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恋愛小説       著  椰月 美智子

恋愛小説       著  椰月 美智子





23歳のOL美緒は、恋人、猫田健太郎とラブラブ。
しかしひょんなことから元同僚サスケ、犬童早介と関係をもってしまう。
最初はなんていうこともなかった2人だが、そのうちどんどん気があって。




感想


椰月さんらしい、恋愛小説なんだろうな・・・と思う一作。
恋愛小説には綺麗で夢のようなものもあったり、その反対でリアル過ぎて共感しまくるものもある・・・
この小説は、後者。とってもリアル。
でも共感なし・・・かな・・・私は。
そもそも、登場してくる誰にしても好きじゃなかったです。
こういう恋愛手法が今時というのならば、私は古い人間だと思うよ。
今までこうやって恋愛してきたことがなかったので、理解できないわ。
人を好きになってしまうと、理性も道徳もなにもなくなってしまうんだといえば
そうだけれど、どこかその好きに、軽さが目立つのよね。
真剣なの、本当に?
主人公だって23でいい年なんだからもうちょっと、いろいろ考えて行動してよって言いたくなるわ。



恋人も好きだけれど、サスケも好き。
選べないってある意味、わがままだよ。大人なんだし、はっきりさせてから次の段階いこうよ。
だって相手に失礼だしさ。
皆そういう気持ちある場合、かたはつけているんじゃないの?
恋人の健太郎、いい人じゃない?
恋人に、自分の浮気を知られても開き直って付き合うあたり・・・よくわからないな。

このお話、結局どういう結末を迎えるのかは
読んでいくうちにわかってくるの。
時折、ナレーションで、示唆されるからね。
ああ・・2人は結局こういう結末を迎えるのかって。
失った恋って、過去振り返ってみると
ああ・・なんであの時こんなこといったのかなって後悔も込み上げてくるよね。
好きすぎて好きすぎて、
嫉妬したり、いらだったり・・いろんな気持ちが湧いてくるけれど。
それにしても
この美緒の嫉妬は異常じゃない?
サスケの過去の女性(いとこ)にあんなに嫉妬して。
また、サスケもサスケで過去に関係をもった女(ジェロニモ・・・通称。すごい呼び名の女性よね・・笑)
のことを、しゃべったり。
2人とも愚かよね。

恋人もいても浮気したり、
言ってはいけないこと平気でいったり・・
よくわからないわ。

わからないといえば、他のカップル、映子ちゃんと純一君。
純一君の包容力の凄さに驚き。
別の男の子供の父親にはそうそうなれないよね。

「誰もいない無人島で
2人きりだったらよかったね」


20代でこういうこというのかな。
別に周りのだれかが反対しているわけじゃあないのに。
自分たちで自滅しているだけじゃん。
10代ならわかるけれど。
2人きりじゃあ・・・生活はできないよ。
考えようよ。

あと、
結構、
会話中、露骨というか、下品な表現も多いのよね。う~~ん、下品といわないのかな。
下ネタっぽい・・・。
ただ私は会話しないよ、ああいうノリでは。
同僚とああいう会話するのかな。
そうなんだ・・・。
ちょっとのれませんでした。

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市立第二中学校2年C組 10月19日月曜日 著   椰月 美智子

市立第二中学校2年C組 10月19日月曜日      椰月 美智子



第二中学校、クラスメイトたちのリアルな日々。



感想


舞台は市立中学校の二年C組。
生徒たちは様々。
その生徒たちが過ごすある月曜日の学校生活。
本では、生徒たちの心の声・・・がリアルタイムに文面につづられていきます。連作短篇集ですね。
そう・・・(「24」のような・・笑)お話なんですよ。
かといって、劇的なことは起こりませんよ。
ごくごく、一般的な生活風景。
その子たちがどんなこと考えているかなんて、同世代じゃないとなかなかわからないでしょ?
それが手に取るようにわかるのは、面白いけれど、
さすがに、人数が多くなってしまうと、ちょっと退屈してしまうところもあったりします。
結局それぞれが持つ悩みについては、解決策まで
語られないわけですからね。
だからどうした・・・・と追求しても答えはないのだから。


