善き人   

善き人  (2008   イギリス・フランス)

GOOD


監督: ヴィセンテ・アモリン
製作: ミリアム・シーガル
セーラ・ブート
ケヴィン・ローダー
ダン・ルポヴィッツ
ビリー・ディートリッヒ
製作総指揮: ダニエル・ダジャーニ
サイモン・フォーセット
ピーター・ハムデン
スティーヴン・ヘイズ
原作戯曲: C・P・テイラー
脚本: ジョン・ラサール
撮影: アンドリュー・ダン
プロダクションデ
ザイン: アンドリュー・ロウズ
編集: ジョン・ウィルソン
音楽: サイモン・レイシー
出演: ヴィゴ・モーテンセン ジョン・ハルダー
ジェイソン・アイザックス モーリス
ジョディ・ウィッテカー アン
スティーヴン・マッキントッシュ フレディ
マーク・ストロング ボウラー
ジェマ・ジョーンズ ハルダーの妻
アナスタシア・ヒル ヘレン



英国の劇作家、C・P・テイラーの舞台劇を映画化。
1930年代、ナチス台頭のドイツ。
ベルリンの大学で文学を教えるジョン・ハルダー。
ある日、安楽死をテーマにした彼の小説がヒトラーに気に入られる。
政治から一線を置いていた彼だったが
しぶしぶ入党することに。
しかしジョンには、モーリスというユダヤ人の親友がいたのだ。
モーリスに激しくなじられるジョン。
やがて、ユダヤ人弾圧が激しくなり
モーリスからパリへの国外脱出を頼まれるのだが。








感想


ナチスもの。
この題材ではいろんな映画が作られていますけどどれも見ごたえのあるものばかり。
それだけ、この題材は語られる要素が多いってことなんでしょうね。
この映画は
派手さはないけど
しっかりとしたメッセージが伝わってきていて、なかなかの良作でした。


前半は主人公の淡々とした日常ばかりで若干退屈ですが
物語は後半から大きく動き出します。
この後半のために、前半の主人公の日常が必要だったのですよね。
どういうキャラなのかよくわかる・・・



この主人公・・・文学を愛し、政治とは一線を置いていた人物。
生活環境は多少、ゴタゴタを抱えている方ですかね。
自分の母親と妻、子供も2人にいる彼。
その母親と妻との関係はしっくりしていない。
記憶障害がありそうな母親の面倒は息子のこの大学教授がしている様子。
妻は、そんな母親の面倒は放置していて神経的にだいぶまいっている感じ。
すぐピアノを弾きだして、困難な状況から逃げ出してしまうような女性ですよ。
ノイローゼ気味でしょうね。
お料理なんかも、できないみたい・・・
大学教授のこのジョンが作っていました。
これじゃあ、誰が観たって
家庭的にはストレス感じる日々だなと思います。
息子だからか
一生懸命、母親の面倒をみるジョンがいたわしい・・・
私としてみれば、奥さん、旦那さま愛しているなら
もう少し家庭のことやってあげてよ・・・と言いたくなります。
そんな状態の中、
若い教え子に迫られてしまうんですね。

夜、自宅に若い女性をあげるのには驚きました。
自分一人じゃなく、妻がいる家だと知ってさらに驚き・・・
なんて大胆。
教え子だからと言って女なのに・・・。
違う見方をすれば、それだけ周りの状況に無頓着ともいえます。
事の重大さがあまりわかっておらず、きっと教え子だからいいだろう…程度の
感覚じゃないのかな・・・と推測されますね~~
でも奥さんにとってみれば、嫌だろうな・・・。
だって寝静まったあとですよ。訪れる女性も女性だけどね。



結局、その教え子とは・・・・できてしまうんです❤
家庭人で一生懸命家族に尽くしているように見えたジョンですが
結局女のもとに走ってしまう。
そして妻と別居、母親を一人暮らしさせ、
この教え子を新しい妻として迎えてしまいます。
でもそんな彼が憎めなかったな・・・。
ひどい人だと思うものの、
しょうがないのかな…彼にしてみればと思えてしまう。
完璧で人物的にも模範の塊のような、大学教授ではなかったというのが
かえて、人間臭い感じがして良かったのかも。
ただの男なんだなって思えてね、
身近に感じるところはありました。





そんな彼に
ナチスが近づくのです。
昔書いた本がヒトラーに気にいられたと・・・・。

彼のその小説というのは
安楽死をあつかったもの。
大学教授という、学があるものに、論文を書かせ、
ナチスは、安楽死させることに意味を持たせようとしていた・・・
大学教授に意見を求めることで
自分たちの行為に
裏付けをもたせようとしたのでしょうか。

こうやってナチスと関わってしまった彼は
入党→出世という道を進んでいくのです。
彼が本来、強く望んでいたわけでもないのに。
私生活同様流れに任せていたら・・・
そうなってしまったということなんでしょう。

このジョンは
悪い人ではない・・・
でも、素晴らしい人でもない・・・
ただただ、平凡な男。
当時の多くのドイツ市民がそうだった・・・
そう言いたいような。
彼は特別でなく
よくある市民の一人であったのでしょう。


出世もし安泰な彼でしたが
考えるべき問題が出てきます。
彼には入党前から・・
(教授になる前)軍隊にいた時からの友人
モーリスという男がいたのです。
その彼は・・ユダヤ人でした。


ユダヤ人に対してナチが何かするなど
これっぽっちも・・・想像もしていなかったジョン。
そこまで事が大きくなるとは想像もしていなかった・・・
でも、事態は悪化・・・。
ある事件がきかっけで
ナチスはユダヤ人弾圧に向かっていくのです。



