水の柩   著  道尾秀介

水の柩   著  道尾秀介



老舗旅館の息子、中学2年の逸夫。
彼の祖母いくは、裕福な生まれと語っているがある日それが嘘だとわかる・・・
逸夫の同級生敦子。
彼女の両親は離婚しており、いじめを受けている。
「タイムカプセルの手紙をいっしょに取り替えない?」という敦子からの
提案で逸夫は行動を共にするが・・・




感想



道尾作品の・・・月と蟹。
どうも路線としては同じ感じかな。


初期の作風と少しずつ変わっていっているので、ここら辺は好み分かれるところかもしれないな・・・と
思いました。
最近は文学的な要素が多いですよね。


全体的に
静かでゆっくりとした話の流れで、
わりと淡々としていたかな。
先が読みたくてたまらない~~というような感じでもありませんでした。
退屈はしなかったけど、
だからといって、食い入るように読み入ったというわけでもないかも。
主人公の少年が
少女と祖母の過去の苦しみに触れることで
自分自身も変化していくというお話でしたが、
どちらかというと、私は少女より
おばあさんが側の過去の方が興味深かったかもしれません。
ラストでは
おばばさんの痴呆の症状が出てきているようで
よりせつなくも感じました。

いじめを受ける敦子。
彼女の悩みももちろん深刻ですが
いじめに関してはもっと、背後関係を知りたいような気もして・・・
どこか悶々とする感情をもってしまいました。
いじめを実行しているメインの女の子(主人公の同級生が憧れる人)
の気持ちもどうせなら深く知りたかったです。
裏表があるようで・・・興味深かったです。



温泉旅館で働いている
笑子さんでしたっけ。
いつも前向きな彼女が
実は・・・暗い過去があるということがわかる
そのシーンが一番印象的でした。



消し去りたいくらい辛い過去は
もっている人も多いはず。
それを乗り越える勇気をもつことの大切さ・・・
それって誰か人とかかわることで
乗り越えられることができるのかもしれません。
やはり人は一人ではいきられないのかな・・・と思いました
この小説でも少年が大きな、きっかけになったわけですし。
もちろん、少年自身も成長したはずだと思うけど。
世の中にはいろんな人生があるな・・・って勉強したのだから。
すべて、忘れてしまうこと・・・。
小説では人形をダムにおとしていました。
形式的ではあるけれど、
なんらかのけじめはあった方がいいのかもしれないよね。
こういう再生の仕方もまたありなのかもの・・・・と思いました。
ラストは
すがすがしいです。



前作とどうしてもかぶる部分があるので、
印象が薄くなってしまうところもありますが
ダムに沈む街という設定は
郷愁を誘う部分もあり
いろんな感情を呼び起こしますね。






沈みゆく街、ダム、
みのむし・・・
相変わらず印象的な世界観だったと思います。
でも月と蟹でも、やどかり・・があったし、似た感はどうしてもあるかな。




装丁と題名が美しい小説でもありました。


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カササギたちの四季       著   道尾  秀介

カササギたちの四季       著   道尾  秀介




「リサイクルショップ・カササギ」を営む
華沙々木と日暮。
ある事件でカササギに来るようになった菜美。
彼らが遭遇する4つの事件。


感想


名探偵名探偵と自分のことを自慢する
華沙々木さん。
起こった事件を解決したのはすべては自分だと思っているけど
それは、間違い。
実際謎解きの本質な部分は相棒の日暮さんがやっています。
ちゃんと華沙々木さんの推理になるように
日暮さんが手を加えちゃうところがポイント。


意外と凝った作りですね。


4話に共通するのが出だしの部分。
日暮さんが和尚さんにがらくたを高く買い取らせられるのです…笑
ここは意外と面白い・・・
すぐいいように扱われちゃうのだから。

最後の章は
この和尚さんのお話。

1話の話の中で、自分たちのショップに泥棒に入った男がいるのですが
この4話でもまた登場ということで・・・
お話が繋がっているのがみそですね。
もちろん、
菜美がなぜこの店にくるようになったかも
1話だけではわからないのですが
他の話をよんでみるとわかるというしくみ。

