空より高く   著  重松 清

空より高く   著  重松 清


廃校になる高校の最後の生徒たちが
一人の教師の存在に刺激され
前向きに生きはじめる。
レッツビギン!~~~~だ。



感想

新聞連載の作品なんですね。


本の表紙が青い空。清々しいです。
そして、ページの見えている部分がね、青く塗られています。
実際みてみると言いたいことがわかるんだけど、
なにもここまでしなくても…笑
多少手が汗ばんでいると手が青くなります。

この本は
子供には読ませたいな。
爽やかだし
後味も良い。
暴力もエッチ場面もないので安心して勧められます。

登場人物にはそれぞれあだ名がついています。
廃校を迎える学校は通称トンタマ。
主人公はネタロー。
友達にはヒコザ、ドカ。
熱血教師はジン先生。
ネタロー好きなムクちゃん。

それぞれのキャラが抱えている悩みも描かれ、
いわゆる青春学園物で
とても読みやすいです。

私は
ラーメン店のおばちゃんが好き。


今回重松作品を読むのは久々。
ここのところ、湊さんの作品ばかり読んでいたからかな。
この学校ものの作品が、
どこか、身近に感じられない部分もあったりしたかな。
登場人物、皆、純朴でいい子ばっかりなんだもの。
恋愛的な部分も描かれていたけど、
なんだか、素朴すぎて・・・・。
熱い話だし
こんな気持のよい流れが起こればいいな・・・とは思うけど
どこかそんなうまくいかないよね・・と思う気もするのよね。


廃校の高校を巡るお話では、
朝井さんの
「少女は卒業しない」っていう本があるのよね。
これとはまた違った雰囲気。
作者の年代が違うと
見えてくる、世界観がまた違うっていうことがよくわかるような気がしたわ。
あとは好みと
その時々の読む側の心理状況によっても
感想は変わってくるよね。


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十字架     著  重松  清

十字架     著  重松  清



中学二年、いじめを苦に「フジシュン」こと藤井俊介は自宅の庭で自殺をしてしまう。
残された遺書には同級生の名前が4人、書かれていた。

2人は、いじめをしていた生徒・
もう一人は、親友として、いままでありがとう・・・と感謝されてしまう
真田裕→ユウ。
最後の1人は好きだった女の子、中川小百合。


彼らのその後の人生は・・




感想  


つらく重たいお話でした。重松さんのお話にはよくいじめがでてきます。
以前読んだ
「青い鳥」や「かあちゃん」も、そうでした。
青い鳥では。。いじめられた子が転校してしまい、残った子供たちはどうするか・・・、
教師は作文を書かせ反省されたりするが、それはまったく意味を持たないこと、
いじめを黙ってみていたこどもたちは、その事実を忘れてはいけないということ・・・
赴任してきた先生がそう教える・・そんなお話がありました。

また、「かあちゃん」では、いじめた子供のところへ、関係者が謝りに行く・・・という
お話がありました。

それぞれ考えさせられるお話になっていましたが


今回の「十字架」はさらにさらに、重く・・
題名通り、残されたものたちは十字架を背負わされてしまうのです。
なぜなら、
いじめた子供は自殺をしてしまうのですから・・・。


いじめに加担したのは3人でしたが、加害者として、具体的に遺書に名前が載っていたのは2人でした。
それだけではなく、
遺書には親友として「仲良くしてくれてありがとう」と名前が載っていたこの物語の語り手の僕=ユウ。
好きな人として名前が載っていた中川百合子・・


この2人は、見殺しにしたという責任から、つらい人生を数年送っていきます。
むしろ、加害者の方が反省もせず、開き直って生きているのではないのかな
と思われます。



考えさせられることいっぱいありました。
いろんな立場の人の気持ちが理解できますが
やはりこの年ですと、自殺した子の母親の気持ち。
または、傍観者として見殺しにされたと責められる、ユウ君の親の立場などに
心を寄せることができました。