モーリスの立場が危うくなっていく中、
彼から国外脱出を頼まれます。
地位はあるものの、
そこまで(国外の切符を手に入れる)の権力はない彼は
すんなりモーリスの申し入れを受け入れません。それでも
なんとか・・・
頑張ってみるジョン。
案の定、うまくことは運びません。
ジョンは小心者なんでしょうね。
もっと世渡りがうまく、口も達者なら、モーリスの頼みは
どうにかできたのでは・・・と思ってしまいます。
(だって、最後はどうにかできたんだもの)
結局、
最初の時点では、楽観的にものを観ていた感じもします。
モーリスに関しても、身の危険が、及んでいるんだという・・・
危機感なんて、これぽっちも感じていなかったんじゃあないのかな。
だから、あまり一生懸命でなかった・・・
これがのちに後悔することにつながるんだよね。


そして・・・
悲劇的なラストへと流れていきます。



ここで奥さんが(あの愛人から妻になった教え子ね)
重要なカギになるのですが、
奥さんのとった行為も
わからなくはないですね。
関わりたくなかった・・・
夫を助けたかった・・・
面倒は避けたい・・・
まあ・・・そういった気持からかと。
あの状況で責めるのも酷かなと思います。
そもそもジョンが早い段階で
段取りしてあげたら良かったんだしね。



そして・・・印象的なラストの映像は是非この目で。
余韻を感じさせ
素晴らしい・・・

聞こえてくる音楽・・
これは今まで
ジョンが
幻聴として何回か聞いていたものです。


事の重大さに
気づいとき・・・
大事なものは
もはや戻ってこないと改めて感じとるのです。


悲しいな・・・この現実が。



GOOD  03



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約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語

約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語  (2009  フランス・ニュージーランド)


THE VINTNER'S LUCK


監督: ニキ・カーロ
製作: ローリー・パーカー
ニキ・カーロ
ロビン・レイン
ルディ・ボーケン
パスカル・ユデレウィッツ
製作総指揮: チカ・ベナダヴァ
ジェレミー・バーデク
稲葉正治
ナディア・カムリッチ
エイドリアン・ポリトウスキー
原作: エリザベス・ノックス
脚本: ニキ・カーロ
ジョーン・シェッケル
撮影: ドニ・ルノワール
プロダクションデ
ザイン: グラント・メイジャー
衣装デザイン: ベアトリクス・アルナ・パーストル
編集: デヴィッド・コウルソン
音楽: アントニオ・ピント
出演: ジェレミー・レニエ ソブラン・ジョドー
ギャスパー・ウリエル 天使ザス
ヴェラ・ファーミガ オーロラ
ケイシャ・キャッスル=ヒューズ セレスト
ヴァニア・ヴィレール
エリック・ゴドン
パトリス・ヴァロッタ
ジャン=ルイ・スビーユ



1808年、ブルゴーニュ地方。
葡萄農家のソブランは、醸造家となる。夢は最高のワインを造ること。
そんな彼の前に
ある日天使ザスが現われる。



感想


派手さはない作品ですけど雰囲気は良かったです。
久々のウリエル君は
なんと天使~~・・☆
声の響きも素敵で、主人公が天使に再会する場面では
ちょっとワクワクしてしまいました。
しっかり立派な羽も生え、リアル、う~~ん、生生しくもあります…笑
バタバタと飛ぶでいくしね。
お姿は陰りのある横顔・・
そして、やや胸がちろりとみえたりしていて・・・
何気にセクシー


天使が登場ということで
ファンタジー色のあるお話でした。
なぜに天使?が急にと疑問に思ってしまうとつらいかもしれないな・・・。
私もこういう話だとは思わなくて
ちょっとビックリもしましたよ。
全体的に、淡々と主人公のワインにかける人生を
追っていくので、人によっては退屈に感じるかもしれませんね。
でも私は面白かったけど・・・。


人生・・幸福も不幸もあって・・・
そんな様々な出来事があったからこそ、
人生振り返ったときに、言いようのない深い思いが湧いてくるんだと思う・・
ワインも
そんな人生のあり様同様、味にその年月の重さが出てくるんだろうね・・・

宗教的な色合いもややあって
日本人が感覚的に理解するのは難しいところもあったけれど、
そんな世界観もまた
嫌いじゃあなかったです。

実はこの天使。
天国のいかない天使・・
堕天使(だてんし)。
つまり、神から離れた天使・・・悪魔とも言える・・

そもそも人間も
悪も善ももつような存在であるような気がする・・・。
天使が願いとして
最後に
羽をとり(主人公が土に埋めていたのは羽だよね)
人間になってしまうのは
やはりワイン造りの情熱に魅せられたということなのかな。


コスチュームものでは初めてみる、ヴェラ・ファーミガも素敵。
なにかの病で
手術をするシーンは怖かったわ。
目隠しされて手術台にいたけど、そのまま?麻酔なしってことなのね。
あの時代は、そういう行為だったのかな・・
怖いというより痛い・・・



同監督の「クジラの島~~」の主人公の
女の子もすっかり大きくなって
主人公の奥さん演じていました。

女性陣は裸体も披露していて
皆情熱的。



ワイン飲みたくなったわ~~


thevintnersluck  etnnshi03tennshi

ヤコブへの手紙 

ヤコブへの手紙   (2009   フィンランド)


POSTIA PAPPI JAAKOBILLE
LETTERS TO FATHER JAAKOB


監督: クラウス・ハロ
原案: ヤーナ・マッコネン
脚本: クラウス・ハロ
撮影: トゥオーモ・フートリ
出演: カーリナ・ハザード レイラ
ヘイッキ・ノウシアイネン ヤコブ牧師
ユッカ・ケイノネン 郵便配達人
エスコ・ロイネ




フィンランドの片田舎。
恩赦によって12年ぶりに出所したレイラ・
彼女は所長に勧められ盲目のヤコブ牧師のもとで住み込みで働く。
ヤコブ牧師のもとには毎日多くの相談の手紙が届けられていた。
レイラは、その手紙を読み上げ、ヤコブ牧師の返事を代筆する仕事を任された。
しかしある日
手紙がこなくなってしまう。




感想



地味映画として紹介されていた一本。
登場人物3人(ヤコブ牧師、レイラ、郵便配達人)、舞台もほとんど牧師の家&庭のみ。
さらに75分の上映時間。
これはまさに、地味の王道をいくお話ではないでしょうか。