とはいうものの
まだまだ、3人に関しては謎も多い感じです。



随分前に読んだので
こんな抽象的な感想ですが、
なかなか面白かったですよ。
重さはなく軽いタッチ。
暗くない感じで・・・・・笑


すぐいろんなことを忘れてしまうのが最近の良くない傾向です・・・・笑

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月と蟹 著  道尾秀介

月と蟹 著  道尾秀介


父を亡くし母と祖父と暮らす慎一。
ある日、同級生の春也と「ヤドカミ様」遊びを思いつく。
ヤドカリを神様に見立て願い事を託すのだ。
2人だけの秘密の遊びだったが、真一は
そのうち、母のない少女・鳴海(なるみ)を誘い始める。
最初は怪訝な顔をしていた春也だったが次第に打ち解け
やがて、自分以上に親しくなってしまう。
様々な思いを抱えて、物語は進んでいく・・。





感想


「光媒の花」に続いての道尾作品。
面白かったです・・・これ。

いつも同様、暗くじめりとした世界。
これっという大きな出来事はありません。
分類としては「ラットマン」や「カラスの親指」のように大きく物語が動いてどんでん返し・・
というものではなかったけれど、
こういうのも好きです。



主役が小学校5年生の男の子ということ・・(それも回想シーンではなくリアルタイムのお話)
舞台が鎌倉周辺・・・(好きな場所)ということが
私のツボをくすぐったのかもしれないです…・・笑


この小説の道尾さんのコメントをどこかで読んだとき、なぜ小学校5年生にするのかというのが
ありました。
4年でもなく、6年でもない理由。
なるほど・・・・と感心しましたよ。
私は女で、子供も女ばかりでどうしても
男の子・・というものを、身近に感じたことがないわけです。
当然、小学校男児の微妙な心の変化も、手に取るようにわかっているわけでもないのですよね。
それがこの物語を読みながら
そうなのね・・・・そんなこと考えているのね・・・と
新たな刺激をもらってしまう・・・。
女の子とまた違った感情の変化に、唸ってしまうところがあるんです。
知って良かったって、思えたところも多々あるし。
物語全体が緊張感みなぎっていたので、
結構、入り込んで読んでしまいました。
と・・・同時に、男の子の育て方も大変ね。。。と思ったり。




主人公が小学生なので当然学校生活&家庭生活がクローズUPされてきています。
母親に感じる異性の影、父親の虐待を感じさせる家庭環境、そしていじめにも似た
心ない手紙の数々。
彼らに日常はけっして、幸福に満たされているものではないのです。
理不尽な世界ばかりに取り囲まれて、
そもそもその世界を作ってしまったのは
大人の身勝手さゆえ・・・なんですよね。



小学生の心を描いた作品だと、いつも、重松さんの作品を思い出したりしてしまうのですが、
道尾さんの描く、子供の世界というのははやはり・・・他のどの方とも違った
作品に仕上がりますね。教訓じみた話には絶対なっていないの。
神秘的で、曖昧で、じめり感があるよね・・。笑
(けっして、重松さんの話が教訓じみたというわけでなく、どういったらいいのかな・・あ・・
試験問題に出そうな正統派の作品ということなの。重松作品って。)
面白いですよね。


子供特有の世界として
秘密の遊び場が出てくるんですよね。
そこでは、ヤドガリをあぶり、ヤドガリを殻から引き出す。傍で観ていたら
きっと嫌悪感を覚えてしまうような行為・・・・うぎゃ~~です。
願いをかなえてくれる神様の存在、それを敬うことで
彼らは現実逃避ができていたのかもしれないよね。
そして、救いにもなっていた・・・。
面白いことに、
大人の私たちからすれば、主人公真一の母親が異性と付き合うことにそんなに嫌悪感を感じないのに
この子供の行為には、どこか残酷さ&嫌悪感を感じてしまう。
でも子供のとっては、この生き物を使った儀式は残酷さというものとは無縁のもので
当然嫌悪感をもつことはない・・途中から入った女の子も当然同じような感覚。
彼らにとっては、母親、もしくは父親の情事の方が、胸が痛くなるほどの
苦しみであり、悩みであり、嫌悪感に繋がっているということ。



