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5   著  佐藤正午


結婚八年目。
記念日にもらったチケットでバリ島に訪れた中志郎と真智子夫婦。
いまや倦怠期を迎えたこの夫婦。
夫、中志郎は、妻に欲情もなにも感じない日々を送っている。
一方の妻はどうか。彼女もまた、素の自分をさらけ出し
愛を語るの忘れてしまっているようだ。
そんな中志郎の、前に
手袋をした奇妙な女が現れる
そしてその女とエレベータの中である事がおきる・・。
その後、中志郎に異変が生じる・・。



感想  佐藤正午・・・7年ぶりの新作長編です。
単純な恋愛小説とはちょっと違うような・・一風変わった小説です。

とにかく普通の小説とは違います。
今まで読んだどの小説とも違います。
なんていったらいいか・・
読む人をきっと選ぶような作品です。
でも面白いですね・・・。
ただ、女性向きではあまりないかもしれませんね。
作品の主人公は中志郎とは別にもう一人います。
中志郎の妻と浮気している
作家である男性=津田慎一です。
この2人の話が入り混じって、ストーリーが進んでいくのですが
作家のほうがですね・・・。
女性の敵のような人物なんですよ・・笑
出会い系にはまり、次々に新しい女性と関係を結びます。
誠意なんて言葉は知らないでしょうね。
マイペースで自己中。
ここがたぶん、女性なら許せない・・
こんなやつ、実際身近に居たら、殴り倒したくなりますよ。
でもでも憎めないところがあるのです。
・・なぜって
私の知り合いではないから・・・笑
いえいえ・・そうじゃなく
やっぱり彼の語りが魅力的だから。
飄々としたところが面白いキャラなんですよ。

言いたいことをストレートにいわず、
押し問答のような会話は
妙な違和感を感じるのでが
読んでいると次第に心地よくなります。
不思議です。

回りくどい書き方をしているし、
過去・現代と日付が行きつ戻りつで
誰と話しているのかわかりづらい部分も多いのですが
読む楽しさを味わえる・・そんなお話です。
登場人物の女性も
ハンドルネームを使うので
妙なものが多いです。

「必ず冷めるもののことをスープと呼び
愛と呼ぶ」

胸がキュンとする最初に記憶は
ペット・・猫である・・。


私は登場してくる女性が「ほえ」という返答する
ところがツボ
した。

ちょっと変わった恋愛小説ですが
やっぱり、愛を描いていることには
変わりありません。
超能力という胡散臭いものも出てきますが
それも愛を語るための
ものとして受け入れるといいでしょう。

スープが冷めるのは自然なこと。
冷めないスープなど
存在しない・・
そこまで言い切る潔さが
なんだかすごいな・・って思いましたね。
愛は移ろうものなのね・・・・。

題名の5。
手と手を指と指と合わせることからきていますね。
そのあとは読んでからのお楽しみです。

faibu.jpg

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鈍感力   著  渡辺淳一

鈍感力   著  渡辺淳一

17章にわたって
語られる鈍感力。
それぞれの世界でそれなりの成功をおさめた人は
いい意味での鈍感力を秘めているという。
具体的にはどんな鈍感さなのか・・。



感想  言わずと知れた話題の一冊。
なんだか・自分のミーハー加減に
ほとほとあきれる始末・・・笑

鈍感力があれば
すべてよし・・
うまく生きられるよ・・・と
訴えかけている本です。

そこに書かれているのは
一般的によく言われているようなことばかりかな・・と
思えます。
細かいこと、クヨクヨしてはだめだよ・・
気にしない・・気にしない・・・と
言われたことがある人もいますよね。
その延長線上と考えてみるといいでしょう。

それをあらためて文章で
実例を引き合いにして
説得力もって書かれています。
誰もが気づいていることですが
こう真正面向かって語られると
逆に新鮮にも感じられます。


信じるのもよし、いや・・そこまでいいっていいの・・と
思うのもよし・・・自由でしょうね。
なにしろ、作者個人の主張ですから。
でも的外れではないことだけは確かです。

自律神経についてや
感覚器官についての知識は
作者の医者ならではの経験に基いてのものなので
なるほど・・・と素直に頷かされ
面白く読みことができました。


ここに書かれていることは
他の渡辺エッセイで書かれているような
ことに近いのではないかと思います。
私・・・大体読んでいるのですが
かつての作品で引用したエピもいくつか入っていて
これ・・・以前に聞いたかもという
ことがありました。

具体的には
歯磨きチューブを巡る・・夫婦喧嘩の件
男女においては痛さの感じ方が違う・・出血の量について・・などかな。また男女間における駆け引きは
よく小説でもでてきますよね。


たまたま流行にうまく乗ったということも
ありますが
決して読んでつまらないということは
ないと思います。
時間があって、暇つぶしに読んでみるのは
ちょうどいい本だと思います。
ただ薄いわりには
高いような気がするの(1100円だったかな)で購入は躊躇いますね。なんども読みたい部類ではありませんので。

一文が短く簡潔に書いてあるので
非常に読みやすいです。

これこそが、鈍感力である
という形式の文章が多いので
言葉のリズムもいいです。

映画ファンや読書ファンにおいては
つねに感覚を研ぎ澄ましていないと
そのものを理解することはできないですよね。
鈍感すぎては楽しめない・・・。
時と場合によって
使い分けることができるのも大切でしょうね。

で・・そんな人間にどうやってなればいいのでしょう。
本の中では
明かされません。
そうやって生きるほうがいいと言うのみです。

神経が細い人って
なかなか改善できないのですよね。
もってうまれた性質でありますしね。

何事も
前向きに生きるのが
一番っていうことですね。



ポジティブにということで・・・

donnkan.jpg

ハンニバル

ハンニバル (2001  アメリカ)  監督 リドリー・スコット  出 アンソニー・ポフキンス  ジュリアン・ム-ア
     

今晩、放映ですね。
私は以前、DVDで観たことがあるので
見逃してもいいのですが
やっぱり・・ちらちら観てしまうかもしれません。
ライジングみたあとだと気になるしね。

でもグロいのですよね・・とっても・・・笑
あと、原作とは
ラストが少し・・違います。
原作のラストは・・ええ!!!!って感じですが
映画のほうは
なるほど・・そうきたか・・という結末ですね。

見所は色々ありますが
やっぱり、ゲイリーの特殊メイクでしょうか・・・笑

さて・・映画です。
・「羊たちの沈黙」の続編のこの作品。
今はイタリアのフィレンツェで司書の仕事に就いているレクター博士。かつての被害者
メイソン・ヴァージャス(ゲイリー・オールドマン)は
懸賞金をかけて、探そうとしていた。
レクターの正体を見破った警官パッツィは一人で彼を捕らえようとするが失敗。
一方、仕事でミスをしてFBIでの立場が苦しいクラウスの元にレクターから一通の手紙が届く。

パッツィの殺されるシーンや、話題になった、脳みその晩餐シーン
は映像でみるとさすがに生々しいのですが
地上波だとたぶん、一部カットでしょうね。

クラリスがジュリアン・ム-アに変わったのは
やっぱり、前作を観ているものとしては残念です。
でも、最後の黒のドレスのなまめかしさは
いいですね・・・。

個人的に好きなシーンは
ショピングセンターでバッハの曲が流れる中、レクターが木馬に乗っているところ・・・
クラリスの髪の毛を
ふわ~と触ろうとするのが
不気味だったわ。


レクターのクラリスに対する思いは
あの妹ミーシャへの思いと
同じなのかな・・・。

さてっと・・・
また・・確認してみよう・・・(観るのかい・・自分)


