よだかの片思い   著  島本理生

よだかの片思い   著  島本理生


24歳女子の不器用な初恋の行方・・・



感想


島本さんの作品久しぶり~~
いつも暗い感じのお話だったり
主人公が酷い目に合うっていう展開が多いので
覚悟して読み始めたんだけど
今回はとても前向きな雰囲気が漂う作品で読後感良かったです。

恋愛小説ではあるけれど
主人公の女性の
成長物語でもありました。


<顔の左側を覆うアザ>
主人公にはあざがあるんですよね。
心の持ちようって難しいと思います。


物語は彼女と
取材先で出会った映画監督の飛坂さんとの恋が、メイン。

恋する彼女の気持が
文章から伝わってきて
共感しやすかったです。ドキドキしちゃいました。
あなた・・・っていう響きが良いですね。
文章素敵です。


いろいろ考えさせられるところもあって
良い本でした。
個人的には
飛坂さんは
ずるいな~~~とおもっているところ、多々あります・・・・笑
やさしい言葉かけてくれるけど、
なんかずるいな・・・って。


理系女子が主人公である作品・・・新鮮でした。
研究室ってあんな感じなのかな。

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アンダスタンド・メイビー上・下   著  島本 理生

アンダスタンド・メイビー  著  島本 理生



茨城県内の学園都市には母親と2人で住む藤枝黒江(くろえ)。
中学生時に遊びに行った東京の書店で一冊の写真集と巡り合う。
著者の浦賀仁のファンレターを送った彼女は、やがて弟子にしてくれるという彼の言葉を心に
刻みこんでいた。
そんな頃、彼女の中学校に、酒井彌生という男の子が転校生としてやってくる。
素朴な彼に惹かれる黒江。
しかし彼女は忌まわしい過去を引きずっているため、大切なものを見失い、
結果、危険な恋に走ってしまう・・・





感想   

島本さんのデビュー10周年記念書き下ろし作品。
一気読みでした。
先が知りたくて、知りたくて、途中でやめることなど、とてもできませんでした。
重苦しい事実が、次から次へと迫ってくるのでへこむことも多かったです。
でも、途中で放り出しちゃあいけないし、真正面から向かわなくてはと
思わずにはいられない・・・。
やはり最終的な着地をみたい、知りたいという願望が強かったし、
なにより、主人公、黒江に、とにかく幸せになってもらいたという気持ちがあったのです。

上巻は黒江の中学校3年→高校進学してからのお話。
母親との関係はぎくしゃくして、家庭的には恵まれていない感じ。
過去に何があったのかは上巻でははっきり描かれていませんでしたが、
中盤にでてくる、幼児期の写真・・・という箇所から、もしかしたら・・・いつものあのパターンなのかしら
と想像できました(下巻ではっきりして。やはり当たりでした・・・・泣)
上巻では学生時代の黒江の交流関係がメイン。
仲の良い中学時代の男女の友達・・・紗由ちゃん、四条君、怜ちゃん、転校生の酒井君。
酒井君とは接するたびに魅力がわかってきて、黒江の気持ちが揺れぎ出すの。
とってもいい感じだったのに・・・・
高校時代ではそれぞれの進路が別になって、
また別の人間関係が繰り広げられるの。
黒江の前にも新たな男性が現れて・・・。

上巻は少女漫画的なストーリーだけれど、文章は素敵なので気にならず読めてしまいます。
黒江を取り巻く男性は、どうみても、口だけの男でしょ・・・と思える(賢治君)男もいて
黒江~~~・・・・、なぜ、そこまで男を見る目がないのか、自分をしっかり持てていないのかな・・・と
女性の身からしてみればいらいらしてしまうことも多々ありました。
彌生君のあとに出会った、羽場先輩はいわゆる不良少年なんだけれど、
放任主義の母親がいたから彼もこんなに荒れた生活に陥ってしまったんじゃあないのかなと
同情する部分もあって、私は基本、いいやつだな・・・と思っていました。
前の彼女に対する羽場先輩の思いも普通の感情だと思ったしね。
でもやっぱり、黒江としては、彼を信じてあげることができなかったし
不安だったんだろうね。彌生君のときも、最終的に自分の苦悩を打ち明けることができなく
悲しい結末を迎えてしまったし。
恋ってなかなか一筋縄ではいかないわ。
あ・・・・それにしても賢治よ。なんてやつ。



