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いつもの朝に   著  今邑 彩

いつもの朝に    著  今邑 彩


頭もよく、スポーツ万能、人望も厚い兄・・日向桐人。
怠け者で、チビでにきび面、落ちこぼれの弟・・日向優太。
彼らの父親は、他人を助けることで命を失っていた・・。
母親はクリスチャンで画家でもある。
そんな家族に突然襲い掛かった出生の秘密。
忌まわしい過去の出来事が次第に明らかになっていく・・。




感想   
 いや~久々に自分の中ではヒットの作品です。
ホラー・ミステリーというジャンルで紹介されているようですが
私は、ヒューマンものとして認識しております。
家族の絆・・とは、何かをあらためて考えさせられました。

母息子の関係・・
兄と弟の関係・・
それぞれ濃厚な世界が広がっておりました。

ラスト・・は思わず、目頭が熱くなりましたよ。
素直に感動しましたよ・・。

この作品については一切ネタバレしないことにしました。
とにかく、
読んでみてください。

ぶ厚い本ですが、読みやすいので
どんどん読み進んでいくことができます。

正直、中盤から
かなりおどろおどろしい過去の事件が
発覚するので、読み進めていくのに
不安を感じるところがありました。
この先、醜い展開になっていくのではないだろうか・・。


それほど、強烈な出来事なのですよ。

描写があまりグロイ感じではないので
読んでいて不快感はないのですが
なんとも、やりきれない思いはよぎります。


でも、実にいい方向・・というか
思ってもいない方向に、物語は展開していくのです。

エデンの東・・ってご存知ですか。
優秀な兄とその兄に引け目を感じる弟。
それを連想させるような物語の流れ・・。

いくつかの映画の話題も、この本には出てくるので
(兄の桐人はジョニー・デップ好き)
映画好きの方にも、楽しめところありますよ。


この小説には
キリスト・・・神・・・という言葉がキーワードのように
出てきます。
母親は牧師の子として生まれたのでクリスチャンという設定です。


作品が、宗教的な世界がどうのこうのと・・・難しいことを述べているわけではありません。
でも、どこか目に見えないもの・・
尊いものの存在を意識しないではいられません。
世の中には自分の意識を超えた力というものが働いている
のではないでしょうか・・
そう思えるときもあります。
神秘的なものの力をこの作品から感じ取れますね・・。

グイグイ引き込まれるストーリーです。
すべての人の心に響くものがあると思います。
単なるミステリーでは終っていません。



私は
三浦綾子さんのあの名作を思い浮かべました。


本のあとがきにある
作者の言葉も・・あわせて読むといいですね。
この作品をどう考えているのかよくわかります。


遺伝と環境・・・。
罪は遺伝するのか・・


真っ白なテーブルクロスを汚さないように
生きることのつらさ・・
わかりますね・・。
優秀な子どもこそ、その傾向がありますよね。
完璧な人生などないのに・・。



重いテーマも隠されている
そんな作品でした。


↓表紙絵が気に入っています。
物語の内容をうまく表現した絵ですよね・・。

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