いじめの加害者、被害者、そして傍観者たち・・・
中学生における社会構造は、
どうしてもまだ理解できないでいます。
私たちに時代にも、いじめと思われるものはあったと思いますが
転校したり、自殺したり・・そんなひどい状況はなかったですからね。

最近はどんどん深刻化。
だからこそ、本当に意味で中学生たちの心の奥底まで、把握できないでいるのかもしれません。
なぜそんなことをするのか・・・さえも理解できず。
あまりにも陰湿度が高いような気がするんですよね。
むしゃくしゃする気持ちがわからないわけではないのですが
それを他人にいじわるをして発散させるような構図が、
わかりません。



この物語では加害者よりむしろ、傍観者たちのほうに焦点が置かれています。
読者の大半がこの、傍観者である・・・ということでも
あるんですよね。
だからこそ、提示された課題は重くなるのです。
何もしなかった・・見殺しにした・・・・それも、罪ではないかと。


難しい・・・難しいです。

じゃあ、どうしたら良かったのか。
正義感もって立ち向かっていけば良かったのか・・・みんなが。


現実問題として、この小さな中学生という社会構造の中で
進んでできる子がどれだけいるのだろうか。
逃げに走る子はいないのだろうか。
教師はどう対処すればいいのだろうか・・・。

あ~~~、やっぱり難しいです。自分が中学生だとしたら
どうしていただろう。
この子たちの親だとしても
どう助言すればいいのか。
いじめはいけません、みたら、やめさせなさい・・・・といって、実際その場で
できる子ってどれほどいるのだろうかって。
大人ならできることでも、中学生、同じ立場で勇気をもてるのかって。
うん・・・しなくてはいけないことだけれど、難しいことですよね。


いじめは悪いことだからやめましょう・・・という言ってわかることなら
こんなに、根深く残っていないものね・・・


読みながら、死人に口なし・・・といいますが
どういうつもりで
いじめられていた、フジシュンは
この2人の名前を書き残したんだろうと思いました。
親友というっても心当たりがない(昔はよく遊んでいたが中学生になってからはそんなでもなかった)・・
主人公のユウ。
一方的に思われていた感じです。
また、もう一人の中川さんは、好きな人・・というだけの存在。
中川さんは、フジシュンの思いを断ったんですよね、好きじゃないからと・・・
そのあと、死んでしまったフジシュン・・。
それって、彼女にとってはショックでしょう?
いじめと関係ないとしても、生前接触もった最後の一人が自分。
もしそのとき、
やさしい言葉をかけていれば、フジシュンは死ななかったかもしれない・・・
そんな気持ちを中川さんに抱かせてしまうんですよ・・・・死んだあともず~~~と。


中川さんのことだってそうだけれど、
フジシュンの親御さんだって、そりゃ・・・ものすごいショックで
どんどん老けこんでいって。
フジシュンの弟だって、つらい人生・・・。親に気を使って・
周りを憎んで。
自殺という・・・行為は周りの人を不幸にしてしまうこと・・・
だから、フジシュン、いけないかったんだよ・・君も・・・と
いってあげたい気にもなります。
もちろん、いじめが悪いのはわかっているけれど・・・・でも、
死んだらだめなんだよ・・・って。
逃げてもいいから…・学校なんていかなくてもいいから・・・
とにかく死んだらだめなんだよ・・・っていってあげたかったかな。