そして下巻に。
波乱万丈な茨城での生活とは一転、東京での生活は一見落ち着いているようには
みえるものの、
写真家浦賀仁との同居生活という奇妙なもの。
不思議なことに、ここには男女関係は存在しないの。
浦賀さんと黒江はあくまでも、師匠と弟子という関係なわけなのね。
それに浦賀さんには
過去の傷があって、恋とか、そういうものには縁遠い世界にもはやいるって感じです。

魅力的ですよ、浦賀さんは。
写真家ということで、芸術的なものの見方に
筋が通っている。
そんな彼が保護者のように彼女を見守っているのが素敵に感じたわ。
そしてこの東京での生活に慣れたある日、故郷に戻って再会したのが
彌生君。
さらに大人になっていたわ。落ち着きさにも磨きがかかって。
でも黒江の求める
神様にはなれなかった・・・・。
同級生だものね。彼女のすべてを包み込み、寛容でい続けるには、負担が大きすぎるのかもしれないと
思ったわ。
母親おもいだし、気もきくけど、やっぱり、一人の同世代の男の子だしね。


下巻の中盤以降は
上巻に出てきた幼児期の写真の意味・・
父親の存在・・
母親の秘密・・・
次から次への明らかになって、もう駄目~~状態。
いままでの島本さんの作品でテーマになってきたもののオンパレード。
でも、いままではただそうだった・・・というような結果論だけしか、描かれていなかったものが
今回はどうしてそういう行為に親が走ってしまったのか・・・・
背景が丁寧に詳細に描かれたような気がして
いろいろな場面でそうだったのね・・・・と納得できたところもありました。
ページ数をきちんとさいて描かれている分、
読み手の考えるべきことが多くなったような気がします。
それにしても
父親に会うという勇気は凄いな・・・。


ラストは希望をもった終わり方。
黒江は進むのです。前へ前へと・・
過去を振り切って。


「どうか私だけの神様になって。私を許して。」

この部分を読んだら
自然と涙が出てきたわ。
つらかったんだろうな・・・・・って思って。

全体的に暗い話ですが
前作に比べれば
格段に良いです。前作は読みにくくって・・・。
次回も期待したいです。

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あられもない祈り   著  島本理生

あられもない祈り   著  島本理生




名前のない「私」と「あなた」の物語。



感想  

 読んだのはだいぶ前なのですが
なかなか感想が書けませんでした。



う~~ンと言う感じです。
名前もない2人ですが
過去の島本小説に出てくる同じような人物像です。
それが今回、これでもか・・これでもか・・・とドヨ~~ンとした雰囲気を醸し出します。


文章は美しいので、読んでいて大きな錯覚を引き起こしてしまいますが、
素敵なお話ではありません。
どうしようもないことをしています。

一歩間違えればドロドロの関係になりかねません。

それを綺麗にみせているので
ひどい話には見えないだけなのです。


名前のない2人。

「あなた」は、結婚の予定もあるのに
「私」と付き合う年上の男。

社会的な地位もあり、お金持ちである・・いい年をした大人の男性が
年若い女=わたしと恋愛関係に
陥っている・・



「私」はそんな「あなた」を好きだけれど
なかなか受け入れない・
「私」には
直樹という、一緒に住んでいる男がいるから。
そして彼は
ときどき暴力をふるう。でも簡単に離れられない。


「私」にはどうしようもない母親もいる。
お金をせびりにくる親だ。

ときどき、手首をきってしてしまう「私」

そんな「私」と「あなた」の物語。




なぜ、そんな行為に走ってしまうの。
なぜ、離れられないの。
なぜ、自分を傷つけてしまうの。
なぜ、そんな男が良いの。



なぜ…なぜ・・・と疑問ばかりが湧いてきてしまうお話。



登場人物たちにはまったく共感は持てないのです。
「私」にさえも・・・。



共感をもてないお話でもお話自体が面白ければ、読みつづけるのも苦痛ではないのですが
お話がそんなに面白いわけではなかったので、ちょっと退屈に感じてしまったところはありました。
過去を語ったり現代だったり
いったり、きたりしながらで
心情を述べるだけの文章。
そこを理解できないのはやっぱり苦しいです。
出来事を想像するのも難しかったです。
抽象的な感じなんですよね・・・。





