天使の卵
エンジェルス・エッグ 著 村山由佳
19歳の歩太は、美大志望の予備校生。
ある日駅で出会った8歳年上の美しい女性・・春妃に一目惚れする。
歩太の父は、長年精神を病んでおり病院に入院している。
後日、偶然、病院で春妃と出会った歩太は驚く。
彼女は精神科医で最近この病院にやってきて
父の担当にもなったそうだ。
話す機会がつれ、ますます気持ちが高まる歩太。
さらに、驚くべき事実が。
歩太の高校時のガールフレンド・夏姫の姉でもあったのだ。
それでも気持ちは止められない。
春妃にふさわしい男になれるか悩みながらも
思いを告げる・・
感想 村山由佳さんの小説は
「きみのためにできること」をかなり前に読みました。
読みやすい文章ですが、それっきり・・・彼女の
本は読んでいなかったかな。
「きみのため~」は映画化にもなりましたよね。
主演は柏原崇。(彼・・好きだったの・・)
あのときはあまり評判にならなかったようですが、(私は観たのよね・・彼主役だったから・・でも映画はイマイチ)
今回、村山作品がまた映画化されるということで
まずは、本を読んでみることにしました。
この本は村山さんのデビュー作で、「小説すばる」新人賞受賞作です。
当時評判になった本だそうで、ファンも多いみたいです。
当時は自分がちょうど忙しい時期で、全然チェックしていませんでした。
爽やかな恋愛小説でした。
たぶん・・十代の頃に読んだら、嵌ってしまったかも
しれませんが、すでにこの手の作品を読み過ぎてしまっている私としては、特別な意味合いの作品とまではいきませんでした。
普通です。
今年は、アジアンタムブルー、ナラタージュ、クローズド・ノートと
従来にないくらい恋愛小説を読んだ年ですね。
純粋な恋愛小説って、ちょっと恥ずかしくなる部分も
あるのですが、気持ちがまっさらになっていくような
こともあって、たまに読むと、いいですよね・・。
この作品は
女性が男性側の心理を書いた小説。
そういう意味では男の心理描写を丁寧に書いていることに
驚きを感じます。男性像も、女性から見て
嫌みな感じはしませんでした。もちろん、女性も.
男性の読者の方が、共感しやすいのではないかな・・。
女性としては、歩太君のガールフレンド夏姫や、
お姉さんの春妃の気持ちのほうを考えてしまうのですが、
あまり詳細には出てきませんので、推測するのみ・・。
2人の女性は
姉妹ですが恋のライバルですよね。
それにしては、あまりにも、いい人・・素敵な人・・だったので
(妹夏姫にしてみれば、簡単には許せないと思うのに)
意外とあっさりと描きすぎかなと思いました。
もちろん、これが、純粋な恋愛では
不可欠なことなのかもしれませんが、
やっぱり、ドロリンコな世界を知ってしまっている
自分としてはやや物足りなさも感じます。
できれば、恋する2人だけの世界だけでなく
彼らを取り巻く周りの方々の
エピソードをもっと読みたかった気がしました。
年上の女性との恋愛経験がある方ならば
その気持ち・・わかる・・・と共感度深まるのかしら。
年下の男性に言い寄られたことはないし・・・笑
あ・・・あったか・・・笑
やっぱり女性としては最初は戸惑いますよね。
年下の子は、単なる憧れと思っているのではないかと
その気持ち疑ってしまいますね・・。
歩太は受け入れられない気持ちをもてあまし、
彼女にふさわしい男性になろうと
懸命に努力しようとするでしょ。
そういう健気なところがあるから
好きな女性ができたといって、昔の彼女を振っても
どこか憎めなく感じてしまいます。
正直であるから・・・。
10年後に「天使の梯子」
今年「ヘヴンリー・ブルー 「天使の卵」アナザーストーリー 」
がでました。
続けて読むつもりです。ちなみに「天使の梯子」はドラマにも
なるそうです。
映画化されるようですが
配役はいかがでしょう・・(私は映画はたぶん観ないかな・・)
小西さんはいい感じですよね・
見た方の映画の感想もお聞きしたいです。
こういう作品の映画化多いですよね・・。
ところで、ラストですが、
私は・・・
う~~ん微妙です。
せつないとは思いますが
あまりにも
唐突な出来事だったので
少々驚いてしまったという気持ちのほうが強かったです。
そういう風な物語だったのか・・・・と
いう思い。どれもこれも似たようなのねという印象は
あります。
悲しい物語にするにはこれしかない・・という
そんな切り札を出されてしまったような気がします。
ちょっと終り方は
好みではなかったかな。
主人公歩太の恋する女性夏妃が
電車の中で読んでいた本・・
ハインライン「夏への扉」
実はこの本が一番興味がありました。(有名なのですよね)