で・・(次の日)確認。
すご~~~~~~~い
カットでした。

これじゃあ・・初見の人には
意味不明なのでは。
叫ばせてもらいます。

リオッタ~~~~~~~
悲惨すぎ

ハンニバル・ライジング

ハンニバル・ライジング (2007 アメリカ・イギリス・フランス)

HANNIBAL RISING


監督: ピーター・ウェーバー
製作: ディノ・デ・ラウレンティス
マーサ・デ・ラウレンティス
タラク・ベン・アマール
製作総指揮: ジェームズ・クレイトン
ダンカン・リード
原作: トマス・ハリス 『ハンニバル・ライジング』(新潮社刊)
脚本: トマス・ハリス
撮影: ベン・デイヴィス
プロダクションデザイン: アラン・スタルスキ
衣装デザイン: アンナ・シェパード
編集: ピエトロ・スカリア
ヴァレリオ・ボネッリ
音楽: アイラン・エシュケリ
梅林茂
 
出演: ギャスパー・ウリエル (ハンニバル・レクター )
コン・リー (レディ・ムラサキ )
リス・エヴァンス (グルータス)
ケヴィン・マクキッド (コルナス)
スティーヴン・ウォーターズ (ミルコ)
リチャード・ブレイク (ドートリッヒ)
ドミニク・ウェスト (ポピール警視)
チャールズ・マックイグノン (肉屋のポール)
アーロン・トーマス ハンニバル(子供時代)
ヘレナ・リア・タコヴシュカ (ミーシャ)
イヴァン・マレヴィッチ
ゴラン・コスティッチ

 1944年のリトアニア。
戦争で両親を亡くしたハンニバル少年と
妹ミーシャ。
彼らは2人、山小屋で暮らしていた。
そこに逃亡兵グループが乗り込んできた。野蛮な振る舞いをする
彼ら。やがて食料がなくなり、彼らは獲物を探し始める・・。
それから数年後。
孤児院で暮らす青年ハンニバル。その暮らしに不満を感じた彼は
やがて脱走し、パリの叔父を訪ねる。
しかし、叔父はすでに世を去り、未亡人の日本人女性レディ・ムラサキが、いるだけだった。彼女はハンニバルを
迎え入れる。その後、ハンニバルは勉学に励み医学生に。
やがて心の奥に眠っていた復讐心を目覚めさせる。



感想  「羊たちの沈黙」「ハンニバル」「レッド・ドラゴン」
に続く第4作目。
今回は時を遡って
ハンニバル誕生にまつわる・・物語です。
ということで・・・アンソニー・ホプキンスはさすがに
出演しませんね・・・笑

このシリーズ・・一応すべてみておりますので
今回もきちんと鑑賞。原作も、レッド・ドラゴンとハンニバルは
読んでいたのですが、今回は多少情熱も薄れており、
(このシリーズも4回目だしね・・・)パスしての
映画鑑賞です。
前作のレッド・ドラゴンはレイフファインズの殺人鬼。
出演者も豪華で自分的には評価は高かったですが
今回はどうなることか・・・。

今回、主演は、ギャスパー・ウリエル君です。
この映画の製作が決まって、主演が彼だと知り
正直驚きましたね。
え・・・彼がやるの?・・・って。
殺人鬼・・・やっちゃうの?・・・ってね。
なにぶん、想像がつかないところがあり
出来も心配でしたが、なにより悪の血に染まってしまうというのが
複雑な気分。
でもまあ・・・演技の幅を広げることは大切ですよね。
レイフも色々演じているしね♪

私の中での
レクター博士は、アンソニー・ホプキンスであり、
その名前は非常に大きかったです。
若き日といえども、やがて彼につながるという人物ということは
わかっているので演技においてもプレッシャーがあったのではないのか
しら。
そんなことを観るまえから色々考えていましたが
映画が始まってしまうと
次第にそんなことなど、気にならなくなってしまいました。
とにかく彼の行動に注目するのみ・・・で。
そのうち
ハンニバル=ウリエル君という図式もありかしら・・と思えてきました。

彼は、孤児院時代、過去の忌まわしい記憶からか
言葉を発することができませんでした。
そうとうのトラウマがあったようです・・・
寝言では言葉をだしていたけれど日常会話はダメみたい・・
そんな彼が
・・レディー・ムラサキ(すごいな名前・・笑)
と出会ってから
初めて言葉を交わすようになって・・。

彼女に対して
「ありがとう」といったのかな・・・。
心を許し始めたということでしょうね。
この時の声質がまあ・・
素敵だわ・・・・・・って感じましたよ。
だって、ここでおまぬけな感じだとがっくり・・じゃない?
語り口も、ゆっくり落ち着いていて、
まずは、第一段階よし!!ではないですか・・。

続いて・・殺人行為を繰り返すようになってから・・。
殺人を行うときの眼差し・・
首を傾ける様とか・・あごを引き気味にする様とか
さらには・・・・微笑む様など・・
これはこれは・・・!!妖しい殺人鬼にふさわしい
雰囲気充分かもし出していましたよ。
彼が・・やがてアンソニーホプキンス=ハンニバルと
なりゆるのも
体型は別として充分あり。。だと
確信できました。良いね~~

とってもとっても彼・・
頑張っていましたよね・・。偉かったね・・・と
抱きしめてあげたくなりましたよ。殺人鬼でしたけれど
美しかったです。必殺仕事人ばりの
剣のさばき・・。後ろに隠し持って、グサリというのは
まるで忍者のようでしたね。


冒頭は、戦争さなかの混乱した場面。
荒々しい兵士達にはんして、見るからに
弱そうなとある一家。
ハンニバル・ハンニバル・・と何度も
聞かされ(母親が呼んでいた・・・)
ああ・・この物語はハンニバルのことね・・・としっかり
頭にうえつけられました。
スタートのハンニバルは子役。
子役がまた可愛らしい・・。
この子役とウリエル君はあまり似てはいなかったのですが
そこは目をつぶりましょう・・・。
さらに、妹ミーシャは輪をかけて可愛いですね。
ハンニバルにも
こんな可愛らしい子供時代があったのですね。


主役の彼の頑張りは認めるにしろ
物語自体としてはあまり魅力的には感じなかったのが
残念。

レクター博士は殺人鬼ですよね。
でも、今までのシリーズをみていて
彼自身に嫌悪感を感じることはありませんでした。
それは殺人という異常な行為とは裏腹に
高尚な趣味をもち、美食家であり
さらには、類まれなる洞察力をも持ち合わせているという
彼自身の魅力がそうさせていたのだと思います。
この不思議なギャップですよね。
殺人なんて残酷なことには、興味ないと思わせておいて
実はさらりと・・・行ってしまう彼。
無様な態度はけしてみせないでしょ。下品な言葉も行為も
大嫌い・・。
あくまもスマート。
実に紳士的であるそういう人物像でしたよね。

そういう人格・・・
どういった生活環境で生まれ
どうやって形成されてきたのか・・。

誰もが興味を覚えることだと思います。

物語はその答えとなるものを用意していたわけですが
この流れ(ストーリー・・ね)からだけでは
彼の魅力をすべて解明するまでには
至らなかったように感じます。
もしかしてスタート時点にたったばかりだったからかしら。
これから徐々に明かされていくのかしら。というより
続編はあるの?