卒業アルバムに
フジシュンは載っていなかったということ。
いやなことにはふたをしてしまう学校。


なかったことにしてしまう・・・


覚えていなければいけない・・・
そうだよね・・・過ちは覚えていなければいけない。


でも過去ばかりに引きずられてもいけないという思いもあるから。


彼らが20数年たって
やっと気持ちを整理できたことにホッとするような気がしました。


また、フジシュンの父親の気持ち・・・・

子に先立たれた親の気持ちが
よくわかります。母親とも違う、感情を押し殺して
でも、心の奥ではず~~と根深いものを持ち続けている・・。

学校の図書にある
「世界の旅」をフジシュンはよく読んでいました。
現実逃避で・・・
心だけは旅立っていたんですね、異国の地へ。
悲しかったな。

本に挟まっていたメモ。


彼の旅の終着点は
スウェーデンの「森の墓地」。



その丘には
十字架がある・・・・



父親はどんな思いでその地にいるのだろうか・・・
フジシュンはもうたどり着いたのか・・




読む価値のある一冊だと思いました。





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かあちゃん   著  重松 清

かあちゃん     著  重松  清

第一章  アゲイン
第二章  リセット
第三章  リピート
第四章  ジャンプ
第五章  トライ
第六章  ドロップ
第七章  リメンバー
第八章  アゲイン、アゲイン


母から子へ、子から母への思いが溢れた長編感動物語。



 


感想   ここのところ、年の初めは、重松作品というのが続いています。
題名どおり、母親に焦点を当てたお話ですが
そのお話はどれもバラエティーに飛んでおり、読み応えのある一冊でした。

お話は第一章から第八章まであり、
それぞれに関連性があります。

最初のお話は、交通事故で父親を亡くしてしまった息子ヒロシが主人公。
事故は二十六年前のことです。ヒロシも今は結婚し、東京で暮らしています。
しかし母親はその事故以来、笑うことを忘れ、苦労しながら
一人で主人公を育てる生活をしてきました。実はその事故で、一緒に同乗していた方もなくなってしまっていたのです。父親も被害者である・・・そう周りはいうのですが
ヒロシの母親は責任はすべて自分にあるといって、自分に厳しい生活を
強いてきました。
そんなある日、同乗してなくなった人の墓の前で、母親が倒れたという知らせが届き・・・


ヒロシの母親は立派です。その立派さがなぜにそこまで。。と思わなくもありません。
親戚がいうように、死んだ夫だけの責任ではないとも思われるからです。対向車がいけないようだ・・・。
でも、クルマに乗っていて、事故にあわせてしまったというのは事実ですもの。
やはり、誰かがその思いを、痛みを背負わなくてはいけないのかもしれません。
子ども、ヒロシにその苦しみを負わさないためにも
自分がすべてを引き受けようとしたのでしょう・・・
その生真面目さが、痛々しかったです。
どちらの家族にとっても不幸な出来事だったな・・・と思わずにはいられません。


この物語は第八章に続いていきます。
そちらの方がもっとグッと胸に迫ってくる展開になっています。



それ以降のお話は(第二章から・・)
舞台が中学校のいじめにうつります。
この第一章がどのように第二章からの物語にかかわってくるのかというのは
本を読んで是非、確かめてみてください。
うまく繋がっていきます。


いじめられて自殺を図った子、
その子と友だちだったのに、裏切って、いじめに加担してしまった子。
直接いじめはしていなかったけれど見て見ぬふりをしていた子。
いじめの張本人。
いじめっ子の幼なじみ。
担任の先生。
その担任と同僚の先生。


いじめを発端にしてかかわりのある、学校内の人々が
それぞれの物語の中心人物になって物語を進めていきます。

それぞれに言い分がある・・・。
いじめを仕向けたものにも、人には言えない事情、悩みがあったのです。
もちろん、だからいじめがいいということにはなりません。
誰しもが
加害者にも被害者にもなりゆる・・そういうった危なさをもちあわせているということです。
また、誰しもが
善悪はどういうことかと・・・わかっているのですが
一度流れに乗ってしまうと
引き返せないそんな恐ろしさがあるみたいですね。
どんどん、自分が意図しない方向に進んでいくようです。
心と体が一緒に行動しないような、それが中学生なんだな・・・と感じました。

また担任の先生が
生徒たちに、「心の対話」ノートを書かせるという内容があります。
子どもの本心を知るための試みだそうですが・・・
それがどういう意味を持っているか・・・。
結局、そんなもので生徒の本心は
計り知れないということも、わかりすぎるほどわかり・・・
読んでいて、こちら側も非常に勉強になりました。
鋭い小説だな・・・と。
そうだよな・・・・実際、生徒にしてみれば
そんな簡単に担任に心を開こうとはしないだろうし・・
ましてや、この担任はどれだけうそ臭いか・・(熱血ぶっているが教師としてはまだまだ器が小さい)
生徒たちは見抜いているのです。なかなか簡単に心の中には入っていけないでしょう。



