、子どもね。なかなかに実際はシビアな問題にもなるとは思いました。
自分を愛した時間は真実だったとは思えるけどねえ・・
でも嘘をついていた、本当のことを言えば、どうなるかというのが、あったからの
嘘だったのかな…と思ったり。なかなか難しい問題ですね

そうそう
髙橋一生さんの「嘘を愛する女]という映画と、テーマが似ているのがビックリでもありました・・

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(アマゾンより画像引用)

本心   著  平野 啓一郎

本心    著  平野 啓一郎



感想

初読みの作家さん。
お友達のブログで気になって読んでみました。

母親が自由死⇒いわゆる尊厳死を望んでいた。
彼女の本心は?というのがテーマ。
母親のお友達や恋人であっただろう老作家に、主人公が近づいてその真相を追及していう流れ。


近未来ということで、主人公がリアルアバターという仕事をしているということが
面白かったです。アバターっていう映画もあったな・・・って思いながら読んでいました.
結局、母親の自由死を望む本当に理由はわかりません。
ただ、主人公がどういう経緯で、母親から生まれたのかは・・・わかります。

格差についてとか
生きることの意味とか、いろいろ考えさせられました。
普段はぼ~~と生きているのでそこまで、真剣に考えていないけど
こういう本を読むと、考えますね、
たしか
「ある男」は、もうすぐ公開かな。「マチネ・・」に続いてですね
この作品も映像化すると面白いですよね・・
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(あまぞんより引用)

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