いってしまえば・・・ただの復讐劇。
肉親を殺され復讐するというまでは理解できても
その後も殺人鬼として生きつづけていくという姿は
納得できないところであります。
なにより、カニバリズムをどう
生活の一部としていったかが
腑に落ちませんね・・。
復讐終ればそれでよし・・でありますしね。

たぶん、リス・エヴァンス (グルータス)のあの
衝撃的な言葉で
・・・プッツンしてしまった(さらなる怪物となった・・・)
と考えればすべていいのかもしれないけれど
どうもあっさり・・・すぎる感もあります。
もっと深いのではないかな・・・なんて
思ってしまう自分もいますね。

確かに妹のことは
それなりに強烈ですけれど、
いかにも・・・っていう
感じがするのが(妹の事件→新たにわかる衝撃的な事実→
カンニバル・ハンニバルへ・・・・・)という
図式がやや安易に感じられるのです。
もっと何かあるんじゃないの・・・・ってね。


復讐劇・・
そこだけが
強調されすぎて
物語として面白みに欠けたのではなかったかな・・・・って
気がします。

なにしろ・・・先が見えてしまうのが惜しい・・・。
次は・・彼ね・・彼ね・・・って
想像できてしまうのでサスペンス的な面白さは
あまりなく
かといって心理劇的な面白さは・・というと
これもイマイチ。

ハンニバルに影響を与えたとされる
レディ・ムラサキの存在は薄いですね。
ハンニバル以上に
彼女の存在こそが・・・・・謎ですわ・・笑
お家にあんな鎧兜
置いてあったり・・
武士道を説いていたり・・・そんな日本人
いますか・・・。彼女の人格形成こそ・・知りたいです。

広島で原爆にあって肉親をなくしているとか・・・
生首をみても動じない彼女・・
一体・・何者?・・笑

日本・中国・・英語・・舞台はパリ。
なんだか・・ごちゃごちゃ・・しています・・。
国際色豊かな作品となっていますね。


ウリエル君を堪能するには
最高の映画だと思います。
これはこれで素敵かもしれないけれど
できれば・・私は違った役の彼のほうがいいな・・・・・・

それと リス・エヴァンス ね。
なんてこんな非情な役柄なのかしら・・。
これじゃあ・・これを見て彼に惚れる人は
いないよ・・・と少々不憫に感じました。
リスも素敵なんだけどね。

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フリック・ストーリー

フリック・ストーリー (1975 フランス・イタリア)

FLIC STORY


監督 ジャック・ドレー
製作: アラン・ドロン
レイモン・ダノン
原作: ロジェ・ボルニッシュ
脚本: アルフォンス・ブーダール
ジャック・ドレー
撮影: ジャン=ジャック・タルベ
音楽: クロード・ボラン
 
出演: アラン・ドロン
ジャン=ルイ・トランティニャン
クローディーヌ・オージェ
マリオ・ダヴィッド
レナート・サルヴァトーリ
アンリ・ギーベ
アンドレ・プース
モーリス・ビロー
ポール・クラウシェ
マルコ・ペラン
モーリス・バリエ



凶悪犯のエミールが脱獄。
フランス国家警察局のボルニッシュは、
彼を逮捕すべく動き出す。



感想  お友達の武田さんのサイトで、見つけたこの作品。
たまたま地上波で放映していたので
録画鑑賞しました。


映画の感想を書いていながらなんですが・・
私のもっとも弱いのが・・一昔前のフランス映画であります。
なにせ・・・あまり観ていない・・・汗。

出演者にしても他の作品をあまり観ていないので
比較感想はできない始末・・・汗。


そういう状態での感想なので映画初心者ね・・と
温かくみてもらえばうれしいです・・笑

アラン・ドロンと
トランティニャン。
さすがに名前は知っています・・・・笑
アラン・ドロンはなんと・・2本だけ(太陽がいっぱいと
冒険者たち・・・よ)
トランティニャンは、離愁・激しい季節(かなり昔の作品ですね・・)
のみ。ファンには怒られるかもしれませんが
そんな程度の知識です。
それでもこの2人が共演しているというだけで
期待度が増します。

内容はいたってシンプル。
犯人逮捕までの経緯を描いた作品です。
これ・・実話なんですね。
凶悪犯ということで、たしかに、裏切りものを情け無用に
撃ち殺すシーンがいくつかでてくるのですが
目を覆うような残酷的なものには感じませんでした。
派手な演出もなく・・皆、あっさりと死んでしまうからでしょうね。
なにしろ、裏切ったら・・・一発・・・ですからね。

そんな冷酷犯を演じるのは
トランティニャン。
私・・彼の恋愛ものしか観ていないので
この悪人役には驚きましたね。
他の作品のイメージがあるぶん、
憎めないところはありました。

アランドロン扮する刑事は
優秀であるという設定なのですが
どこかお茶目なところがあり、
とっても親近感もてました。

犯人を追いかけて窓から飛び降りても
転げ落ちてしまうキャラなんですよ。
普通、カッコイイ刑事って
なにやってもバッシ!!と決まるじゃないですか?
でもそうじゃないの。

また、恋人とのちょっとした口げんかも
署の電話口でやってしまう・・とっても庶民的な方。
仕事している中にプライペートもチョッピリ入れ込んでしまうのも
どこか愛らしいですよね。

でも、身近に感じる男ね・・と思っても
やはりドロン刑事。
ファッションはしっかり決めていて
どこか凡人にないオーラがあります。

トレンチコートでカッチリした姿もよかったけれど、
ベレー帽とジャケット姿も
素敵でした。

いつも口にはタバコ。くわえながらの会話も多く
体のほう心配しちゃいました。


この映画の一番の見所は
最後の食堂シーン。

カトリーヌも参加しての大芝居です。
食堂に入った4人は、犯人に出くわします。
食事を待つ間に
カトリーヌは部屋においてあったピアノを弾き始めるのです。

外にいた犯人はその音色に弾かれて中へ・・
そしてピアノの傍らへ。


弾くのはシャンソン。

く~~~~~~(渋すぎて思わず声が・・)
彼女のピアノを聞きながら一瞬、優しい眼差しをむけるトランティニャン。

そのあと、劇的な展開が訪れることもしらずに・・。

ピアノをさらりと弾ける彼女に
憧れを感じました。  お洒落じゃない・・・?
(ここでは出てきませんがピアノを弾く男というのも
憧れます。男性のピアノも好き。)

このときのトランティニャンには
冷酷な犯罪者というものが感じられません。
なぜか、昔を懐かしむような・・・
愛おしいものを見るような・・・
そんな顔をみていると
彼も違った生き方ができたのではないかな・・・
なんて思わずにはいられません。
こんな何気ない出来事で
その人の人生を感じさせるというところが
味があっていいですね・・・本当。


フランス映画これをきっかけにまた見ていきたいと
思います。
とりあえず・・きちんと見たことがなかった
「男と女」いきます~~♪
待っていてね・・トランティニャン


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空白の叫び   下  貫井徳朗

空白の叫び   下  貫井徳朗


少年院でであった3人。
出所してからそれぞれの別の生活空間で
過ごしていたが・・、
彼らの更生への道は険しかった。
様々ないやがらせ、思うように行かない現実・・
やがて彼らの心には新たな闇が生まれてくる。
3人は再び連絡を取り合い、
ある事件を起こそうと企む・・・。


感想   さて・・・下巻の展開。
少々、現実離れしているところも感じられましたが
こちらも一気読みできるパワーをもった作品となって
おりました。

上巻から気づいていましたが
3人のキャラたちは(特に2人・・)かなり
一般年齢より大人びた考えをもっております。
それが正しいかどうかというよりも、
一本筋が通っているということですよね。
一番年相応に感じるのは
神原でしょう・・。
でも、この神原こそが一番の悪人として描かれているところが
やりきれないところかもしれません。
彼の考え方ですね・・
ただただ自分の都合のいい風に、自分勝手にしか
事をとらえないところが、腹立しく感じるのです。
自分を正当化する・・
自分に不利益なことをすぐに排除する・・
どっちつかずに優柔不断・・・
自分のプラスになる方にしかつかない・・
つまり・・根本的に人を信じない・・

