Aではないきみと   著  薬丸  岳

Aではないきみと   著  薬丸  岳


内容(「BOOK」データベースより)

勤務中の吉永のもとに警察がやってきた。元妻が引き取った息子の翼が死体遺棄容疑で逮捕されたという。しかし翼は弁護士に何も話さない。吉永は少年法十条に保護者自らが弁護士に代わって話を聞ける『付添人制度』があることを知る。生活が混乱を極めるなか真相を探る吉永に、刻一刻と少年審判の日が迫る。



感想   


薬丸さんはこういう作品を書くと本当に上手い。
色々考えさせられました。

加害者側を主人公にするというのは
作品としては難しいと思うんですよね。

作品は主人公(加害者の父)に肩入れするわけでもなく
心情を丁寧に描いていて
読む側に
考える部分を大いに与えてくれたように思います。

親は
被害者になる可能性もあるけど
加害者になる可能性もある。


もし加害者になったら・・・

読みながら
考えたくない
考えたくない・・・という思いが・・・・。

少年事件の裁判のあり方もよくわかって
勉強になりました


後半
罪を償って社会にでてきた少年。

彼が
加害者の所に挨拶に行く場面で
新たな真実がわかり驚き。
そして
胸を痛めました。


どんな理由があるにしろ
人の命は奪ってはいけない・・
当たり前なのに
なぜわからない人もいるのだろう。

今年の収穫であった
一冊だと思います。
子どもさんのいる親御さん、もしくは子供たち自身にも
読んで欲しい一冊。


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誓約     著  薬丸岳

誓約    著  薬丸岳

 

レストランバーのバーテンダー、向井のもとに
一通の手紙がくる。
「あの男たちは刑務所から出ています」
復讐をしろと手紙は要求する
それは15年前に一人の女性と約束したこと。
自分が生まれ変わるための
費用を出す代わりに女性は
娘を殺した犯人を殺して欲しいと頼んできたのだ。

感想


薬丸さんの本は
とにかく、先が知りたい・・・知りたい・・・という思いがわいてきて
必ず
一気読みをしちゃいますね。
読者を引き込んでいくところが上手なのよね。

テーマはいつも犯罪がらみのものなんだけどね。

向井を追い詰める
張本人は誰なのか。
レストランバーの共同経営者の落合?
バーテンダー見習いの青年?
昔の仲間?
やくざ連中か?

向井は
根っからの悪党ではない感じだし
⇒だけど過去の行いはひどいよね
手紙を送った犯人の事情も
わかるような気がする・・・
⇒気持ちはわかるが長い間心にとめていて
向井と付き合っていたというのもどういう心境か

ラストに向けて
衝撃的な事実がわかってくるの。

これにはビックリ
○○は息子だった・・・

突っ込みどころもあるけれど
やはり
スピード感あって
はらはらもした
面白い小説でした
最後は向井にとっては救いのある結末


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神の子   著  薬丸  岳

神の子   著  薬丸  岳



感想


上下巻の長編ですが
一気に読めます。
さすが安定の薬丸さん。
今年はこれが一番面白かったかもしれないな~~~~・

まるでドラマを観ているような
興味深い展開。
現実的には、どうよ・・・と思うものの
物語としては
格段に面白いんだよね。

人間がもつ普通の感情を忘れてしまった主人公が
周りの人々の影響で次第と変わっていく姿が
心地よいです。

親に愛されなかった子どもだったけれど
周りの影響によってきちんと生きていくことは
できるんだ

間違った道に進んでしまったとしても
軌道修正はできるんだ・・・

とにかく
読んでみて~~

この小説
映画やドラマになったら面白いと思うな・

ラスト
影の大物重要人物は
病に侵されていて
主人公との戦いについては
意外とあっさり感ではあったかな
もっとひと波乱あるかと・・・

あと大学時代の同期の女性が
影の人物と繋がっていたのには驚き~~~

盛りだくさんで読みごたえありました♪


刑事の約束    著  薬丸  岳

刑事の約束    著  薬丸  岳



刑事のまなざし』に続く、夏目シリーズ短編集第二弾!
「無縁」(「小説現代」2012年12月号)
「不惑」(『デッド・オア・アライヴ』)
「被疑者死亡」(「小説現代」2013年8月号)
「終の住処」(「小説現代」2014年1月号)
「刑事の約束」(書き下ろし)


