ラン   著  森絵都

ラン   著  森絵都

13歳で父母&弟を交通事故で失った主人公夏目環。
そのあと面倒をみてくれた奈々美おばさんも引き続き病気で失い
22歳の今、天涯孤独の身。
自分の殻に閉じこもりがちな彼女だったが
近所にあった自転車屋の主人、紺野さんとは
なぜかウマが合った。
そんなある日、自転車屋にいた、こよみという名の老猫が
死んだことがきかっけで、紺野さんは、店を畳んで田舎に帰ってしまった。
紺野さんから別れ際にもらった
1台の自転車。それは、紺野さんが息子のためにと組みあげたものだった。
紺野さんの息子も亡くなっているのだ。
その自転車をこいでいた環に、あるとき、異変が起こる。
環の家族や、おばさんがいる天国に到達できることができたのだ




感想   まず、意外な展開に驚きました。
ファンタジックなお話だとは全然思っていなかったもので。
森さんの作品には、YA作品も多いのですが
これは、大人向けに書かれたとみて
いいんですよね。

でも子どもでもOKなお話ですよね。
主人公の年齢が22歳と言うわりには
思春期の女の子のような精神年齢に
見えるから・・・。
全体的にゆるい感じと、ほどばしるユーモアーもあるので
読者年齢問わないところがあるかな・・・。
ただ、登場してくるキャラは結構、
社会にもまれている人が多いのですから
それが理解できる年齢層が
一番読みやいと思いますね・・。

まあ・・・どっちでも読みたい人が読めばいい話ですが、
「カラフル」から10年という触れ込みだったから
もっと年齢層低いキャラ登場のお話しかと思っておりました。



ところで
題材になっている走りについてですが
私はいくつか読んでいるわけですよ。
本としても色々ありますよね。
やっぱり、似たような題材を扱ってしまうと
そのどれかと比べてしまうということがあります。
もっと本格的で
真剣な思いで、走りを語っていた小説を
読んでしまうと
この、ゆるい感じにのっていけないところもありました。
大人向け本として、なにかを期待していたのかな・・・。
いや・・・もちろん、この小説の中の人物達も
それぞれ、それなりに真剣な思いで取り組んでいたのだろうけれど
なぜか、・・・甘いというか・・・
全体的に、軽い感じですよね。
そこがつぼに嵌れば面白いけれど
そこまで至らなかったかも。
あと、個人的に、
クリーニングのパートしていた
真知栄子というオバサンのキャラがね。誇張しすぎで
嫌だったかな。だって、この小説で一番年齢的にも
立場的にも近いのってこの人なんだもの・・・・笑
あんなに、毒のある存在だと皆そうだと思われるみたいで、
ちょっとね・・・・。

この小説
マラソンという題材がメインだけれど
そのきかっけは、天国への訪問から。
話は広がっております。
うん・・中華だと思っていたら和食だったという感じでしょうか。

この結びつきは、めったにありませんよね・・。

この主人公の走ると言う行為の目的は、
霊界の世界に行くための体力をつけるということ。
自転車が、そのうち使えなくなるということからなんです。

そんなにしてまで天国へ。
苦しい走りの経験をしてまでですよ。

走ることについては
記録に挑戦するとか
自分の可能性をためしたいとか
個々、色々理由があると思いますけれど
天国ですよ・・天国。

過去にすがってばかりじゃあいけないと
思うけれど、
すがらないと生きていけない
この主人公の女性が、なんだか可哀想でした。
寂しかったのかな・・・。
生きている時の家族は
けっして皆が、いい状態ではなかったような気がするけれど
(温かい家庭ではないよう・・・)
亡くなってしまったあとの皆は
とても穏やかな性格になっていて、幸せ家族そのものの。
そんな状況を
天国で
見せ付けられてしまったら
(天国にいる家族は現世での性格が変わってくる・・・丸くなっているというのかな・・
人格がお互い融合しあっているのね・・)
愛着を感じてしまうのも、しょうがないのかなと思えます。


が。。。生きている人間、世界
その方を大事にしなきゃ。


後半で主人公は
マラソン仲間の1人から
「前向きなようで、後ろ向きに走っている」
と言われていたけれど
そのとおり。過去ばかり、見つめ、追っていたんですよね。


この小説でのまさに一番のメッセージは
生き方すべてにおいて
前向きになる・・・という
ことだったのでしょうね。


そして主人公が
目的を達成するということは
天国にいる人との別れをも意味するということ。
天国の家族にしたって、
つぎのステージに進まなくてはいけないのだから・・。
主人公の走る姿を見届けて
自分達も安心して、次の段階へいけるということなんです。


ちょっと、せつないけれど。
現世で別れをしっかりできなかった彼女にとっては
大きな踏ん切りの一つになったのかもしれませんね。



「カラフル」とあわせて読むといいいかもしれませんね。


ラン


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メモリー・キーパーの娘   著  キム・エドワーズ

メモリー・キーパーの娘   著  キム・エドワーズ



 1964年。
医師のデイヴィッド・ヘンリーとノラ夫妻。
妻ノラは出産を控えていた。
彼らは男の子なら「ポール」、女の子なら「フィービ」と名づけると心に決め、
とうとうその日を迎えることになった。
陣痛の中、必死の思いで、ノラは子どもを産む。
先に出てきたのは健康な男の子。
しかしそのあと、もうひとり、女の子が・・・
その子を手にとった、夫デイヴィッドは驚いた。
明らかにダウン症の症状が出ている子どもであったからだ。
妻に対する思いと、
自分の過去の思いが複雑に絡み合い、とっさに、傍にいた看護婦キャロラインに
その子を施設に預けるよう、頼み込む。
そして妻には、娘=フィービーは死産だと打ち明ける、

そこから彼らの長い人生が始まった・・。




感想     口コミで広まり、1年半にわたって全米ベストセラーとなった小説だそうです。
一つの嘘が、2つの家庭の運命を変えていくという、とてもドラマチックなお話です。
ドラマ化もされ
キャストは下記のようだとか。http://www.mylifetime.com/on-tv/movies/memory-keepers-daughter


kyarorainn.jpg

↑エミリー・ワトソンがキャロラインを演じています。

原作を読み終わった今は、その映像を、みてみたくなりますね。

60年代のアメリカでは、
生まれたばかりの障害児を引き取るという施設があったんですね。
とっさの判断だとはいえ、その子を手放すというデイヴィッドの選択については
女性の私としてはやっぱり、納得はいかなかったです。
ただ、彼はそのことが原因で最後まで孤独で
罪悪感に満ちた生活を送ってしまった・・・・・・。
その行為に対して神様が与えた罰だったのでしょうか。
終始、苦しんでいた様を、文面から感じ取っていくので
胸が痛んでしょうがありませんでした。
自業自得だとは思いながらも、家庭の破綻については
彼だけの責任でもなかったのではないかと
思います。
妻ノラにだって、責任はあるはずではないでしょうか。

