欲望    著者・・小池真理子

欲望   著者  小池真理子

中学時代、類子、正巳、阿佐緒は不思議な関係で
結ばれていた。類子と阿佐緒は親友、正巳は阿佐緒に憧れる
美少年だった。彼はまた文学を愛し、特に三島由紀夫に傾倒していた。
しばらく音信不通だった3人は、年上の精神科医と結婚した阿佐緒と
偶然再会したことから、交流が始まる。
現在、学校図書館司書として穏やかな生活を送っている類子。
しかし正巳には類子しか知らない誰にも言えない秘密があった。高校時代に巻き込まれた事故で、正巳は性的不能に陥っていたのだ。そうと知りながら類子は正巳への愛を止められず、また正巳も類子を愛し始めていた…。



感想  小池真理子はもともと好きな作家さんなのですが
このお話は映画化された(昨年公開済み)ということで、読んでみました。
本当は映画もとっても観たかったのですが時間的都合で
断念。読書後思ったのですが、これはかなり難しい映像化だったかな・・・。映画を観た人の感想も聞きたいところです。

言われていることですが、この作品は三島由紀夫への
オマージュが含まれています。主人公類子も正巳も、さらに
精神科医の袴田も皆、三島作品を愛しております。袴田氏においては
美的思考が似通っているのか、三島邸を模倣した屋敷まで
作ってしまうのです。
ところどころで、引用される、三島作品の数々。
「仮面の告白」からはじまり豊饒の海シリーズ「春の雪」、「五人五衰」。ちょっと勉強不足だったのが残念です。
三島作品を知らなくてもこの作品は読めますが、やはり味わうには
知っておいたほうがベターかなって思います。
仮面の告白しか知らないのですよね。
ただ三島の自殺となった、市ヶ谷は・・・昨年の夏に見学を
しておりまして・・・、自分の中では身近には感じていた部分は
ありました。


さて・・・本題。
精神と肉体の欲望が一致しないことへの悲劇です。
欲望・・・という題名そのももの・・ストレートなお話で、
性にまつわる具体的な用語もまた出てきますが、それほどいやらしさは
感じません。赤裸々な話まで
異性とできてしまう、類子と正巳、2人の関係は、また不思議でもありました。
逆に、すべてをあからさまに打ち明けるなかで、精神的な
愛情を、互いに募らせていったのか思うと、憧れ以上に悲しさが募ります、なぜなら・・やはりそれは、不自然でさえも感じられるからです。言葉以上に簡単に体だけの欲望というのは、深みがないかと
思われますが、でも・・・・率直な、愛情表現では
ないでしょうか。それを、望みたくでも、望めないものとしての
心の葛藤は想像しがたいです。個人的に感じるのですが、男として
認めてもらえないような悲しみを感じるのではないのかな。
女なら・子が産めないということと同じか。いや・・・男性の方が
ナーバスな生き物だから、精神的なショックも著しいのかと
思います。

物語は、回想シーンとして進んでいくので、現在の正巳らが
どうなってしまっているのかはうすうす感じ取れると思います。
若かりし日が美しすぎるほど、その想い出は悲しみ色で
彩られるものではないでしょうか。

どんなに愛していても・・・・結局本人そのものと同化することはできないというのは、悲しいことだな・・・って感じました。
彼の心の中には結局入れなかったってことでしょ。
愛されていても・・・彼は心の空洞を埋めることはできなかったのかな・・・。悲しすぎる結末でした。

正巳は水色のフォルクスワーゲンを、愛用しています。
絵になります。語られる肉体も、容貌も美しいようです。
それゆえ・・・すべてにおいて悲しいです。

後半・・・小浜島(石垣港からさらに船で30分の南の島)
でのバカンスが、一番せつなかったかな。

それにしても・・・阿佐緒の描写は、濃厚でした。
こんな女性が中学生から存在したら、世の男性はまいってしまうでしょうね。類子もそんな阿佐緒を真正面から受け止め、
よいも悪いもすべて理解してしまうなんて
懐の大きい女性ですよね。自分の好きな男性がこの女性を好きだって
知っているわけでしょう。なかなか気持ちよく付き合えないよね。

こういった人間関係は、現実的には無理があるかもしれないけれど
物語上ではとっても理想的であるんではないかな。
シンプルな恋愛が出来ることの幸せをほんの少し感じましたね。
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