しかし、余韻が深くかなり気に入りました♪
短い時間ですが
満足度は高いです。
無駄に長い映画があるのに、こうまで、潔くスパッと・・・・余分なものを
切り落として仕上げたことに、拍手を送りたいくらい。


でも濃いんですよね、内容は。


「ヤコブへの手紙」と聞いて、キリスト教に詳しい方ならピンとくるものがあるのかもしれませんよね。
私は、あまり詳しくはないので、全然でしたが。


折しも、私、最近、
子供の学校がらみで、聖書にまつわるお話を聞きました。
いつも祈りましょう~~と最後にはなるので
お祈りもしてきました・・・。
お話の中には、ヤコブも登場。

映画を観た後ですと、ヤコブ、ヤコブと語られるたびに
映画の牧師そのものがちらちら浮かんでくるんですよね。
あのラスト近くのお姿が・・・。


この映画、
宗教がらみのお話ではあるのですが
そういった専門知識がなくとも、
物語の世界観に入っていけると思います。

押しつけがましい話にもなっていませんでしたので
素直に観ることができると思います。




私が一番心打たれたのは
聖職者としての役割を担っているヤコブ牧師、彼自身の変化です。
神の代弁者として、皆に慕われるべき、善人として物語の初めの方
登場しておりました。
盲目であるというハンディーはあるものの、
そのつつましい生活ぶり、人々に救いの手を差し伸べるべく、常に一心に祈っているお姿。
なんて立派なの・・・と思わずにはいられません。

でも逆に、すさんだ過去をもつレイラ(その過去はラストで語られる)にとっては
どこか、彼は偽善者ぽく感じられるのかも。
終始反発をしておりましたね。
確かに、世間から背を向けて生きるものにとっては
こういった牧師のような人を
はいそうですか・・・、立派ですね、と
賛美できないところではありますよね。

世間の荒波にもまれ、神様なんていやあしないんだ・・・ぐらいに思っている人にとっては
受け入れにくい一番の人物であろうかと思います。
出会ったばかりのころ盲目を疑ったのも
分かる気がします。


そんな彼女が心を開くのだろうなという予想はあったものの、
まさか、牧師までがああいう風になってしまうとは。
だからかえって私はここのところに感動を覚えたのです。



ある日手紙が届かなくなるのです。
当たり前に手紙を読んでもらい、
その返事を書いてもらっっていた毎日。
ヤコブにとってそれは生き甲斐であり、人々に必要とされているという一種の誇りでもあり
生きる力でもあったのです。
それがなくなってしまった時のヤコブ牧師のお姿。


あ~~~牧師もまた人間であるんだな・・・と実感した瞬間でした。


完璧な、立派な人なんてどこにもいないのかもしれません。
人間はやっぱり弱いものですから
弱みがあって当然なんです。


ヤコブは
最後、神の召されてしまうのですが、
様々なことに気づき、
一人の人間として生涯をきちんと全うできた・・・ということは
幸せに違いないと思うのです。


最近では
手紙で近況を・・・ということも
なくなっているように感じますが
やっぱり、ぬくもりのある文字の文章は素敵ですよね。
ヤコブ牧師が
何度も何度も手紙を書く人もいるというセリフを
言っておりましたが、
やっぱり、自分の思いを形、文字にするのって
大切なことだと思います。
文章にすることで
自分の心情を
客観的に知ることができるんですものね。



素敵な映画を紹介していただき
本当にありがとう~~~~という感じです。
園作品の前後に感想書いたので
余計心が純粋になったように感じます・・・
そういえば、
「愛のむきだし」でも印象的だった
コリント人への第一の手紙・・・
愛についての箇所ですね。
ここでもまた聞くことができました。

映画はまさに
愛のあふれたものでしたよね。

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八日目

八日目  (1996  ベルギー・フランス) 



 監督 ジャコ・ヴァン・ドルマル  
 出  ダニエル・オートゥイユ   パスカル・デュケンヌ



仕事一筋で家庭を大事にしなかったため、妻子に見捨てられてしまった、
ビジネスマンのアリー(オートゥイユ)...
ひょんなことから、施設を抜け出したダウン症の青年を彼の母親の家まで連れて行くことになってしまう。
二人の旅の中で起こる様様な出来事と心の交流を感動的に描いた映画。




感想  


アリーと自閉症の青年ジョルジュには同じように失ったものがあります。
一方は妻と子、もう一方は母親。
アリーは妻を思う以上に別れて暮す娘たちをいとおしむ気持ちがあるんですよね。
だから,自閉症のジョルジュに関わるうちに
失った家族への愛情がすり替って、彼に向けられるようになったのだと思います。
愛に飢えているジョルジュ。
「僕と結婚しよう」というのが口癖。どんな人にも愛情を求めてしまう。
幻のように何度も出てくる母親。やさしい母親の愛情が欲しいのに、もう手に入れることはできない・・・
障害をもった子供が大人になって、施設でしか暮らすことができない現実。
母はいなくなり、唯一の肉親の姉も自分の家庭が
あり、弟の面倒をみるできない事情がある。
ジョルジュの哀しみは,観ている人の誰もが共感すると思うな。
そして、どうすることもできないやるせなさも,感じます。
そんな,彼にかかわることで、アリーは失っていた幸せを取り戻す。
色んな人に愛を求めても、拒絶されてしまうジョルジュに涙・・・。
きっと、結婚も望んでいたと思います。

そんな彼に、アリーだけが、愛を与えてあげられた。
アリーだけが、自分を受け入れてくれた。
もちろん,最初はわずらわしいと思っていたはずだけど。

母親を訪ねる旅の途中で、いざこざがあって別れてしまう二人が、再び雨の中で、再会するシーン。
初めて、心が通じ合った場面でとっても印象的☆

感傷的なバイオリンのメロディー、
対照的に母を思い出す度に流れる明るい歌のメロディー。
心の迫ってくるのよね。
それは、ラストの意外な結果の場面でも流れるんだけど、
それが逆に映画を暗くさせていないのかもしれない・・・・