感想

今回の
夏目刑事の活躍
どのお話もすべて良かったです。
短いお話の中に
重いドラマが含まれていました。


薬丸さんの作品には
いつもドラマがありますよね
人間がしっかり描かれているというか。
犯罪者とか被害者というくくりだけでなく
事件の背後に見え隠れする
真実をしっかり描いてくれるので
そういう姿勢が好きです。
そうはいっても、重くて、考えさせるもの多いんですけどね。


最終章の
「刑事の約束」は
まなざしで
描かれている
「オムライス」の少年のその後の話です。
夏目さんの娘のその後も描かれます。
娘さんの状況に進展がみえたのは素直にうれしかったのですが
その後に待ち受ける現実は
いろいろ大変だと思います。
オムライスの少年の心の叫びもつらかったですね。
でも
読後感は
悪くありませんでした
希望を感じるからかな

「終の住処」も
親子の情愛に
胸がつまりました
認知症になっても
桐のタンスを愛するおばあさんの姿に
うるうるきます。
いつまでたっても親は親であるんだな・・・。

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椎名桔平主演で
『刑事のまなざし』はドラマ化されたみたいだけど
みていないんですよね
残念



その鏡は嘘をつく   著  薬丸 岳

その鏡は嘘をつく   著  薬丸 岳


とある医師が、鏡に囲まれた部屋で自殺した。
痴漢の容疑がかけられていたその医師は、それが原因で自殺したのではないかと
言われていた。
しかし、取り調べにあたった検事、志藤清正は、彼が自殺する人間ではないと考える。
現場をみても、納得いかないことばかりであった。

一方、医学部受験を控えた一人の青年が失踪し、彼を探すいとこの少女が警察に依頼を求めてきた。
東池袋署の刑事・夏目信人は、彼が
ある騒ぎに関連していると推測し、捜査を始める。
医師の自殺に
この青年が大きく関係していた。