ただその文章はやっぱり、美しいので
それに引きずられながら
読んだかな・・・・という感じです。


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波打ち際の蛍   著  島本理生

波打ち際の蛍   著  島本理生



川本麻由は通院先の病院で植村蛍と出会う。
彼女は昔付き合っていた恋人にDVをうけ、心に傷をおっていた。
新しい恋に踏み出したいのに、過去のトラウマが自分を苦しめる・・・
蛍との恋愛の行方は・・・




感想



島本さんの、少し前の(2008年)の恋愛小説。
この間読んだ本が、「大きな熊・・・・」。
ちょっと内容がかぶってしまって、ああ・・また、DVなのね・・・と沈んだ気持ちになってしまったけれど、
文体の美しさに惹かれて、一気に読んでしまいました。

DVをうけた女性の心の傷が本当、生々しく伝わってくるのよね・・
実際、経験がないので、
どのような心境かは想像の範囲でしかないわけだけれど、
それでも、こういう気持ちになってしまうのは、当然だよね・・・と
納得できるだけのものが、ありました。

絶対、自分はそうなりたくないわ・・・とも同時に思ったし
自分の子にはそういう恋愛経験はしてほしくないと願ったり。


好きな男がそうだったら・・どうなんでしょうね。
見た目じゃあわからないだろうし・・
どうなの?そういうオーラーって漂っているのかな。
島本さんの作品に出てくるDV男っていうのは
だいたいパターンはあるようだけれど。



蛍って・・・彼女の前に現れる男性の名前だったんですね。
この彼・・・彼女よりもず~と年上で
包容力もあり
何よりも優しい・・・。
優しすぎてかえって不安感も漂ってしまうほど。



昔の恋人と平気で自分の誕生日にお出かけをしてしまうという、無神経さ。
これは、無神経っていうんだよね?
そんな重要な意味はないといっても、客観的にみて、
容認できるような行動とは思えないけど。(かたすぎるか・・笑)

一方の麻由には、、暴力恋人と、別れさせるために
力を貸してくれた、頼りになるいとこのさとる君がいたりする。
この、さとる君、いとこにしては、面倒見が非常に良いし、
読んでいて性格的にもいい感じで、お友達になりたいほどではあったけれど、
実際、こういういとこがいたりすると、違った意味で心配でもあるよね。
変に勘ぐってしまったりするから。
親だって、どうよ・・・あの2人と思うだろうし、当然、麻由を好きな人は
気になる存在だと感じるんじゃあないかな。
まあ、さとる君は、彼女いつもいるようだし、
麻由をあくまでも、いとことしてみているだけだと思うけれど(十分わかるけれどね)
読んでいて、実際いるのこういう親戚?と思ってしまうのは致し方ないか。


物語は、
麻由と蛍の恋の行方・・がテーマ。



なかなか、近づけない2人。
思いあってはいるんだけれど、
麻由の体の方が、思うようにいかないの。



それでも・・・それでも
いいといってくれる・・
蛍さんが・・・
大人・・・。


葉山先生とかぶる部分はあったのだけれど、
あちらの設定とはまた違った関係なので
素直に、2人を応援する気持ちで読むことができました。
ラストも希望を感じるようで
素敵でした。


きっと、よい方向に事は進むって……★



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CHICA LIFE 著  島本  理生

CHICA LIFE 著  島本  理生



2003年から2006年まで「ViVi」に連載されていたものに、加筆、修正したエッセイ集。



感想


 島本さんのエッセイ集。

このところ、島本さん作品集中的に読んでいるところ・・・。
先日の某新聞でも特集されていたわ・・島本さん。
今、取り掛かっている作品の話も出ていて、今後の活躍も楽しみ。