特別目立った子だけが主役になるのではなく、
・・見た目、普通である子にも焦点あてているんですよね。
でも、普通の子と思っていても心のうちではいろいろ感じたり思ったりしている・・・。
中学生の実態を知るには好都合だと思いますが
なにせ、一人に対しての内容はあまり濃くないので、読み終わったあとに心に残らないのですよね。
あ・・・こんな子もいるんだ、あんな子もいるんだ・・・ということにはなるとは思いますけど。


今日は髪型が決まらない・・イヤダ・・・とつぶやく女子とか・・
嫌な女の子がいて、仲間外れにしたいと考えている子とか・・・、
本当、様々。
先生の呟き文章も載っています。

特に
いじめに対する教師の間の会話はちょっと複雑な心境で読みました。




個人的には
もう少し少ない人数で、深く掘り下げて書いてあるようなお話の方が
好きかな・・・って思います。



ページの最初に座席表と時間割が載っています。
ときどき照らし合わせて読んでいました。



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ダリアの笑顔    著  椰月 美智子

ダリアの笑顔    著  椰月 美智子


綿貫家4人家族のそれぞれの日常・・・




感想   

綿貫家は4人家族。
引っ込み思案な長女真美(小六)
野球で活躍する弟の健介(小五)
父親の明弘・・現在役職は係長。
母親春子・・40代のいろいろ悩みも多い主婦。

4人がそれぞれ、各章での主役。
年代が違えば当然、生活する世界も違い、考え方もいろいろ・。
家族っていう共同体の中にいても
各自が持っている世界では皆、ささやかな悩みや、鬱積したものをかかえているわけです。
でも根底に家族っていう絆があるから
孤独感は感じていないの。
いざとなれば、支えてくれる、助けてくれる誰かがいるんだな・・というのが
家族全員わかっているからなんでしょうね。

親から観た子供
子供から観た親・・
立場が違うだけで見えてくるものも違っているのよね。


この家族の日常って、本当些細なものだと思うの。
私たち読者の中にはもっとドラマチックな人もいるかもしれない。
でも大半がこういう風に平凡な毎日を送っているからね。
日常のさりげない出来事を上手に掬い取って描くのが
椰月さん、うまいのよね。


小説は
ダリアの笑顔
いんじゃないの、40代
転校生
オタ繊 綿貫係長


の4編。


「ダリアの笑顔」は女の子が主人公。この作品は同年代の子が読んでもいいよね。
母親の育児日記を読みながら、自分の母親の若かりし日を想像する・・・
娘としてはいろいろ考えてしまうよね。母親も昔はこんな日々もあったのかって。
母親の違った一面を知ることによって、母親を観る目も変わっていく彼女。
また少し大人になったのかな。


「いんじゃないの、40代」こちらはママが主人公。
年代からいうと、今の私にピッタシ。
性格的にはちょっと自分と違うタイプのママさんだけれど、
行動に関しては、納得できるところもあったわ。ただし、前章で春子(ママさん)は
育児日記を捨てるという行為をしているのよね→それを娘、が盗み見るという展開になるんだけど(一章)
そういうことは私はしないから、ちょっと路線は違う感じ。
でも、その他の行動ではうんうん・・・と共感持つところはあったな。
アイスをこっそり食べてしまう…彼女の気持ちとかね…笑
しかし、近所に同窓生が多いね・・・・。
私はまったくいないからね~~




「転校生」これは弟ちゃんのお話。
彼の学校に双子の姉弟が転入してくるの。
とっても個性的な2人で・・。
なかなか面白いお話だったわ。


「オタ繊 綿貫係長」は、パパさんが主人公。
彼・・週末に運動をし始めるのね。
そこで新しい出会いがあって・・・というお話なんだけれど、
中年男子には、共感できるお話かも。
若い子とはやっぱり知り合いになりたいよね。




