来たれ、野球部    著  鹿島田真希

来たれ、野球部    著  鹿島田真希





頭脳も運動神経も良い、野球部エース、喜多義孝。
彼は幼馴染の宮村奈緒のことが好き。
しかし、10年前に自殺した女子高生の一冊の日記を
みつけたことから、2人の間に異変が・・・。




感想



表紙がアニメタッチで可愛らしい~~
でも鹿島田さんだよ。作風変わったのかしら?
まさか、本当に青春ラブストーリー?
え~~~と疑問を感じながら読み始めたら
やっぱり鹿島田作品でした・・・・笑
文学的です・・・。

これ、こんな風な表紙で紹介したら、勘違いで手を出す人も多いのではないかな。
もちろん、
主人公たちは高校生だし、
片思いから始まり、両思いにもなるのだから
愛もしっかり描いてはいるけれど、
私たちが経験している学生時代の青春劇とは全く別物だと思います。
異質な愛の形かな。
そもそも
こんな思考回路をもった学生は
あまりいないんじゃないのかと・・。
だから当然、感情移入は、なかなかできませんよね。


あらすじを自分でまとめたけれど、
それだけじゃあ、うまく説明できない感じ。



物語の登場人物は4人。
それぞれが語り手となります。

頭脳もスポーツも万能、エース・喜多義孝。
彼が恋焦がれる幼馴染の宮村奈緒。
国語教師で野球部顧問の浅田太介。
音楽教師の小百合。
浅田先生には、自分の学生時代野球部のマネージャーだった可愛らしい奥さんがいます。
奥さんは妊娠中です。



喜多君の気持ちは宮村さんには届いているけど
宮村さん、そっけない感じ。有名人の喜多と自分の立場の違いを考えているのか。
でも好きっていう気持ちはあるみたい・・。
一方の喜多君は
なんで自分の気持ちをわかってくれないのかといらいらするのです。
愛ってなんだろうな・・・とこっちまで考えたくなります。
独占欲や
嫉妬欲が出てくるのも当然だと思います。


正直、
どう感想書いていいかわからないお話なんですよね。
途中から
2人の愛の形は理解をしずらいものに感じるから。


恋愛劇と同時に
見えかくれするのは、死の影。
自殺した女子高生がなぜ死んだのかは明確には語られないし
物語の流れの中で
もう一人の人(ネタバレ、浅田さんの奥さんね)の死の理由も
精神的な病だけでは片づけられないようにも感じます。

そんな死のにおいに引きずられて
喜多もまた・・・。
どういうことなんでしょう?
なぜ彼が?
死は連鎖するのでしょうか。
なぜこのタイミングで。


あ~~~やっぱり、鹿島田作品は
よくわかりません。
今回は学生ものということで読みやすいのですが
時折、文学的な香りのする表現が散りばめられます。
難しい・・・


ところで
題名は
野球部ですが
野球にはまったく関係がないのです。
ただ、喜多君が野球部に属しているだけです。
それもまた
表紙と共に
だまされた感がありますね。




kitare yakyuubu
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黄金の猿    著  鹿島田 真希

黄金の猿    著  鹿島田 真希



黄金の猿・・・三部作を含む
他、2編をあわせた短編集。


感想  やっぱり、難しかった・・・・。
長編「ゼロの王国」はわからないまでも、意外に嵌って
読めたのだけれど、こちらは、サクサクと読むのにはしんどいものがありました。
きちんと理解できたのは
最初の一話のみ・・笑。

「もう出て行こう」・・・作者の実生活が垣間見られるお話のようで
興味深く読むことができました。

「ブルーノート」

そして、
「ハネムーン」
「緑色のホテル」
「二人の庭園」
の’黄金の猿’三部作。


黄金の猿とは・・・ホテルにあるバーのこと。
そこを舞台に
三つのストーリーが語られます。
お話としては
男と女のことですが・・・・・
よくわかりません。



夜中になると歌い出す女、黒いドレスの女、精神を病んでいる女、
兄と妹・・・いろんな登場人物がおりますが、
すみません・・・・・よくわかりません。
一体何を言わんとしているのか。
その世界観が・・・・。