そうよね・・・子供の目線からはそうなんだ。
親はこれくらいという思いで行っていた行為でも
子供にとっては、精神的な痛手となっているんだな・・・・って。



母親に感じる嫌悪感それは嫉妬感からくるもので
同時に
男の子2人、女の子1人の関係でも嫉妬感が湧いてくる・・。
子供たちだけの関係でも
複雑な感情が湧いてくるの。



難しいな・・・・・この年頃って。



真一のもとに届けられていた手紙の主が判明したときはびっくり。
そうだったんだ・・・・ショックだったな。
また真一が合鍵を盗んで母親と付き合っている男性のクルマに忍び込むシーン。
その行動力にさらに驚き。
そこまでやるのね・・・。




最後はこれまた、驚くような行為をしてしまう真一。


ジャンル分けはあまりしないという作者ですが、
今回は文芸書的な趣があるかなと思いました☆
巷のコメントで賞狙い・・という感想がありましたね。そうかな・・そんな風には思わなっかったけれど。
いつも彼のブログ覗いていますけど、
ちょっとムッとしていましたよね。
私もそこまでいうことないな・・・と思ったわ。
結果として幸運がついてきたら良いけどね。



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光媒の花   著   道尾秀介

光媒の花   著   道尾秀介



6つの短編集。





感想

それぞれのお話に関連性があるので興味深く読むことができました。


☆認知症を患っている母を持つ判子屋の店主の話。
現代から過去の話へ~~
店主の子供のころの話になるのです。
魅惑的な女性と出会った主人公。その女性は実は主人公の父親とも関係があった・・
これって、映画「初恋」に似ているよね。
女性というものを意識しだした、男の子の気持ち。
あ~~~こんな心境なんだな・・っていち女性として、興味深く読んでいたところはあるんだけれど、
こういう設定、道尾さんの作品ってあったよね?
好きだったゆえの・・・悲劇だったと思うけれど、認知症の母親の存在・・・
あれは怖いな・・・。
そうなの?って考えるとぞくぞくしちゃうね。


☆次、親に内緒で川の土手に虫捕りに行っていた兄と妹の話。
このお話はね、妹にいたずらするホームレスが出てくるんだけれど、
その巧みな誘いに、怖さを感じたわね。
子供だったらだまされちゃうよね、きっと。
これも悲劇的な出来事が起こるんだけれど、真相が別のお話で明らかになって
ちょっとホッとしたところもありました。

☆少年のころ昆虫学者になることを夢見たホームレスの男の過去・・。
今度はこちらが主人公。
上で出てきた子供にいたずらする、ホームレスの男とは違うのよね。
こちらの話も
彼と交流をもつ少女に隠された秘密が明らかになったときはドキッとしたな。


☆ファミリーレストランで働く一人暮らしの女性。
そして
彼女の隣に住んでいる耳が聞こえない少女との交流。
耳の聞こえない理由が悲しかったな・・




☆小さな運送会社に勤めるドライバーの弟。病に冒されている小学校の教師の姉。
最後に明かされる真相が良かったです。
他の話に比べて気持ちの良い話でもあります。



☆最後は、女教師が主人公で
またはんこ屋さんがでてきます~~


重苦しい話もあったりしますが、
そのつながり方が見事で、どの内容も濃かったように思います。


光媒の花・・・・ね。
これ造語ですよね。
虫媒花というのがあるように
光で花粉を運んでいくというようなニュアンスでしょうか。
お話を読み終わったあと
この題名を聞くと
なかなか深い意味をもっているわね・・・と感じます。