デイヴィッドは、
生まれた子どもが障害児だという真実を、妻に知られたくなかっただけなのです。
それは彼にとっては愛だった・・
苦労をさせたくない、悲しい思いをさせたくない・・という思いやりだった・・・
それが、彼の独りよがりの思いでしかないというのは
冷静になって第三者がみれば判断できるのだけれど
パニックになっている本人には到底無理だったということでしょう。
死産という報告も産んだものとしては耐え難い真実だと思うけれど、
きっと時が来れば忘れられるとでも考えたのでしょうね。
それより、苦痛になるだろう障害児という事実の方を抹殺したかった・・ということ。

さらに彼には、妹を病で亡くしているという、辛い過去があったんですよね。
これはあとでわかる事実ですが。

途中でいなくなるかもしれない子ども(長く生きられないかも知れないと思っていた)
を、育てるという決意ができなかったというのも
わからなくはありません。
が・・・私は、産む立場の人間なので
いかなる理由であろうとも、許しがたいことだと思ってしまうのです。
それは、命を共有していたものにしかわからない感覚かもしれません。
愛おしいですもの・・・産んだ子は。


複雑な事情があったにせよ、その行為が、嘘が
彼のその後の人生の歯車を狂わせてしまったのだというのは
明らかなことでした・・。
妻は子どもを失ったことを嘆き悲しみます。
でもさきほども書きましたけれど、家族の破綻は
彼女にも原因があるのです。
その後の彼女の人生にはどうしても理解できないものがあります。
不倫をして・・・それがどう解決につながるのか・・・。


もし、という仮定は
考えても無駄かもしれません。
でも、この夫婦がもし、そのまま、このフィービーを受け入れていたらどうだったのだろう・・・。

夫婦の生活は破綻しなかったのだろうか・・。
妻ノラが、不倫に走り、仕事をもち、夫から離れていくという
流れにはならなかったのであろうか。
息子ポールが、父親との溝を作ることもなかったのであろうか。

しかし一方でこうも考えるのです。

フィービーは、看護婦キャロラインに育て上げられたことによって、
純粋無垢な、可愛い子どもに育ったのだと。
母親が違えば、環境が違えば
子の成長も変わってきます。
障害児に対しての、キャロラインの思い・・・。
社会に立ち向かう姿勢・・。
キャロラインはなによりも強かったのだと思います。
たとえ、子を引き取ると言う行為が最初は
デイヴィッドに対する愛情の裏返しだったとしても。
もはやその後の子育ては、子への
愛なくしては成り立たないのですから。

キャロラインだからこそ、今のフィービーがいるのだ・・・と。


ラストは希望に溢れた明るいもの。
デイヴィッドの息子ポールと
妹フィービーの再会には、温かいものを感じました。
過去を、たら、れば、と考えてもしかたがない・・・
あるのは、過去の事実だけ。

与えられた
それぞれの人生をこれから
歩んでいくという・・・・・

色々考えるところが多かった物語でした。

一つ、付け加えますが
キャロラインの子育てについては
わりと淡々と描かれていました。

実際、こういうケースだった場合、物語以上の過酷さが伴ってくると思います。
簡単なことではないと思いますからね。
そういう意味では、あくまでも小説上のお話だねと
思うところはあります。


メモリー

向かいの窓

向かいの窓<未>  (2003  イタリア・イギリス・トルコ・ポルトガル)

LA FINESTRA DI FRONTE
FACING WINDOW

監督: フェルザン・オズペテク
製作: ジャンニ・ラモリ
ティルデ・コルシ
脚本: フェルザン・オズペテク
ジャンニ・ラモリ
撮影: ジャンフィリッポ・コルティチェッリ
美術: アンドレア・クリザンティ
音楽: アンドレア・グエラ
出演: ジョヴァンナ・メッツォジョルノ / マッシモ・ジロッティ / ラウル・ボヴァ / フィリッポ・ニグロ ジョヴァンナ・メッツォジョルノ


ジョヴァンナは結婚9年目の主婦。
夜勤尽くめの夫とは倦怠期。
些細ことで争いが絶えない。
ジョヴァンナには菓子職人になりたいという夢があったのだが
日常の忙しさに追われて、今はただのパートの身。
そんなある日、夫婦は
街で記憶喪失の老人と偶然出会う。
そして、お人よしの夫は老人を家に連れてきてしまうのだ。
いらだつジョヴァンナだが、成りゆき上、数日家の置くことに。
老人は自分の名前をシモーネとだけ覚えており、
腕には昔ユダヤ人収容所で付けられた
番号が刻まれていた。

老人の過去にはいったい・・

そんな疑問を一緒にをなって解明してくれる助け人が登場。
それは向かいの家に住む男性。
ジョヴァンナは、日々のストレスを向かいの部屋の住人をのぞくことで
晴らしていたのだ。向かいの住人はなんといっても
美男子だったから。

彼との出会いはジョヴァンナの生活をも変えるのか


感想   お友達の瞳さんからお勧めされた映画→感想はこちらhttp://teapleasebook.blog26.fc2.com/blog-entry-102.html#trackback-top


と~~ても良かったです。(最近、こんな表現ばかりですみません。)
未公開と言うことで、拾い物ではないでしょか。
秋にピッタシ、しっとりした大人の映画。
ラブロマンス&サスペンス&ヒューマンストーリーありの
豪華版でした。

流れる音楽もムードあっていいのよね。もう、瞳さん、ありがとう~~~♪って感じ。
今まさに、私の生活に一番近いよ・・・・笑
あ・・・窓の先に素敵な人はいないけど。


冒頭から、タダならぬ状況。
え・・・どうしたの??という疑問そのままで
舞台は、別の場所に。
お話がどういう方向で進んでいくのかわからないのがとっても面白い。

主人公は、倦怠期に入った主婦ジョヴァンナ。
でも見かけは生活に疲れた・・っていう風ではありません。
綺麗な女性なんですよ。
お洋服もお洒落ですしね。スラーとして、美人。
でも夫との会話はトゲトゲしている感じ。
怒りっぽいっていうのかな・・短気で、イライラ感は終始あるみたい。
夫への不満が相当たまっている様です。