何故・・彼はこうなってしまったのでしょうね。
罪を犯す前は、そんなこと・・微塵も感じ得なかったのに。
院での生活がそうさせたのか・・
いや・・そもそも、根っこの部分でそういう気質が
あったのか・・。
少年院出、3人中では一番家庭環境に同情の余地がありました。
殺人理由も・・・理解できると言い切るまではいかなくても
多少は、くみとってあげたい感情もあります。
だからこそ、その後の彼・・(少年院を出てから・・)
の姿にはただただ幻滅を覚えるだけでした。
恐いと思いましたよ・・
こういう一見心根が優しいと思える子が
変貌していくと・・・。
家庭環境?・・院生活・・?その後の社会環境・・・?
多少なりとも因果関係があるにしろ・・
最終的な部分では、
持って生まれたものの力・・・が関係しているのではないか。。
・・と思ってしまう自分ですね。


ミステリータッチで謎が謎を呼ぶ展開は
面白いです。
色んな人物達がこの3人にかかわり
様々なドラマが展開されるのです。
殺人という目に見える大きな罪以外にも
社会の中には沢山の悪が潜んでいます。
でも・・すべて3人の起こした罪が
出発点であるように感じます。
罪を犯さなければ、その後の人生でこれほどまでに
つらい現実が襲ってきたりはしなかったのだから・・。

興味深い展開ですと、ただストーリーを追うだけに集中してしまい
肝心なものに目を向けないでお終いにしてしまう
ところがありがちですよね。この物語もそんなところが
あるのですが
やはり、テーマがテーマなだけに
きちんと、・・なぜ罪を犯すのか・・・か
なぜ、再犯してしまうのか・・というところを
押さえていきたいですね。

後半、久野の罪を問いただす理恵の父親。
重い言葉が続きます・・。被害者側の気持ちが一番如実に感じる
文章で心が痛みますね。
神原の幼馴染の佳津音の気持ち。最後まで純粋に
彼を信じていましたね。彼の本質も知らずに・・
哀れにも感じてしまいました。

久野を最後まで苦しめた瘴気・・・

瘴気・・・て何?<熱病を起こさせるという山川の毒気>だとか。
毒気・・・ね・・。
どうして心に住み着いてしまうのか・・
もっていても、上手に処理できる人も
いるのに・・。残念な結果ですね。

ともかく・・この3人は当然の報いを受けます。
その点では後味が悪いということはありませんが
ただ・・やっぱり・・
この手の話はどんより・・感を覚えてしまいますね。

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ダック・シーズン

ダック・シーズン  (2004    メキシコ)


監督:フェルナンド・エインビッケ
脚本:フェルナンド・エインビッケ、パウラ・マルコヴィッチ
撮影:アレクシス・サベ
音楽:アレハンドロ・ロッソ
オープニング曲:「ガチョウ(アヒル)のサンバ」(ナタリア・ラフォルカデ)

【CAST】
フラマ:(ダニエル・ミランダ )
モコ:(ディエゴ・カターニョ )
ウリセス:(エンリケ・アレオーラ )
リタ:(ダニー・ペレア)




フラマとモコは大親友。
ある日曜日の朝。
2人は留守番を頼まれる。
早速、コーラを、そそぎ、ポテトチップスを食べ、
テレビゲームに熱中し始める。
そこへ、隣人のリタがやってきて、ケーキを焼きたいので
オーブンを貸してくれないかと申し出る。
しぶしぶ招きいれる2人。
そのうち、停電がやってきた・・。
参ったな・・・。しょうがない・・ピザでも取ろう。
ピザの配達人ウリセス。
バイクを飛ばし、停電のため、エレベーターが動かないので
一生懸命階段を駆け上がり、やっとのことでフラマの自宅へ。
時間切れだ・・。
フラマとモコは、時間通りに届かなかったといって料金払いを
拒否する・・。
困ったウリセスはとうとう部屋に上がりこんで・・・。



感想  メキシコ映画というわけですが
私たちの日常とまったく違わない生活が描かれていますので
とっても観やすいです。
といっても、好みはあるかな・・。
小難しいことは何もない作品なので
映画に描かれる世界そのままのように
のんびり・・まったり・・・した時間を過ごしたい&かつ
微笑ましさも味わいたいと思う方には
ピッタシ・・・ではないでしょうか。

この作品・・・ネットで色々検索していて
たまたま見つけました。まさに掘り出し物・・・・笑
作品紹介文がそそられたのですよ・・。

amazonより・・・
<ジム・ジャームッシュの再来を思わせる。フェルナンド・エインビッケ監督デビュー作「ダック・シーズン」はメキシコ映画界のアカデミー賞と呼ばれるアリエル賞で11部門受賞という前代未聞の快挙をなしとげたばかりか、世界各国の映画祭でも多数の受賞に輝き、エインビッケ監督は米バラエティ誌の"これから見るべき10人の監督"にも選ばれている。
<主な受賞歴>2005年メキシコ・アカデミー賞(アリエル賞):作品賞・監督賞・主演男優賞・主演女優賞・脚本賞・撮影賞・美術賞・編集賞・作曲賞・音響賞・第一回長編作品賞受賞/2004年グアダラハラ国際映画祭:最優秀メキシコ映画賞・監督賞・主演男優賞・主演女優賞・脚本賞・作曲賞・音響賞・国際批評家連盟賞受賞/2004年AFIロサンゼルス国際映画祭:作品賞受賞/2004年テサロニキ国際映画祭:監督賞受賞/2005年パリ映画祭:審査員特別賞受賞/2005年MTVムービー・アワード・メキシコ:主演女優賞受賞、作品賞・主演男優賞・音楽賞ノミネート >


↑なんだか、凄いでしょ。
これだけでも映画好きの興味をかきたてられますよね。

お話は
あらすじにもあるように単純明快。
映像がモノクロなんですよ。
どういった意味があるのかわからないのですが
久々に観るとこれも味があってよろしいかと思います。
登場人物は
ほぼ4人のみ。
舞台もマンション一室のみ。
つまり、彼らの行動と言動で楽しませてもらう
映画なのです。
ともすれば、退屈にさえもなってしまうのに
そうならないところが、演出のうまさなのでしょうか。

ピザ配達人相手に、真剣勝負のサッカーゲーム。
このゲーム画面が実に
迫力があって、
観ている私も手に汗握ってしまいましたよ。
こんなことで(料金未払い問題)
ゲームにのめりこんでしまう
彼らを・・妙に感じたり(仕事いいんかい・・ピザ配達人よ~~)
現実にありえたら最高だよな(だってこのノリの軽さ・・いいじゃん!!)様々な感情が渦巻いてしまいましたよ。
・・今日本なんて、親切心で部屋に他人をあげただけで
犯罪に巻き込まれてしまいますからね・・
映画のように微笑ましい世界があるのは
ある意味憧れに感じますよ。

平和な彼ら・・。
でもそのうち、彼らが抱えているものも少しずつ
明らかになってくるんですよ。
お気楽なだけでもないみたい・・。


偶然であった
4人。
ほんのひととき過ごした時間だけれども
彼らにほんの少し変化をもたらせたみたい・・。


小粋な感じのする
オープニングのガチョウ(アヒル)のサンバ。
必見です。

ちょっと歌・・聴いてみてね・・こちら→http://www.crest-inter.co.jp/duck_season/pv.html
冒頭で映し出させるフォトも素敵でした。
dakku.jpg

空白の叫び  上  著 貫井徳朗

空白の叫び  上  著 貫井徳朗



感想  少年犯罪がテーマの作品です。
冒頭には
「この物語は二〇〇〇年の少年法改正以前を舞台にしています」
という断りがされております。
とりあえず、
上巻を読み終わりましたので、
興奮さめない状態の今・・、感想UPします。