正直いって、救いようのないラスト。
驚きますよ。
でも、ジョルジュの笑い顔を見ていたら安堵感を覚えるようになったところもあったり。
ちょっと複雑。

幸せだった思いを感じたこともあったのだから・・・。

八日目。その期間で神は全てのものをこの世にお作りになったということで
語り掛けるようにジョルジュが冒頭とラストで語っています。
言葉の意味はとても深いの。
ジョルジュをこの世に誕生させたのも
意味のあること。
美しい緑の木々を挟んでまっすぐに伸びているハイウェイを二人を乗せたベンツが走る光景。
アリーの家庭を取り戻すきっかけにもなる素敵な花火シーン。
すべて、目に焼き付いて離れません。
とにかく、観てみて感動を味わって欲しいと思います。
さりげない描写が感動をもたらしているのだと思うな。

ただ、夢物語ぽく作っている箇所があるので賛否両論かも。
1996年のカンヌ映画祭で主演二人が男優賞を撮った作品。
       

ここまで・・・
以前(数年前の)の感想。
もしかしたら再見したら違った感想をもちそうな予感のする作品。
いつかまた観たいな・・。


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やさしい嘘と贈り物

やさしい嘘と贈り物 (2008  アメリカ)


LOVELY, STILL


監督: ニコラス・ファクラー
製作: ジェームズ・ローラー
デイナ・アルトマン
ラース・ヌードセン
ジェイ・ヴァン・ホイ
製作総指揮: ヴァージル・プライス
ジャック・ターナー
ダニー・ガルシア
イアン・マッグローイン
ジェイミー・メイ
チャーリー・レドリー
マーティン・ランドー
脚本: ニコラス・ファクラー
撮影: ショーン・カービー
プロダクションデ
ザイン: スティーヴン・アルトマン
編集: ダグラス・クライズ
音楽: ナサニエル・ウォルコット
マイク・モーギス
出演: マーティン・ランドー ロバート
エレン・バースティン メアリー
アダム・スコット マイク
エリザベス・バンクス アレックス


弱冠24歳にしてこれが監督デビューの新鋭ニコラス・ファクラーの作品.

孤独な毎日を送る老人、ロバート。
ある日、仕事先のスーパーから帰宅した彼は、
ドアのあいている自分の家に入り込んでいる女性メアリーに驚く。
隣人だというメアリー。
次第に好意をもち始める2人。
しかし・・・・





感想



これをレンタルしようと思った理由は、他の作品に入っていた予告編に惹かれたから。
でもこの作品、予告編を観た段階で
内容がほぼわかってしまうの。
いくつか映画を観ている人ならたぶん、気がつくと思うわ。
それに、映画のコピーがそのまま・・・内容をものがたっているしね。



でも、それを知った上で、観ちゃいました。
で・・・案の定ラスト…泣いちゃいました。
映画の出来とかそういうことを別にして、こういう風な状況は
自然に涙がでてしまうんだな・・・・・これが。


丈の短い作品なので
後半の真実がわかってからはバタバタ・・・っていう気もするし、
ちょっと描き不足(病気のあたり)な部分も気になるんだけれど、
題名通り
変わらない愛の深さに、心が温かくもなります。
夫婦っていいよね、やっぱり。



クリスマスを舞台にしたところもロマンチック。
使われる音楽もなかなか素敵。



年取った2人の恋も若いころのそれと違わず
これまた、素敵ね・・・・と素直に観ることもできます。
ドキドキ感っていくつになってもあるのよね。



深刻に考えると暗くなってしまうので、そこは
一歩引いた感じで観た方が良いかもしれませんね。


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善き人のためのソナタ

善き人のためのソナタ    (2006  ドイツ)

DAS LEBEN DER ANDEREN
THE LIVES OF OTHERS



監督: フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
製作: クイリン・ベルク
マックス・ヴィーデマン
脚本: フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
撮影: ハーゲン・ボグダンスキー
衣装: ガブリエル・ビンダー
編集: パトリシア・ロンメル
音楽: ガブリエル・ヤレド
ステファン・ムーシャ
出演: ウルリッヒ・ミューエ   (ヴィースラー大尉)
マルティナ・ゲデック   (クリスタ=マリア・ジーラント)
セバスチャン・コッホ   (ゲオルク・ドライマン)
ウルリッヒ・トゥクール  ( ブルビッツ部長)
トマス・ティーマ
ハンス=ウーヴェ・バウアー
フォルカー・クライネル
マティアス・ブレンナー


 1984年、壁崩壊前の東ベルリン。
国家保安省(シュタージ)の局員ヴィースラー大尉は真面目で優秀な男。
ある日彼は、反体制的疑いのある劇作家ドライマンと恋人の舞台女優クリスタを監視するように命じられる。
さっそくドライマンのアパートには盗聴器が仕掛けられる。
真面目に職務に勤めるヴィースラーだったが、
ドライマンたちの、音楽や文学の世界・互いに深く愛し合う姿を
を知り、心に変化が生じてくる。
とくに、ドライマンがピアノで弾いた“善き人のためのソナタ”という曲を耳にした時・・
ヴィースラーの心は激しく揺さぶられてしまう・・・。


感想  あちこちから評判の高さがきこえていたこの作品。
やっと鑑賞できました。
社会派のヒューマンストーリで、見応えがありました。
終始重苦しい雰囲気でしたが
事の成り行きが気になり、一気に観てしまいました。
素晴らしい作品でしたね。
何より、このような形で(監視される者&監視するものという、相対する関係・・)
旧東ドイツ国家のあり様を描いた作品というのは今までなかったという点で
高い評価を与えたいですね。