でも、彼らも次第に大人になっていきます。
迷い、悩みながら成長していくのです。
でも、唯一忘れてはいけないのが
自分達が侵した過ちのことです。

いじめは・・・忘れてはならない、出来事なのです。
ここらへんは、「青い鳥」でも読んだような内容です。

小説の中にこんな箇所があります。



僕たちもみんな、潮だまりの中にいるのかもしれない。
ちっちゃくて、狭くて、窮屈で、外の世界の厳しさに比べればましかもしれないけれど、
やっぱり潮だまりの小さな海にだって、いろいろ弱肉強食の厳しいことはたくさんあって・・・やがて
僕たちも、そこを出て、広い海に旅立つのだろう。  (356ページ)



印象的でした。子どもたちは子どもたちで
狭い中で一生懸命、考え、努力していこうと常々思っているのですよね。


母親の存在・・・
全ての物語で登場してきます。
どんな人間にも母親がいます。
いじめらっれ子にもいじめっ子にも。
そのすべての母親が、自分の子を愛しているのです。


結構、泣けました・・・。

とんび、希望ヶ丘~と
父親と子のお話でしたが
これは母親と子のお話。

生命を誕生させる性ですもの
その存在は大きいです。

泣くものかと思っても泣かされるのは
なぜでしょうね・・・。中学生にも是非読ませたいですね。

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とんび  著  重松  清

とんび   著    重松 清



昭和37年、ヤスさん28歳。
愛妻美佐子さんとの間に、長男アキラが生まれた。
幸せを満喫するヤスさん。
しかし、そんな日々も長くは続かなかった。
職場で起きた事故によって美佐子さんは帰らぬ人となってしまう。


感想   父と子の関係を描いた長編作品。
今まで、重松さんの長編は、暗く、どんよりした作品しか読んだことがなかったので
この作品のような、気持ちよさが先にたつお話は新鮮でした。
しかし、涙腺を刺激するストーリー展開は相変わらずです。

題名のとんび。
ことわざにもある、とんびが鷹を生んだ・・・という言葉からきています。
とんびが父親であるヤスさん。鷹にあたるのが、息子のアキラです。

肉体労働で汗流して仕事する、気風のいい父親ヤスさん。
妻を亡くし、男で一つでアキラを育ててきたのです。

母親がいないことで不憫な思いをさせてはいけない・・・・
アキラのことだけを考え、アキラの幸せだけを考える
熱い男、ヤスさんの生き方に、こちらは胸をうたれてしまいます。
素直ではなく、強がってばかりのヤスさん。
不器用だけど、一生懸命な人柄が、印象的です。

しかし、ヤスさんだけの力でアキラが育っていったわけではありません。
そこには、周りの人の温かい手助けがたくさんあったのです。


離婚歴のある飲み屋の女将さん、
海雲和尚と、その息子夫婦。
仕事仲間や上司。
みな、いい人なんだよね・・・。

海雲和尚が、ヤスさんに行った言葉。
「ええか、ヤス・・海になれ」」
悲しみの雪が降っても
呑み込んでいく海になって
アキラを育てていけ・・・・ということなんですよね。
このやりとりには涙涙。
いいこというよ・・・和尚。


また、就職したアキラが会社の面接で書いた、父親に関する作文。
これも、
泣きのツボに直球で迫ってきます。
ずるいよ・・・重松さん、こんな設定用意されたら
親の立場でいる人は泣かずにいられません。

景になる時代もちょっぴり懐かしいです。
昭和から平成にかけての・・時代。
こういう、泥臭い父親像って、昔はよくあったように思いますけれど、
なぜか今は、父親の存在って薄くなっていますよね。