いや~~~激しい作品でありました。
続き・下巻が早く読みたいです。


性描写がかなりリアルなので、女性としては
ちょっとげんなりするところもありましたが
先を読まずにはいられないような展開に
時間を忘れて読みいってしまいました。

上巻のこれは、二部構成です。
主人公は14歳の少年、3人。


第一部  胎動

各々の少年達の生活状況が紹介されます。
共通点は年齢のみ。生活境遇はまったく違います。

1・・久藤美也・・・両親と3人で暮らす中学生。
家族に対して強い反発心があり、自分の心を素直には
表わそうとしない少年。
小学生時にいじめにあった経験から権力を示したもの勝ちという
ことを学び、中学生になった今は、
人を押さえつける立場に逆転している・・。
そんな彼が唯一恐れているのは、彼の脅しに決して
動じない強い意志をもった
非常勤講師柏木理穂。
2人はそのうち・・意外な関係を結ぶ・・。

2・・葛城拓馬・・・金持ちで
頭脳明晰、容姿端麗な少年。
父親は妻を定期的に変える女好き。
今の母親も何度目かだが、少年にとっては決して嫌なタイプではない。
むしろ、気になるのは、
屋敷に一緒に住む使用人の息子である英之。
幼馴染ではあるが彼とは比べものにならないほどの
貪欲で無知な少年が英之なのである。
英之の存在は、やがて彼を脅かし始め・・・


3・・神原尚彦・・・祖母と叔母聖美と三人暮らしをしていたが
ある日、祖母が突然倒れ、叔母と二人となる・・。
母親は彼を捨てて別で暮らしているが
祖母のことがきっかけで連絡を取り合うようになる。
やがて遺産のことで
叔母と母親がもめ、
彼もまた、2人の間に挟まれて苦しむようになる。
そんな頃、叔母に好きな人ができたと知る少年だが・・。



第二部・・

今まで何のつながりもなかった3人が
出会うきかっけとなった・・・少年院が舞台。
彼らが起こした事件がかなり衝撃的なもの。
その内容は、自分の目で確かめてください・・。

ここでの出来事は
映画で言えば・・・
まさに・・・スリーパーズ・・状態。
映画はこちら→http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=52338ブラッド・ピット主演のあの映画です。

まるで・・映画と同じ状態。
実際どこまでが
本当のことが・・計り知れないけれど、
背筋が寒くなるような物語展開です。
とても・・10代の少年の行動とは思えません。



植物になるように
生きていく・・彼ら。
彼らに、同情することもなく
感情移入もできないのだけれど、
ただただ事の成り行きが気になります。

さて・・・下巻ではどんなことが待ち受けているのか。
無事に刑務所から出られるのでしょうか・・

読み応えのある小説です



kuuhaku.jpg

恋は足手まとい   

恋は足手まとい   (2005  フランス)


UN FIL A LA PATTE


監督: ミシェル・ドヴィル
製作: ロザリンド・ドヴィル
原作: ジョルジュ・フェドー
脚本: ロザリンド・ドヴィル
撮影: ピエール=ウィリアム・グレン
プロダクションデザイン: ティエリー・ルプルスト
衣装デザイン: マデリーン・フォンテーヌ
編集: アンドレア・セドラツコヴァ
音楽: カンタン・ダマンム
 
出演: エマニュエル・ベアール ( リュセット・ゴーチエ )
シャルル・ベルリング (エドワール・ド・ボワダンギアン )
ドミニク・ブラン ( デュベルジェ男爵夫人 )
サラ・フォレスティエ ( ヴィヴィアヌ )
スタニスラス・メラール ( イリグア)
ジャック・ボナフェ
マチュー・ドゥミ
ジュリー・ドパルデュー
トム・ノヴァンブル
クレマン・シボニー
パトリック・ティムシット


原作は劇作家ジョルジュ・フェドーの戯曲。
美しい歌姫リュセットは、
一文無しのプレイボーイ、エドワールに夢中だが
彼は、お金目当てに伯爵令嬢のヴィヴィアヌとの結婚を決めており、
リュセットへ別れ話を切り出そうとしていた。
婚約式当日。
今日こそは、けりをつかなくては
と思っていたエドワールだが、
リュセットの屋敷には、彼女をねらって次々と
男たちが訪れ、なかなか言い出しにくい。
機会を失うエドワール。
そのまま・・式へと向かうのだが
なんとその式に、彼女が招待されていると知りさらに大慌てに
なる・・。


感想   いかにも・・フランス~~といった
恋愛コメディです。
お国柄が違えば、笑いのツボも違うということで
大笑い・・というところまでには
いかずに鑑賞しました。
楽しい映画ね・・というぐらいの
感覚でしょうか。ちょっと覚めた目で観てしまうと
きっとついていけなくなってしまうでしょうね。
(ドリフのコントぽい・・のり・・・笑)
バカだね・・君たち・・という軽い感覚で
肩の力を抜いてみることをお勧めします。
19世紀の社交界が舞台=コスチュームものですので
エレガントでしっとり・・もしくはドロドロ系の方が
本当は好みなのですが、今回は特別。
内容よりも
配役に惹かれての鑑賞でしたので
こういったジャンルでも・・OKということになっております。
満足しておりますよ・・・笑

おフランスですからね・・
驚くような行動も
さらりと・・・できてしまいます。
昼間から、エッチもしていますし、
場所問わず、そこら辺においてあるソファーで事も
さらりと済ませちゃいますね。
声も大きいし・・・・・笑

主演はエマニュエル・ベアール・
彼女のフランス映画コメディは
はじめて観たかも。ドタバタ劇もなかなか似あっておりました。
可愛らしいですね・・。
冒頭の泣き顔からしてキュートでした。
歌姫ということでしたが
歌を歌う場面はほとんどありませんでした。
本当に実力あるのか・・・不思議。

彼女にまとわりつく
男たちは色々いるのですが
彼女のお目当ては
シャルル・ベルリング 。
全然かっこよくないのが
これまた不思議・・笑

登場してくる
男たちの中では
やっぱり・・スタニスラス・メラール が一番
素敵でしょう。
でも教養はあまりなさそうなキャラのようです。
フランス語の韻を踏んだ会話をベアールとするのですが
ほとんど言葉に関して
御付きに尋ねる始末でしたからね・・。(字幕ではこの会話の
楽しみ方がイマイチよくわかりませんでした・・)
でも見た目のよさ・・から、
無知でもいいや・・と思わせてしまうところがありました。

シャルル・ベルリングの結婚相手の
女性は若くてとても美人でしたよ。
なんで。。こんなおじさんと結婚しようと
思うのかこれも不思議。


一幕、二幕、三幕という具合に
舞台は変わっていきますが
出演者はほぼ同じ面々。

最後にオチも用意されています。


意外なカップルの
誕生も
紹介されていて・・・
おもわず、ニマリとする展開と
なっておりました。

めでたし・・めでたし・・ということで
後には何も残りません・・・笑


でも小道具や
衣装などがさすがに凝っていて目の保養となること
間違いなしです。

バラの花束の中から
カルティエが出てきたり、

拳銃が扇に化けたり
なかなか
面白かったです。

息がくさい・・男なんて、ギャグもあったけれど、
笑っていいものかどうか
こういうところ・・迷うのですよね・・。


スタニスラス・メラールは前回の「イザベル・アジャーニの惑い」の
ときは、魅力が落ちたわ・・なんて
自分の感想に書いていたのですが
今回は渋みを感じて(きらめく美青年という感じはもはやなくなっていたけど・・)やっぱり・・・いいじゃない?と思いなおした次第です。
ころころ変わるな・・自分・・笑
でもやはり・・・彼は「ドライ・クリーニング」
シャルル・ベルリングとスタニスラス・メラールと聞くと
「ドライ・クリーニング」ですものね。
あれは面白かったですね・・しみじみ。
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ブラッド・ダイヤモンド