この夫。ジョヴァンナは甲斐性なし・・と思っているようで
物足りなさを感じているみたいですが、
私にしてみればいい方じゃあないのかな
とみておりました。

まあ、・・のんびりしていて、マイペースな家庭的な人であるゆえ
頼りなさは鼻に付くけど
家庭に入ればどっかしか、欠点はあるからね・・・・・・。
これくらいは大目にみていいはず。


そんな夫との生活への不満からか
向かいの窓からみえる、部屋の住人に憧れを感じるジョヴァンナ。
遠目ではわからなかったけれど、近くに現れるようになってから
確認してみると
あら~~~結構美形。メガネがまたインテリの雰囲気をかもし出して
そりゃ~~憧れも感じます・
夫は体育会系みたいだったし。


そんな彼と、記憶を失くしている老人のことがきかっけで急激に親しくなるジョヴァンナ。

「私のことは何もしらないでしょ」と彼女が言った言葉に
彼が答えたせりふにビックリ。
「君が毎晩タバコをふかしているのも、
眠れず歩き回ったり、窓から外を見ているのも知っている」って!!

あら~~~、見ていたのはジョヴァンナだけではなくて
彼も・・・・★だなんて、あなた!!!
ちょっと~~~
お互い、気にし合っていたってこと!!
これはロマンスの香りが・。


と、ここまでだと、昼メロの世界に・と思ってしまいますけれど、
いい具合に老人の過去が絡んできます。

老人は一体何者か
ジョヴァンナの恋の行方は・・・と
見所もいっぱい。


で・・・結局、
彼女はこの恋にある結論を出すわけですけれど。
これが私も充分納得できる選択で
みていて、そうだろうな・・・・と頷くことしきり。
とはいうものの、ちょっぴり心が痛くなるのも充分理解できます。

彼女が・・・この選択をしたのは、
老人の影響もあったのですよ。


後悔ない、生き方をする・・・・。
老人も過去につらい恋の経験があったというわけです。


彼女は老人によって
新しい自分を見つけ出した・・・
というお話・・・
今までの生き方を振り返り
このままじゃいけないと奮起し、
新たな希望へと進もうとする・・・
恋の話にとどまらず、そこから自立する女性の姿をも描いているのです。



今の生活にちょっと物足りなさ・・・不満を感じたりしたとき
自分を見つめなおすのはいいかもしれませんね。
そのきかっけに、危ない恋もあったりしたら~~
でも、迷ってはいけません・・・よ・・・笑


窓から覘いた他の世界は、とっても素晴らしくみえたりするもの
隣の芝生は青いって・・・ことで。
でもその覘いていた窓の向こうから
自分の居た位置・場所を覘き返してみると
案外、幸せだった・・・と気付いたりするものです。

映画の中で、そういう描き方されていた箇所もあって
実に本質を見極めているな・・・って感心しちゃいました。

幸せの青い鳥は身近にいるのですよ~~~皆さん★



ちなみに、この老人は
有名な菓子職人だったとか。
彼女の夢も菓子職人。
ということで、おいしそうな菓子が沢山出てきます。
なぜか自分でも作ってみたくなりますね。


お薦めの一本ですので
多くの人に見てほしいな~~
mukaino.jpg


ヴィーナス  

ヴィーナス   (イギリス)

監督:ロジャー・ミッシェル
脚本:ハニフ・クレイシ
音楽:コリーヌ・ベイリー・レイ

出演
ピーター・オトゥール  (モーリス)
レスリー・フィリップス、(イアン)
ヴァネッサ・レッドグレーヴ、
ジョディ・ウィッテカー  (ジェシー)
リチャード・グリフィス




70代の英国人俳優モーリス(ピーターオトゥール)。
彼は若いころはプレイボーイ。
しかし、今は、年もとり
端役ばかりの俳優生活。
若い頃の女遊びが原因で
妻とはすでに別居。でも妻(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)とは、時々
会って話ができる仲になっている。
そんなある日、モーリスは
俳優仲間のイアン(レスリー・フィリップス)のもとにやって来た
姪の娘ジェシー(ジョディ・ウィッテカー)と出会う。
無作法なジェシーだったが
モーリスは若い彼女に、恋の予感を感じる。


感想

ピーター・オトゥールが、8度目のアカデミー主演男優賞にノミネートされた作品。
監督は「ノッティングヒルの恋人」「Jの悲劇」のロジャー・ミッシェルということで
面白そうかな・・・と鑑賞。


これはですね・・・・地味な作品ですが
私的には良かったです・・。
実は号泣きものだったのですよ。
一応コメディ・ドラマなんですけど、
ボロボロ・・でした。
舞台になるロンドンの街の風景も素敵でしたね。

ただ、主人公をどう思うかで
好みは分かれるかなと思うところもあります。
若い女性の立場でこの映画をみるとはっきりいって
きついかな・・・・笑

あらすじをみると
おじいちゃんと、若い娘のプラトニックラブなどという雰囲気に感じられますけれど
もうちょっと、リアルです。
綺麗ごとだけじゃないものがいっぱい描かれます。


キャッチコピーの
「男って、いくつになっても…」のとおり、
エロイ主人公なんです。
でも、そう感じさせないところが
イギリス紳士のなせる技なのかな・・・って思います。
日本じゃあ難しいかと。


若い娘を前にして、主人公はときめきを覚えます。
いいじゃないの・・・って思いますよ。
それがモーリスにとって生きる活力になっているのなら。
すでに外見も、体も
俗に言う枯れた状態ではあるけれど、
情熱だけはいつまでも持ち続けたいと言う心境は
充分理解できるから。

露骨な描写はないけれど、
危ないな・・・と思えるところはところどころあり、
自分が若い娘側だったら
対応しきれるかな・・・という不安は感じます。
でも、この映画の若い子=ジェシーのような
傲慢な態度は自分としてはできないと思うな・・・。

主人公側に気持が傾くのは
若い子、ジェシーが
みていて腹立たしいから。

あまりにもモーリスをいいように利用していることに
苛立ちを感じたから。

その点、
妻の、ヴァネッサ・レッドグレーヴは女性としてすごく魅力的でした。
懐の大きな女性で彼女がいたから
モーリスが自由に振舞えたのだと感じられます。
彼女の手の中でモーリス、躍らされているって感じ。
モーリスにとっては
対等の位置関係でなく
すでに母親のような存在になっているんだな・・・・と思えます。
女ってこうじゃないと、モテる男とは
暮らせないのかも・・・・・・と思ってしまいました。



