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戸村飯店 青春100連発     著  瀬尾まいこ

戸村飯店 青春100連発     著  瀬尾まいこ




「戸村飯店」は大阪の下町にある中華料理店。
そこには性格の違う2人の息子、
ヘイスケとコウスケがいた。


長男はヘイスケ。彼は要領も良く、女性にももてる男だが、どうも戸村飯店の
家族の雰囲気からは浮いている存在。
一方の次男のコウスケ。単純な性格で、大阪の雰囲気にどっぷり浸っている。
だから戸村飯店での常連客の受けもいい・・。

ある日、高校卒業した
兄のヘイスケが、東京へ出ると知り
寂しさを感じるコウスケ。

彼らの青春の行方は・・。



感想  文句なしに面白かったです。
こういう兄弟像、いいじゃないですか。
最近、性格が違う兄弟というと
あまり気持ちのいい話を聞いたり、観たりしていなかったせいもあって
このお話の戸村兄弟の関係には
素直に感激。


いいね・・・同性の兄弟。

そもそも、同性の兄弟は
性格が違う場合が、多いんじゃあないのかな。
だから、それがお互いに気に入らないとおもうところにつながっていくことも
そりゃ・・・たまにはあるわけです。

でも、兄弟、家族だから、
ある一線を越えたりはしないわけです。きっとね。
そうなんだよな・・・そういうやつなんだ・・・・と認め合って
それで付き合っていけば、いいだけなんだから。

根底に厚い、信頼関係が流れている・・・
そんな気持の良いお話だったな・・・
父も母親も兄弟もそしてかかわる仲間たちも、基本的にはいい人ばっかりだったから・・。


一緒に暮らしているとわからないけれど、
離れてみるとわかることって沢山ありますよね・・・
この兄弟もきっとそう。


やっぱり、兄ちゃんだよ・・・・と思うこといっぱいありました。


お話は、兄弟それぞれが章ごとに主役になっています。

兄ヘイスケは高校卒業後、東京に出て、専門学校に通うことに。建前は、小説家になるべく専門学校へということになっているけれど、実情は違って、単なる、この地からの脱出のため。

次男のコウスケはお調子者で家族の受けがいいやつ。
同級生の岡野に気はあるけれど、
言い出せず。岡野は兄に好意を持っていると知ったから。



コウスケの青春の日々は・・・。
学校生活がメイン。
合唱祭での出来事。岡野との淡い恋の行方・・。
そして進路は・・・。
まさに、青春時の悩みいっぱいで、読み手もドキドキ。
余談だけど、合唱祭での課題曲の「大地讃頌 」は私も歌った曲
懐かしい・・。母なる大地~~~を・・・だ!!



ヘイスケの青春の日々は。
バイトに明け暮れる毎日。
専門学校で出あった、友人古嶋との関係。
アリさんとの恋愛の行方も気になるところ。



そして、ところどころで、話題になる
東京と大阪の違い。


ヘイスケが分析する東京人。
関西人との違い。
ユニーク。ユニーク。そうなんだ・・・と納得するところあり、
そうだったのか・・・と驚くことあり。


主人公たちが関西人だから、関西弁で語られるところもまた
テンポがあって楽しいところ
(これは私が関東だからの印象かもしれないですね。)

とにかく、
それぞれの土地の違いも興味深いのです。

東京出身の私ですが
東京ばな奈は食べたことないんだな・・・。




とむら
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図書館の神様  著  瀬尾まいこ

図書館の神様   著  瀬尾まいこ


なんとなく、国語の講師になってしまい
とある高校に赴任した清(きよ)。
なぜか、部員1人と言う文藝部の顧問になってまう。
彼女は不倫中で、色々と悩めることも多い・・・
海の見える学校の図書館で
清はどんな日々を過ごしていくのか・・・。、

感想   アンソロジーをのぞけば
私にとっては瀬尾さん初体験です。
デビュー2作目ですね。

非常に読みやすかったです。
読み終わったあと、気持ちがす~~~とする感じ。
爽やかな気持ちになるということかな。
私も頑張ろうかな・・・って少し思える(片意地張らないでね)
そんな作品でした。

キャラが個性的で
ポンポン交わしあう会話が楽しく、
こんな人間関係があったら私も人生楽しいだろうな・・なんて
思っておりました。
文藝部の垣内君もいいけど
弟拓実にも憧れるな。
ああいうノリのいい弟が欲しいですもの。

文学が好き・・というとなぜか、世間一般的に
暗いイメージが付きまとうような気がするのですが
このただ1人の部員、垣内君をみていると
そんなこと微塵も感じられなく、むしろ、文学っていいのよね・・と
純粋に思えてくるのです。
これは本を愛する人・・・読者にとってはなんともうれしいことで
ありますよね。
垣内君・・よくわかっているじゃない!!って
手を叩いて応援してあげたくなります。

「文学を通せば、何年も前に生きてた人と同じものを見れるんだ。見ず知らずの女の人に恋することだってできる。自分の中のものを切り出してくることだってできる。とにかくそこにいながらにして、たいていのことができてしまう。のび太はタイムマシーンに乗って時代を超えて、どこでもドアで世界を回る。マゼランは船で、ライト兄弟は飛行機で新しい世界に飛んでいく。僕は本を開いてそれをする。」
(本文より)

夏目漱石「夢十夜」「こころ」。
「こころ」は読んだことあったな・・・それも学生時代。
さぶ・・もいいよね。読んだ読んだ!!
川端康成の「骨拾い」はこれは・・読んだことないけれど、
鼻血がでてくるわけ・・?読みたいな・・・。
と、文学作品名がいくつか出てくるのがまたそそられますよね。


なにもスポーツで汗流すだけが青春ではないのですよ。
文学も青春なのですよ・・


垣内君と清の会話・・
まるで、ボケとツッコミのようで楽しかったです。
清・・本当に先生なの?というくらいの頼りなさで、
不倫もしていてどこか宙ぶらりんなイメージ。
けっして好感度が高いという人物ではありません。
清のやる気なさ状態は過去のトラウマが引き起こした結果ではあるのだろうけれど・・それでもしっかりしなさいという
声も聞こえてきそう・・。
そんな彼女が
海が見える高校での教師生活で
少しながらも成長していく過程が
微笑ましかったです。


だれでも、いい出会いがあれば
人って変わっていけるんじゃあないのかなって
思いました。


清の不倫相手の浅見さんて実はとってもずるい人なんですよね。
でもこの本の中では、そんな醜いところが、軽めの文章で
中和されているというか・・・・しょうがない不倫相手ね・・という程度におさまってしまったように感じます。



子どもと読みました。
子どもの方が読むのが早く大層気に入っておりました。
不倫相手も出てきて・・どうよ・・・と思ったのですが
(小学生なもので・・・。でもこのくらいは許容範囲なのかな)
意外とあっさりしていて・・、
「うん・・・でもそんなこと気にならないよ。
そもそも、アレはどうでもいいよ(浅見さんのこと・・・笑)
垣内君のキャラが面白かったな・・・・」と
素直な感想を言っておりました。

また借りてきてというので
別作品借りてあげようかな・・と思っております。



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