感想


「刑事のまなざし」の夏目さんが再び~~。

私、読む前まで知らなかったのですが
この作品、夏目刑事が活躍する作品の続編だったんですね。


とはいうものの
主人公は
夏目刑事だけでないのですよね。

志藤検事という人も登場してきて
2方面からとある事件をアプローチしていくという構成。


とにかく
登場人物も
多く、場面場面の切り替わりも早いので
図式でも書き
整理して読み進めていった方が良いかもしれませんね。



痴漢容疑をかけられた医師。
被害者とされた少女は
今は花屋に勤めている。
実は彼女は昔医師を目指していて・・・
失踪した青年に頼まれて、嘘の証言をしていた・・。


この医者を殺したのは
この青年か・・・と
単純な感じではなく
もう一人重要な人物が登場。

さあ、誰でしょう~~


最後の最後に真相が
わかるので
読み進めていくしかないという感じです。

動機ですよね。
犯人はわりと分かるんですけど
動機の部分は
なかなか
推測できないんじゃあないのかな。


鏡の部屋で
男女が連れ込まれて
動物も?
な~~んという事柄が続いていくと
てっきり
怪しい関係か・・・なんて
想像してしまう自分が恥ずかしいです…笑



この医者の過去にやっていた
行為ですね。
もちろんとんでもないことですが
言い分きくと、そうか・・・と複雑な心境になるところ。


もちろん、
犯人の動機も
そうか・・・・と複雑な心境。
もちろん、医学部志望の青年の行為も
複雑な心境になるのよね



夏目さんの存在は最後にクローズUPされた感じかな。
彼の過去をしると
どういう心境で刑事をしているのかな・・・って
思いも、わいてきて
物語に深みを与えますね。

前作の「刑事のまなざし」の方が
より夏目さんのつらさは、伝わってきますが・・・・


薬丸さん
いつも
読み応えある物語が多いですね

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友罪   著  薬丸  岳

友罪   著  薬丸  岳


町工場に同期入社した
益田と鈴木。
当初人付き合いが悪い鈴木だったがしだいに益田には心を開き始める。
また事務員の藤沢美代子は、過去の男にゆすられている現場で鈴木に助けられたことから
彼に対して好意を持ち始める。
そんなある日
益田は、元恋人のアナウンサー・清美から
13年前におきた黒蛇神事件についての話を聞く。
それがきかっけで
当時起きた残忍な少年犯罪を調べていく益田は
その事件の犯人である「青柳」が、同僚の鈴木なのではないか?と思い始めるのだが・・・。








感想


薬丸さんの新作。
社会派の作品の多い薬丸さんですが
今回のテーマは「親友が犯罪者であると知ったらあなたはどうするか・・・」という
非常に興味深いテーマ。

この犯罪だけど
これが、某事件を連想させるもの。
本では黒蛇神事件として扱われているけれど
読んでいると、ああ・・実際に起きたあの神戸の事件のことだと誰もがピンとくるのよね。
少年だった犯人は
いつかは社会に出て
普通に生活するんだろうな・・・っていうことは
当時からわかっていたことだから
こういった物語が作られるのは
不思議ではなかったけれど実際目にすると驚いてしまうよね。
今までこういった題材のものを読んだことがなかったので
正直、どういう展開になっていくのかというのは
興味深いところではあったかな。
でも
テーマとして難しいから書く人も手を出しにくいってところがあったんじゃあないのかな・・・・って思うのよね
どういう風にまとめるかというか、
迷いどころではあると思うので果敢にも挑戦した薬丸さんは凄いと思うな~~~。



どうして犯人がこんなことを起こしてしまったのか・・・そういう
加害者の心の闇に迫るような形で物語を作り上げるっていう手法もあるけど
今回は
犯罪の動機付けの部分はばっさり排除して
上にあげたテーマだけに絞っているところが
良かったと思うの。
焦点が絞られているっていうか。
この犯罪に動機付けすると、やはり納得いかない、理解できない部分が多くなると
思うけど(普通理解できる思考ではないと思うから)
こういう風に身近にいる人が
犯罪者だったらどうする・・・という部分だけなら
非常に入り込みやすいと思うのよね。


で・・・やっぱり
読み始めてすぐに思ったのは(そもそも、テーマ性を知っていたので
この鈴木は、元犯罪者だとわかっていた)私は無理だろうな・・・・っていうこと。
出会ったときは、過去を知らなくて、波長が合っていい人だって感じたとしても
過去のことがわかれば、一歩引きたくなる心情っていうのは
誰もが感じると思うんだよね。いやいや、やつは今はいい人だから、変わらず付き合うよ・・・って
即答できる人は稀だと思うよ。ましてこの場合、犯罪が犯罪で・・・・。
犯罪の種類でわけ隔てするわけじゃあないけれど、
所謂猟奇殺人で、何の罪もない人を、無残な状態で殺したという
センセーショナルなことをしでかしたとしたら
その人と付き合うことが、怖いって思ってしまうのは致し方ないと思うわ。
少年だからどうの・・・ということではまったくないと思うしね。
被害者の心のうちも考えると
年月もたっていることだしとか
社会復帰を目指しているから・・・とか
そういう部分を頭にいれていても
容易にその人自身を受け入れられることはないと思うんだよね。
まして、友として・・なんて
到底無理。
それが世間一般の意見だと思うよ。