アキラの結婚相手は
驚きもしましたが、何があってもおかしくないのが人生ですもの、
こういう成り行きもありますよね。
ヤスさんが、戸惑いながらも理解できたことに
ホッとしました。

これから、アキラは、もっと親孝行して、ヤスさんに幸せな老後
過ごさせてあげて欲しいな。


それにしても、アキラよくできた息子ですよね。
うらやましいぐらいです・・笑

続いて、「希望が丘の人びと」・・読みはじめます・・★


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季節風*秋*少しだけ欠けた月      著  重松清

少しだけ欠けた月    著   重松  清


・・・収録作品・・・・


サンマの煙
風速四十米
ヨコヅナ大ちゃん
少しだけ欠けた月
キンモクセイ
よーい、どん!
ウイニングボール
おばあちゃんのギンナン
秘密基地に午後七時
水飲み鳥、はばたく。
田中さんの休日


感想   季節は秋。秋の情景を背景に
様々な物語が展開されますが
どれも重松さんらしい作品で、心にグッと染みこみます。



作品の多くに登場するのが、中年の働くサラリーマン。
会社での立場、家庭での位置、そして親の介護など
直面する現状に悩む姿が描かれております。

「風速四十米」
「キンモクセイ」
「よーい、どん!」
「秘密基地に午後七時」
「水飲み鳥、はばたく。」
「田中さんの休日」


なんだか、物悲しくなってしまうかな。
男性ではないけれど、世代的に共感できる部分も多かったから。



逆に

「サンマの煙」
「ヨコヅナ大ちゃん」
「少しだけ欠けた月」

あたりの作品は子どもが主人公になっているので
(サンマの煙は・・親の回想もあり)
子供心の微妙さを感じ取ることができ、子どもの読者も楽しめるかも(といっても
苦い話も・・・)


「ウイニングボール」は
子どもと青年の交流が胸をうちますね。
最後の子どものその後がはっきりしないところがせつない・・

「 おばあちゃんのギンナン」も
勝気なおばあちゃんのギンナン収穫の姿が目に映るよう・・・


この本は、春・夏~と他にも
シリーズがあるようなのでまた読みたいです。


少しだけ

気をつけ、礼 。  著   重松  清

気をつけ、礼 。  著   重松  清


全6篇
「白髪のニール」
「ドロップスは神さまの涙」
「マティスのビンタ」
「にんじん」
「泣くな赤鬼」
「気をつけ、礼。」






感想   「青い鳥」がこんな先生居たらな~~と
思わせる作品ならばこちらは、先生だって1人の人間なんだ・・と
現実の厳しさを痛感させられるお話。
いいお話もあるけれど、苦い話も当然あるということ。


印象に残ったのは
「泣くな赤鬼」
これは涙無しには読めませんでした。
途中で話の展開が見えたとき、これはダメだな(私の気持ちが崩れそう・・という意味)
という予感がムクムク。

いわゆる病気物なのですが。
重松さんの、生死にかかわるお話はどれもリアルなので
読んでいて、つらいものも感じるんですよね。
あまり進んで読みたくないという思いも正直あります。
何も知らなかったので、読んでいくうちにしまった・・・と思ってしまいましたよ。
今回はこの病気ものに、
昔の先生との出会いが絡んで、心温まるお話になっていました。
学生のときは、先生なんてウザイ、学校なんて適当でいいんだ・・・と
思っていたけれど、いざ中退してしまい
その世界から離れると無性にその頃が懐かしい・・・。

赤鬼で通っていた厳しい先生。
でも、学校はなれて久々に会ってみると、自分があの頃、どんなに愚かだったことかと
思い知らされる。また赤鬼先生も先生で今は
あの頃のような情熱がすでになくなっている自分を寂しく感じていたりする。

