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架空の球を追う 著  森絵都

架空の球を追う 著  森絵都

様々な場所を舞台とし
日常の些細な出来事を描いた短編集。
コミカルな味付けで仕上げております。
全部で11編。

本当、なんでもないようなお話なんですよ。
でも、短編それぞれにカラーが出ていて
面白く読めました。
中には
思い当たるふしもあり共感しめし、フフフと笑いながら
読んだ一編もあったかな・・・。


「架空の球を追う」

<子供たちの野球の練習をしている姿を見守る母親たち。
コーチの指導におもわず・・>

子どもは
色々期待しても結局なるようにしかならないのよね・・・
野球をやらせたとしても、そのまま、スポーツの道にいくわけでもないし・・・
野球の練習を見ながらたわいのない会話をする親達。
私も結局、その他大勢の親と同じ・・感覚。

このお話に出てくる「欽ちゃん走り」・・・こういう発言で年代わかちゃうのよね・・・笑


「銀座か、あるいは新宿か」

<高校時代の女友達4人が集まる飲み会。
飲み会場が銀座か、新宿・・どちらがいいかで話題は盛り上がり・・>


これは面白かったです。
議論する内容は笑いありで・・・楽しかったわ・・・
お酒入っていると、結構、つまらないことでも一生懸命になちゃうのよね・・・笑
いくつになっても、たわいのない話が出来る友達がうらやましい・・・・
私だったらどっちで飲みたいかな・・・
やっぱりお洒落な銀座?・・・笑

「チェリーブロッサム」

<桜をバックに記念写真を撮ろうとする若いカップル。
シャッターを頼まれた私は、カップルの男性のおかしな様子に気付き・・・・>

若いカップルの男性の方は
違う女性に目を奪われてしまうんですよね・・・
若いからしょうがないかな・・・
こういうとき、教えてあげるわけにもいかないよね・・
波風立てるようで悪いし。なるようにしかならないよね・・・男女も。


「ハチの巣退治」

<ボスから職場の窓に作ったハチの巣を退治するように命令された部下4人。
それぞれに退治できない事情をかかえており悩みだす。>


舞台は英国。
外国でも苦手な人は苦手なのよね・・・蜂。
私も嫌だな.  退治は専門家に任せたいです。
しかし、なんでも屋の行動力は凄すぎ。やっぱり危ないんじゃないかな・・


「パパイヤと五家宝」

<高級食料品店で買い物をすることにした女性。
高いパパイヤを買った女性にひきつけられ自分も買い物籠に
次々と高級食材入れていくと・・・>


人の買い物籠って気になりはするけれど、同じように入れていくというのは
やっぱり恐くて出来ないな・・・・。
自分の立場わきまえているし、無理できませ~~~ん。
最後のオチは爆笑ものでした。 


「夏の森」

<100円ショップでカブトムシを買った主婦。
可哀想だといって公園に逃がしてやろうとするが・・・>


1匹や2匹逃がしてもしょうがないって5年の子どもに言われる主人公。
近頃の子どもは鋭いのよね・・・。
主人公=お母さんの思い出話も語られ
ちょっと懐かしい気持ちにもなる物語。


「ドバイ@建設中」

<お見合いクラブで知り合った石油会社の御曹司。
婚前旅行にということで、アラブ首長国連邦のドバイへ。>

トラブルが起こったときの
処理能力で相手の本質がわかるっていうことはありますよね。
まして外国だと色んなトラブルありそうだし。
見極めるのが目的だとしても基本的には好きじゃない人とは
旅行なんて無理だけど。
でもこの御曹司・・・○○なんですよね。
最初から○○だと知らされている方があとから後悔することもなくっていいけど。
やがて、容姿も崩れるし、性格も変わるんだから
○○なんてものともしない・・・という主人公の潔さが
気持ちよかったです。

「あの角を過ぎたところに」

<タクシーに乗っているカップル。
途中で昔よく出向いていた店がなくなってしまったと、気付く。
その話をしていると。タクシー運転手は
その店で働いていたとわかる。
運転手は店の主人に会いに一緒にいこうと誘うが・・・>