さすがですね・・・。


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月の恋人    著  道尾秀介

月の恋人 道尾秀介



青年社長・葉月蓮介。
彼は、恋人に裏切られ、ふらりと上海に来た弥生と、夜の町で出会う。
蓮介と、弥生、さらにそこに、美しい中国人モデルの彼女も絡んで
物語は進行していく・・。




感想   

道尾さんが、月9のために、執筆したという恋愛小説。
設定等もろもろ、制約もあったようなので、書きたくて書いたというのとは
ちょっと違うでしょうね・・・・。
道尾さんらしさ・・・というのは確かに感じられるけれど、やっぱり
無理やりまとめてしまったという感じもして
他の作品に比べ
今一歩、魅力が感じられなかったかな。
たぶん、道尾さん作品という知識がなかったら、
読まなかったと思います。


ドラマの原作とはいうものの、
実際のドラマとははだいぶ違うそうです。(ドラマ化にあたっていろいろあったのでしょうね)
本のあとがきにそのことについては、道尾さん自身が多少触れています。



ドラマは初回の最後だけ観ました。
キムタクが、10円玉のアメンボのことを話題にしているシーンあたり。
それ以降はまったくみていないのですが
蓮介=キムタクというイメージが頭の中に定着してしまって、
本の最中もそのイメージで読んでしまいました。

ただし、
本の中の弥生さんはドラマには出てこないので(「弥生」は「篠原涼子」ではないのです!!)
イメージはなし・・・・です。



舞台は上海。
やり手の若い社長。
一方は恋人に裏切られた、普通の女性。
ドラマっぽい設定すぎて、イマイチのれませんでした。


弥生の行きつけの飲み屋さんの常連さんとの会話や
中国人モデルと父親の関係
そのモデルと弥生との友情関係などなど・・・
いろいろな要素も入っていて
退屈はしなかったけれど、
やっぱり、予定調和な感じがして結局、あの2人がくっつくのね・・・というのが
わかりきっていたのが
残念でした。
中国人モデルは思ったより、2人の恋に絡んでこなかったしね。


可もなく不可もなしという感じです。

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プロムナード   著  道尾秀介

プロムナード   著  道尾秀介




第Ⅰ章と第Ⅲ章は日経新聞に2009年7月から12月までに連載した「プロムナード」というコラムに
連載していたエッセイ。
第Ⅱ章は様々な雑誌で書かれたエッセイをまとめたもの。
その他、僕が好きなもの、本、映画として、これも他の雑誌にかかれたものをまとめたもの。
特別収録として
17歳のときに初めて描いた絵本『緑色のうさぎの話』
19歳のときに初めて文字で綴った戯曲『誰かが出て行く』
収録です。






感想    


道尾さんてどんな方?エッセイなので、個性がわかる本です。
私は初期の作品はまだ読んでいなく、
読み始めたのも最近。
作者の作品になじむところまでは到達していないので
このエッセイを読み、
徐々に読んでいこうかしらと、
あらためて思いました。


特別収録の
絵本と戯曲が特に必見です。
17歳時に描いたうさぎの絵は可愛らしいの。
ちゃんと喜怒哀楽しめしているのよね。
17歳の男の子がこういう絵本を描くというのが、可愛らしかったです。
物語もとっても優しくって。
心が優しいのね・・・と思いました。



エッセイはいろいろあるのですがその中でいくつか。



今話題の月9の「月の恋人」は道尾さん原作。
テレビは最初の方を少ししかみていないのですが
その中に出てきた10円玉のゲーム。
エッセイ中にもでてきて
なんだかうれしい発見をしてしまった感じです。
10円玉を並べると何に見えるかというエピソード。
○○○○に見えるんですが
面白い話だったので印象に残っています。


また
道尾秀介というペンネームの話。
16歳時はバンドをやって
いらして、金髪、長髪だったとか。
好きな彼女にプレゼントしたという栞の話も笑ったかな。
オチもすごかったし。
南野陽子に恋していたなんてほほえましい。
本陣殺人事件の現場まで
いってしまうバイタリティーさ。そしてオチ・・・笑