一方的な方向だけでなく、多面的な方向から描く作品っていうのは
惹きつけられるものがあります。



盗聴していたヴィースラーを変えていったもの・・
それは、思想の自由、愛の深さ・・という
人間が人間らしく生きていくための基本的なもの。


ドライマンに接すことで
自分の中に眠っていた本来の自分が目を覚ましたということでしょう。
本人は気づかなくとも、
その基盤になるものは、ドライマンに接する前から
持ちえていたのかもしれませんね・・・。

題名になる音楽。
ドライマンが奏でるソナタの音色によって
彼の心がさらにさらに変化していったといえますが
そこは、やや控えめな演出だったと思います。
ここだ・・・という盛り上げ方もされていませんでした。

でもこの控えめな感じが、私は良かったと思います。

淡々とした中に思いが凝縮しているように感じたのですから・・。

主人公は寡黙ですべての思いをうちに秘めた人物像でありましたけれど、
彼の視線や些細な行動の中から
彼の心情の変化は充分理解できました。
とっても魅力的に感じましたね。
先日の映画で(4分間のピアニスト)で、気持ちがわからないという表現を
したわけですけれど、この作品の主人公については
そうは思わなかったかな・・・・・。


人間って愚かな行動を時にするものだけれど、
それを軌道修正する能力もまた同時に持ち合わせているんですよね。
だからやり直しというか方向転換が誰でもいつでもできるわけです。


でもその勇気って、並々ならぬものですよね。
自分の生き方を変えてしまうわけですから・・・。

また、相手に、影響を与えることができる
人生を歩んできたという、ドライマンも
人間として魅力ある人物ですよね。


自分の人生を振り返って(ちょうどそんな時期でもあったんだろうね・・・・)
自分にないものを相手が持っていると知ったとき。
どうしようもない虚無感が押し寄せてきたのではないでしょうか。
何よりもヴィースラーは自分の孤独感を再確認し
今までの人生に無意味さを感じ取ってしまったのではないでしょうか。

それが結果的に自分の行いの是非まで
考えるに及んだに違いありません。



ラスト・・・素晴らしかったです。
ドライマン、ヴィースラーともに
人間の大きさを感じた一瞬でした。
これ以上の表現はもうないのではないかと思えるくらいの
言葉でしたね・・。



今年一番のラストでしたかね・・・。


善き人のためのソナタ

弓 (2005  韓国)

THE BOW

監督: キム・ギドク
製作: キム・ギドク
脚本: キム・ギドク
撮影: チャン・ソンベク
編集: キム・ギドク
 
出演: チョン・ソンファン ( 老人 )
ハン・ヨルム (少女 )
ソ・ジソク ( 青年 )
チョン・グクァン (青年の父親 )

船の上で
老人と少女は2人だけで暮らしていた。
幼少の頃から育てあげ、
17歳になったら2人は結婚する予定でいる。
老人はその日を楽しみに毎日カレンダーをチェックしていた。
彼らは、自分達の船を釣り人に開放し、
生計をたてていた。
老人は弓矢を得意とし、時折釣り人に頼まれ
弓占いもしている。その弓矢は、 少女に手を出そうとする釣り人を威嚇する役目もあり、
時にはその弓は、少女のために奏でる楽器にもなったりしていた。
老人にとってはなくてはならないものだったのだ。
ところがあるときから、若い釣り人客に
少女が関心を持ち始める。
老人と少女の間にしだいに溝が生じ始め・・。



感想  うつせみに続いて、今年2回目のギドク作品。
今回も、私達が想像しきれない
妖しい世界を作り上げてくれました。
独創的なお話ばかり、こう次から次へと
作り出せるものですね・・・。

これも寓話的な感じがするストーリー。
今までの作品と同じく2人の間でコミュニケーションをとれるような
会話は一切ありません。
釣り人たちとの会話もなかったように思います。
つまり2人の関係は
その漂う雰囲気でこちらが察するばかりですし、
物語が進むにつれての
2人の微妙な関係も
彼らの態度から・・察していかなくてはいけません。
でも非常にわかりやすいです・・。
少女は、恋に目覚める瞬間や
老人に対しての反発心を表わしていく過程において
素直に表情が顔に出ていましたし、
態度などにおいては、露骨過ぎるくらい露骨でした・・・・・笑

一方、老人の嫉妬も格別にすごく・・
また寝る前に少女の手を確認し、なでなでしたり・・・笑
丁寧に少女の体を洗ってあげるさまなどから、
どんなにか愛しく思っているかが伺えました。
ただ、ここだけクローズアップしてみていると
少々・・・引いてしまうところもあります。
異様だよ・・・って。
ちょっと気持ち悪いな・・・老人・・・って・・・笑



いってみえば男の永遠の夢・・・
ってことですか。
いくつになっても
男は女性の初めての男になりたいのでしょうか。
永遠に自分のもとに留めておきたいものなのでしょうか。
それがかなわぬ夢であっても。
だって言うじゃないですか・・
すぐ冷めるものをスープといい、
愛と呼ぶって・・(この間読んだ本の一文より・・。
これは使えますね・・・)

永遠に自分のものにしたいと願った瞬間・・
それは体を奪うことではなく・・、
思いを残すことだったのかしら。


老人といえども
若い男と変わらなく、
好きな女と結婚=(自分のものとなる・)・する時期が近づくにつれ
浮き足立っている様がなんとも滑稽でもあります。
カレンダーをチェックする姿なんて
子供じみた行為ではないですか・・・。
花嫁衣装もせっせとまめにそろえていたり・・
並々ならぬ努力を感じさせます。
自分の欲望に素直に従っている様は
アッパレだといいたいくらいです。
いくつになったって、男は男なんだ・・・
夢を見続ける生き物なんだな・・・って。


ただ、ファンタジックで美しい世界を感じることが
あったにもかかわらず
どこかでこの老人が
自分の夢・・願望の為に少女を十数年育ててきたという
事実が、ひっかかって仕方がありません。
他の作品でも
監禁するという設定はあり、(悪い男・・)
そちらの方はOKという感覚で鑑賞できていたのですが
なぜか、この図式でのケースにおいては
素直に受け入れられない自分がいましたね・・・。