人を殺めた人と付き合う・・・・・、
神じゃあないし、自分としてはやっぱり無理な次元だと思っているの。

ただ、小説を読んでいくと
鈴木という人物を極力普通に描いているので(といっても影がある変わりものって感じではあるが)
なんとなく、いい人とまではいかないけれど
そんな酷いことを起こした人には見えないように感じていき
それがそのまま、迷いの気持ちへと変化していってしまう部分があるのよね。
あくまでも小説の中だけなんだという思いが湧いてきて
鈴木がそんな大それた犯罪を犯すような人には思えないので、鈴木の気持に寄り添ってみたくなる
部分も出てきたりする、一瞬ね。
美代子への対応の仕方だけみれば、正義感あふれるいい人じゃないかと思えるし
美代子側からみれば、あんなにも悲惨な過去があるにも関わらず、守ってくれる鈴木は
いい人にほかならないと思えるのよ。
でもそういう美代子を守れる強さというのも
鈴木の過去があってこそ、というのも皮肉ではあるんだけどね。



鈴木の過去を知ったら
付き合えないだろう、
無理だろうな・・という最初の気持は根底にありながらも
時折
気持が、揺れたりもする・・・・
そういう部分を
引き起こすだけのものがこの物語には
あったと思うな~~~
迷い迷いの答えの出ない
問題を突き付けられたような感じ。
でも根底には
がっしりと
罪を犯した人を受け入れるだけのキャパは自分にはないなっていう
思いが居座っているけどね。


鈴木の周辺にいる、益田の心境然り、
恋人美代子の心境しかり
保護監察の女性の心境しかり・・・・という風に、すべての人の気持が
痛いほどわかる・・・・。
もちろん、鈴木と一緒に働いていた
同僚たちの言い分もなるほどと思ったし
益田の元同僚のジャーナリストの心境も
当然一理ありと思えたりと
終始、うなづくことばかりあったような気がしたわ。



小説に出てくる
鈴木の
周りの人物設定は実に
詳細で
よく練られた小説。



終わり方としては
絶望的な感じではなく
精一杯の誠意を感じる形。
益田が自分を納得できる形で
気持を落ち着かせることができたってことは
これからの益田の人生においては良かったと思っています。
鈴木は
ある日突然
いなくなり
小説の中では最後まで出てこないわけで
その後は気になるところ。
でも
急に懺悔になるとか
罪を償って生きるとか
いう展開だったら
出来すぎかなって思うところもあったので
(というか、そんな単純な結末では片付けられないよね・・)
その後をぼかしたこの終わり方は最善だったのかもしれないよね。
ただ
鈴木がこの益田の記事を読む機会があって欲しいと
なんとなく願う・・・
たぶん、そう思う人って
何人かいるはずだと思うのよね・・・
そういう感情を鈴木に対して
感じてしまった・・・・
そういう自分がいるってことが
不思議でもあったかもしれないな・・・




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逃走   著  薬丸  岳

逃走   著  薬丸  岳




閉店後のラーメン店で、店主が暴行され死亡した。
通報した若者が容疑者としてあがるが…彼は逃走。
容疑者の妹、友人たちの心配する中
なぜ彼が逃走するのか
刑事たちもその謎を探し始める・・



感想


あっというまに読める一冊。
容疑者が逃走するのには理由がある・・・
その理由を読者も一緒になって追い求める
そこが魅力の本かな。


容疑者は妹ともに施設出。
どうやらつらい過去を背負ってきたようだ・・


なんと
彼の母親は父親を保険金目的で殺害し、刑務所に送られてしまっていたというのだ・・
妹はその事実を知らない・・・
兄として容疑者は
長年、秘密を守り苦労してきたようだ・・・。


そんな彼なのに…なぜ・・・


なんだかとっても可哀そうな家族でした。
容疑者もあれじゃあ不憫。
だって・・殺した相手は・・



以下ネタバレ

いつか忘れそうなので真実を書いておきます。
殺した相手は容疑者の事実の父だったんですね。
母親が保険金殺人で父親を殺したというのは間違い。
殺したのは
別人だったんです。
つまり別人を夫と見立てて殺した・・・・。
そしてこの殺した人は
妹の実の父親だった人なんです。
この容疑者と妹は父親違いの
2人だったんですね。