黄金の猿


「女の庭」では芥川賞候補になった鹿島田さん←次これ読む予定(懲りない・・・)
性的な表現もかなり独特ですし、
なかなか入り込めない世界ですね・・・笑



鹿島田真希さんの経歴・・『ウィキペディア(Wikipedia)』より

(ちょっと省略)

東京都出身。高校時代にドストエフスキーなどのロシア文学に傾倒。作品世界への興味から教会に通うようになり、17歳のときに日本ハリストス正教会で受洗し正教会信徒となる。
白百合女子大学文学部ではフランス文学科に進みプルーストなどを読む。
「二匹」で第35回文藝賞受賞しデビュー。
2003年に日本正教会の聖職者(結婚当時伝教師、結婚後に輔祭)の男性と結婚。
2004年、『白バラ四姉妹殺人事件』で第17回三島由紀夫賞候補、
2005年、『六〇〇〇度の愛』で第18回三島由紀夫賞受賞。
2006年、「ナンバーワン・コンストラクション」で第135回芥川賞候補。
2007年、『ピカルディーの三度』で野間文芸新人賞受賞。
2009年、「女の庭」で第140回芥川賞候補。

ゼロの王国     著   鹿島田真希

ゼロの王国     著   鹿島田真希

吉田青年を巡る物語。




感想   鹿島田さんの作品は「六〇〇〇度の愛」に続いて2度目。
正直、私にとってはハードルの高い作家さんです。
一言でいえば、難しいのです。

今回、600ページにもおよぶ長編作品です。
見た途端、怖気づくくらいの厚さ・・・・笑。
持ち歩いて気軽に読書というには、まったくといってふさわしくない代物です。

内容はというと、これはかなり独特の世界。
全編会話劇で繰り広げられ、地の文はあまりありません。
舵取りとも思える人物が、作者とも言えますが、
各章の最初と最後に、語り掛けをします。


たとえば、こんな風に。

6章目(P.228)

「この物語に登場するわれらが主人公もその手のタイプの人間だ。  中略。
今回はそんなわれらが主人公の奔走ぶりを描いてみようと思う。物語の幕を開けよう。」

そして、その章の終りでは、

「その顛末を語る前に幕を閉じよう。」

表紙をみてもわかりますが、トランプをイメージしており、なかなかお洒落。
各章の数字も、スペードのエースから、キングまでという、懲りようです。
ゼロ

主人公は吉田カズヤ。
彼は某イベント会社で宛名書きのアルバイトをしている青年です。
その宛名書きのアルバイト先で出合ったのが、田中エリ。
やがて、イベント会社をやめ、結婚式場の宛名バイトで働く、吉田青年。
そこで、出会うのが10も年下の女子大生で佐藤ユキです。

吉田青年は、俗世間を超越したかのような、まるで仙人ような人物。
誰に対しても惜しみなく、同等の愛を与え、純粋で
清い心をもった人物。
物語は、ドストエフスキーの長編『白痴』を
ベースにしているそうですが(主人公吉田青年のキャラもそう・・)
肝心の物語を知らないので、何も語れないのは、残念です。

田中エリ、佐藤ユキという二人の女性と
やがて、エリに求婚をする藤原氏。ユキの婚約者である小森谷氏。その弟、瞬。
エリの主催するパーティーに集まる、神学生、俳優などなど。
個性的な人物が、吉田青年の物語に絡んでいきます。


吉田青年の語る、言葉の数々。饒舌なその言葉の中に
読者は何を感じとるのか。


そして、吉田青年は
あることに気付くのです。
より自然な人間らしい姿とは何かと。



吉田青年が、説く、単純な繰り返し作業の中に歓びを見出すということ・・。
とても印象的でした。

とにかく、とっつきにくい印象もある作品ですが、
物語の中に入り込めこんでしまえば、こっちのもの。
しばらく、出たくないな・・・と、思えるはず。
この王国を、吉田青年の行く末を
見ずにはいられなくなるのです。