老人&少女という組合せが個人的に
嫌なのかもしれませんね・・・。

自分が通俗的な世界に生きている分、どこかで
何かを連想させてしまっていたのかもしれません。
こんな事件あったりしましたしね・・・。
自由を奪ってきたということ(少女にとってはそうではなかっただろうけれど)少女の意志を無視した生活を送らせていた
ということ・・
もちろん、そんな事実を超越したところに
この映画にテーマがあるにしても、
やっぱり複雑な気分を漂わせている自分がいました。
修行が足りないですか・・・笑

大抵が嫌悪感生じるような
題材が多いので、慣れっこにはなってはいるのですが、
やっぱり、自分の夢だけのために手元に置くということが
嫌なのです。
これは自分が女性だからなのかしら・・。
男の心理がちょっと理解できないからなのかしら・・・
う~~ん、わかりません。


そして、待ち受ける衝撃的なラスト。
衝撃的ですよね・・・あれは。
少女の突然の行動には
私・・慄いてしまいました。
女ってすごい・・・


老人と関係を持つわけでもなく、裸体を見せ付けるわけでもないのに
なんて・・エロチックで官能的な
演出でしょう・・。
少女役の女優さんも魅力も(小悪魔的ですよね・・)
充分あるのかもしれないけれど、非常にインパクト
ある忘れられない光景でした。
そんな光景をみていた、青年においては
どんな感想をもったのか
ちょっと聞いてみたいくらいです。



弓占いに、胡弓の音色・・
印象的でしたね。
一度占ってもらいたいですわ・・。

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ふたりの人魚

これは「ウィンター・ソング」の前日に火曜日ね(14日)に
観ました。だから、最近の感想ですよ。
なかなか興味深い作品でしたわ。
二役のジョウ・シュンはやっぱり素敵。
だから早く・・ウィンター・ソングの感想を
書きなさいって!!!笑





ふたりの人魚 (2000  中国 ドイツ 日本)


監督: ロウ・イエ
製作: ナイ・アン
フィリップ・ボバー
脚本: ロウ・イエ
撮影: ウォン・ユー
 
出演: ジョウ・シュン (メイメイ・ムーダン)
ジア・ホンシュン
ナイ・アン
ヤオ・アンリェン


2000年ロッテルダム国際映画祭のグランプリ受賞作。


上海でビデオの出張撮影の仕事をしている男。
ある日、依頼された撮影先で
水槽の中で人魚の姿で踊るダンサーのメイメイに
出会い、ひと目ぼれする。
ふたりはつきあい始めるが、彼女は行き先も言わずにいなくなったりと
謎めいた行動が多かった。
そんなある日、彼女のことを
自分の恋人のムーダンだと言い張る男が現れる・・。



感想   
 
「愛しているなら私を探して」
「私がいなくなったらマーダーのように探す?」
「死ぬまで?」
「嘘つき」
「そんなの物語でしかありえない」


とっても不思議なお話です。
愛って儚いもの・・まるで夢のごとく
・・そんなことを感じました。
ビデオ撮影を仕事としている男の視点で物語りは
語られますが、この男の姿は一切画面には出てきません。
男はメイメイとの関係を語っていくうちに
別の物語を引きあいにだします。
もうひとつの物語。
それがバイク便の男=マーダーと
依頼先で荷物として頼まれる少女ムーダン。
マーダーの仕事はこの少女を運ぶということ。
少女の父親が女性と逢引するときだけ、邪魔な少女を
おばさんの家まで運んでいくのです。
髪を2つの結ってリュックを背負った素朴な少女ムーダン。
ちょっとぶっきら棒で可愛げはないけれど、
家族愛に満たされていないゆえ、誰かの愛情を欲しがっているよう・・。だからマーダーに兄のような父親のような気持ちで
愛情を求めるのは当然なのかもしれないですよね。

そんな2人でも幸せな日々は続かない・・。
マーダーが、闇の仕事に手を染めてしまうことで
ムーダンを失うことに・・。
「今度会うときは私は人魚になるわ・・」
そういって、ムーダンはマーダーの元からいなくなってしまいます。


マーダ-は
ムーダンを失った後も彼女を懸命に探します。
どこかにいるんだ・・・彼女は・・。

そんなある日、
ムーダンに似た女性・・メイメイと出会うのです。

メイメイとムーダンは容姿こそ似ていますが
性格はまったく別。
メイメイには、妖艶な魅力があります。
大人の女性です。

この物語のナレーション=男とメイメイの間に
このマーダーが入り込み、
三角関係のような図式となり、物語は絡み合う愛の物語へと
展開していきます。


そもそも男の語る
マーダーとムーダンの物語は現実的な物語だったのか・・。
架空の物語なのか・・・。
最初はわからないでいたところもありました。
曖昧な話し方でもありましたからね。
ですから、メイメイとムーダンは同じ女性なのか・・
どうなのか・・途中まで迷う部分がありました。
後半からはようやくはっきりしたものが見えてきたのですが
それでもどこか現実感が薄れるような不思議な雰囲気が
漂っていましたね。

マーダーは長髪より
短髪のほうが断然素敵です。
渋いです。ちょっと原田美枝子の旦那さんのような雰囲気(顔は似ていないよ)
メイメイが人魚になるときの
着替えの様子が隠し撮りをしているような・・
覗き見されているような映像で映し出されますが
なぜか、ゾクゾクしてきます。
女性が変化しているときは、なんともいえない魅力がありますよね。

メイメイはマーダーの語る物語を
どのように聞き入っていたのでしょうか。
物語の主人公に自分を重ねていたのでしょうか。
2人の男性の間で揺れ動いていたのでしょうか。
愛しているからこそ懸命に探し出そうとする男の姿に
なにか感じるものがあったのでしょうか。
自分をどのくらい愛しているのか・・
常に疑ってしまうのは、恋人同士の常であり
また自分を思ってくれる度合いが強いほど
心はそちらに揺れるものでしょうね。
ナレーションの男は、どのくらいメイメイを愛していたのでしょうか。
フィルターだけの彼女しか観ていないで
本当の彼女の心を観ようとはしたいなかったのかも・・。
だからメイメイは、男を確かめるべく
姿を消したのでは・・。