「ナラタージュ」を執筆されていた時期かな。
作品に入れ込みすぎて大学も中退されたとか。
作品を生み出すことって、大変なんですね。

友人のこと
母のこと
同棲相手のこと

などなど・・。

子どものころから~~現在の生活ぶりまでユーモア満載に
書かれていてとても楽しかったです。

驚かされる一面が次々に明らかになってくるので
読んでいて興味がつきなかったです。


小説では、透明溢れる繊細な文章が多いので
もっと、こう、真面目で、おとなしい、文学少女のようなイメージをもっていたのですが
違うんですね。



恋愛に関しても、すぐ同棲しちゃう・・
告白も一気にするようですし・・
積極派なのね・・




私は作品をいくつか読んでからこのエッセイに入ったわけですけど、

なるほど、こういう恋愛感や、行動パターンがあるからこそ、

この小説が生まれたのね・・・と


納得できるところもいくつかありました。




作家合コンの話も面白かったです。
また常々
島本さん作品には
いつも、マニアックな映画が出てくるよな・・・と思っているところが
あってこのエッセイでも発見。


両親が居間で「髪結いの亭主」を観ていたという部分や
「リトル・ヴォイス」という映画についてのお話の部分。



ダンサーをしていらっしゃるお母様ということで
「髪結いの亭主」のような、作品も鑑賞されるのかな。夫婦というのも珍しいわと思ったり。
リトル・ヴァイスも映画好きじゃあないとみないような作品だよね。地味系だし。



軽いタッチの本なので
気軽に読めましたが
次はまた、重そうな恋愛話にいきたいと思います。

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大きな熊が来る前に、おやすみ。   著   島本 理生

大きな熊が来る前に、おやすみ。   著   島本 理生

大きな熊が来る前に、おやすみ
クロコダイルの午睡
猫と君のとなり


3篇の短編集。



感想   題名も可愛らしくって、酒井さんの装丁も可愛らしいのに

二編は重めの話で最後の一編は書き下ろし、ハッピーエンドの構成。



題材は暴力。

「大きな熊が来る前に、おやすみ。」


わかっていても離れられない彼女。
わかっていても暴力をふるわずにいられない彼氏。

彼女の過去も、彼の過去も
痛々しかったわ。

好きという感情は、その人の過去までも背負うことなのかな。
過去のいろいろな出来事が現在の自分の感情を作っているのだとしたら
お互いがお互いを選んだということは
過去も含めていとおしく思ってあげなくてはいけないのかな。

負の部分をもっていても彼女にとっては彼は
離れがたい存在なんだろうけど。


でも、いろんなダメ男がいるなかで
暴力男は一番きつい存在じゃないかなとは思うけれど。
普段が優しい分
なかなか見捨てられないというのがあるのかな。


途中までどんよりしていましたが
最後を読み、その後の2人に希望を持ちたいと思いました。



作品の中で出てきた映画の「カラスの飼育」
これず~~と探しているんだけれどみれないわ。
いつも作品の中に印象的な映画が出てくるけれど
古い作品よくご存じよね。



「クロコダイルの午睡」


この主人公が好きになる男が嫌でしたね。
無神経な言葉を言う人なんて。


自分の育ってきた家庭環境が一番見たいな感じで
物事のすべてのその価値観でみているでしょ?
相手へのおもいやりもないし。

いいところもあるんだけれど、・・とは
思わなったです。

あのシャワー云々は最低だし。

自業自得でしょう。




「猫と君のとなり」


2人の距離が縮まっていく過程が素敵でした。
猫に暴力をふるう昔の恋人が怖かったです。
動物を大切にしない人って
やっぱり人間も大切にしないよね。


すぐに、お家にあげてしまうのは
いまどきなのかな。






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真綿荘の住人たち    著    島本理生

真綿荘の住人たち    著    島本理生


江古田にある下宿「真綿荘」。
下宿人たちの日々を描いた連作小説集

青少年のための手引き
清潔な視線
シスター
海へむかう魚たち
押入れの傍観者
真綿荘の恋人

の全6篇。




感想   良かったです。
6篇それぞれ、焦点当てている人が違ってきています。
脇役だった人が今度は主役。
読み進めていくうちに、
下宿人たちの意外な面が次から次へと表れるので、
いつも新鮮な気分になります。
今度はどんな物語が・・・と次の章を読む前に期待感でいっぱいなのです。