ブラッド・ダイヤモンド  (2006  アメリカ)

BLOOD DIAMOND


監督: エドワード・ズウィック
製作: ジリアン・ゴーフィル
マーシャル・ハースコヴィッツ
グレアム・キング
ダレル・ジェームズ・ルート
ポーラ・ワインスタイン
エドワード・ズウィック
製作総指揮: レン・アマト
ベンジャミン・ウェイスブレン
ケヴィン・デラノイ
原案: チャールズ・リーヴィット
C・ギャビー・ミッチェル
脚本: チャールズ・リーヴィット
撮影: エドゥアルド・セラ
プロダクションデザイン: ダン・ヴェイル
衣装デザイン: ナイラ・ディクソン
編集: スティーヴン・ローゼンブラム
音楽: ジェームズ・ニュートン・ハワード
 
出演: レオナルド・ディカプリオ ( ダニー・アーチャー )
ジェニファー・コネリー ( マディー・ボウエン )
ジャイモン・フンスー (ソロモン・バンディー)
マイケル・シーン ( シモンズ )
アーノルド・ヴォスルー (大佐 )
カギソ・クイパーズ ( ディア・バンディー)
デヴィッド・ヘアウッド ( ポイズン大尉 )
ベイジル・ウォレス ( ベンジャミン・マガイ )
ンタレ・ムワイン (メド)
スティーヴン・コリンズ (ウォーカー)


内戦が続く90年代のアフリカ、シエラレオネ。
漁師ソロモンと息子の暮らす村は
反政府軍RUFが襲撃される。
ソロモンは採掘場で労働を化せられ
息子は軍に拉致され兵として働かされる。
ある日、ソロモンは採掘中、
大粒のピンク・ダイヤを発見し、隠しながら、土に埋めることに成功。
一方、
ダイヤの密輸に手を染める男ダニー。
ある場所で、そのダイヤの存在を知る。
やがて、ダニーは、ソロモンを見つけ出し、
離れ離れになった
家族捜す代わりにダイヤの隠し場所を明かすよう迫る。

アメリカ人女性ジャーナリスト、マディー。
ダニーと偶然であった彼女もいつの間にか
ダイヤ獲得に巻き込まれる。
果たしてダイヤは
見つかるのか・・。



感想    良かったです♪
見応え十分の、社会派サスペンスでした。
ディカプリオというすでに名のあるスターが主演で(影の主役は
ジャイモン・フンスー でもありますが・・・・)
ダイヤを巡る争奪戦ときくと、ワクワク・・楽しい冒険活劇
のようなイメージに感じられますが
そこは全く違いましたね・・。楽しいという感覚よりは
重苦しいという感覚の方がふさわしかったのです。
映画は
家族愛や、男同士の信頼関係、ダイヤ密輸の構造、
背景になるアフリカにおける現状などなど・・
描かれるものが多かった分、
色んなメッセージを受け取ることが出来ました。
ジャイモン・フンスー の家族への愛情の大きさと
ディカプリオの終盤の行動には
素直に涙してしまいました。




アフリカが舞台のこの映画。
この国の現状について、今回も衝撃を覚えました。
ナイロビの蜂・・・やシティ・オブ・ゴットなどと同じように
弱いものが犠牲になる現実。
同じ民族なのに闘わなくてはいけないのは・・・何故?
撃ち殺す相手にだって、家族が居るはずなのに
どうしてなんの迷いもなく行動できるのだろう・・。

ダイヤ・・という輝きのために・・
労働を強いられる人々たちが居る・・
そして、そのダイヤのために、子をさらわれ
戦闘兵器と化せられる親が居る・・・
なんて悲しい現実なのだろう・・。

戦いのない平和な国に居る自分は
ただただ、その恐ろしさと悲惨さに胸を痛めることしか
できないのだけれど、少しでもこの現実を知りえたということは
きっと、これからの自分にプラスになっていくに
違いないと思います。私が日々感じている悩みなど
きっと大したことじゃない・・・・・って思えることだけでも
大きな収穫でしょう?
何が出来るって今はよくわからないけれど、
まずは、知ることが・・大事じゃないかなって思いますね。

毎日の食べ物にも困らない裕福な私たち。
ダイヤ・・といえば、幸せ、の象徴のように考え、
テレビでの芸能人の婚約会見では
そのカラット数や大きさを何の疑問も感じず、見入っていた
自分が恥ずかしい気がしました。

とダークなことを思いながら
しっかりストーリーを味わいました。

そして
俳優人についての話も少し。


ディカプリオ・・・ディパーテッドより
はるかに良かったです。
そもそもあちらはリメイクでしたし、
キャラ設定に深みがなかったのが痛かったのですが
こちらは・・内面に抱える苦悩がストレートに出ていましたし、
何分、彼自身の見せ場が多かったので、より存在感があったように
思います。
世間的には批判を浴びる行為ではあるものの・・・
そうやって生きなくてはいけない彼の人生そのもののに
どこか哀れみを感じずにはいられなかったです。
家族を持つことはない・・・といった
彼のセリフがとても悲しかったわ・・。


一方のもう一人・・の主役とも言うべき
ジャイモン・フンスー。
こちらは人の親ならば、絶対感情移入してしまうキャラです。
もちろん、彼も良かったですね。
彼の作品、他にも色々観ていますが
映画好きの方ではないとあまり知らないかも。
今までもどの作品の役も、魅力的に演じてはいましたが
今回のこの作品で知名度もグ~~ンとあがったのではないでしょうか。
そういう意味ではこの作品は彼にとっては
ベスト一本ではないでしょうか。


ジャーナリスト役のジェニファー・コネリー ・・。
結婚して子供を生んでも美しいです。
知的で行動力のあるこの役にピッタシでした。
ディカプリオと信頼関係を築いていく過程が
素晴らしかったです。美男&美女だったので、下手すると
俗っぽい恋愛関係にならないかと心配したのですが
そうさせない(あくまでもプラトニック・・)演出に
思わずうれしくなりました。そうでなかったら大幅減点・・。

ちなみに・・大佐を演じていた
アーノルド・ヴォスルーはどこかで観たな・・と思っていましたが
そうです・・24のシリーズⅣに出ていた方でした。
ジャック・バウワーは出てきませんでした・・笑



監督は「ラスト サムライ」のエドワード・ズウィック。
彼の作品では、レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い
が好き。
登場人物の心情描写がうまく、感動をもたらす、作品が
多いですよね。
お勧めの一本だと思います。
ディカプリオファンもそうでないかたも
是非・・。


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ローズ・イン・タイドランド

ローズ・イン・タイドランド  (2005 イギリス・カナダ)
TIDELAND


監督: テリー・ギリアム
製作: ガブリエラ・マルチネリ
ジェレミー・トーマス
原作: ミッチ・カリン 『タイドランド』(角川書店)
脚本: テリー・ギリアム
トニー・グリゾーニ
撮影: ニコラ・ペコリーニ
プロダクションデザイン: ヤスナ・ステファノヴィック
衣装デザイン: マリオ・ダヴィニョン
デルフィーヌ・ホワイト
編集: レスリー・ウォーカー
音楽: マイケル・ダナ
ジェフ・ダナ
 