一度では理解できないものもあるので
ゆっくり時間をかけて再度読むとまた良いかもしれませんね。



「六〇〇〇度の愛」

六〇〇〇度の愛  ・・・著者 鹿島田真希

第18回三島賞受賞作品。
著者は白百合女子大卒、28歳・若いですね。

非常ベルの音をきっかけに
夫も子どもも捨てて一人長崎に旅立つ私。
そこで彼女はアトピー性皮膚炎をもつ混血人の青年と
出会う・・

感想  まず、不倫小説のような内容ですが、
まったくもって違います。
事実はそうですが・・・そこには男女の愛は感じられません。
三島賞というだけはあり、解釈しがたい
世界だと思います。

そもそも、非常ベルの音だけで長崎に飛び立とうとする
”私”の行動をすんなり理解出来る人がどれだけいるか・・・。
長崎というのを当初から意識していたわけではないでしょう。
ただ音・・・に導かれて・・その土地に降り立っただけのこと。
彼女は夫と子どもの生活・・・平凡ながら幸せな生活に
生きている喜びが見出せないよう。
それは彼女自身が精神的に病んでいる部分があるから。
過去の呪縛から逃れられない自分に苦しんでいるようにも
感じます。
・・・
アルコール中毒であった兄の自殺。
溺愛していた母の存在。
彼女は自分もどこか同じ危うさをもっているのだと
感じているのかもしれません。

彼女が長崎で出会う青年は混血で、
アトピー性皮膚炎を患っています。
痛々しいからだ・・そのことで、数多く傷ついてきただろう心の
持ち主。
それでも青年は彼女の言葉に素直に反応し、決して傷つけることを
せず、接してくれます。

彼は長崎・・そのもの・・・のように感じてくる・・”私”

その青年に彼女は何を求めているのか。青年によって彼女は救われたというのだろうか。

読みながらすんなりわかるものではありません。

文体は短く、リズムカルな響きなのに、内容は抽象的で、禅問答のよう
な感じでもあります。理解しようにも、なかなか入りづらい世界。

時折とりだたされるのが、聖書からの引用。
青年は洗礼を受けているのもこの物語のポイントかもしれません。

宗教的知識がも乏しい自分にとっては、何・・何・・と思える
箇所多しですし、彼らの求めていくものがいっこうに見えてこない
ジレンマに悲しくなってくることもたびたびでした。
でも何故か、その分からなさが・・不愉快に感じなかったです。


六〇〇〇度とは、原爆投下されたあの日の長崎の温度。
”私”はとても渇いていたのです・・・。心も体も。
そして同じような渇きを感じている青年と出会い、
体を重ねる・・・。

固有名詞を持たず、”私”と”女は”で語られる文体。
”私”は一主婦。非常ベルの音をきっかけに、
家庭や子供を置いて逃避行した主婦。
彼女は自分の過去を独白していきます。
そしてもう1人の”女”は混血青年と関係を結ぶ。。。
第三者が女という言葉で、2人の関係を追っていきます。

でもこの”私”と”女”は同じ人物でもありえるのです。

内容はほとんど理解できなかったので感想もなにもないのですが、
私は流れている空気が好きでした。
それは逃避行する主婦に共感したとか、若い青年と関係をもつことに
憧れを感じたとか・・そういった単純な理由ではないのかも
しれません。そこは説明できないので、また同じにおいを求めて他の本
を読んでみてから、考えようかなとも思います。
同じような感じならば、きっとわからないだろうという気がしますが

なんとなく淋しい・・・孤独感にさいなまれる気分に陥る
作品でした。

これは読み手を選ぶ作品であるように思えます。
性描写も、ストレートな部分があるにせよ、
いやらしさを感じず、とても無機質な感じがしました。
肌が触れ合っていても温かさを感じないのですよね。


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テーマ : 読んだ本。
ジャンル : 本・雑誌

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