森に眠る魚 著 角田光代
森に眠る魚 著 角田光代
東京の文教地区の町で出会った5人の母親。
育児を通して「ママ友」として、日々親しくなっていく彼女。
しかし、子どもの進路を考える中で
その関係は微妙になっていく。
感想 数年前に実際に起こったお受験がらみの事件をモチーフにした今作。
この作品、結婚して子どもを育てるという経験をした人&している人なら
ひどく身につまされる内容かと思います。
実にリアルで生生しかったですね。とくに、彼女達の心理描写の部分で。
逆に、男性陣にとっては、ピン!!とこないところかもしれません。
女性という性がますます、理解しがたくなると感じるだろうし、
こういうめんどくさい関係なら、男性でよかったよ・・・・・・など思ってしまうのでは
ないでしょうか。
それほど、女性のいう私が言うのも変ですが
女性同士の人間関係は難しいのです。
冒頭で、まず、登場人物、5人の人物紹介がされます。
どこに住んでいて、どういう生活をしており、どういう価値観をもって暮らしているか。
また家族構成はどうなのかと、バトンリレーのように、紹介です。
5人もいっぺんに出てき、さらにはその背景までもを一瞬のうちに
整理しなくてはならないので、ちょっと大変な部分はありますが、
ここは主婦の底力の見せ所で(こういう名前覚えは主婦の方が一般的に早い気がして・・・笑)
パパパ~~~と情報整理したいところです。
がね・・・・、日々にぶくなっている自分なので、(自分のクラスのお母さんだって覚えなくては
いけないんだからね・・・・)
結局、読んでは戻り読んでは戻りと・・・やってしまいました・・・・笑
この5人には、やがて家族が増え、(それも似たような年齢の子たちばかりなんですもね)
それも合わせて覚えていくんですよ。
というものの、話にのめりこんでいくと(名前バッチリにもなるので)サクサク読めてきました。
<自分のためにもここでちょっと整理をします。>
繁田繭子・・・・アパート暮らしから、夫側の遺産分配での収入でマンション購入。
江田かおりと同じ住人になる。
華やかな生活に憧れる。
金髪。真っ青のマニュキアと少々、派手。がさつなところあり。
子守にお金をとるなどちゃっかり派。
子育てはめんどくさそうだが、自分の子は可愛い様子。
お菓子をやたら与えたり、ビデオみさせっぱなしとか、
目先のことしか考えない子育て。部屋は汚く、だらしがない。
人懐っこさで、最初は他の仲間から受け入れられたが
やがて、マイナス部分が目に付くようになる。
子ども→怜奈をモデルにという甘い話にのり
サラ金から借金もする。
久野容子・・・息子、一俊(おとなしく引込みじあん)
2人目妊娠するがのちに、流産。
久野容子は幼稚園に入る前から夫に友人が出来ないとグチグチいっていたこともあり
友だちを欲するタイプ。初めは千花にいい印象をもっていたが
やがて本音をいえる瞳に、異常なまでに近づいていくようになる。
受験に関しての千花の行動に反発を感じ、いろいろ影で噂するようになる。
2人目流産で自分が皆と違う、おいていかれるような不安も感じる。
高原千花・・・息子雄太(しからない主義の子育てのため、かなり乱暴もの。)
お友だちをいじめたりしても、息子は悪くないわ~~と
言い切る母親。
雑誌に出てくるような優雅な暮らしぶり。
生活の基盤を、基準のようなものを、子育てや家事で忙しくなっても失いたくない
そんな家にしたくないと感じている。(本文、100ページより)
自由奔放な外国暮らしの妹がおり、自分と比較して、うらやましくも
感じていたりする。
後に二人目妊娠→桃子
江田かおりに憧れ。かおりの子供のように受験させようと
躍起になる。友だちに嘘をついてまでお教室を探したりする。
小林瞳・・・小学校受験経験あり。短大までの付属の一貫校に通っていたが、お嬢様学校で
あるがゆえ、息苦しさも感じはじめ、やがて拒食症に。
しかし、自分の経験上、私立の環境のよさを知り、受験もありかな・・・と
思っている様子。
すべてにおいて、自信をもつことができず、依存症的なところがある。
拒食症入院していたとき、マザー・アース(慈善事業行うNPO方法人。
キリスト教を母胎にした団体のようだが、いわゆる宗教系?の団体のよう)
の活動をし、その後「風船の会」という(地球環境を考える団体。しかし
母胎は結局、マザー・アース)会に入り活動を行っていた。
そこで馬場好恵(瞳いわく、臆病で慎重で不器用で敏感な女性)と知り合い
今も文通の仲。自分に似ている彼女の存在が次第に、疎ましくなる。
夫はその団体で知り合う。(夫の仕事は宗教系。)
息子は光太郎。のちに二人目、茜を出産。
江田かおり・・・娘、衿香(他の4人より子の年齢が上)私学に通う、上品で礼儀正しい子。
しかし、後に登校拒否に。
昔の職場の上司といまだ不倫をしている→田山大介(妻子持ちで、子どもは
