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きみの友だち

きみの友だち   著 重松 清



「あいあい傘」「ねじれの位置」「ふらふら」「ぐりこ」「にゃんこの目」「別れの曲」「千羽鶴」「かげふみ」「花いちもんめ」「きみの友だち」

連作の短編です。

小学4年生のときに交通事故にあい、
松葉杖生活になってしまった恵美。
彼女の弟、ブン。姉弟が成長していくにつれ
出会う友達が、それぞれの短編の主人公となっています。
語りはこの姉弟ではなく、第三者である作者。
そしてこの語りの正体は最後に明かされます。

感想
  重松さん、2作目です。あまり読んでいませんね。
なかなか手を出さないのですが
(きっといい話だろうと思う分、あえて避けている感じ・・。
そして、泣かされるんだろうな・・・・って予感がいつもする・・笑)
今回は久々に読みました。
やっぱり・・・泣かされました・・笑

こういった子どもの心理には弱い・・。
思春期の友達関係が実にリアルでした。

千羽鶴に込められた暴言の数々なんて
ぞ~~~としました。恐いよ・・・
子どもって実に残酷ですよね。

自分をどう見せたいか・・若い頃って考えるよね・・。
偽って生きることの苦しさ・・・
自分の本心を隠そうとすることってあったよね・・。
堀田ちゃんの努力、少しわかる気がします。

友達=相手に嫌われたくない・・
仲間ハズレはイヤ・・。
友達って一体何?
自分って一体何?

思春期の頃って、色々な悩みがありましたね。
私もありましたよ・・(遠い目)

もちろん、悩みの大きさって人それぞれだったと思うけれど。

相手にとっては些細なことでも
本人にとっては生きるか死ぬかくらい・・・重い出来事も
ありますよね・・。これは本人にしかわからないこと。


なんだか、自分の学生時代も思い出して色々
考えてしまいました。

恵美の生き方・・
なかなか真似できないですよね。
でもそう・・ありたいよね。
本当の友達を見つけたいよね。

そう思える作品でした。

後半は悲しかった・・・・。
泣いちゃあいけないと思ったけれど、
やっぱり・・ボロボロ。

でも、最後は気持ちよく終っていて
気分はとてもよかったです。
新しい門出を応援したいな・・・って純粋に思いました。


今回も子どもと一緒の読書。
重松作品は
今の時期、しっかり読んで欲しいのですが
理解できていたのかな・・。



kimi1207.jpg

疾走

疾走  著・・重松清



14歳の孤独な少年が背負った現実の厳しさ。
一家離散、いじめ、暴力、セックス、・・・そして
殺人……。
彼が救われる日がくるのだろうか・・。


感想  実は全然予備知識なく手を出しました。
ですからその衝撃は相当なもの。重松作品もこれが
初めてなんです。いい作品が多いということをきいていたので
なにか読もうと思ったら、たまたまこの本が見つかった
という軽いきっかけ。でも今思えば
この表紙からして、意味ありげだものね。
強烈だものね・・・。


おまえという・・・呼びかけが印象的な文体。
どこか客観的な立場から語られるその物語は
最初からなにか哀しい結末をも想像するようなにおいがしました。
読んでいくうちにこれでもか・・・これでもか・・・という
場面が多くなって、正直、胸が痛むことの連続でした。
なぜどうして・・・という言葉ばかりしか思いつかなくってね。
それでもどこか明るい結末を期待していた自分がいました。
子はね・・親を選ぶことはできないんですよ。
だからこそ、親の身勝手で子どもを苦しめてはいけないんだなって
感じます。
自分は一生懸命生きようとしても、そうさせない現実が
目の前に居座っているのって、どんなにかつらいことでしょう。
拭い去っても拭い去っても、追いかぶさってくる
醜い現実。ああ・・自分は生きていたってなんのとくがあるんだろうと
迷い悩むことがあるのは当然のなりゆきだったと
思います。
世間一般的には評価されていない人物でも
自分にとっては、生きる力になりゆる人であるかも
しれませんよね。誰もがその存在に価値があるのですよね。
アカネにしてもエリにしてもシュウジにとっては
かけがいのない人物であったのでしょう。
そして牧師もまたそうであったのでしょう。
それぞれが心に傷をもっているからこそ、相手の痛みが
理解できたのかもしれません。

仲間が欲しいのに誰もいない「ひとり」は孤立。
「ひとり」でいるのが寂しい「ひとり」が「孤独」
誇りのある「ひとり」が「孤高」

ああ・・なんて鋭い言葉なんだろう。
孤高になれる勇気を自分は持つことができるのだろうか。
でも人は時にはそうならなくてはいけない生き方を余儀なく
されるものなのかもしれないよね。

人とつながっていられる幸せを噛締めよう。
1人じゃないっていうことは、生きていく上で
もっとも幸せなことかもしれないよね。


「どうして、にんげんは死ぬの?」
まだ生きる意味もわからない幼少の頃、尋ねるシュウジ。
いとおしい・・・。

人は苦しむために生まれてきたわけではないのに
みな平等に与えられた人生なのにね。

なぜ、幸せと不幸せをかんじてしまうのか。

シュウジとエリの会話。

「ねえ、シュウジ、昔さあ、神父さんが言っていたこと
覚えている?「にんげん」は平等じゃないんだ、ってこと」
「でも公平なんだよね」
「そう、みんな最後は死んじゃうってことは公平だよね。
でも神父さんは間違っていると思う。」
「そっか?」
「だって・・・殺されるってことは、公平じゃないよ、
公平とかそんなのじゃあなくて、おかしいよね、やっぱり・・」

シュウイチ・・徹夫・・・トクさん・・・そして新田。
シュウジを追い詰めるものはみんな嫌いだった・・・
神父さえ、なぜもっと救いの手を差し伸べてあげなかったのかと
恨めしくも思います。・・なぜ、宮原雄二と再会させるのか・・・

青春をあまりにも疾走しすぎてしまったシュウジ。
少年犯罪というと「青の炎」を思い出しますが、それ以上に
重く、哀しい作品でしたね。

映画化されたんですよね。機会があれば観て見たいです。
それにしても、新田が殺されるまでの過程・・・
凄まじかった・・・・・。新田って変態だね・・・。
生々しくて、いや・・もうそれだけで、へこみそうでした。

いい作品ですが、ある程度、覚悟して読んだ方がいいかもしれないかな。

ラスト・・・涙流してしまいました。
ブロークバック・マウンテンでは流さなかった涙を
この本では流してしまいました。
それが今の自分なのかな・・・笑
やはり恋愛より重みある人生の方に心が動くのかな・・笑




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