日本でこういう老人の性や欲望を描くと
難しいと思うのですよ。あまり見たことないしね。
きっと、年よりはそういう感情はない・・・という
風潮がどこかに流れているからじゃあないのかな・・・

でもイギリスだとこんなに上品に仕上がるんですよね。
主人公がいやらしくなく、カッコいい・・。
たそがれ、哀愁を感じさせる姿だけれど
それでも、どこかに自分の人生に悔いなしで生きてきたという
自信はある・・・・・・・


死にたいして、恐れることもなく、
最後の最後まで
男でいようとする姿は
あるいみ、理想的な姿であろうかと思います。

若い子=ジェシーも
モーリスと接することで
新たな自分を発見したに違いない・・・・・。
その成果はこれからの彼女の人生が物語ってくれるんですよね・・


幅広い年齢と接することって意外と大事かも。
若いときって、目先のことしか見えないので
もっと違う角度から物をみることを指示してくれる人と
接することも大切かもしれませんね。



主人公と仲間のおじいさんのやりとりはとっても
コミカル。口げんかしてもそこには友情が流れているのが
ひしひし感じられる。
そんな人間関係にも憧れを感じます。



題名は「ヴィーナス」。
男にとって女はすべてヴィーナスなんですよね。
それが若い女性というのも
なんなんですが・・・笑
まあ、目くじらたてず、笑ってすませましょう。



ドヴォルザークの「スラブ舞曲」をバックに
踊る姿が印象的でした。
泣けました・・・


輝かしい人生なんて
いつまでも続くわけがなく、
いつかは、トーンダウンしてしまう・・
そのギャップにせつなさを感じるわけですけれど、
それと同時に得られる何かも必ずあるはず。
友情だったり、愛だったり、
年をとることを恐がることなく
ありのままの自分でいられることがなによりも大切なんだな・・・と
思いましたね。

いい映画だと思います★

ヴィーナス



テラビシアにかける橋

テラビシアにかける橋 (2007  アメリカ)

BRIDGE TO TERABITHIA

監督: ガボア・クスポ
製作: ハル・リーバーマン
ローレン・レヴィン
デヴィッド・パターソン
製作総指揮: アレックス・シュワルツ
原作: キャサリン・パターソン
『テラビシアにかける橋』(偕成社刊)
脚本: ジェフ・ストックウェル
デヴィッド・パターソン
撮影: マイケル・チャップマン
プロダクションデ
ザイン: ロバート・ギリーズ
衣装デザイン: バーバラ・ダラー
編集: ジョン・ギルバート
音楽: アーロン・ジグマン
出演: ジョシュ・ハッチャーソン  ( ジェス・アーロンズ)
アンナソフィア・ロブ     (レスリー・バーク)
ズーイー・デシャネル    ( エドマンズ先生)
ロバート・パトリック     (ジャック・アーロンズ)
ベイリー・マディソン     (メイベル・アーロンズ )
ケイト・バトラー        (メリー・アーロンズ)
デヴォン・ウッド       ( ブレンダ・アーロンズ)
エマ・フェントン        (エリー・アーロンズ )
グレイス・ブラニガン     (ジョイス・アーロンズ)
レイサム・ゲインズ      (ビル・バーク)
ジュディ・マッキントッシュ  (ジュディ・バーク)


 キャサリン・パターソンの同名ロングセラー児童文学の映画化。
貧しい家庭に育った小学5年生の少年ジェス。
女ばかりの家庭で育ち、家では疎外感を募らせていた。
そんなある日、彼の隣の家に風変わりな女の子、レスリーが引っ越してきた。
裕福な家庭の一人娘。親は小説家である。
勉強も出来スポーツも優れている彼女は
ジェスに関心を寄せる。
次第に仲良くなっていく2人。
やがて彼らは小川を越えた森の中に分け入り、
空想上の王国“テラビシア”をつくり上げる。
冒険の世界を楽しく過ごすようになるのだが・・



感想   普段ファンタジーは、レンタルではあまりみないのですが、評判も良かったので
こちらを鑑賞。
まず、思った以上に、ファンタジー部分が少なかったのに驚き。
もっと、奇想天外な世界観が描かれるのかと思っていました。
変な動物がいっぱい出てきたりしたりね・・・。
が、どちらかというと、ヒューマンストーリー。
少年、少女の、家庭間や、友達間の
悩みを、短い時間で簡潔に描いていて(この時間配分が良かった、長くなく・・・)
非常にわかりやすく、且つ、感情移入しやすかったです。
(別に孤独な少女時代を送っていたというわけではないけれど、
あの年特有の、デリケートな部分に、共感しやすかった・・・)


まず、少年、少女という設定が好み。
友達だけれど、ちょっと気になる存在になりかけている・・
そういう微妙な・・ところがとってもいい・・・。


武骨なお父さん。なぜ、あんなにも息子に冷たく(厳しくするのか)
よくわからなかったけれど、あれは男だからゆえの、期待感もあるのかな。
自分にも厳しそうだったしね。
しかし、あからさまに、声かけの言葉が違ったら
いくらなんでも、傷つくじゃないのと終始思っていましたよ。
でもね、、ラストで、違ったの。
ここぞというときに
現れたのが父親だったのよね。
思わず、ウルウル。
単なる人相が悪い、オヤジだけではなかった・・・笑(お父さん、ターミネーターのロボット
なのね・・・。面影あるわ・・)


また、学校においては、うるさ型の先生ね・・・というくらいにしか思っていなかった
人がレスリーの件で、非常に温かな言葉をかけるんですよね。
これまたググ~~。
「私も夫を亡くしているからあなた(ジェス)のつらい気持ちはわかるわ・・」と

まわりの大人たちが見ていないようで
しっかり、主人公の少年を見守っていたという
事実がうれしかったりしました。

いじわるな8年生の女の子もね。
途中で、改心して、彼らへの接し方が変わってくるでしょ?
あれも良かったかな。
テラビシアの国では、
驚きの姿になってしまったけれど、彼らの今までの印象からいけば
それも当然の姿だったんじゃないのかな。




オープニングのシーンもなかなか素敵だったし
森を駆け回るシーンも、清清しさを感じてグット。


確かに悲しいお話だと思うし
後半の展開には、唐突さを感じさせなくもないです。
なにもそこまでという気持もあります。

でも、それがあったからこそ、
見えてくる現実もあり、その現実で
思わず、気持がほろりとしたのも事実。

普段は、こういった展開をすぐさま良しとはしないのですが
この作品においては
マイナス事項とは思わなかったです。


子どもというより、大人が観たほうが心に染み入る
作品じゃないのかな・・・・・・と思いました。
ちなみに、私が泣いたりするのは、
些細な場面だったりします。


ヒロインのアンナソフィア・ロブは『チャーリーとチョコレート工場』で
ガムを噛み続ける女の子だった子。

この映画では、ファッションも行動も個性的で
印象的でした。目に力があったわ~~~




テラビシア2

28週後

28週後...(2007  イギリス・スペイン)