こんな偶然あるんですね。

罠にはまった・・・という台詞が出てくるけれど
私もそう思うかな・・・。
このカップル2人。
今後の関係が怪しくなりそうだわ・・・。

「二人姉妹」

妹との関係がうまくいかなくなり悩む姉は・・・

これは長編で読みたい題材かな・・

「太陽のうた」

難民キャンプにやって来たNGOの関係者。
もうビジターはまっぴらと拒否する女性がいた。

硬派なお話。


「彼らが失ったものと失わなかったもの」

<舞台はバルセロナの空港。
英国人らしい夫婦がワインを購入するが
われてしまい・・・。>

われたボトルを目にした夫婦のとった行動。
紳士的なんですよ。
題名、その言葉とおりでなかなか良いお話です。
好き。




今度は長編楽しみにしています。
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ラン   著  森絵都

ラン   著  森絵都

13歳で父母&弟を交通事故で失った主人公夏目環。
そのあと面倒をみてくれた奈々美おばさんも引き続き病気で失い
22歳の今、天涯孤独の身。
自分の殻に閉じこもりがちな彼女だったが
近所にあった自転車屋の主人、紺野さんとは
なぜかウマが合った。
そんなある日、自転車屋にいた、こよみという名の老猫が
死んだことがきかっけで、紺野さんは、店を畳んで田舎に帰ってしまった。
紺野さんから別れ際にもらった
1台の自転車。それは、紺野さんが息子のためにと組みあげたものだった。
紺野さんの息子も亡くなっているのだ。
その自転車をこいでいた環に、あるとき、異変が起こる。
環の家族や、おばさんがいる天国に到達できることができたのだ




感想   まず、意外な展開に驚きました。
ファンタジックなお話だとは全然思っていなかったもので。
森さんの作品には、YA作品も多いのですが
これは、大人向けに書かれたとみて
いいんですよね。

でも子どもでもOKなお話ですよね。
主人公の年齢が22歳と言うわりには
思春期の女の子のような精神年齢に
見えるから・・・。
全体的にゆるい感じと、ほどばしるユーモアーもあるので
読者年齢問わないところがあるかな・・・。
ただ、登場してくるキャラは結構、
社会にもまれている人が多いのですから
それが理解できる年齢層が
一番読みやいと思いますね・・。

まあ・・・どっちでも読みたい人が読めばいい話ですが、
「カラフル」から10年という触れ込みだったから
もっと年齢層低いキャラ登場のお話しかと思っておりました。



ところで
題材になっている走りについてですが
私はいくつか読んでいるわけですよ。
本としても色々ありますよね。
やっぱり、似たような題材を扱ってしまうと
そのどれかと比べてしまうということがあります。
もっと本格的で
真剣な思いで、走りを語っていた小説を
読んでしまうと
この、ゆるい感じにのっていけないところもありました。
大人向け本として、なにかを期待していたのかな・・・。
いや・・・もちろん、この小説の中の人物達も
それぞれ、それなりに真剣な思いで取り組んでいたのだろうけれど
なぜか、・・・甘いというか・・・
全体的に、軽い感じですよね。
そこがつぼに嵌れば面白いけれど
そこまで至らなかったかも。
あと、個人的に、
クリーニングのパートしていた
真知栄子というオバサンのキャラがね。誇張しすぎで
嫌だったかな。だって、この小説で一番年齢的にも
立場的にも近いのってこの人なんだもの・・・・笑
あんなに、毒のある存在だと皆そうだと思われるみたいで、
ちょっとね・・・・。

この小説
マラソンという題材がメインだけれど
そのきかっけは、天国への訪問から。
話は広がっております。
うん・・中華だと思っていたら和食だったという感じでしょうか。

この結びつきは、めったにありませんよね・・。

この主人公の走ると言う行為の目的は、
霊界の世界に行くための体力をつけるということ。
自転車が、そのうち使えなくなるということからなんです。

そんなにしてまで天国へ。
苦しい走りの経験をしてまでですよ。

走ることについては
記録に挑戦するとか
自分の可能性をためしたいとか
個々、色々理由があると思いますけれど
天国ですよ・・天国。

過去にすがってばかりじゃあいけないと
思うけれど、
すがらないと生きていけない
この主人公の女性が、なんだか可哀想でした。
寂しかったのかな・・・。
生きている時の家族は
けっして皆が、いい状態ではなかったような気がするけれど
(温かい家庭ではないよう・・・)
亡くなってしまったあとの皆は
とても穏やかな性格になっていて、幸せ家族そのものの。
そんな状況を
天国で
見せ付けられてしまったら
(天国にいる家族は現世での性格が変わってくる・・・丸くなっているというのかな・・
人格がお互い融合しあっているのね・・)
愛着を感じてしまうのも、しょうがないのかなと思えます。