どれもさらりと読めて
気持ちが良いお話ばかりでした




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坂道の向こうにある海   著  椰月美智子

坂道の向こうにある海    著  椰月 美智子


舞台は小田原。
介護職に携っている4人の男女、朝子、正人、卓也、梓の
恋愛模様。




感想   今回の椰月さんの作品は恋愛小説。それも四角関係という、恐ろしい設定・・・笑。
しかし、これが作者らしいと言うか、全然ドロドロとしていなく
実に爽やか。
こういう、ねちっこいものなく、割り切って付き合っていけるのが
現代風の男女なのかもしれないのかな・・・と思ってしまいました。
私などは、そういった関係にはなったことないのでわかりませんが。
というか、そういう関係は考えられないな・・・・と思ってしまうのです。


さて、物語は、各章、登場人物4人それぞれの視点で描かれます。
「るり姉」と同じような構成。
もちろん、恋愛事情も描かれておりますが、その他にも、仕事のことや家族のことも
あわせて描かれています。
スタイルとしてはその人、その人の日常生活が淡々と述べられている・・・・というもの。

特にドラマチックな出来事が起こるわけでもないのだけれど、
恋愛にしろ、家族のことにしろ、考えることは沢山あって。
ただボ~~と日常過ごしているわけでもなく、この年齢の若者達が目一杯今、悩み、戸惑っていることが
綴られていると言うわけです。

各章の表題は・・



朝のひかり・・・朝子
小田原ウメ子・・梓
新しい年・・朝子
山桜・・卓也
貝の音・・正人
坂道の向こうにある海・・梓



人間関係を整理しておきますと

まず、今付き合っているのは

朝子と正人、卓也と梓というカップル。


しかし、朝子は以前卓也と付き合っており、梓は正人と付きあっていました。
それが、朝子と正人がいい関係になり、結果梓と卓也は振られたという流れ。
そのフラレタ梓と卓也がお互い相談しあううちに、付き合うようになってしまったということです
(ややっこしい・・・・笑)
形としては朝子が梓から正人をとったという形だけれど、
梓自身は、職場でも面倒見もよかった朝子に対して、憎しみでいっぱいというわけではない様子。
そりゃ、恋人を取られたということで、朝子に対しても
正人に対しても、多少複雑な感情はあるけれど、
それほど、大きなこだわりもない様子。
それはこの4人はすべて、そういう感じなのよね。
好きになってしまったもの、しょうがないじゃない・・・と言う感じ。
むしろ、同じ職場での出来事でまわりのほうが、よからぬ噂をし
そのことの方が、痛手みたい。もちろん、こういう人間関係になったので
梓は仕事をやめるし、他の人も異動したりして、今は4人がそろって顔をあわせて仕事をするという
ことにはなっていないのだけれど。

恋愛って、なかなか難しい。
いろんな思いをしてくっついた相手でもどこか
不安感が付きまとっているの。
本当に相手のことを好きなのかどうか、相手はどう思っているのかどうか。

朝子は元気はつらつ、おしの強い感じ。一方で恋人に対して素直になれない女の子。
梓は美人、優しいの。人がいいところがあるのよね。
卓也は、無口。梓のことが好きだけれど、どう付き合っていいかわからない・・。
正人はイケメン、仕事もできる。でも家族にたいして、複雑な感情をもっている。
彼には知的障害を抱える兄がいる・・・・。


貝の音・・・の正人の章が一番心に残ったかな。
ずしずしと心に響いたのでした。


梓の章の小田原ウメ子は、象の事。
いるんですよね・・・小田原にこの象が。
正確にはいたということ。
ウメ子は2009年に永眠したの
この小説も冒頭にウメ子に・・・とあります。残念だわ。



作者の在住の地でもある小田原が舞台と言うことで
思いいれあっての作品かなと思ってしまいました。

また舞台が介護施設(仕事場)ということで、
老後の幸せについても、少し考えてしまったかな。
生死を意識しながらの生活ってやっぱり、いろんな思いをかかえて
しまうんじゃあないのかな・・と思ってしまうのよね。