出演: ジョデル・フェルランド ( ジェライザ=ローズ )
ジェフ・ブリッジス ( パパ/ノア )
ジェニファー・ティリー ( ママ/グンヒルド王妃 )
ジャネット・マクティア (デル )
ブレンダン・フレッチャー (ディケンズ )


 『不思議の国のアリス』が大好きな10歳の少女ジェライザ=ローズ。
彼女の両親は2人ともヤク中。
ある日ヤク中毒で母親が死んでしまい、
父親と2人で故郷へと旅立つこととなる。
辿り着いた実家。しかし実家は無人となっていた。
やがて父親も母親と同じく
ヤクの打ちすぎで死んでしまう・・。
残されたローズ。
でも彼女は一人ぼっちではない。
指にはめた頭だけの友達のバービー人形がいるからだ。


感想  Rー15指定のファンタジーです。
前作のブラザー・グリムは観ていないので、久々の
ギリアム作品です。(ギリアム作品は過去に3作ほど観ています♪・
一番好きなのはフィッシャー・キング☆)

普通のファンタジーにはなっていないだろう・・と
思っていましたが想像以上に摩訶不思議な世界でした。

これは好みが分かれるだろうな~~~~笑
でもでも・・・私・・嫌いじゃあなかったのですよ。
貴重な世界を
見せてくれましたね・・
ありがとう~~~・・という感じですかね。
まあ・・・どうしてもみたいという映像でもないのですけど・・笑
たまには自分、異次元の世界にとんでみるのもいいよね・・と
思わせてくれる作品でした。

あくまでも大人向けのファンタジー。
グロくて・・エロくて・・・の世界です。
やや悪趣味に
感じられるところもなきにしもあらずではあるけれど、
すべては主人公の可愛らしさで許してしまおう~~~~と
思える作品。

遊んでいますね・・監督・・・。

前半、かなりハイなジェフ・ブリッジスで
(それもまあ・・悪くはないよね・・・)と思っていました。
が・・・まさか
あんなにも悲惨な姿になるとは思っていなかったので
そこは少々驚き・・。
ジェフ・ブリッジスって、素敵な役も演じていますよね・・。
でもたまに・・こういった崩れた役を演じるだから
面白いですわ。
今回はまあ・・・どんどん醜くなる一方で・・。
あんなこともそんなことも・・・されてしまい・・。
お~~の~~~ジョフ~~と思わず叫んでしまいそうでした。
ことぶき印のお洋服が
印象的だったジェフでした。それにしても不思議なファッション・・・笑
演技派俳優さんはどんな役も演じてしまうのですね。
アッパレ~~


後半のディケンズと
ローズちゃんの関係には
おお~~~と危ないよ・・危ないよ・・
まさか・・・と不安を感じましたけれど、
心配するような展開にならずに
ホッとした自分。
なにを想像しているのか・・・。
これ・・・彼女の方が
リードとっているわけだから別に不安がることはないのよね。
あくまでも純粋な気持ちなんだから・・。

死体解剖(なんて書くと余計グロイね・・)
に近いものも、それ以上は勘弁というギリギリの映像でしたので
とくに不愉快もなく
観ることができました。
死体のお腹に入れられるバービーちゃんたちの
慌てふためく姿が
ちょっと笑いを誘いましたよ。
笑い事じゃあないけどね。


余韻を楽しむような映画じゃなく、
この世界=映像を素直に楽しむことが出来たものが勝ち・・という
作品でした。
ストーリーがちょっとわからないところもあったので・・
機会があれば・・もう一度観てみたい気がしますね。


草原に佇む一軒家。
可愛い少女と
個性的な隣人達。
彼女の空想の世界は果てしなく続くのです・
考えてみれば、彼女の現実って
ものすごく悲惨。  親はヤク中で
なんだか、彼女をいいようにあつかっていましたからね。
でも、だからといって、悲観的に生きているわけではない
ローズちゃん。それもまた人生と思っているのかな。
現実逃避するための、空想世界は
やや・・普通とは変わってしまうのは当然の結果かもしれませんね。


それもあり・・・ですよね。
だって・・・どんな想像だって・・
自由なのだから・・・。
子どもが皆、ばら色の世界だけを想像する・・なんて
決まりごとはないのだから・・・。

素敵な王子様がいるだけの
世界ばかりじゃあ・・・退屈しちゃうかもしれませんよね。
刺激も欲しい・・・笑



子どもの時期はあっという間。
いつかは、現実世界が空想世界を押しつぶしていくのかな・・
そんな予感を感じるラストでした・・。


主役のジュノジョデル・フェルランドちゃんの
演技はすばらしいわ。
子どもとは思えない・・・。
あの・・色っぽさ・・。
女でも惚れてしまいます。
パープル色のお洋服も可愛かった♪





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↓バービーちゃんもいます
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きみの友だち

きみの友だち   著 重松 清



「あいあい傘」「ねじれの位置」「ふらふら」「ぐりこ」「にゃんこの目」「別れの曲」「千羽鶴」「かげふみ」「花いちもんめ」「きみの友だち」

連作の短編です。

小学4年生のときに交通事故にあい、
松葉杖生活になってしまった恵美。
彼女の弟、ブン。姉弟が成長していくにつれ
出会う友達が、それぞれの短編の主人公となっています。
語りはこの姉弟ではなく、第三者である作者。
そしてこの語りの正体は最後に明かされます。

感想
  重松さん、2作目です。あまり読んでいませんね。
なかなか手を出さないのですが
(きっといい話だろうと思う分、あえて避けている感じ・・。
そして、泣かされるんだろうな・・・・って予感がいつもする・・笑)
今回は久々に読みました。
やっぱり・・・泣かされました・・笑

こういった子どもの心理には弱い・・。
思春期の友達関係が実にリアルでした。

千羽鶴に込められた暴言の数々なんて
ぞ~~~としました。恐いよ・・・
子どもって実に残酷ですよね。

自分をどう見せたいか・・若い頃って考えるよね・・。
偽って生きることの苦しさ・・・
自分の本心を隠そうとすることってあったよね・・。
堀田ちゃんの努力、少しわかる気がします。

友達=相手に嫌われたくない・・
仲間ハズレはイヤ・・。
友達って一体何?
自分って一体何?

思春期の頃って、色々な悩みがありましたね。
私もありましたよ・・(遠い目)

もちろん、悩みの大きさって人それぞれだったと思うけれど。

相手にとっては些細なことでも
本人にとっては生きるか死ぬかくらい・・・重い出来事も
ありますよね・・。これは本人にしかわからないこと。


なんだか、自分の学生時代も思い出して色々
考えてしまいました。

恵美の生き方・・
なかなか真似できないですよね。
でもそう・・ありたいよね。
本当の友達を見つけたいよね。

そう思える作品でした。

後半は悲しかった・・・・。
泣いちゃあいけないと思ったけれど、
やっぱり・・ボロボロ。

でも、最後は気持ちよく終っていて
気分はとてもよかったです。
新しい門出を応援したいな・・・って純粋に思いました。


今回も子どもと一緒の読書。
重松作品は
今の時期、しっかり読んで欲しいのですが
理解できていたのかな・・。



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輪廻

輪廻 (2005  日本)


監督: 清水崇
プロデューサー: 一瀬隆重
エグゼクティブプロデューサー: 濱名一哉
小谷靖
アソシエイトプロデューサー: 木藤幸江
脚本: 清水崇
安達正軌
撮影: 柴主高秀
特殊効果: 岸浦秀一
視覚効果: 松本肇
美術: 斎藤岩男
編集: 高橋信之
音楽: 川井憲次
音楽プロデューサー: 慶田次徳
主題歌: 扇愛奈 『輪廻』
サウンドエフェクト: 柴崎憲治
照明: 渡部嘉
装飾: 松本良二
特殊造型: 松井祐一
録音: 柿澤潔
助監督: 安達正軌
 