容疑者は殺意があって被害者を殺したわけではない。
今まで死んだと思った父親を発見し
問い詰めて争った挙句・・・こんなことに。
感情的になってしまったんですよね。
でも、死んでしまったという事実は事実だし。
こんなことになってしまったけれど
罪は償って前向きに生きて欲しいな・・・とそう思える
物語でした。



読んでいるときは気にならないけど、
あっという間に読んでしまうので
物足りなさは残るかも。
ドラマむきな内容かもしれませんね・・・
できれば、
もっと深いというか
考えさせられるようなお話がいいかな
好みですし。
次回にまた期待



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死命   著   薬丸  岳

死命   著   薬丸  岳


三十代にして財を築いた榊信一。
自身がスキルス胃がんに冒されたことを知り、今まで抑えていた
殺人願望を開花させる。
その榊をおう刑事の蒼井。
彼もまた余命少ない病に冒されていた。
蒼井とコンビを組む若手刑事・矢部、
榊の恋人の山口澄乃。
それぞれがいろんな思いをもちながら
事件にかかわっていく。




感想



一気に読めます。

事件は無差別女性殺人。
犯人はわかっています。
物語は
犯人・・、
彼を愛する女・・・
犯人を追う刑事・・と
そのベテラン刑事と組むことになる若者刑事。
それぞれの視点で
進行していくことになります。



犯人がわかっているので、その謎ときを楽しむことはできません。
が・・・興味わくと言えば
なぜ、その犯人がそういう行為に走ってしまうのか⇒動機付けの点。
それと
犯人と追う刑事が
ともに、余命少ない状態だということです。




殺人鬼、榊と
幼いころから知り合いで
大学時代には恋人だった山口澄乃。
彼女は恋人である耳に障害がある榊信一に情事の際
首を絞められるという体験をさせられる。
どうやら、榊には人には言えない過去があるのだ・・・。
しかし、澄乃はそんな榊を恐れ、実家に帰って結婚をしてしまった・・・。
やがて離婚して再び榊と再会した彼女・・・


というような存在の澄乃だが
彼女が再び傍にいるのに
人を殺すという欲望を抑えることができない
榊はとんでもないと思いました。

なぜそんな思いを抱くのかは
いわゆる動機ですが
後半で明らかになります。


両親からの
虐待です。
悲惨なのは
とくに母親の性的虐待。
気持ち悪かった・・・
実際
そんな性的虐待ってあるのかな・・・
母親と息子の関係において・・・あるかな・・・。
動機付けとしては
もう少し同情の余地のあるような
ものを感じたかったです。
可哀そうな過去だと思うけど
そんなことあるかな…と思える事例だったので
引いてしまいました。




刑事の蒼井。
娘と、息子がいるが妻はすでに亡くなっています。
死に目にも会わずに仕事一筋だった彼に
子供たちの視線は冷たい。
だが、そんな彼に胃がんが再発。
あらためて、死への恐怖も感じ
自分はどう残された日々を送るか考え初め
結果、犯人逮捕に執念を燃やす。



若い刑事の矢部は
刑事という仕事に使命など感じていなかったが・・・
先輩刑事、蒼井と組むことで
彼自身が仕事や家族(親)に対して
成長した考えをもつようになる。




このお話で
面白かったのは
犯人の動機よりも
死とはどういうものか・・・
死んだらどうなるか・・・という哲学的なことを
刑事の蒼井によって
語らせているところかな…と思います。
誰でもが
感じるその感情の揺れを描いていたように思います。
そして
犯罪者もまた
死ぬ瞬間、
迷いや恐れの気持ちを感じて
あらためて
自分の罪に向き合うことができるのかなって思いました


連載時のタイトルは
「死にゆく者の祈り」だそう。
改題されたんですね。


shimei   yakumaruIPL

ハードラック   著  薬丸 岳

ハードラック   著  薬丸 岳




仲間にはめられた相沢仁。
このままでは殺人犯になってしまう。
無実を晴らすため、仲間を探し出そうと懸命になる彼だが・・・



 