28 WEEKS LATER

監督: フアン・カルロス・フレスナディージョ
製作: アンドリュー・マクドナルド
アロン・ライヒ
エンリケ・ロペス・ラビニュ
製作総指揮: ダニー・ボイル
アレックス・ガーランド
脚本: フアン・カルロス・フレスナディージョ
ローワン・ジョフィ
ヘスス・オルモ
E・L・ラビニュ
撮影: エンリケ・シャディアック
プロダクションデ
ザイン: マーク・ティルデスリー
衣装デザイン: ジェーン・ペトリ
編集: クリス・ギル
音楽: ジョン・マーフィ
出演: ロバート・カーライル  ( ドン)
ローズ・バーン    (スカーレット)
ジェレミー・レナー   (ドイル)
ハロルド・ペリノー   (フリン)
キャサリン・マコーマック   (アリス)
マッキントッシュ・マグルトン (アンディ)
イモージェン・プーツ   (タミー)
イドリス・エルバ   (ストーン大佐)

ウイルス感染発生から28週後。
米軍主導のNATO軍監視の下、
ロンドンの町では復興が始まった。
スペイン旅行中で難を逃れた
タミーとアンディの姉弟。ようやく、帰国の途に着く
久々に父親と再会する姉弟。
しかし、母アリスはその場にいない。
彼らの両親は、ウィルスが猛威を振るっていた最中、
田舎の古い家で息を潜めていたのだが
ついに感染者に襲われ、父親のドンだけが逃げ延び、助かったという経緯があった。
母はどうなったんだろう。
姉弟は、母の写真を取り戻すために、安全な地域を抜けて、
危険な家へと向かう。
すると、そこで姉弟は生きているアリスと再会する。
軍医スカーレットの診断から、アリスは、ウイルスに感染しながらも発病していないキャリアの
持ち主と判定された。だが・・・




感想   「28日後...」の続編です。
でも前作を観ていない人でも充分、OK.
前作主演のキリアンは出てきません。
続編だからということで鑑賞というよりも、カーライルが出演ということで
ちょっと興味があり鑑賞しました。
じゃなきゃ・・・わざわざ・・ゾンビに手を出すなんて恐ろしいことしませんよ・・・笑

ゾンビと言えば、以前観た「ドーン・オブ・ザ・デッド」
あれも恐かったな~~~~。
「28日後」はゾンビ映画といってもあまりゾンビ出てこなかったのです。
だから、この続編もわりとソフトな感じだろうとたかをくくっていたところが
ありましたが・・・これが、違う・・違う・

恐かった・・・恐かった・・恐かった・・・なにげに気持悪かった・・・笑
カーライルが・・カーライルが・・・あんなことに・・・笑
笑いごとじゃあないですね・泣き・・・泣き・・・マークです。


冒頭からハイペース。
突然、始まる鬼ごっこ。
噛まれれば、すぐさま感染→ゾンビ化。そして、異様に早くなる足・・・
とまあ、逃げろや、逃げろで、息つく間もありません。

最愛の妻に、ついさっき間で「愛しているよ」と甘い囁きもしていたのに。
ああカーライル、カーライル。
窮地に陥った時に、妻を助けることもできず
逃げ出したカーライル。
情けない・・・でも、恐いんだもの、しょうがない・・・。
その後の立場としては、微妙ですよね・・・。

そんなカーライルだから、子ども達と対面しても
本当のことは言えず。妻を見捨てたということで、負い目がある。
見ている私も、いたたまれなかったな・・・。

そんなとき、感染して、ゾンビ化したと思われる、奥さんが、
人間のまま、生還。
なんで~~~と思ったら、どうやら、免疫があるとかで
感染しない体なんだそう。
研究材料としてはもってこいということで、しばらく研究所に
留めておいたら、情けない夫のカーライルが、懲りずに登場して。
「ごめんよ。お前を見捨てて」と、なぜか、甘いキス。
いけないよ・・・奥さんはまずいよ・・・と、私だって思ったのに
愚かなカーライルが・・・やっちゃってね・・。
案の定、カーライルはゾンビ化。

どうよ・・・この安易さ。でもその後の凶暴さ、残忍さはおぞましい。
目潰し・・目潰し・・奥さん、血だらけで・・・(詳細・・詳細・・)
わ~~~~~、グロかったです。

その後は、もう・・・大変な展開。感染を
防ぐキャリアもちだろうと推測される彼らの子どもたちを、
何人かの人たちが必死に守ります。
しかし、ゾンビ,プラス
政府の機関も、ゾンビを滅亡させるためには、正常な人も皆殺しという考えで
襲ってくるのです。
つまり、味方も敵状態。

映画を見ながら
どこかに救いがあるだろう・・・
救いがあるだろう・・・・と
希望を持ちながらの鑑賞でしたが
次第に気持はどんより・・しはじめ。

結構、情け無用な映画でありました。
ホラーではこういうのは多いのよね・・・・・。

私は、・・姉弟たちを守っていた米陸軍の狙撃手のドイルを応援していたのですよ。
頑張れ~~最後まで守ってくれ・・って。
だから、彼が丸焼きになったとき、
すごく悲しい気分でした。
ターミネータ-でサラを守る、カイル役のマイケル・ビーンを思い起させる存在だったゆえ
残念。。。。頼もしく感じていたのにね。




カーライルは忘れた頃にやってくる・・・という感じで
途中いなくなったと思ったら
後半出番がありました。
唐突に・・・・笑

ご都合主義的な部分も多く見られますが
恐いことには変わりありませんので、
こういう映画が好きな人には、
お勧めなんじゃないかな。

私は、まあ・・・ちょっとね・・・・笑・・


↓頑張れ~~カーライルって感じです


28週後

アルファ・ドッグ 破滅へのカウントダウン

アルファ・ドッグ 破滅へのカウントダウン<未>(2006  アメリカ)