 「永遠のものなどないのだ・・・・」

 愛ってせつない・・・・




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やさしくキスをして

やさしくキスをして
(2004年 / イギリス/ベルギー/ドイツ/イタリア/スペイン )

監督: ケン・ローチ
製作: レベッカ・オブライエン
製作総指揮: ウルリッヒ・フェルスベルク
脚本: ポール・ラヴァティ
撮影: バリー・アクロイド バリー・エイクロイド
音楽: ジョージ・フェントン

出演: エヴァ・バーシッスル アッタ・ヤクブ アーマッド・リアス シャムシャド・アクタール シャバナ・バクーシ

スコットランド・グラスゴー。
カトリックの高校で音楽教師をする女性ロシーンは
ある日、パキスタン移民二世の女子生徒タハラの
兄カシムと出会う。
別居中の夫がいるロシーンだったが、カシムの誠実さに好感を抱き、
やがて2人は恋に落ちる。
しかし、彼らはあまりにも違いすぎた。
敬虔なイスラム教徒であるカシム。彼には許婚がすでにいた。
家族はもちろん、2人の関係を反対。
2人の恋はどうなるのか・・。


感想   ケン・ローチ監督の初の恋愛ものといいますが、恋愛が絡んだ作品はいくつかありましたよね。でも完全に恋愛がテーマというと
これが初めてなのかな。
厳しい現実を描き出す作品が
多い中でこれは異質なものか・・と思いましたが
やはりここでも同じ雰囲気。甘い映画では終っていませんでした。ただ、今回は、わずかに希望を感じる結末で
心地よかったです。相当困難さは待ち受けてはいるだろうけれどね。

恋愛における宗教の問題。
日本人だとなかなか理解できないことかもしれませんよね。
好きだったら、迷わず、全てを捨てて、
相手のもとに飛び込んでいったらいい・・・なんて
簡単に考えがちだけれど、
すべての人間が、そんなに楽に生きていけるわけでもありませんよね。
しがらみが多くて大変、困難な人のほうが多いでしょう。
特に宗教問題は、想像以上に
難しいこと・・。

ロシーンになかなか真実を打ち明けることができなかった
カシムでしたよね。
楽しい旅行先スペイン旅行で、告白したわけですが、
あれは、言葉を聞かされたものは相当のショックであろうかと
思います。
私のことは遊びなのか・・・・って、怒って当然よね。

家族を愛しているからこそ、簡単には捨てられない・・・。
でも、愛する人も失いたくない・・・。
天秤にかけるにはつらすぎる選択ですよね。
でも・・・答えを出す、選択しなくてはいけないことって
人生の中ではあるのかもしれません。

後悔しない選択をするべきとしか、
いいようがありませんよね。
人生で迷う時、それが良かったのだ・・・と
思える生き方をしていきたいな・・・って思いました。


甘い題名に反して厳しい内容でしたね。
キスは沢山しているんだけれどね~~~~
こういう現実今もなおあるんじゃないのかな・・。

カシムの妹タハラのエピソードも2人の恋愛と同時進行で
描かれていましたが、タハラの方は、迷いに迷う兄に反して
終始一貫して自分の生き方を貫いていましたね。
これこそが、これからの世、大事なんじゃあないのかな・・・って
思いました。迷うことなく自分の道を突き進む・・・
そんな若いエネルギーが沢山出てきて、古い殻を押し破って
欲しいな・・・って思いましたね。



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歓びを歌にのせて

歓びを歌にのせて
 (2004年/スウェーデン映画)

監督:ケイ・ポラック
脚本:ケイ・ポラック 
脚本協力:アンダース・ニューベア、ウーラ・オルソン
     カリン・ポラック、マーガレータ・ポラック
製作:アンダース・ビルケラン&ヨーラン・リンストロム
撮影監督:ハラル・ゴナ・パールガー
美術監督:モナ・テレシア・フォーセイン
衣装:ヘルヴィ・アンデア
編集:トマス・テン
録音:ボセ・ペアソン&ヨナス・ルーデルス
音楽:ステファン・ニルソン


キャスト
ダニエル・ダレウス:ミカエル・ニュクビスト
レナ:フリーダ・ハルグレン
ガブリエラ:ヘレン・ヒョホルム
アーネ:レナート・ヤーケル
スティッグ:ニコラス・ファルク
インゲ:インゲラ・オールソン
コニー:ペア・モアベア
フローレンス:アクセル・アクセル
エーレック:ラッセ・ペタソン
オルガ:バーブロ・コルベア
シヴ:ウルヴァ・ルーフ
アマンダ:ウラ=ブリット・ノアマン
ホルムフリード:ミカエル・ラーム
トーレ:アンドレ・シューベア
ゴードン:ニルスーアンダース・ヴァルゴーダ
ジェニファー:ロッテン・ヴァルゴーダ
エージェント:ミアセア・クリシャン
マンマ:クリスティーナ・トーンクヴィスト
ダニエル(7歳):ヨハネス・シャンツ
ダニエル(14歳):アナ・ルンストロム

2005年アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品
(受賞作品は『海を飛ぶ夢』)

ダニエル・ダレウス(ミカエル・ニュクビスト)は、天才指揮者。
音楽家として輝かしい日々を送っていたが、ハードな仕事からくるストレスで、彼の心臓はボロボロになっていた。疲れきった彼は、肉体と精神を癒すため、すべてを捨てて、幼少時代を過ごした
スウェーデン北部ノルランド地方の村に一旦戻る。
そしてダニエルは、故郷の廃校になった母校の小学校を買い取り、
そこに住むことにした。
音楽とはかかわらないと思っていた彼だが、
小さな教会の聖歌隊の歌声をきき、
興味を覚え、指導することを希望する。
聖歌隊の人々とかかわる中でダニエルは再び音楽の素晴しさを感じ始める・・・。