感想

「BL」はバッドラック。運の悪いやつでうまく引っかかったカモのこと。
「HL」はハードラック。さらに運の悪いやつで首をくくっちまってもう用なしって意味。

薬丸さんの本。今回も展開が気になるのでサクサク読めました。
彼の作品って、社会的な事柄がいつも題材で
そういうところも気に入ってよく読むのですが、必ずしもいい気分で
読み終わるわけではないんですよね。どうにかならないのか・・っていうジレンマを感じるから。
今回は仕事も家庭からも見放された人に焦点を当てていました。


主人公は相沢仁。
家庭的には不幸。父親の浮気で離婚。その後母は再婚。
その男には連れ子がいたのだが、その子がまた同年代で非常に優秀な子。
比べられ、肩身の狭い思いをした仁。頭もよくなかった彼は、義理の父親から、高校でたら就職しろ・・と
言われてやむなく親の関連会社に就職。しかしそこからは上手くいかない・・・
上司とトラブルを起こし、仕事を辞める。新しい住み込みの仕事をみつけ家をでるのだが・・・・
結局、不況のあおりを受けて、工場を解雇される。
寮を追い出され、今やネットカフェ住民として、その日暮らしの
生活。



そんな彼が、ネットの掲示板に書き込みをしたことから不運が始まった。
「なにか、おおきなことをやらないか・・」


仁の家庭環境、不運な出来事(人がいいのか、だまされやすいようだ・・・)など、
同情すべきことは、いっぱいありましたけど、だからと言って、安易に掲示板に書き込んで
自ら、闇の世界に突入していくことはないのにな・・・と思いました。
だからこんなめんどくさいことに、巻き込まれてしまったんだよ・・・と言いたい気もしますね。
また、仁の母親ももっと仁のことこうなる前に(働きに出る前に)もっと対処してあげたらな・・なんて
ことも考えました。事件が起きてからでは遅いんですけどね。




おおきなこと・・・
仁は、ネットで募った仲間と一緒に、軽井沢の金持ちの家に強盗に入るという計画をたてます。
人は殺さない・・金だけ。
そういうつもりだったのに、計画の当日、物色中に頭を殴られ昏倒。仲間はいず、一人逃げたあと知った真実。
いつのまにか、その家の住人は殺害されていた。3人も!!。
強盗殺人の首謀者になってしまっていたのでした!!

自分は仲間にはめられた!!。彼らを探し出して自分の無実を証明したい。

彼の無実を証明するために
仲間を探し出す過程・・・
そして黒幕は一体誰なのか・・・

そんなところが、物語の注目すべき個所だったように思います。


この仲間たちですが・・
ネットで募ったということで
本名は明かさない。(犯罪を起こそうという人たちの集まりなので本当のことは誰も言うわけないですよね)
あだ名で呼ぶあうのですが、ジンやバーボン、ラム、テキーラ、ウォッカというお酒の名前。
おお~~コナン君みたいです…笑
その中で
ラムが言うまるで、映画の「レザボア・ドッグス」みたい・・っていう言葉が印象的。
映画自体、観ていないのが残念だわ。
ラムはレンタルビデオが好きっていう設定なのよね。

ここは伏線にもなっていると思うな・・・
なぜ映画ばかりみていたのかってね。
のちに彼女(?)の口から
「ユージュアル・サスペクツ」という映画の名前も出てくるんだけど。
こちらは、映画自体を観ておいた方が絶対なるほど~~と思わせるかな。
仲間の中に、ウォッカ→鈴木っていう足を引きずった男がいるの。
映画でも、黒幕は誰だ・・・ということになっていて、実際
足を引きずった男が黒幕なの。それを持ち出して
鈴木がこの事件の首謀者じゃないかっていう・・・案がでるわけ。
映画では、いかにも被害者ぶっている男が黒幕だったからね。