今ある幸せを大事にしようということかな・・・やっぱり。


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ガミガミ女とスーダラ男  著  椰月美智子

ガミガミ女とスーダラ男   著 椰月美智子



椰月さんの夫婦バトルを描いたエッセイ。



感想  


まずは、第一声。驚きました~~ね・・・笑
今までの作品から想像する、椰月さんのイメージが
崩れたというか・・・・笑
ものすごく高いポジションを想像していたわけではないのですが、
どこか作家さんて、私たちとは違った世界で生活しているようなイメージを持っていたから。
でも、
この作品のなかにいる、椰月さんは、私たち一般人と同じ目線なんですもの・・・・。
主婦であり、妻であり、母であり・・・
もちろん、おんなじ夫婦像ではないけれど・・・笑
ガミガミ女というのが、作者のこと・
そして、スーダラ男というのが旦那さん・・・
スーダラ男さんは、エッチでだらしくなく、しょうもない…存在と
なっており、いつもガミガミ言われっぱなし・・・。


とにかく、笑わせてもらいました・・
他人の夫婦生活で笑ってしまうというのも趣味悪いな・・と思うものの、
こういう暴露的な内容っていうのは
女性は案外すきだったりするんですよね。

普通、どんな夫婦でも、人には言えない部分っていっぱいありますよね。
それを言ってはおしまいだよ・・みたいな。
あるいは、ひとり心の中で感じている疑問というものも
ありますよね。
それをかなり、公にしております。
赤裸々に綴ってしまうということに
勇気を感じます。

今の自分をさらけ出す・・それは今までの仕事への自信でもあるような気がします。
こういうエッセイ出すと、引く人もいるだろうに、
今までの自分のイメージを変えてしまうリスクもあるだろうに
あえて、こういう作品出すっていうのは
すごいことですよね。


下ネタ満載ですし(スーダラ男が。。そうなのよ・・・笑)
下品かなと思われることも、さらさら書いております。
でも、嫌な気分にはならないかな・・・.
当然の事実をそのまま書いているのだからね・・・・え。

長男はポポジくん。
妊娠中のガミガミさんには、やがて
二男、ペペジくんが生まれる・・





生活ってこういうことかも。
綺麗事じゃあないし・・・。
素敵な恋愛した末でも、夫婦には修羅場があるはず。
そりゃ、この作品の夫婦のように派手なものを毎日っていう
わけではないけれどね。


確かにハードな夫婦生活ですが、
生きているという実感がわくような過ごし方ですよね。

エッセイの最後には
じゃあ、どうして、こんなしょうもない男を選んだかという
ことが書いてあります。

なるほど・・


夫婦の数だけ形があるわけですし、
幸せならばそれでいいのでは・・
私の夫じゃあないわけですし・・・・笑


とにかく、面白かったな~~~。
頑張ってまた作品書いてほしいです。
この本を読むと
前作の「るり姉」は作者に似ているわね・・・と思わずには
いられません・
2度目というところも、性格の点でも・・


表紙の絵も、いいよね・・・
喧嘩が優雅で・・・・笑


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るり姉    著  椰月美智子

るり姉    著    椰月美智子


るり姉を巡る家族の物語。



感想   るり姉は、さつき、みやこ、みのり姉妹に対しては
おばさんに当たる人。母親の妹。
るり姉にしてみれば、彼女らは姪にあたるってわけです。


おばさんと呼ばず、るり姉と呼んでいるところからして
キャラも想像できます。
大人なんだけれどどこか子供じみていて、自分たちと対等の目線で
物事を考えてくれる素敵な女性。
無邪気で憎めないんだよね・・・このるり姉が。

この3姉妹の他に、母親(るり姉の姉・・)、るり姉の旦那さん、カイカイ(開人)、
おばあちゃん(つまり、るり姉の母)
を含めて、この物語は展開します。


小説は5章の構成。
第1章・・さつき…夏
第2章・・けいこ・・その春(これは3姉妹の母親。るり姉のお姉さんっていうことになるかな)
第3章・・みやこ・・去年の冬
第4章・・開人・・去年の秋
第5章・・みのり・・4年後の春

章の題名にある主人公たちがその章の語りとなり
彼女(彼)から、みた、るり姉、という人物を
描いていきます。
なかなかユニ-クな構成です。


彼女たち、彼がどういう風に他の家族を思っているか、感じているかも
よくわかります。
るり姉が彼女たち、彼にとって、どんな影響を与えているのか
どんなに大切な人かも
それぞれの章から、伝わってくるのです。