同時に、そんなことが・・・そんな過去が・・・と
驚きも出てきます。



そもそも下宿という舞台は、興味そそられますね。
見も知らぬ人同士が、一緒に寝食を共にする空間。
ドラマもいろいろ起こりそうです。


すべての章、恋愛沙汰のお話になっております。


前半は、(「青少年のための手引き」)マイペースな大和君の存在で
この物語って、コメディ・・路線なの?と一瞬感じてしまうほどの明るさを感じるのですが
しだいにダーク感が漂っていき、
極めつけのラストの章・・・に突入していきます。



ここで真綿荘の住人を整理しますね。

空気の読めない大和君。
北海道出身の彼が大学合格を機に、東京、江古田のレトロ下宿に引っ越してくるのが
最初の章になっています。
その大和君を好きになってしまう鯨井さん。
鯨井さんのことが好きな荒野先輩。
過去のトラウマから男嫌いになった椿さん。
彼女を一途に思う可愛い高校生八重子ちゃん。
大和君と駆け落ちしちゃう絵麻さん。
そして、大家である綿貫さんと、彼女が内縁の夫と呼ぶ画家の晴雨さん。




「清潔な視線」

ここで第一の驚きです。大和君も気に入っていた八重子ちゃん。
この子の存在の意味ですね。
そんな係わり合いになっていたのね・・・・と驚き。
同時にわかる、椿さんの過去。


「シスター」


鯨ちゃんの思い、
荒野先輩の思い・・・
ちょっとせつなかったです。
荒野先輩が・・・。
届かない思いって、痛いですね。

この荒野先輩の過去も後ほど分かって驚きでした。


「海へむかう魚」

絵麻さんの振り回されてしまう大和君。
でも、絵麻さんのは絵麻さんの事情があって・・


恋愛は難しいです。

「押入れの傍観者」


これは、ちょっと他の章とは違った感じです。
住人たちの語りではないからです。
ただ、ここの章を読んでから次の章を読むことで
見えなかったものが一気に見えてくると感じます。


「真綿荘の恋人」

この話が一番強烈だと思います。
今まで感じていた謎。
結局のところ、二人の関係は何?というのがわかるからです。(といいながら
わかるようなわからないようなといったところですが・・・・)
理解できるかどうか・・・・・ってまず頭の中で考えてしまいますよね。
それぞれの育ってきた環境を考え
こういう愛の形もあるのかと思ってみたりしていますが
普通感覚ではないので、素直にそうか・・・と納得はしがたい部分もあります。
だから、椿さんの反応も当然だと思いました。

ただ、綿貫さんがそれで、幸せを感じているのなら
いいのではないだろうか・・・
ああいう結論を出したというのは晴雨さんの彼女への愛だと思うし
そうかんがえるとハッピーエンドといえるんだろうな・・・・と思いました。




晴雨さんの物憂げな感じ、
荒野先輩の繊細さ・・・
どれも気になります。

あ・・・でも実際傍にいたら
苦しみそう・・・・・笑


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君が降る日   著  島本理生

君が降る日   著  島本理生



恋人の死、その恋人の友達との関係を描いた表題作「君が降る日」
英会話教室で出会った高校生に失恋ショックを慰められる「冬の動物園」
青春時代の甘酸っぱい思い出、男女間の友情と恋愛の狭間を描いた「野ばら」


恋愛話、3編からなる短編集。



感想   とっても良かったです。正統派の恋愛小説では
「ナラタージュ」より、こちらの方が好きかも。(ナラタージュは、先生のずるさがいやだった)
この3篇のバランスも良いです。
一番好きなのは「野ばら」です。


「君が降る日」
   題名が良いです。
題材は恋人の死。恋人の死に絡んだ物語というと恋愛小説には
よく見られるパターンなので、どうかな・・と思っていましたが、
作者らしい世界観が垣間見られて、興味深く読みました。
文章が研ぎ澄まされているんですよね。表現が美しいです。
こう、心の中にス~~と入っていく感じ。詩的な文章でもあるんですよね。
女性が、女性の感情を表現しているというのもあるからか、
全体的に柔らかい感じが漂います。
たとえばこんな感じ。

 本文、15ページより
 「夜の闇は体温となり、皮膚となり、声となり、無限に降ちゃんの断片へと姿を
変えながら、いっそ全体像となってくれればいいのに、それはない。
断片では抱きしめることもできない。・・・・」