少しづつだけれど、見え隠れする
人柄が興味深かったです。


「ジャンルと色眼鏡とリドル・ストーリー」というエッセイに中で
書かれていること。

今まで
色眼鏡で読んでいたところがあったな、自分と思い、
恥ずかしかったです。
これを機に、著者の小説、
あまりいろいろ構えず、純粋に楽しんでみたいと思いました。










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球体の蛇         著  道尾秀介

球体の蛇         著  道尾秀介




1992年秋。17歳の主人公、友彦は
両親の離婚により、隣の白アリ駆除を営む橋塚家に居候することになる。
橋塚家は乙太郎さんと娘のナオ。
奥さんともう一人の娘サヨ(ナオの姉)は7年前、
キャンプ場の火事が原因で亡くなっていた。
友彦は、陰のあるサヨに、小さい頃から憧れていたのだが
彼女が死んだのは自分のせいだと思っていた。

ある日
乙太郎さんの手伝いとして白蟻駆除に行った屋敷。
そこで友彦は死んだサヨによく似た女性に出会う。
彼女に惹かれた彼は、夜ごとその屋敷の床下に潜り込むのだが・・







感想  



直木賞候補にもなった作品。


不思議な雰囲気を持っておりましたね。
ミステリー?、見方によれば恋愛小説にもみえるし、一人の青年の青春物語のような・・
ジャンルわけのできないような作品です。

私は、道尾さん→どんでん返しミステリーになるのかしらと
その点ばかりが気になって読んでいたのですが、ちょっと方向性の違う物語展開。
ええ~~!!そうなの!!というような大きな驚きはなく
事件の真相という部分では多少モヤモヤ感が残るようなお話になっていたように
思います。


それでも、「星の王子様」の物語内容を引き合いに出したり、
スノードームという小道具が重要な意味をもっていたりと、
いろいろな仕掛けといいますか、工夫を凝らしていて、
他の小説とは違った作者独自の物語が作られていたわね・・・・と
感心しました。

このもやもや感も今回
逆に魅力の一つとなっていたように思います。


誰かがどこかで嘘をついていたのかしら。
どこまでが真実でどこまでが憶測かしら。
考えるほどに
とある出来事の真相はいくつものパターンが想像されます。



「呑み込んだ嘘は、一生吐き出すことは出来ない」



その嘘が、人生を変えてしまうほどの結果を引き起こしたかもしれない・・
相手を思っての嘘でも・・・。


なんだか、考えると、怖くなるような気がしますね。
ほんの一言で、人の運命さえも変えてしまえるのですから。



白アリ駆除のために、床下にもぐる・・・
そこで好きな女性とその主との情事を知り、なぜか、足しげく通ってしまう・・・というものが
物語の導入部分。
江戸川乱歩の世界のように、あやしさが漂う設定でした。
昔ながらの家屋という状況もね。


男性主人公が好きになる女性ですが、
乙太郎さんのところの娘、サヨも、そのサヨに似ているという智子も
男性から見たら
神秘的で男をひきつけるような魔性の魅力のある女性像なのでしょうが
女性側からみると、どうも好きになれない女性ですね。
どうしてそういう行動をとるのかしら・・・・・って。


乙太郎さんまでもが・・・・・・という
展開には驚いてしまいましたよ。
乙太郎さんは、酒飲みですが、面倒見がよく、娘思いの良い人・・・というイメージでいましたので
女性とどうにかなるような、男の性の部分がにじみ出るような、そういう瞬間など
でてくるはずない(するはずがない)と思っていましたから。
でも、彼も男なんですね・・・・・。
主人公が知った、大人の事情というものを
読み手の私も同時に感じとってしまいました。
ああいう瞬間をみてしまうと、
もはや、家族同様に暮らすのは難しいですよね。
いけないものをみてしまったのですからね。
また、娘は、娘でいやだろうな・・・・そういう父親像を知ってしまうこと。
まして、好きな男性(主人公)の相手と、父親がまでもが・・・なんて。