文章は、一人称の語りで
今風の言葉で綴られていきます。
こういう、リアルさをもった言葉づかいは(現代の女子高、女子中風)
好みも分かれると思うし、正直、私は、苦手な方なのですが
(前にも、そういう作品は苦手と書いたけど)
この作品に関しては、合わないな~とは思わなかったです。
それは、3姉妹が、るり姉を思う気持に
温かさを感じたから。家族を思う、本音が見え隠れして面白く感じたから。
3姉妹はけっして、お上品じゃないし・・・笑・・
ふらふらしているような危なっかしい子もいるけれど、
根はいい子ばかりだったのよね。それも良かったです。


また、旦那さんのカイカイ。彼、、元ヤンキーなんだけれど、
かわいらしく、純なところをいっぱい持った青年。
るり姉をいとおしいと思う気持ちにあふれていて
ついつい、好感度UPで読んでしまうのです。



日常の何気ない出来事、普通であることに
幸せを感じる・・・
そんな温かい気持ちにさせられる作品でした。

 

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みきわめ検定   著  椰月 美智子

みきわめ検定     著   椰月 美智子

超短編集を含む短編集


「みきわめ検定」
「死」
「沢渡のお兄さん」
「六番ホーム」
「夏」
「と、言った。」
「川」
「彼女をとりまく風景」
「きのこ」
「クーリーズで」
「西瓜」


感想   作者の椰月さん自身があとがきで
「レイモンド・カーヴァーの短編が好き。
彼のやっちゃまった感が大好き。自分も同じようなものが書きたかった」と。



このレイモンド・カーヴァーの短編っていうものを私は知らなくって。
調べてみると色々な本が出ているんですね。
今度機会があったら是非読んでみて
どのように、この本が影響されているのか確かめてみたいです。

お話は、様々な事柄を題材に書かれていますが、
最初と最後のお話だけは、テーマが同じになっているようです。
女性が男性に見切りをつける瞬間・・・です・・・笑

表題の「みきわめ検定」は女性にしかわからない感覚ではないでしょうか。
理由を説明せよといっても難しですよね。
男性諸君は、きっといつまでも謎が残るコことでしょう。
でも女性としてはわかる、わかるということなんですよね。

私も、ひょんなことで、あ~~~もう私はこの人はダメ・・って
思ったことがあるので、理解できます。
恋の熱って高まるのも早いけど冷めるときは一気で恐いですね。

<みきわめ検定>は
「そろそろ今日あたり、キスのその先をすることに違いないと思う」という
なんとも、ドッキとするような一文から始まる物語。
是非、ご自分の目で確かめて、納得してみてください。

あと好きな短編は
<彼女をとりまく風景>かな。

日常生活で今まで考えもしなかったことをある日
ふっと考えてしまう。
考えてしまうとそれこそ、色々と思い描いてしまう・・・
日常って、角度をかえるといろんな見方ができるんですよね。


肩の凝らないお話ばかりですので、
気軽な感じに読むことが出来ると思います。

今まで児童小説中心でしたけれど、
こちらは大人向け。幅広く書かれているようですね。

ミキワメケンテイ

体育座りで、空を見上げて    著   椰月 美智子

体育座りで、空を見上げて    著   椰月 美智子



主人公は和光妙子。彼女の中学入学から卒業までの3年間を
克明に綴った物語。




感想   椰月さんの新作。前回「しずかな日々」も大変良かったので
早速予約しました。

この物語は、あらすじにもあるように、主人公の中学生活3年間の記録です。
とくに、大きな事件が起きるわけでもなく、日々起こった出来事が淡々と描かれるだけです。
その都度、様々な感情をもつ、主人公に、自分自身をほんの少し
重ねてみたりもします。
こんな風には思っていなかったな・・・・とか
それは私も感じるかも・・・・と、思ってしまうのですよね。
漫画の「ちびまる子」ちゃんをみて、そうそう・・・!!!と激しく同調してしまう
あの感じによく似ています。
作者は1970年生まれということで、感覚的には近いものがありました。
その中学生時代の社会事情は(ちょっとずれますが・・・笑)私にとっても
懐かしいもの。