ALPHA DOG


監督: ニック・カサヴェテス
製作: シドニー・キンメル
チャック・パチェコ
製作総指揮: ロバート・ジェリンガー
マリーナ・グラシック
アンドレアス・グロッシュ
アヴラム・ブッチ・カプラン
ジャン・コルベリン
スティーヴ・マーコフ
アンドレアス・シュミット
脚本: ニック・カサヴェテス
撮影: ロベール・フレース
プロダクションデ
ザイン: ドミニク・ワトキンス
編集: アラン・ハイム
音楽: アーロン・ジグマン
出演: エミール・ハーシュ
ジャスティン・ティンバーレイク
アントン・イェルチン
ベン・フォスター
ショーン・ハトシー
クリストファー・マークエット
マシュー・バリー
ヴィンセント・カーシーザー
オリヴィア・ワイルド
ヘザー・ウォールクィスト
ドミニク・スウェイン
アマンダ・セイフライド
シャロン・ストーン
ブルース・ウィリス

実際に起こった殺人事件を題材にした映画。
麻薬ディーラーであり、
史上最年少のFBI最重要指名犯となった少年が主人公。

麻薬密売をしていた(父親も売人)ジョニーが
仲間達と企てた誘拐事件。
麻薬相手ジェイクが金を払わないので
その弟15歳のザックを誘拐し、取引しようとしたのだ・・・
だがことは思った以上に大きくなり。



感想   ラリークラークの「ブリー」にも似た
ティーン・エイジャーたちの短絡的な犯罪行為。
非常に、後味悪い作品ですが
エミール・ハーシュが主役ということで鑑賞。
ムカムカしますよ・・・・登場するこの子ども達には・・・

まず、実在の人物達ということで驚き。
今も裁判中だとか。
映画は、冒頭と最後に被告の父親と( ブルース・ウィリス が反省心の無い父親として登場・
髪あります・・笑)
被害者の母親(シャロン・ストーン がすごいメイク・特殊メイクか・・・で登場)
が、インタビュー形式で記者に心境を訴えると言う形で登場です。


その後、事件の経緯を順序だって描いていくという構成。
そのたびに、
この事件にかかわった人々が証言者1、証言者2と
テロップで説明されるのです。

事件にかかわった子ども達は皆浅はか。
これは大変なことと感じながら
誰もが報告もせず、私は知らないよ~~とばかりに他人のふり。

実際に殺人行為を行わなくても同罪でありますよね。
リーダー各の少年は(これがエミール・ハーシュ)は、強がりばかり言って仲間内では
威張っていますが、父親の力もあるからじゃないのかな。
実際のところ、ひどく、臆病で
後先考えない、愚か者であります。その場限りの判断。


一方、誘拐された少年は、
兄が札付きの不良で、このジョニーといがみ合っていた
ものだから、巻き添えを食ったっていうことですかね。
ただ、この誘拐された少年、母親にひどく溺愛されており、
期待される自分から逃げたいと思っていたところもあったのですよ。
だから誘拐したやつらが、悪の一味だとわかっていても、
自分もそういう、堕落した自分になりたいという願望もあらわれてきて、
人質といいながら
その仲間達と
一緒に、酒、ドラック、女、と、遊びほうけます。

誘拐された少年=ザックは、
おびえていたのでも何もなく、つるんで遊んでいたのですよね。
それに兄のことで今はもめていても
きっと兄はお金を返してくれるから大丈夫だろうって
信じていたところもあったのかな。

楽しく過ごす誘拐された少年。
ジョニーのしもべになっているような、仲間の少年たちとも
次第に気があっていくのです。

しかし~~~~
そのまま、お家に返すという結論にはならず。


誘拐犯という形になるのが恐くなったジョニーは
仲間達に、少年のしまつを命じます→殺せってことです。

(このジョニーは実際には手を加えず、命令のみなんだけどね)
感じで。


「俺を殺すの?仲間だろ?」と嘆いている
誘拐された少年ですが、容赦なく、仲間達は
殴り、銃で撃ち、虫けらのように殺す・・→この殺人に向かう過程が
気分悪しなんです・・・。人を殺す過程をみるわけですからね・・・。


若者たちの
乱れた遊びにゲンナリ。
残忍な犯罪行為にゲンナリ。



オープニングのやわらかい音楽と映像とは
うって変わった中身の濃さ・・・。

逃げに逃げ回って結局捕まる
ジョニーの最後ですが、
ディカプリオのキャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンを思い起こさせる姿。
キリリとしたスーツ姿。

いや~~捕まってよかったよ・・・という思いでいっぱいですが、
病んだアメリカの少年たちに
後味の悪さいっぱいでした。

このエミール・ハーシュの演じる少年は愚か過ぎて
当然
好きになれませんが、
色んな役に挑戦すると言うのね・・ということで、俳優目当てにみるのもいいかも。
バックヌードもあったり、卑猥な言葉ありで
やりたい放題でしたけどね。
あ・・・女性と2ショットで歩くところがあるんですけど、背が高い女性とのショットなので
より、背が低く感じます。余談ですね。

afufa.jpg

イントゥ・ザ・ワイルド(2007)

イントゥ・ザ・ワイルド  (2007  アメリカ)

INTO THE WILD

上映時間 148分

監督: ショーン・ペン
製作: ショーン・ペン
アート・リンソン
ビル・ポーラッド
製作総指揮: ジョン・J・ケリー
フランク・ヒルデブランド
デヴィッド・ブロッカー
原作: ジョン・クラカワー
『荒野へ』(集英社刊)
脚本: ショーン・ペン
撮影: エリック・ゴーティエ
プロダクションデ
ザイン: デレク・ヒル
衣装デザイン: メアリー・クレア・ハンナン
編集: ジェイ・キャシディ
音楽: マイケル・ブルック
カーキ・キング
エディ・ヴェダー
出演: エミール・ハーシュ  ( クリストファー・マッカンドレス)
マーシャ・ゲイ・ハーデン   (ビリー・マッカンドレス)
ウィリアム・ハート       (ウォルト・マッカンドレス )
ジェナ・マローン        (カリーン・マッカンドレス)
キャサリン・キーナー     (ジャン・バレス)
ヴィンス・ヴォーン       (ウェイン・ウェスターバーグ)
クリステン・スチュワート   ( トレイシー)
ハル・ホルブルック      (ロン・フランツ)
ブライアン・ディアカー
ザック・ガリフィアナキス


1990年夏。
ジョージア州の大学を卒業したクリス・マッカンドレス。
優秀な父母を持ち、何不自由ない生活を送っていた彼が
卒業を機に、突然姿を消す。貯金も投げ打ち、無一文で
放浪の旅へと向かう。様々な出会いがあり、やがて彼は
アラスカの荒野に分け入る。
そして、置き去りにされたバスを住みかとし、自活の道を選ぶのだが・・。