有名な大学までの一貫校の小学校に通っている)
5人の出会いは・・
① 久野容子と高原千花が幼稚園の書類を取りに来て、出会う。
② 繁田繭子は、引っ越してきたマンションで江田かおりと出会う。
繭子は江田かおりのエレガントな佇まい、ものの言い方からその後「マダム」と呼ぶように
なる。
③ 幼稚園の入園手続きの日、小林瞳は、久野容子に話しかける。
小林瞳は、高原千花とはすでに児童館で、出あっている。
3人とも同じ幼稚園入学とわかり、やがて親しくなる。
④ 小林瞳が二人目妊娠し、産婦人科で、繁田繭子と出会う。お互い連絡先を交換。
⑤ 高原千花も二人目妊娠。小林瞳の子(上も下も)繁田繭子の子と、同じ歳の出産。
⑥ 繁田繭子が、同マンションのマダムこと、江田かおりを他の3人に紹介。
高原千花は、江田かおりの、暮らしぶりに憧れ、自分の求めている姿と思う。
その影響からか受験を考える。
数年年月もたってのお話なので
なかなかまとめにくかったのですが、概要このよう↑内容です。
この内容を読んで
あ~~似たような人いるかも、私も似ているかも・・・・と思った人もいるかもしれませんね。
よく、教育情報のサイトなどを読んでいると、ご近所関係でのトラブル云々で
こういった人間関係、よくよく観られますもの。
だから、人ごとではないのですよね。
このお話で面白いのはやっぱり、人間ひとくくりで語れないということ。
完璧な人っていないんだな・・・・と思いました。
そして人間はやっぱり恐いです。
仲が良くでも疑心暗鬼になった途端、一変に崩れていく関係。
相手が自分と違うことが、新鮮に感じられたのに
一瞬のうちに嫌悪感として襲ってくる。
人間、もともと、だれがいい人で、誰が悪い人かなんて
判断しきれないと思うんです。
だからこの登場人物で誰が悪いって言うのはないのかも。
あとは自分の価値観と照らし合わせて、合う合わないの世界でしょ?
一般的に、繭子の、行動は、首をかしげるものだと感じるものの
(小林瞳の子の茜ちゃんを預かったとき、腕をひっぱって怪我させちゃうのですよ。
それも悪かったと思わないなんて非常意識!!場所代としてお金を取るのもどうかと)
もしかしたら、その行為を当たり前のように行っている人もいるわけで
そういう人にとっては、なんで~~と思うわけですよね。
価値観は、本当、各々別だということを、つくづく感じます。
その価値観が、家庭の教育観に繋がっていくわけだから、
日々の行動がそれぞれかみ合わなくてもそれはしかたがないのだと思います。
物事の感じ方を同じにしようと思うこと自体
無理なことですよね。
心をわって話したい
自分の気持をしってもらいという思いは
子育て中なら誰だってあるはず。
だけど、そうそう、私も~~と思って共感しあっているうちはいいです。
へ~~、そういう考え方もあるのね・・・と素直に頷いていられるうちなら
いいです。
でも、そのうちそうはいかなくなってくる・・・。
それは子どもの成長とともに、そうもいってられなくなるということ。
受験とか、やっぱり、そういう進路が絡んでくると、
あの頃の素直な反応が、微妙になってくるんですよ。
ここに登場してくる女性はすべて専業主婦ですよね。
これもまた、結構大きな部分でもあるかな。
見えている世界は
子ども・幼稚園・(学校関係)、そのママという実に狭い範囲なわけです。
そういう状況下だと、関心はすべて子どもで、流れ上、教育となるわけですよね。
子どもを否定されるというのは自分を否定されることにも繋がるわけで、
お話にもでてきましたけれど、
憤る親の気持ちも理解できないわけでもない・・・・。
子どもが絡むと親もまた非常にナーバスになるわけで、それは
しょうがないことなのかなと思ってしまいます。
働いていれば見えなかったことも、お家にいることで
見えてしまうこともいっぱいあるんですよね。
そりゃ、悩みなく、自分1人で生きていくとすっぱと思える人にとっては
なんの問題もないのですが、なかなかね・・それも。
じゃあ、価値観が同じだったら、友だちになれるかということ
これもまた難しい。同じなら同じでまた色々とね、問題はでてくるでしょう。
どうしたらこういう深い森に
自分は迷い込まないでいられるのか・・
やっぱり考えてしまいますよね。
きっと
距離感の取り方でしょうね。
ここをどうするか。
他の人は、江田かおりや、千花の生活を憧れていましたけど
距離感をうまくとって、上手に世渡りできるような人こそ
憧れるべき、存在かも・・・・なんて
思ったりします。江田かおりのように不倫相手のことを簡単に人に話すのもどうかと思うし、
さっさと勝手にその不倫相手にアポとって、受験話を聞き出す、千花もどうよ・・・と
思います。
もう、こんな状況↑になると、相手のこと考えずに、自分の気持のまま、突っ走っているって
感じでしょう?