両者が、何年かたった今だからこそ
心から分かり合える状況になったということ。
でもこういう流れは悲しすぎるな~~

「にんじん」
これも印象的な話。
主人公は先生。
彼は昔、ある生徒=自分ではにんじんとあだなをつけていた・・を
差別していたという話。
驚きと同時に、こんな先生いやだよ・・・と正直思いましたよ。
自分の生徒を、なんの理由もなく、嫌悪してしまうということ。
別に先生にこの生徒が何かしたというわけじゃないのに。
でも、先生だって人間だもの、
色んな感情が渦巻いているはず。そうわかっていてもやっぱり、ヤダよね。

同窓会で久々にあった、にんじんと呼ばれていた生徒の
言葉。・・強烈だった。
彼は色々わかっていたんですね。


「ドロップスは神さまの涙」
これは保健室登校してしまう子どもの話。
ずばりいじめ・・・。

けっして優しい言葉をかけてくれるわけじゃあないけれど、
先生の思いやりの数々にはホロリ。
いじめ場面はリアルだったな・・


最後の「気をつけ、礼。」 は
作者の実体験?と思わせていますけれど
どうかな。
この先生も、ずるいよね・・
親は許しているというけれど、やっぱり、お金を騙して取るというのは
どうでしょう・・・。




今年初の読書も重松作品から始まりました♪

i気をつけ

青い鳥   著  重松清

青い鳥   著  重松清


村内先生はひどい吃音症をもった先生で
非常勤講師として様々な学校に出向いている。
生徒達には、色々なタイプがいて
村内先生を快く思っていない子もいるのだが、
大切なことしか・・言わない・・・と宣言している先生に
次第に心惹かれていく。




感想   もうすぐ四月。学生さんは新しい学年、学校と皆、それぞれの道に
進みますが、皆がみな、希望に胸膨らませて・・・というわけでもありませんよね。
憂鬱な子もいるわけですし、不安でいっぱいの子もいるはず。
学校には、その環境に馴染んでいる子ばかりがいるわけでもないのですよね。
そういう子にこそ、是非、この本を読んで欲しいです。

いい本でした。村内先生・・・理想の先生ですよ。
説教くさいことを、語るわけでもありませんよ。
ただ、一生懸命に、自分が大切だと思っていることを、しっかり相手に
伝えるだけ。でもその言葉は、的を得ていて、確実に悩める子ども達の
心に届いているんです。

一人ぼっちじゃないよ、ボクが先生が君のことをわかってあげているんだ・・・
そういうメッセージが伝わってくるのが
正直、うれしいし、素敵だな・・・って思います。


父親が自殺をしてしまったことで苦しんでいる生徒
いじめにくわわってしまったことで悩んでいる生徒
中高一貫校の中から出ていきたくてしょうがない生徒
先生を刺してしまった生徒・・
交通事故を起こした父親をもっていることで悩む生徒・・

どのお話の生徒さんも、深い悲しみを背負っているんです。

短編は以下のとおりです。

ハンカチ/ひむりーる独唱/おまもり/青い鳥/静かな楽隊/拝啓ねずみ大王さま/進路は北へ/カッコウの卵
最後のお話の
「カッコウの卵」
この章だけは、村内先生のかつて教え子で今は社会人になっている生徒さんの
話です。そしてここに一番村内先生の人柄が出てきているように
思います。
嘘をついたこどもにさえ、責めることばを投げかけない先生。
温かいな・・・。

ちなみに「進路は北へ」で書かれていた、中学校における内部生、外部生の
隔たり。これは正直恐いです。中高一貫では、外部の生徒をとっている
学校っていっぱいありますし、進路としてこういう学校を考えている人にとってはきつい
一作ではなかったかな・・・。実際、どういう世界があるのかはわかりませんが・・・


重松さんはこういう学校における、人間関係の、微妙な部分を
的確にとらえるのがうまいです。さすがです。
私学と公立の位置関係もさりげなく表現していたり・・。
なるほど・・・と唸ることも多いです。
とにかく、子どもはリアルに感じ
大人は感動を覚える話ばかり。