が。。。生きている人間、世界
その方を大事にしなきゃ。


後半で主人公は
マラソン仲間の1人から
「前向きなようで、後ろ向きに走っている」
と言われていたけれど
そのとおり。過去ばかり、見つめ、追っていたんですよね。


この小説でのまさに一番のメッセージは
生き方すべてにおいて
前向きになる・・・という
ことだったのでしょうね。


そして主人公が
目的を達成するということは
天国にいる人との別れをも意味するということ。
天国の家族にしたって、
つぎのステージに進まなくてはいけないのだから・・。
主人公の走る姿を見届けて
自分達も安心して、次の段階へいけるということなんです。


ちょっと、せつないけれど。
現世で別れをしっかりできなかった彼女にとっては
大きな踏ん切りの一つになったのかもしれませんね。



「カラフル」とあわせて読むといいいかもしれませんね。


ラン


いつかパラソルの下で

いつかパラソルの下で   著  森絵都

柏原野々は雑貨店で働く28歳の独身女性。厳格な父の教育に嫌気がさし、成人を機に家を飛び出した。
父の法要を迎えようとしていたある日
生前父と関係があったという女性から連絡が入る……。
児童文学作家・森絵都(1968年生まれ)が書き下ろした大人のためのハートウォミングストーリー。第133回直木賞候補作品


感想  シリアスなお話かと思いっていましたが
ちょっぴりユーモラスな表現も
あって結構、楽しみながら読みました。
父親の過去に隠された秘密という、ミステリアスな部分が
ありますが、そこはあまり大したことがなかったですね。
現実は結局、この程度のものかっていう印象ですが
逆に普通っぽいところが良かったです。

主人公の野々よりは、私は末っ子のタイプかなと思われます。
でも野々の生き方も理解できるかな。
私にはできないけれど、そういう生き方もありかなと思えます。
厳格だった父が、絶倫だっていうことを
知らされたら・・・私だったら
戸惑って怖くて前に進めないわね。
知りたくないって思かもね。
でも、真実を見つけることは、自分自身の生き方を
考えるきっかけにもなったのだから
迷っていたら前に進むことだということかも
しれないわね。
あらためて感じたわね。
後半の父の故郷・佐渡へ渡ってからの
お話は楽しかったわ。
自分も親の昔話を聞きたくなりましたよ。

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永遠の出口・・・森絵都

永遠の出口・・・・著  森絵都

表題作・・永遠の出口をはじめ、いくつかの短編を集めた作品。

小学中学年から高校までに自分史のような物語。
時代背景も描かれているので、ちょうど同じ時代を生きていた
人にはとっては自分の子供時代を思い浮かべることができ、懐かしい気持ちになります。
私は・・表題作の「永遠の出口」がお気に入りです。


人気ものの友達の隠れた一面を知ったとき・・。
お誕生日会にまつわる話を軸に、少女時の心の揺れが
詳細に描かれている佳作だと思います。
同年代のお子さんにお薦めの作品。

また、次の「黒い魔法とコッペパン」
これは、魔女と呼ばれる中年教師に追いつめられたクラス全員が
一致団結。立ち向かう姿を描いた・・・なかなかユニークな作品。
これは、テレビ放映された「女王の教室」を
思い起こさせる内容です。これも小学生には最適・・・。
こういう教師、どこかに1人はいましたね・・。子供たちは残酷ですからね。。。。立場が違えば物事の見方も変わります。
今は、生徒を威圧するような先生自体・・存在しなくなっているような気もしますが・・・。

春のあなぼこ・・・・かわいらしいお話ですが、出会いと別れに
胸がキュンとする思いにかられます。

後半になっていくと、不良少女、家庭崩壊、恋、とやや波乱万丈になていきますが、最終的には落ち着き先をみつけたという結末。

思春期の頃は色々、複雑なのですよね。

小学生の子供にも読ませてしまいましたが、
どんな感想をもったことでしょうね。前半はいいけど、
後半以降についてが心配だ・・・笑

テーマ : 読書メモ
ジャンル : 本・雑誌

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