最終的に
乙太郎さんの娘、ナオと主人公は
理想的な形になったようですが、
それが幸せなのかどうか・・・・複雑。



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花と流れ星   著  道尾秀介

花と流れ星   著  道尾秀介



「真備霊現象探求所」に持ち込まれた事件の数々。
5編からなる連作短編集。


感想   私はこの本で初めて、真備霊現象探求所、という存在、
登場人物の、真備、助手の北見凛、ホラー作家の道尾と知り合ったわけです。
が、他の作品で、すでに登場してきたキャラだったようです。
どうりで、ところどころ、以前に事件。。云々などと
他の作品を連想させるような事例がでてくると思ったわ。

(本としては「背の眼」、「骸の爪」・・・)

他の作品読まなくては、ついていけないということはないので(知って入ればより楽しめるという程度)
この本からスタートでも、十分楽しめました。
舞い込んだ事件を彼らが洞察力を駆使して
解決していくというわけですね。


「流れ星のつくり方」・・・・ラスト、せつない・・。
              題名から想像するような、ロマンチックな話ではないのです。
              あ~~~、真実がわかると、グッときます。

「モルグ街の奇術」・・・・・バー出会ったマジシャンを巡る話です。
              このマジシャンの存在、以前、観た映画のガイ様主役を、思いだしました。
              どのような部分かというと、映画を見てください・・・・笑
              不思議さ満載ですね。


「オディ&デコ」・・・・面白かったですね。子供同士の複雑な人間関係も短い中によく描かれていて。
            解決方法も気持ち良く、読んでホッとする内容です。


「箱の中の隼」・・・・「宗教法人ラー・ホルアクティ」という新興宗教が舞台・
            おお~~、ありそうですね、こういう宗教。
            リアルな世界でした。
            短編なので、物足りない気もします。
            もっと面白くなりそうな題材ではありますよね。


「花と氷」・・・・自分の過失で孫娘を死なせてしまった老人の話。
         そこに、凛のプライベートも少し描かれていて、興味そそられました。
         老人のあの勝手な方法は、やっぱり、う~~~んと思ってしまいますが
         贖罪のために苦しむ姿は、痛々しかったです。



ちなみにこの本を読んでわかった3人の人間関係は。

真備は亡くなった妻に会いたい為、霊現象探求所を開いた。
そこで働いてる北見凛は、亡き妻の妹。
そして彼女は真備に想いを寄せている。

この三人の関係も知りたいですね


ながれぼし

鬼の跫音      著  道尾秀介

鬼の跫音      著  道尾秀介

著者初の短編集。



感想   道尾作品は長編しか読んでいなく
かつミステリー分野ばかりだったのですが今回はホラーテイスト。
今まであまりホラー的なお話は読んだことがなかったので不安な部分も
あったのですが、いやいや・・・やっぱり道尾さん。
読んで正解・・・面白かったです。
後から背筋の寒くなる恐さ、
何気ない表現に潜む、深い意味・・・
あっというどんでん返し・・・
短いながらも、凝縮した内容で、恐いけれど先が読みたいという
ジレンマに襲われました。


すべての章に共通して
登場するのがSという人物。もちろん、同一人物ではありませんが
どの作品でも重要なポジションを占めております。
また、鴉・・・という不吉なイメージを連想させる
ところどころにでてきて、不気味さをかもしだしておりました。