出演: 優香 (杉浦渚 )
香里奈 (木下弥生 )
椎名桔平 ( 松村郁夫 )
杉本哲太 ( 村川忠司)
小栗旬 ( 尾西和也 )
松本まりか ( 森田由香 )
小市慢太郎 (プロデューサー・山中)
治田敦 (大森範久)
三條美紀 (大森歩美)

昭和45年、群馬県のホテルで11人が惨殺される事件が発生。
それから数十年・・。
この事件を題材にした映画製作を試みようとする
映画監督がいた。彼=松村は
オーディションでキャスティングを選ぶ。
ヒロインには新人女優の杉浦渚が大抜擢。
しかし渚は撮影の最中に、過去の映像に悩まされる。
一方、女子大生の木下弥生も
同じように、不思議な夢に悩まされていた。
一度も行ったことがない場所を毎晩夢に見るのである。
やがて、2人の過去が群馬県のホテルの事件に係わり合いが
あるとわかり始めるのだが・・。



感想  深夜放送枠を録画しての鑑賞。
もちろん、深夜には見ません・・笑
恐いもの・・。
<ジャパニーズ・ホラーを代表する監督たちが世界を視野に競作するホラー・レーベル“Jホラーシアター”の第2弾作品。>
ということです。監督は、清水崇 さん。呪怨の監督さんですね。
(これは見ています・・)
ちなみにJホラーシアター第1弾は感染&予言ですが・・
感染だけは見ていますね(って、結局色々見ているじゃん!!←笑)


今回は輪廻。生まれ変わりですね。
こういったものがテーマの映画はホラーでないにしろ、
よく使われますね。
最近では「記憶の棘」ですか(これ結構好き)

わりと好きなテーマなのですが、ホラーですからね・・
気持ちがよくありませんね。
巷ではそんなに恐くないといわれているようですが、
やっぱり大画面で観ると恐いと感じるかも・・私。
映画館では一人じゃあ鑑賞できないよ・・。
だって知らない間に後ろに色んな人が張り付いているわ・・、
バタバタ殺戮が行われるわ・・で・・
気分はどんより・・

でもこの映画はただ恐いだけでなく謎めいた部分が
あったのでそこの部分は面白く感じましたね・・。


誰の生まれ変わりかが・・ポイント。
でもホラー見慣れている人にはこのオチはすぐわかるんですって・・。
そっか・・。
私は全然・・
優香は・・*で、椎名さんは**だと信じ込んで
いましたよ。これが罠だったんですね・・
杉本哲太も絶対謎があると思ったのに
はずれたし・・。
まだまだ未熟だわ。。
そんな中、
小栗旬を発見。でも・・目立たなかったです。
それに素敵・・とも思わなかったし・・
普通でした・・・

優香ちゃんが恐い思いばかりして
見ていて可哀想になりましたわ・・。
最後の彼女の演技には驚き~~~
凄いよ・・凄いよ~~結構迫力あって
ホラー女優の名をあげてもいいかと思いましたよ・・。

主題歌の歌が妙で
ちょっと笑ってしまいました・・

oxwsjkawsy.jpg

春が来れば

春が来れば (2004  韓国)

WHEN SPRING COMES
SPRINGTIME

監督: リュ・ジャンハ
脚本: リュ・ジャンハ
撮影: イ・モゲ
音楽: チョ・ソンウ
 
出演: チェ・ミンシク (イ・ヒョヌ)
キム・ホジョン (ヨニ )
チャン・シニョン (スヨン)
キム・ガンウ ( ジュホ )
ユン・ヨジョン ( ヒョヌの母親 )
イ・ジェウン (ジェイル)
チャン・ヒョンソン (ギョンス)

夢を成し遂げられず、
いつのまにか中年を迎えてしまった
トランペット奏者のヒョヌ。
付き合っていた恋人との仲もうまくいかなくなり、
とうとう恋人に別の人と結婚するかも・・・と
告げられてしまう。
すべてを忘れるためにヒョヌは
小さな炭鉱町の中学校=トゲ中の音楽臨時教師に応募し、採用される。
一人、その町へ向かうヒョヌ。
その中学校の吹奏楽部は廃部寸前。目標は大会に出ること・・。
彼はどうやって生徒達を指導するのか・・。



感想  チェ・ミンシク主演ということで鑑賞しました。
結構観ていますね・・・ミンシク作品・・。
ミンシクさんというとどういうイメージ思い浮かべますか。
オールド・ボーイやクムジャさんという
暴力的で迫力ある演技ばかり観ていると
恐そうなイメージがありますよね。
でも実はこの作品のように優しげな演技もなかなか
魅力的なのですよ・・。
普通人の役も・・笑・・・たまには見てみるのもいいかもしれません。


男の哀愁が本当に似合いますね・・この人。
情けない部分もいくつか持ち合わせているけれど
だからといって嫌いにはなれません。
完璧じゃなくて、どこか弱いところを見せている男性の方が
人間味あふれていますよね。
どこかほっとけないものがありましたね。
さりげない優しさをみせるところが
これまた憎いですね。

母親にこの年になってもああだ・・こうだ・・・世話やかれてしまうというキャラが妙に様になっていて可笑しいくらいでした。
母子がお互いに相手を思いやる
態度・・・・。この親子関係は
観ていて実に気持ちがいいものでした。


赴任した中学校の
生徒&父兄&町の人によって
自分自身の生き方を見つめなおし、
新たな出発を歩みだすまでの物語。

定番といえば定番なストーリーでしたが
押し付けがましくない感動というものがこの映画に表れていて
好感持てる作品になりました。
(前に観た「歓びを歌にのせて 」と似ていますがあちらの方は
ラストに一抹の寂しさを感じますね・・・・)

人と人の触れ合いっていいな・・・って素直に
思える作品です。

監督は「八月のクリスマス」「春の日は過ぎゆく」で助監督を務めていた方でこれが監督デビューだそうです。

言われて見ると
この2つの作品に雰囲気が似ていますね・・。

 
吹奏楽が舞台になりますが
あまり練習風景は映画には映らないような気がしました。
だからなのか・・この吹奏楽部の質が向上したという目に見える
変化は感じられません。
音楽にかかわる人々の様々なエピソードを
いくつか紹介していき、
何が大切なのか見つめなおすことだったように思います。


印象に残るエピソードが沢山ありました。
ヒョヌが電話で母親に

「かあさん、俺、最初から全部やりなおしたい」

というと

母親はすかさず

「これからが始まりなのに何をやり直すの?」
これからが始まりだよ・・・」


そんなこといってくれる母親に
尊敬の念を持たずにはいられなかったです。
やっぱり母親は偉大だって思わずにはいられません。



トゲ中の生徒で話の中心のなるのは
おばあさんと二人暮らしのジェイルと
ケニー・Gに憧れていて彼女もいるヨンソクという2人の少年たち。

ヨンソクの父親は吹奏楽部に反対。
そんな彼にヒョヌは自分の出来ることはないかと
考えます。

また、ジョイルの祖母が入院したときも
同じように親身になって彼に尽くします。

決して、大げさなことはしません。
自分が今やれることを精一杯するだけ。

でも・・・・・きっと観た人はその優しさに
胸が熱くなるはずです。



春に来れば・・・の題名どおり
温かい気持ちになることができる作品です。
じっくり味わってみて欲しいです。

P.S   ミンシクさんが生徒と食事をするシーンがいくつか出てくるのですが男だけの食事ってやっぱり寂しいですよね。
お料理つくってあげたいな・・
ラーメンだけでは栄養なさそうだし・・。

 


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