そういう、ちょっとした、知る人ぞ知るネタも映画好きとしてはうれしかったかな。


で・・・・黒幕の正体は、
最後にきっちり判明。
これはちょっと現実的には無理があるかも。
読んでいながら
うすうすは検討ついてくると思うのよね。
その行動でね。

ただ、現実的には
一緒の時間結構過ごしているから
早い段階で
○○は、○である・・・という事実は判明するんじゃないのかなと思いますね。
そうそう。。隠せないと思うから。

でも黒幕○○の過去も壮絶。
同情すること多しです。


仁の話をしっかり聞いてくれた刑事さんには
感謝ですよね。
刑事にまで見放されたら
救いようがないもの。
刑事さんが、彼の話を真に受けてくれたから
ことがいいように進んだんだと思うな。


闇の住人の
森下。
一瞬、仁のこと親身になってくれているのかと思いきや
やっぱり悪でした・・・
信用しちゃあ・・いけないんだね。


誰が一体本当のことを言っているのか。
ワクワクしながら
読むことができた本でした。
しかし携帯を他人名義で使っていると
いろんな名前が出てくるから混乱するね・・・


世の中
いろんな悪が潜んでいることを痛感。


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刑事のまなざし    著  薬丸  岳

刑事のまなざし    著  薬丸  岳




夏目刑事が扱う
7編の事件。




感想


薬丸さんの短編集です。長編のイメージが強いのですが短編もさすがに
上手いです。しかし、どれもかなり重めの事件ばかりですので
読んでいて、どんより・・・してしまいます。
実際、殺人事件というものは気持ちがいいものではないのはわかりますが・・・。
やるせない気分になってしまうんですよね。



「オムライス」・・・内縁の夫が殺された。台所にはオムライス。
          犯人は息子なのか?
「黒い履歴」・・・クレーンゲームを得意とする男。そして彼の姉。
過去の罪のために男はなかなか就職できずにいた。そこに起った殺人事件。
         被害者は、姉の子供の友達の父親だった。
「ハートレス」・・・ホームレスたちを巻き込んだ事件。
「傷痕」・・登校拒否を続ける女子高校生。きっかけは痴漢事件だった。
「プライド」・・女性はボクシングジムにかよっていた。強くなるために。
        被疑者と加害者には誰にも言えない秘密があった。
「休日」・・夏目は大学の同級生に息子の相談を受ける。息子は犯罪に手を染めているのではないか?
「刑事のまなざし」・・夏目の娘を襲った通り魔事件。犯人がついに判明する。




全部で7編。全部の物語に絡んでくるのが夏目刑事です。
夏目刑事には過去があります。もともと刑事だったのではないのです。
自分の身内を襲った事件。そのために刑事に転職したのでした。
犯人を捕まえるため…復讐したい・・・そんな単純な気持ちだけではないのかもしれません。
普通の感情ではなかなか刑事という職業を全うできないと思います。
毎日、毎日、気持ちが塞ぐような事件ばかりに遭遇するわけですし、
被害者とも当然接して行かなくてはいけないのですから・・・。
自分と同じような被害者と接するんですよ。
できないですよね・・・・・・普通は。
そんな夏目刑事の葛藤ですが
わりと抑え気味。もっと感情的になってもいいんじゃないのかな・・・と思うくらい
冷静でした。それは年月がたってしまったということもあるのでしょうか。
でも、目の前にいるのは、
事件の後遺症を抱えている自分の娘なわけですよね。やるせない気持ちばかりです。
最後の
「刑事のまなざし」で、夏目刑事の娘を襲った犯人が判明するわけですが・・・
やっぱり、加害者には同情できません。
どんな事情があろうと・・・・やっぱり、許すことはできないだろうな…・・自分だったら。



7編の中では
最初の「オムライス」が一番後味が悪かったです。
そういうことか・・・・という事実が判明してからの
どんより感が・・・はんぱなくすごい。
こんなことあっていいの?と。。。問いかけたくなりました。


また
「黒い履歴」で描かれる性犯罪。
これもまた
気分的にどんより・・・。



犯罪のない
世の中になって欲しいと願わずにはいられません。


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