感想  

心身ともに疲れ癒しを求めて故郷に帰ってきた天才指揮者。
音楽から遠ざかりたいと思って田舎町に戻った
彼でしたが、心の中から完全に音楽を切り離すことはできなかったということなんでしょう。結局、教会の
聖歌隊のメンバーの指導者となります。歌声に魅了されたのかな。
聖歌隊のメンバーはそれぞれに悩みを抱えています。
その悩みはかなり深刻。
暴力夫から服従を強いられて、自分の意見さえも述べられない
意思の弱い女性あり、幼少の頃からデブだとののしられて
深い悲しみを背負ってきた青年あり、
聖職者の夫を持つことで、自分らしく生きることができず、
自分の人生に疑問を感じている女性あり・・・。また、不倫の末、男を信じることが出来ないでいる女性あり・・・と、出てくる、出てくる、
沢山の問題・・・・。
ダニエルは具体的に彼らの抱えている問題を解決して
あげているわけではないのですよね。
当人たちが自ら進んで解決の糸口を探し出すように
仕向けているといった感じですかね。
そのきっかけともなるのが、コーラス=すなわち音楽なのです。
直接的ではなくても音楽のもつ素晴らしさを教えてあげたということで
ダニエルが彼らにもたらした影響力はやはり大きかったのだと
思います。
歌を歌う・・・もっといえば
音楽がもたらす力の大きさをまざまざと感じてしまったという
ところでしょうか・・・。あらためて人生の中に
音楽があるというのはなんて素敵なことなんだろうと思ってしまいましたよ。
音楽にかかわることで、彼らは、様々なエネルギーを
与えられたのです。
悲しいときもうれしい時も楽しい時も
すべては歌声が心を癒してくれる・・・。

よくある話といえば、そうかもしれませんが、ハリウッドのこのような
映画とは雰囲気が違っているかなと思います。
ラストをみるかぎりでもそう感じます。
単なるハッピーエンドの物語としては
まとめていませんでした。
(ある意味本人にとってはハッピーだったと思うのですが)
余韻を残す終り方は、印象に残ります。

ややネタバレ。

私は主人公のこの指揮者。
幼少の出来事にだいぶこだわりがあったと思うんですよ。
いじめられてばかりいた故郷で日々。
長い間彼の心にわだかまりとして残っていた出来事なんじゃあ
ないかな。ラストを見て、ああ・・・これで彼は
完全に心が解放されたんだな・・・・・って実感しましたもの。
他人のとっては、なんでもないことでも、当人にとっては
重大な出来事になっていることもあるんですよね。
ただ気づかないだけ。だからあのラストは、たぶん、彼は
命が尽きてしまったと思うのだけれど、
一番の至福を感じられた瞬間でもあったのではないかなとさえ
理解しました。今まで音楽家として活動してきただけでは
得られなかったものを最後の最後に得られたんじゃあないかな
って。でもそれにしては悲しい結末だったけどね。

音楽の才能には溢れていたけれど、人間関係を築くのは苦手な
ダニエル。そもそも天才肌の人って個性が強い分、
自分の世界に入り込んでしまい、なかなか他人とコミュニケーションをとることができないでいますよね。
彼は音楽以外の世界を知らなかったから、もちろん、
他人の気持ちなんて考えたことなどなかったのでしょう。
初めての恋・・にたいしても、終始臆病で。
レナの方が、積極的に思いを訴えているのに
どこか逃げ腰でいたのが、イライラさえしました。
もしかしたら、自分の生命が長くないと悟っていて
恋に落ちるなんてもっての外と考えていたのかと
かんぐりたくもなりました。
村に戻るあたりから心臓がボロボロだっていっていたし、指揮の最中に血だらけにもなっていたから相当病が進んでいるのかと
思っていたのですよ。
でも、村での生活ではそんなこと(病弱であること)は微塵も
感じませんでしたね。そこはやや不自然には感じますが。
恋にうぶなダニエルという設定は、かえって
人間らしくていいというところもありますよね。
天才も恋をする・・・という感じで。
指揮するときは、あんなにカリスマイメージが漂っているのに
私生活では、自転車も乗れないなんて、可愛いなんて
ありゃしない・・ですよね・・笑。でもあのやや危ない髪は・・・ちょっと・・笑
けっして、容姿的にはイケメンではないのに、何故か
女性にはモテモテでしたね・・・ダニエルさんは。


色々な問題を抱えていく聖歌隊のメンバーだったけれど、
一番印象に残ったのは牧師の夫とその妻だったかな。
聖職者ゆえ、自分自身を偽っている
彼に嫌気がさし、欲望をだしてもいいから人間らしく生活することをのぞむ妻・・・この主張・・充分わかるわ・・・って思いました。
教会のありかたまで、考えるような夫婦の会話でもありましたよね。
そういえば、このお話、天使とか、罪とか、教会とか、
宗教的な事柄が多く出てきたように思います。
ちょっと日本では考えられない世界ですよね。

歌を歌う場面は思ったより少なかったのは残念でした。
もちろん、暴力夫を持つ妻の歌声は
素晴らしいものでしたが。もっともっと、色んな歌声を聞いてみたい
気持ちになりましたよ。

冒頭の場面・・・綺麗でした。
スウェーデンの雪深い冬と爽やかな夏の日差しの風景には
こちらも充分癒されました。自然豊かな場所は、心も体も
リフレッシュできそうでいいですよね。
ややエピソードが多く、長めの印象ですが
新春にふさわしい気持ちのよい作品に仕上がっていたと思います。
日々疲れを感じている方は是非鑑賞してみてくださいね。



余談
「好きな人ってどうしてわかる?」
「会うとうれしくなる・・・。その人のことをいつも想っている」
そんなことを映画の中でダニエルさんとレナさんが語っておりました。
もう記憶が定かでなく、曖昧な言葉だけど・・。
そんな初々しい会話・・・してみたいですね・・・笑
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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

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