尾崎豊に浜田省吾、早見優も、H20も懐かしい・・。
カルチャー・クラブのボーイ・ジョージ(ハンプティ・ダンプティですか・・・笑)
当時、流行りました。
ジャッキーチェンは私も嵌っていたし、
「アウウトサイダー」も当時好きな映画でした。懐かしい名ばかりでうれしい・・
そうそう、マット・ディロンもトーマス・ハウエルもいました!!!いました。
主人公はパトリック・スウェイジ好きと言っておりましたね。
映画での彼はお兄さん的な魅力を出しておりました。
そういえば、ウィリアム・カットの名前も出てきました。
主人公のわっこは、かなりマニアックな好みですね・・・笑



中学3年間は、心も体も大きく成長する時期。
大人たちの多くが、この物語と同じような心の変化を経験しているはずです。
もちろん、時代が違えば、感覚のズレはあろうかと思いますが・・・。

私は、自分と似たような中学時代時期ということで
楽しみながら読みすすめることができました。
同時に自分の子どもの年齢ともダブルので、参考にさせてもらう
ところもありましたね。



物語には、男女の付き合い・・について
色々書かれていましたが・・・
当時の私の体験では、あまり付き合う人はいなかったな・・。(うちの中学校)
好きな先輩にチョコあげたりとか、ラブレターあげに友だちにつきあったりしたとか・・
恋愛話はいろいろあったけれども、実際2人で付き合っている姿は
見たことなかったですね(高校からはいっぱいいたけど・・・)
わっこちゃんが、言っていたように
付き合うってどういうこと?という感覚は、私もその頃、同じくもっていたかも。
小学校の同級生だった男の子が、この3年の間で
男女交際するような男に成長するって、やっぱり、驚きの事実であるんですよね。
もちろん、自分も同じように成長しているわけですけどね。


「恋にはほんの少しだけ興味があったけど、でも今のところ好きな人もいないし、
っていうか、好きな人どころではなくて、自分のことだけで精一杯だ。
私は、自分をたっぷりと持て余していた。理不尽に怒り、親に当り散らし、自分で自分を
コントロールできない」

わっこちゃんは、親に対しての反発が凄かったです。
これはちょっとね・・・。
タオルでもバシバシはいただけないかな。
さすがに、私は親を叩くようなことはしなかったので、ここら辺は
納得いかなかったです。思春期って難しいのね・・。


男性にはちょっと???の世界かもしれませんね・・・。


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しずかな日々   著  椰月 美智子

しずかな日々 椰月 美智子


小学校5年の枝田。あだ名はえだいち。
母親と2人暮らし。
自分の殻に閉じこもりがちだった
彼がはじめて心を開いたのが
友達の押野だった。押野はお調子ものだが友達思いの
いいやつだった。彼と仲良くなったえだいちは
放課後は必ず3丁目の空き地へ行った。
野球をするためだ。そこで出会う新たな友達。
やがて母親の仕事の関係で
えだいちはおじいさんと2人暮らしをすることになり・・。
少年時代のひと夏の思い出。
それは誰の心にもある愛しい想い出・・



感想   とっても素敵な作品でした。
同じ作者の「十二歳」がよかったので
続いてこの作品に手を出したのですが
私はこちらの作品の方がさらに好きです。
おじいちゃんと主人公の関係や、友達押野との関係に
憧れを感じたのかしら。
舞台が学校だけじゃあないのもよかったです。
是非多くの人に読んでいただきたいです。
児童書ですが
大人の鑑賞にも充分値する作品だと思います。
私は児童書が好きなので
大人小説の合間に
色々読むのですが、大人になるとこの手の作品は見逃してしまいがちですよね。
でも大人こそ、こういった作品は読んで欲しいです。
子どもの感性とは違ったものを感じ取ることが
できると思いますよ。
とくにこの作品は
最終ページがとてもいいです。
思わず・・・うるうるきてしまいましたね。
とくに劇的な展開が
待ち受けているわけではありません。
涙流すほどの悲しい場面が用意されているわけでも
ないのです。
題名のとおり・・・「しずかな日々」なのです。
でもそれでもたまらなくなる気持ちはなんなんでしょう。
この作品で描かれる・・都会生活では感じられない
のどかな日々。