こういう教師ばかりだといいのですが・・・・ね

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カシオペアの丘で   上・下   著  重松清

カシオペアの丘で   上・下   著  重松清

1977年、小学校4年生だった4人の子供。
ミッチョ・トシ・シュン・ユウ・・彼らは故郷の北海道で
北都観音がみえる丘をカシオペアの丘と名付け、共通の思い出を作った。
そして彼らは大人になる。故郷を捨てたものあり、結婚したものもあり、と
それぞれの人生を送っていた。
しかし、ある事件がきっかけで偶然、4人は再会をする。
物語は彼らの過去と現在を交差しながら進んでいく・・・・・



感想    重松さんの長編。「疾走」に続けてですがこれも重かったです。
しかし、やるせない思いが残るのではなく、
気持ちの整理がつくような読後感ではありました。
暗かったけどね・・・。



この本、テーマとしては、許し・・・許される・・・という
ことかと思います。
これは40歳代~以降の方が読むと感慨深いかもしれませんね。
そして忘れられない恋愛がある人も・・(これはほとんどの人がそうかな・・・)

人生半分まで生きていれば色々な出来事を経験します。
皆が皆、順調に人生送ってきたわけでもありませんよね。
何か過ちを犯したり、
人には言えないことだって、いくつかもっていることでしょう。

その思いを・・苦しみと感じてしまい
今日、現在生きている人はきっと多くいるはずです。


自分を許すこと・・・人を許すこと・・・
それに気付く時っていつなんでしょう。
なにかきかっけがあるから・・・・でしょう。
例えば、自分の命が終るとわかったとき。



人は初めて過去を冷静に見つめなおし、
その背負ってきた過ちに真正面から立ち向かうことができるような
気がします。


幸せで幸せで・・・何もかもが順調なうちは
人は、過ちなど忘れてしまっているのかもしれません。



恋愛部分に関してはとってもオーソドックというか、
良くある話・・・(テレビドラマなんかにあるよね・・・)と言う感じで
あまり目新しさを感じなかったです。

東京に出てきて、偶然幼なじみの2人が大学生で出会うというのが
ちょっとご都合主意的に感じたのですね。

4人の男女のうち
東京に出てきたシュンは
不治の病に冒されます。
妻と小学生の子供がいて・・仕事も順調な彼が
突然です。
彼の病は、本の進行と共に段々と深刻になります。
読んでいてつらかったです。
病に冒され・・確実に結末は死を迎えるという流れは
想像できてしまう・・・・。
そういうのって・・・あまり読みたくなかったりするんですよね。
彼を支える妻の気持ちも
悲しみに必死で耐える子どもの気持ちも
手に取るようにわかる・・・そういう文章がたまらなく・・イヤで
つらいのです。
でも読まなくてはいけない・・・・その先を見なくてはいけないという
使命感にも似たような気持ちで読みすすめました。

でも、かつて、自分がそういう経験をしたものなら・・
耐え難いことなんじゃあないかな・・・。
正直、こういう病気ものだと思っていなかったので
イヤだな・・という気持ちは終始ついてまわりました。




幼なじみの4人だけでなく
話は子どもを殺された父親や過去に交通事故を起こしてしまった
女性にまで及び
話は幅広くなっておりました。

どの人にまつわる話も
運命の導きが悪かったとしかいえないことばかり。
だから、どうしようもないことだったよね・・・
といってしまいたくなるのです。

だって、誰も不幸せをのぞんで
行動や人生の選択をしているわけではないからです。
意志とは無関係に不幸が襲ってくる・・。

真面目に生きていても不幸は突然襲って・・

な~~んか、理不尽極まりないですけどね。



色んな思いを感じたとき、
もう俺は、私はダメだ・・・・、どうしてこうなんだ・・・と
過去を悔いるのではなく
素直に現実を受け入れ、自分自身の気持を正直に
見つめなおすことなんでしょうね。