思いやりとか相手のことも考えてと人と接しましょう・・・と
子どものころはよく、学校で言われますよね。
もちろん、それは非常に大事で、大人になっても心がけようと思っていますが、
親になって、子育てをしていく中で、ドロドロした環境に入り込んでいくと
そんな悠長なこと言ってられなくなったりするんですよね。
なぜなら、やっぱり、ずうずうしい人勝ちっていう場面に
いくらでも遭遇するから・・・・笑
いや~~、本当、自己中心的に生きている人って多いですよ・・・笑
もちろん、
ある程度、年齢いってくるとね、女性って、ずうずうしくもなっていき、
自己主張も活発になってくるのは当然かと。
それって、言葉を変えれば、子どもを育てていく、守っていく上での強さとも
言えるからね。
ベースにあるのは、相手に対する思いやり。
そこに、そこそこに、自分の意思の強さものせて、
状況をみて、ここは押すべきで、ここは控えるべきでという
判断をうま~く、やっていきたいものです。
まあ年齢取っていくうちに、
学生のような同じような感覚で、付き合いたい→ママ友に・・・
と思っても、うまくはいかないんじゃあないかと思います。
自分が背負っている物が大きくなっているので(家族等)、
難しいんですよね。
基本的には
まずは、人前で人の悪口&噂話を言わないこと。
自分の家庭の話はほどほどに・・・・。
つかず離れず・・・・ということがいいのではないかな・・・・・・笑
このつかず離れずが案外難しくって。
離れすぎるとこれまた、寂しいし、くっつきすぎると、あわわ~~になってしまう・・・笑
上手な距離感でお付き合いできればいいんじゃないでしょうか。
私などは、プライベートで
この小説のようにまで、深く付き合ったことはさすがにないのですよ。
幼稚園の頃は、お家に集まって、お食事したり(持ち寄りだったけれど、場所代はとらない・・よ)
交換ノ-ト回したり(子育て中の近況報告)と、まあ、人並みにはやりましたけれど、
それでも、ここまでは人には~~~ということはけっして言わなかったです。
また、この話の5人は
幼児教室まで一緒に見学ですよね。
あれもね・・・。
それは、基本的にはお1人がいいでしょうね。
感じ方はひとそれぞれなので、よくないでしょう。
なんでつるむかな・・・・・・それが疑問です。
そんなのささ~~と1人で行けばいいし、
別に隠すことないし、
普通に振舞っていればいいだけじゃないのかな。
学生時代にもよく、おトイレにつるんでいったりとか、ありがちでしたけれど
そもそも、私はそういう密なのは好きじゃあなかったですね。
彼女ら5人のようにあそこまで仲が良くなかったとしても、
相手を
妬んだり、ライバル視したり、比べたり
正直、自分で自分が嫌になるような感情に囚われることって多かれ、少なかれ
女性ってあるのではないかと思うんですよね。(ない人いたら、すみません、)
だから、その感情自体は否定しないですね、私は。
だって、しょうがないもの、感じてしまうのは。
でも、それをあからさまに相手には見せなければいいんじゃあないかな。
ときには、夫にぶちまけたり、1人で叫んだり・・、笑、心にそっと封じ込めたり。
本当は誰でも持っているんじゃない?