そんな日々を送ってきた
えだいちがたまらなく愛おしいな~~~~。

自分の思い出と重なって
思わず、色んな思いが脳裏をかすめました。

おじいさんという存在にも私は弱いのかも・・。
もちろん、おばあちゃんも。
思い入れが強いな~~~。

この作品には
悪人は1人も出てきません。嫌な大人もいません。
皆温かい目で、主人公のえだいちをはじめ
子どもたちを見守っています。
自然な姿で・・・。

今・・・心を痛めるような話題が多い世の中。
痛みを背負った子どもがなんと多いことか。

でもこんな風に温かい眼差しを向ける親友や
仲間がいる世界がうらやましいです。

そして、それは絵空事ではないと信じたいです。
誰もがそういう風な子ども時代を送ることができるはずだと
信じたいな・・・。


こういった良質の作品をみつけてしまうと
とってもうれしい気分になりますわ。
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 椰月 さんの作品はあともう一つ読んだのですが
近々UPします~~

十二歳     著  椰月美智子

十二歳     著  椰月美智子

家の机のカギがかかる2番目の引き出しには、直人先生の
写真が入っている。
眠っている直人先生をこっそりと盗み撮りしたのだ・・・

十二歳の少女の卒業までの日々を
丁寧な心理描写で綴った作品。


第42回講談社児童文学新人賞受賞作品.




感想   十二歳。6年生。
女の子。
大人の世界にちっぴり足を踏み入れ
ていてもまだまだ子ども・・・。
そんな微妙年齢。
主人公の彼女は決して優等生ではありません。
どこにでもいる子
読んでいる読者と同じ・・もう1人の自分・・・かも。

大人になって読んだ方が
実はよくわかる部分もあったりします。

友達関係・・
先生への思い・・
父親へのかかわり方(妙なところが似ている関係・・・)
あ・・こんなこと考えたことあったな・・と
懐かしい気持ちも沸いてきました。

ただ、現実の十二歳にとってはどう感じるのかな。
ここまで色々考えることができる
子ばかりじゃあないと思います・・。
もちろん、共感覚える子もいるとは思いますが
それはかなり繊細な子だと思うな・・・。


これは娘に読ませましたが
後半はちょっと難しいといっておりました。

第6章「人間離れ」のところです。

説明してよ・・・といったって・・
これは難しい・・

自分が自分でないみたいな状態って
経験しないとわからないし・・
まだそういう感覚を味わうことがないあなたは
幸せな世界にいるってことなのかもしれないよね・・・
といってあげましたが、
余計わからなくなったかも・・。

ノートの片隅にメッセージを書く主人公。

「もう1人の私。
今・・なにしていますか・・」


なんだか面白い・・
子どもって面白い・・・
そんな発想・・私もしていた時期あったんじゃないかな。

遠い昔・・
思い出したいな・・・あの頃。


この本のあとがきで作者はこう述べます。


「十二歳かそこいらのときって、毎日のように、どうしようもないはずかしい失敗や、カバも驚くような大発見や、
生まれて初めて感じる新鮮な気持ちなんかを、ものすごい勢いで体験しちゃっているわけです。だけど当の本人は、
毎日が忙しくって、とてもそんなことにかまってはいられないわけです。(一日や一週間がおそろしく長いのに、
一瞬一瞬が忙しいなんて、ほんとうに不思議な時期です。)
 で、そういった失敗や発見や感情なんかに、ようやく気づいたり思い当たったりするのは、たいていの場合、
大人になってからです。(大人っていうのは、一瞬一瞬がやたらとのんびりしているくせに、一日や一週間っていうのは、
ひどく短いものなのです。)
 年を(多少)重ねてから初めて、あのとき見過ごしてしまった感情や気持ちなんかを、言葉に表せるんだと思います。・・以下省略



昔子どもだったすべての大人へ・・
たまには思いだして見ませんか・・。


未来は夢に満ちていたあの頃・・。
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続けて椰月さんの作品読みます・・・
プロフィール

みみこ

  • Author:みみこ
  • レイフ・ファインズ好き
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