感想   ジョン・クラカワーのベストセラー・ノンフィクション『荒野へ』を
俳優、ショーン・ペンが監督した作品。
主演はエミール・ハーシュ。
企画段階から情報収集していたので、公開を楽しみに待っていた作品でした。
主演のエミール・ハーシュは期待している若手俳優さんの1人ですから。
私にとっては、彼主演作品としては、初劇場鑑賞となります。パチパチ。
あ・・・「スピードレーサー」もありましたね。でもあの映画はなぜか、作品自体に興味が湧かず(すみません・・・)こちらの方を選択しました。


実話と言うことで結末もちらりと知っておりました。(映画紹介内容の段階でバラしているものが
多いのですよね)
知らない方が衝撃度は高いと思いますが、知っていてもラストの状況には
胸が痛みます。彼のリアルさを追求した演技には脱帽。
大丈夫でしょうか、体は。
私は、太る努力より、激ヤセの努力の方に肩入れしてしまうので
クリスチャン・ベールのマシニストをほうふつさせる容貌は、みていて、つらくて、つらくて。

生命の輝きが失われる瞬間の壮絶さは
それまでの彼の旅に経緯を知っているからこそ、つくづく、せつなく、悲しいのです。
合わせてそこに、彼の身内の気持が重なってしまうからです。

彼はなぜ、当然、失踪し、当てもない旅に出たのか。
最後に何故、アラスカを目指し、自炊という道を選んだのか。
何を見つけたかったのか・・。


作品は、最後に過ごしたバスでの生活を中心にして、それに至るまでの
旅の出発、道中を、年月を遡って、淡々と描いていきます。

裕福で幸せそうに見えた彼の家庭でしたが、実は数々の問題を抱えていて
彼もその妹も、苦しんでいることがあったということ。
彼が失踪したことで、両親の関係が変化してきたというのは実に皮肉なことだと
思います。(お互いに助け合いながら息子の行方を案じている様が見受けられた)

物欲にこだわりたくない・・・
目に見えている将来(成績が良かったので将来も有望だった・・・と思われる)
をかなぐり捨てたい・・・・
自由になりたい・・・
彼は、今までの自分をゼロしして、何もないところから、何かを見出したかった
のでしょう。人が、親が与えてくれた価値観ではなく、自分自身で新しい
価値観を見出したかった・・・・・・。そのために、自分をまっさら状態にし、自然の中での
生活に身をおきたかった・・・・。


彼の真意はわかるようなところもあるのですが、正直、
どこか自然に対して無謀な行いでもあるのではないかと思ってしまうところも
ありました。
無鉄砲な行為だな・・・と思わずにはいられくて。
カヌーでの川下りなども、ヒヤヒヤした一つです。
自炊生活にしたって、
植物図鑑片手での状況って、みるからに危なっかしい・・・・ですし。
同じく、ヘラジカの処理にしても、危なげで・・・。
(結局、ヘラジカは食として失敗に終るのですが、そのときの映像が
実に生々しく、気持悪かったです。うじ発生・・・・涙)

これも・・・それも・・若さゆえなのでしょうが。
本人にしてみれば、すべてが、懸命なわけで、
それがそのまま、彼の生きている実感につながっていたのかも
しれませんね。

自然を甘く見てはいけない、とは
体験して初めて知ることなのかもしれません。


旅の道中では色々な出会いがありました。
どれも皆、自分らしく生きている人たちばかりです。

印象的だったのは・・
トレーラー生活の男女。彼らとは2回ほど出会うのですが
女性の方は訳あり。なんでも、10代の息子が突然自分のもとを離れていってしまい
今もその行方がわからないという過去があるのです。
「親御さんには連絡しないの」と諭す彼女の言葉を聞き入る主人公。
もっともだよな~~~とその言葉に同感。


また、アラスカ行き少し前に出会う
1人暮らしの皮職人の頑固なおじいさん。
主人公に養子にならないかなんて、温かい言葉も投げかけてくれて
グググ~~ときちゃいました。おじいさんの頬に流れる涙におお~~~と。
このおじいさんも、主人公に、神についての話を語り、
「親を許してあげるんだ・・」みたいなことを言っていたような
気がしますが
やっぱり、終始、主人公の親の思いが重なるところがあって
(たとえどんな事情があるにしろ、親は親)旅先でそのことに触れる人の
言葉には心が揺れました。

また歌の上手な女の子も印象的でした。
主人公を慕う、16歳の少女ですが、甘いロマンスとはほど遠く
ほのかな感じの出会いです。彼女は彼に恋焦がれて(エッチしちゃってもいいよ・・・って誘いも
かけるのでが、やんわり、彼が諭して、淡く終る・・・)
アタックするのですが、それもうまくかわされ
せつない思いのまま、お別れするのが、印象的でした。
彼の真面目さもわかって(彼にとっては、旅が目的で、意味なく女性に手を出さない)
いいシーンだったかな。


作品全体、
自然の雄大さがとても綺麗な・迫力ある映像で描かれているので
自分も旅をしている感覚に襲われます。
もちろん、荒れ狂う自然も描かれています。

熊も、シカも、登場。
人との交流も温か。


ロード・ムービーとしても
楽しめる作品となっています。
ちょっとつらいラストですので
清清しい気持にはならないのですが
数日経つと、そのラスト以上に
旅の過程が思い出されますね。


映画のラストでは本人のショットが映し出されます。
映画と雰囲気が似ておりました。
ご両親としてはさずかし、無念だったことでしょうね。
ああすればこうすればよかったと思ったに違いありません。
もちろん、本人が一番無念だったと思いますけど。

旅からもどっての
彼の成長もみてみたかった気がします。

innthiwairudo.jpg
インティ

カンナさん大成功です!