「鈴虫」

鈴虫はみていた・・・・
悪いことはできないものです・・・。


「ケモノ」・・・囚人が残したイスに残されていたメッセージ。
その謎を求めて、主人公はさまようのだが。

ラストに驚愕。
そうだったの・・・・・。
怖いよ・・怖すぎ。
椅子に残されたメッセージのなぞ解きはそれほど衝撃はなかったものの
最後にやられた感・・ありです。


「よいぎつね」・・・過去におかした罪におびえる主人公。
今年久々にその現場にやってくるが・・・

しょうがないです…主人公。
自業自得でしょう。




「箱詰めの文字」・・・・ある日、自分の部屋から貯金箱を盗んだという青年が
あらわれる。自分には見覚えがないその貯金箱。
なかからは奇妙なメッセージが出てきて。

これもどんでん返し・・・ありで
面白かったです。



「冬の鬼」・・・日記形式。女性の過去、現代がつぎつぎに明らかになっていき・・・


主人公の女性の顔を思い浮かべながらの読書でした。



「悪意の顔」・・・Sが嫌いな主人公。
自分をいじめるSをなんとかしたい。
偶然であった、謎の女性に、Sのことを話すと
私が消し去ってあげるというのだが・・・

不思議なキャンバスですね。・
いった真実は何?
そんな思いを感じながら
これまた、驚きのラスト。
そうか・・・S.。
君は怖いやつだな・・・・



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カラスの親指   著 道尾 秀介

カラスの親指   著 道尾 秀介



詐欺師の武沢と相棒の鍵師テツ。
以前は2人とも普通の男だったが
借金取立てやに人生狂わされ
今は、裏社会での生活。

そんな彼らは
「仕事」の途中で若い女性と知り合う。
彼女はまひろ。
ひょんなことから同居生活。
やがて彼女の姉とその恋人も同居するはめに

そして、武沢がかねてから恐れていたヒグチという男が
現れたことから、彼らは、一大芝居をうつことになる。


感想   いや~~、今回も騙されました。実に鮮やかですね。
詐欺師が主人公ということで、彼らに騙される人物たちがどのようになっていくのかを
こちら側から(読者が)、面白そうに眺めていればいいだけだよね・・・と
高く食っていたら、大きくはずされちゃいました。
その騙される対象者には、私たちも含まれていた・・・・笑

でも、悔しい・・・という思いは全然なし。
むしろ、いい話じゃないか・・・・という感動すら覚えてしまうのが
このお話の魅力であるのだな・・と思います。


カラスの親指・・・、誰もが、読む前はピンときませんよね。
素人・・玄人・・のもじりで、黒→カラスというのは
なんとなくわかるきもしますが、この親指の意味。
これは想像もしなかったことです。
説明されるその箇所をそのまま、自分自身、実行に移してしまうのは
当然かもしれませんね。
だって、興味深い事実だったんですもの。
思わず、なるほど・・・と感心してしまいました(電車の中で読書していたもので
妙な仕草をしてしまった自分・・笑)



詐欺の過程は興味深く思えることが多かったですし(銀行での詐欺とか、ペットショップでの餌とりのための詐欺とか・・まあ・色々とあるものね・・・と感心)
登場人物それぞれの、コメディタッチのやりとりも、
毎回、毎回、クスリ、クスリとさせてもらいました。
さりげないところが、ツボにはまったかな。
例えばね、武沢がまひろからかと勝手に勘違いしてしまうメールの件。
いかにもありそうな出来事でしたよね。

<ほんとうは感謝してます。助けてくれて嬉しかったです。>
こんなメールもらったら、武沢だって、うれしくなちゃうよね・・・。
それがね・・・笑
誰だって、話の流れから、まひろからだと思うのにね・・。
そういう、ちょっとしたミスリードさせるところが、話のもっていきかたとしてうまいな・・。


詐欺師の生き方を描いていますけれど、
それがいい!!といっているわけでなく、そうしなければ、いけなかった悲しい人間たちを描いているこの物語。借金取立て屋に運命を替えさせられてしまった人たち。
人生ってままならないものだったりします。
でも軌道修正はいつでもできる・・
そのことを教えてくれたのは・・・一体誰なのか、というのが鍵。
ネタバレしてませんよね。


人間はやっぱり、信頼しなきゃ生きていけない。
絶対に1人じゃあ無理。
人は人を信じなきゃいけない。

やっぱり、そうなんですよね。わかっているのですが、
でも、詐欺的な行為が世の中多いのも現実。
大事なことが、どんどん忘れ去られるような気がして寂しいです
疑ってばかりじゃあ悲しいですものね。



ミステリーに加え、家族の繋がり、人と人との繋がりに
とっても温かいものを感じることができ
後味の良い物語となっております。

是非、読んでみてくださいね~~~
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