ただし、痛みはひりひりときいていて、主人公同様
せつなさは募るばかりです。
愛しい人を亡くした時の喪失感というものは、(例え、恋人でなくとも)
理解できる部分ではあるので、同じ世界を共有できると思います。

物語は、その恋人の死から先で、展開されます。
愛する人に死をもたらしたであろう、男友達、五十嵐さんの存在が重要です。
主人公、志保は、彼にかかわることで、過去にしがみつこうとしています。
過去の幸福だった日々への愛おしさが
どうしても、こみあげ、忘れられないのです。
しかし、志保が五十嵐さんに見ているものと、五十嵐さんが志保へみているものとには
ズレがあります。
前半で見せた五十嵐さんの顔と
後半で見せる五十嵐さんでは、印象も多少違ってきます。
後半では彼の、本音、ある意味、ズルい部分が見えてくるんですよね。

結論が出るような簡単な物語ではないので
どこか、ひっかかりを残すような読後感でした。


「冬の動物園」

こちらは、前作の五十嵐さんのキャラとはまた異なった明るめの
男性が登場です。
森谷君。銀のピアスをつけた、ちょっぴり軽めの高校生。
言っている言葉はストレートで、ちょっと戸惑ってしまうところもあるけれど、
もっともなことだと思うことばかりなんだよね・・・。
面白いし・・・。
失恋の痛手を乗越えるには、新しい出会いが一番なのかもと思える
一編でした。


「野ばら」
これは大好きな作品。
せつなさマックス状態で
読むたびに、心が痛くなるお話です。
残酷なのは気付かないこと。
とっても好きなので詳細は避けたいです。
是非、読んでこの目で確かめてみてください。
モチーフとなっている
谷川俊太郎さんの「あなたはそこに」も
読んでみたいです♪

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クローバー

クローバー   著   島本理生

華子と、冬冶は双子。
でも内面はまったく違うタイプ。
華子はちょっとわがままで強引。恋人もとっかえひかっえ。わが道を行くタイプ。
冬治は慎重派で逃げ腰タイプ。
そんな華子の前に猛烈アタックの熊野(本名・細野)が出現。
一方の冬冶にも、同じ理系大学に通っている、雪村さんから
アタックを受けて戸惑い気味。
2人のその後はどうなるのか。




感想    前作島本さんの「あなたの呼吸が止まるまで」を読んだばかりというのもあったので
同じ路線かな・・・と思ったら
全く違う作風にまず驚かされれました。
明るいじゃない・?・・・・笑
沢山読んでいるわけではないけれど、なんとなく作品に暗いイメージが
付きまとっていたからね。


キャラがそれぞれに際立っていて(わりと個性的な人ばかり)
イメージがしやすいところが非常に読みやすかったです。
また理系大学の学生
双子の姉、弟という関係
それぞれの彼氏・彼女と
非常にオーソドックスな設定が、
身近に感じやすい分、安心して読むことができたかな・・。
双子の男女というのは、想像するのが楽しいですよね。
性格が違っていても、姉弟の絆の強さを感じますね。
姉に振り回されぱなしの冬治だったけれど、
どこかその立場を楽しんでいるところあるんじゃないかな・・・って思いました。
こんな姉弟関係ってうらやましい・・・。


この冬治に恋心示すのが雪村さん。
ちょっと変わった女の子なんですよね・
ファッションも独特な感じみたいでしたし・・・、
食べこぼししちゃうなんて、
なんかね・・・・。おとぼけちゃん・・・笑

この雪村さんは冬治に思いが届かないと知ると
変身~~~するわけですが、
この変身は
実にドラマチックでした。
女性って変わるときは一気にいくのね・・・。
思わず、笑ってしまったりもしたのですが、
その辺の女心は理解できるところおおあり。
冬治との恋愛には
共感できる部分が沢山ありました。
胸キュンは久しぶりでした・・・。


冬治が雪村さんと付き合っはじめて・・・・。
あるとき、
彼女が父親の病気で、ナーバスになっているときがあるのですが、
冬治、平気で、前の合コン彼女とお食事に行ってしまうんですよね。