でもこの話のように・・・迷い・・苦しみ・・・・悩むのが人間そのもの。
その当然の姿を
見せてくれた小説だったように思います。

作者のメッセージが存分に込められているようで、
やや作りすぎのところはありましたけれど、
素直な気持ちで読むことができました。


友情の厚さと家族の絆に
心を打たれた作品でもありました。


体調のよいときにお勧めします・・。

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くちぶえ番長   著   重松清

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。



お正月もビデオ撮りためしましたが、
いつ観るんでしょうか・・・いっぱいよ・・・笑


とりあえず、本の感想のみUP・・





くちぶえ番長   著   重松清
あんちょう




当時小学四年生だったツヨシが書いた 『ひみつのノート』。
そこには
番長と呼ばれた一人の女の子の事が書かれていた。

ツヨシの住む町に、
マコトという女の子が引っ越してくる。彼女はツヨシの父の
親友の子ども。
マコトとツヨシと
小学四年生のクラスメイトが引き起こす様々な出来事・・・・。



感想  小学4年生という雑誌に連載されていた作品。
子供向けではありますが
大人が読んでも充分楽しめる作品。
むしろ・・・昔子どもであった(小学4年生であった・・)
大人たちのほうが胸に迫ってくるものがあるかと・・・・・・思います。

手軽にほんのちょっとの待ち時間に
サクサク読めます。
短い文章ながら心が温かくなる物語。


淡い恋心も描かれております。
小学生の男の子の、恋って女の子のそれ・・よりも
やや幼い感じがしますよね。
感情を素直に認められない複雑なものが
あるんでしょう・・。
そういう微妙な部分が読んでいて、ああ・・・・わかるわ・・と
納得すると同時にひどく懐かしいものに感じます。
女性より男性の方がより頷けるはず。


ちょっと最近、疲れたな・・・・と思っている方
たまには懐かしい時代に
この小説と共にタイムスリップしてみるのもいいですよ。



ちなみに・・・
これとあわせて
「信さん」   著  辻内 智貴
もお勧め。

こちらも
温かい物語。


あらすじは・・・

福岡の炭鉱町。
当時、小学生だった私は
その街で一番の悪童・・信さんのことを思い出していた。

・・・信さんは、小学生時代、2年先輩。
評判の悪ガキだった。
でも、いじめられている、私を助けてくれたのは信さん。
そこから私の家族と信さんとの交流は始まった。
信さんの父親は早くに他界で、叔父夫婦の養子になっていたのだが
その叔父夫婦に待望の娘が生まれてしまったことで
信さんは、居場所がなくなってしまっていた。
やがて
私と信さんが成長していく過程で
進む道は大きく変わってしまう・・。



小学生に読ませたいベスト小説といえるでしょう。
教科書に出てきそうな作品です。
しかし、泣けます。私、電車の中で読んで
不覚にも泣いてしまいましたもの。



2作品ともお勧め。


Shinsann.jpg




小学五年生    著  重松 清  

小学五年生    著  重松 清    



17篇からなるショートストーリー。
主人公は、すべて小学5年生の男の子。




感想  短い話なので読みやすいです。
小学生にも良いでしょう。
うちは女ばかりなので、この年頃の男の子の
気持ちも扱い方もわからなところが多かった分、
勉強になりました。

学年では一つしか違わないのですが
4年と5年では成長に大きな変化があるのですね・・。

父親・友人を亡くしたり、親の離婚や
転校をしたりと、それぞれのお話の主人公は
悩み多いときを迎えます。

寂しさも悔しさも・・・感じる子どもたち。
異性へのほのかな気持ちを感じるのもこの頃からでしょうし、
カラダの変調に関しても
同時期なのでしょう・・・。


とくに男の子にお勧めでしょうね。
ああ・・・そんな気持ち感じたことあるかな・・・と
思ってもらえればいいのかなと思います。

  とくに印象的だったのは
  バスに乗って・・・プラネタリウム・・・葉桜・・・ですかね。

子どもも楽しく読みました。たまに、重松さんの作品って
子どもに読ませるにはドキ!!とした描写もありますけれど、
皆良作ですよね。


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