カンナさん大成功です!  (2007  韓国)


監督: キム・ヨンファ
原作: 鈴木由美子
『カンナさん大成功です!』(講談社コミックス)
脚本: キム・ヨンファ
ノ・ヘヨン
撮影: パク・ヒョンチョル
音楽: イ・ジェハク
出演: キム・アジュン カンナ
チュ・ジンモ サンジュン
イム・ヒョンシク カンナの父
イ・ハヌイ イ・ゴンハク
イ・ウォンジョン 占い師
(特別出演)
キム・ヨンゴン チェ会長
(特別出演)
ソン・ドンイル チェ社長
ソ・ユン 歌手アミ
キム・ヒョンスク ジョンミン
パク・フィスン チョルス
パク・ノシク
イ・ボムス
(特別出演)
リュ・スンス
(特別出演)

鈴木由美子の同名コミックの映画化。
韓国のアカデミー賞“大鐘賞”で最多12部門ノミネートを成し遂げた作品。
身長169cmにして体重95kgの女性カンナ。
彼女はその容姿ゆえ
スター歌手アミの“ゴーストシンガー”
そんなある日、プロデューサー、サンジュンの冷たい言葉をきき
全身整形で別人に生まれ変わることを決意。
それから1年後、
ジェニーという歌手志望の子になって彼のもとに現れるが



感想  これ昨年の劇場の予告でよく観ていておりました。
「マリア~~♪」の曲の印象が強かったので
DVDになったら観てみようと思っていたのです。
で・・・・結果。
観ている最中は気にならなかったんですけれど
観終わってから、なんだか、釈然としないものを感じる
そんな映画でした。楽しい映画ではあったので
軽~~い気持ちで見れば問題ないとは思いますけれど、
軽い気持で観なかったから・・・・笑


そもそも、ブスとか美人とかいうものを題材にした映画って
なんだか、モヤモヤ・・・っていう気分になってしまうんですよね。


でも、この映画、評判いいんですね。

整形が当たり前の韓国と日本での意識の違いがあるかもしれないけれど、
私が整形となるとちょっと考えてしまうところがあったから
↑のような印象を持ったのかしらね。
デブ→モテない→整形・・・っていうのがどうも。
努力なにもなく、すぐ整形でしたから。


確かに主役の彼女は可愛いし(ナチュラル美人と言われていたけど完璧な美人でないところが
いいみたい・・・)コンサートでの歌は聴き応えあるので
それは魅力的です☆
でも・・


腑に落ちないこともね・・


1・・・・・あのプロデユーサの男は
カンナさんのことを「あいつは才能があってもブスでデブ・あいつを利用すればいい」って
売れっ子の歌手アミの前で言っていた人なんです。
その言葉を聞いてカンナさん自殺まで考えるのに
整形してからも彼が好きってどういうこと?

ただの美人ではダメで、才能もあって美人でなければ好きにならない・・・
そんな気がしたのですが・・・。
女性に対して求める条件が大きい人って感じで。


カンナさんが整形してジェニーになってからあのプロデューサーに近づき
歌手とプロデューサーという新しい関係になりますよね。
そのうち、部屋で2人っきりという場面になって(まあ、ありゆる設定)
で・・・キスシーンになりますが・・案の定・・笑
それがどうもね・・・。どういう気持でそういうことするのかな・って考えると
ただ単に美人でセクシーな彼女をみて、なんだかふらふら・・・とその気になったと言う感じ
にしか取れない。
そういう軽さのある男に設定されていたのがまた・・・嫌でした。
男だからしょうがないってことなのかな・・




2・・・結局、整形は告白。ファンはそのことを肯定するものあり否定するものあり・・・と
そういう展開。あのコンサートでの告白シーンで、昔の彼女の容姿を流すのはどうかと・・
プロデューサー、用意していたわけ?
あざとい・・・。
最後に彼女の友人も整形科医を訪ねるというオチがある・・
あれもどうかな・・・・。結局整形はよし・・・ということかな



なんだか、結局、綺麗になったから売れた・・・
綺麗になったから男が言い寄ってきた・・・という結論のような気もする。
そう観ちゃうのと
自分が美人に対してヒガミがあるように感じますね・・・ヘヘ・



劇中の彼女が歌う、マリア・・は

ブロンディの99年のヒット曲をカバーしたもの。


知らなかったです。ブロンディといえば、「アメリカン・ジゴロ」のコール・ミーも・・
ですよね。懐かしいな~~~

カンナ

天使のナイフ   著  薬丸 岳

天使のナイフ   著  薬丸 岳

夫・桧山貴志 の妻は4年前13歳の少年達に惨殺された。
それも生後五ヶ月の娘の目の前でだ。
今は落ち着いた生活を送っている桧山だが、
過去の事件は心に深い傷を負わせた。
そんなある日、事件にかかわった少年の一人が殺された。
妻の事件の際、少年ということで刑をまぬがけたことから
桧山は彼らを殺してやりたいと口走っていた。
そのこともあったからか・・、
今回の少年殺人の犯人として、桧山は疑われることになる。


少年たちは、妻の事件以後、どのように過ごしていたのか。
桧山は少年達の事件後の姿を追い始めた・・・。
そして信じがたい真実が・・



感想   唯一読んでいなかった「天使のナイフ」に挑戦しました。
最近、文庫化されたようですが、私は、図書館で借りたので、ハードカバーのやつで。
原作者の顔写真とか、江戸川乱歩賞選考委員会の方のコメントなども掲載されていて
興味深かったです。


テーマは、少年犯罪。少年法をめぐっての、被害者、加害者の立場。
更生とは・・・贖罪とは何なのかを考えていくという
重いテーマです。

今回も読みやすかったです。この小説が
デビュー作ですよね。
私は、専門的なことはわからないし、一読者としての立場でしか見れないけれど、
グイグイ読み手をひっぱっていく魅力がある作品というのだけは
わかります。
読み出したら止まらないという作品を書き上げるのは、すごいことですよね・・・。
このあとの「闇の底」も「虚夢」も同じようなパワーを感じとりました。
デビュー以来、一貫としてそのパワーが衰えないのは
凄い。新作のたびに楽しみにしたいと思います。

とはいえ、社会派の作品なので、現実と対比しながら考えると
ちょっと気が滅入る部分はあります。
面白いという表現はしにくいですよね。
現実にこういった壮絶なことが起こっているからこそ、興味をもつという図式も
悲しいです。
ただ、見過ごしがちなことを気付かせてくれるという意味では
すごく勉強になります。

考えなくてはいけないこといっぱいありますものね。


少年少女が少年法という法律によってその立場を守られる。
加害者の人権を尊重することで
被害者の人権がおろそかになる・・。
読みながら、主人公、桧山の立場が痛々しくありました。
共感できます。被害者となったらほとんどが桧山と同じ気持でしょう。


この小説は最後に、
驚愕な事実が明らかになります。
ミステリーとしても一級品。

まさか・・・あなたが。
あなたまでもが・・・・。


よく練りこまれた作品です。


桧山親子、その過去を背負うのは苦しいかもしれないけれど、
是非、幸せに暮らして欲しいな・・・。
てんし
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みみこ

  • Author:みみこ
  • レイフ・ファインズ好き
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