冬治の
一本芯が通っていない様がなんともいらだたしいというか。
いや・・自分が彼女だったら絶対嫌だな・・・
悪気がないから彼女に報告するわけだけど
配慮なさすぎだし。
雪村さんは、ドーナツ買いをさせて、冬治の誠実さ、一生懸命さを試していたような
感じだったけど、
私は・・・それだけじゃあ・・すまないと思うけどね。こういう男嫌なのよ・・笑
ここはドラマなら、盛り上がり部分かも。

私は冬治だったら、もっとグイグイ派のほうがいいと思うけど。
雪村さんはまだおとなしい方だよね。
いかにも理系女って感じをかもし出しているけど
私はもっと振り回しちゃっていいと思うのよ・・・・笑


楽しい作品で
サクサク読めました。
でも最後の冬治の結論には納得がいかないかな。
お父さんだって安易に決めるなっていったのに・・・。
一本筋を通せって感じだけどね・・・笑

クローバー

あなたの呼吸が止まるまで  著  島本理生

あなたの呼吸が止まるまで  著  島本理生


島本さん2作目。
ナラタージュと同じような展開か・・・と思わせて
実は・・・・ほ~~~~そうきたか。。。でした。
読後感には爽やかさはなく、
ただ、寂しさとせつなさとつらい思いが・・・残った作品。
個人的には
こういった素材は、あまり好きではないかも。


主人公は十二歳の小学6年生。
作文調の文体で・・・こみがげてきました・・、ぶつかりました・・・届きました・・と
すべて、です、ます・・系で書かれています。
そこからは、彼女の、主人公の几帳面な
性格さを伺うことができます。
また
丁寧に自分の気持を述べていくという
かたちでもあるので、この主人公、十二歳の少女に
読み手の気持ちが寄り添っていくことができます。
これはもしかしたら
自分の母親的な気持ちが入り込んでしまっていたからかもしれません。
彼女の悲しみ、寂しさを
どうにかして、救ってあげることはできないかという
気持ちです。



大人っぽい態度をとっていても、
所詮子どもなんだから。
だれかが温かく包んであげないと。


主人公の野々宮朔の父親は
舞踏家。けっしてお金にはならない仕事を
自分の信念のもと続けている。
それが自分の生き方だと思っている。
しかし、家庭生活はそう簡単なものにはいかなく、
夢を追いもとめることだけでは暮らしていけない。
妻は、家を出て行ってしまう。
いまや父と娘のふたりだけの家庭。
父親は、ふだんから帰りが遅くなりがち。
舞踏仲間と付き合いがあるからだ。
彼女は
必然的に、普通の子どもより大人びた感じになってしまう。
大人の世界とかかわることが多くなっているからだ。
父親の影響で物事の考え方も、その年齢の子どもと違ってきている。
でもやっぱり・・・子どもであるに違いないのだ。


そんな彼女の生活を
彼女の言葉で
語っていく小説。


自分の意志を明確にしめす個性的な鹿山さん。
優等生で彼女が好意をもっている田島くん。
彼らとかかわる学校生活も
同時進行で描かれていくのです。



そして、予期せぬ出来事が朔に
起こってしまうのです。
ある種、暴力という名の行為。



彼女の復讐は、
彼女が精一杯できる
行動の表れではあるけれど、
逆に彼女の心の傷を大きくしないかと
不安もよぎってしまう・・・。
その勇気はまぎれもなく大きなものだけれど
勇気ある行為はまた幼いゆえの正義感から来るものであるに違いないのだから。


だからといってどうしていいのかはわからないし、
そのままでいいわけではないけれど。


私が一番イヤなのは
佐倉さんの行為そのものというよりも(まあ、それも不快だが)
恋愛感情が未熟な相手に対して、
まだなにもわからない少女に対して、
うまく丸め込むようなものの言い方・・・が非常にイヤでした。
自分の都合のいい風に
導いていく、大人のいやらしさ、汚れた考え=欲望が、
子どもの純粋な文章(実際には作者の文体なのだけれど)
で表現した時、
それは、何倍にもいやらしく感じます。


ところで、この作品で
象徴的に出てくるのが映画の「シベールの日曜日」
残念ながら未見ですが
内容は知っております。
ナラタージュでもそうでしたが
映画の引用が多いですよね。

ラストの描写が個人的には
好きです。大地に爪を立てる描写・・・。
少女の思いがこめられた文章でしたから・・・



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