こういう感情・・・と
小説が語っているようで、
すごく恐ろしかったです。
見透かされているでね・・・・。
まあ、これを読んで、結婚、子育てに不安をもったら大変ですが、
そんな悪いことばかりではないですよ。家庭生活っと、
声を大にしていいたいです。・・・笑
もちろん、いい関係築ける人も当然いますので安心してください。
今回は、専業主婦&受験ママの、まさに、私かい?というような主人公たちに
複雑な、それでいてよし~~~★気をつけよう★と
自分自身、肝銘じながら、読み通しました。
本文63ページ 容子の心の中
「私ねえ、瞳さん」本当はこわかったの。幼稚園、小学校、中学高校と、いくのはこの子なのに、
私自身がもう一度くり返さなくてはならないような気になって、前よりはずっとうまくできると
思うんだけど、それでもやっぱりこわかったの。気の合わない人やどうしても好きになれない人、
あこがれてしまう人嫉妬してしまう人、そんな大勢のなかに生きているうち、そんなことは
私には関係ないと割り切ることができなくなってしまうことが、こわかった。手に入らない
ものをほしがったり、ほしくないものに焦がれたり、そういうこと、ねえ、瞳さんにも覚えがある?
本文125ページ
「あんまり根ほり葉ほり訊くのはマナー違反って雰囲気あるし。幼稚園のママたちを
見ていると、みんな華やかで裕福で都会的で、しあわせに育ってきた人って感じで、子どものことだっなんでもうまくいく自信を持っているっていうのかな・・・でも私はぜんぜんそういう人間じゃあ
ないってことを話したかったのよ。・・・以下省略」
↑で引用したのは個人的に心に残ったから。
そういう部分も自分にもあるからかな~~~。
ラストの描写が印象的でした。
主語は、彼女はのみ・・・になっていて、それぞれの心の闇を描きだしているのです。
誰が誰だかは読んでいればわかるのですが・・・
重い・・重い・・・感じで、こちらまで息苦しく感じてしまいました。
結局、物語は終っても
彼女達の人生は続く限り
心の闇はいつまた襲ってくるかもしれないってこと。
後味はあまりよくありませんが
読む価値は充分あるかと思いました。

東京の文教地区の町で出会った5人の母親。
育児を通して「ママ友」として、日々親しくなっていく彼女。
しかし、子どもの進路を考える中で
その関係は微妙になっていく。
感想 数年前に実際に起こったお受験がらみの事件をモチーフにした今作。
この作品、結婚して子どもを育てるという経験をした人&している人なら
ひどく身につまされる内容かと思います。
実にリアルで生生しかったですね。とくに、彼女達の心理描写の部分で。
逆に、男性陣にとっては、ピン!!とこないところかもしれません。
女性という性がますます、理解しがたくなると感じるだろうし、
こういうめんどくさい関係なら、男性でよかったよ・・・・・・など思ってしまうのでは
ないでしょうか。
それほど、女性のいう私が言うのも変ですが
女性同士の人間関係は難しいのです。
冒頭で、まず、登場人物、5人の人物紹介がされます。
どこに住んでいて、どういう生活をしており、どういう価値観をもって暮らしているか。
また家族構成はどうなのかと、バトンリレーのように、紹介です。
5人もいっぺんに出てき、さらにはその背景までもを一瞬のうちに
整理しなくてはならないので、ちょっと大変な部分はありますが、
ここは主婦の底力の見せ所で(こういう名前覚えは主婦の方が一般的に早い気がして・・・笑)
パパパ~~~と情報整理したいところです。
がね・・・・、日々にぶくなっている自分なので、(自分のクラスのお母さんだって覚えなくては
いけないんだからね・・・・)
結局、読んでは戻り読んでは戻りと・・・やってしまいました・・・・笑
この5人には、やがて家族が増え、(それも似たような年齢の子たちばかりなんですもね)
それも合わせて覚えていくんですよ。
というものの、話にのめりこんでいくと(名前バッチリにもなるので)サクサク読めてきました。
<自分のためにもここでちょっと整理をします。>
繁田繭子・・・・アパート暮らしから、夫側の遺産分配での収入でマンション購入。
江田かおりと同じ住人になる。
華やかな生活に憧れる。
金髪。真っ青のマニュキアと少々、派手。がさつなところあり。
子守にお金をとるなどちゃっかり派。
子育てはめんどくさそうだが、自分の子は可愛い様子。
お菓子をやたら与えたり、ビデオみさせっぱなしとか、
目先のことしか考えない子育て。部屋は汚く、だらしがない。
人懐っこさで、最初は他の仲間から受け入れられたが
やがて、マイナス部分が目に付くようになる。
子ども→怜奈をモデルにという甘い話にのり
サラ金から借金もする。
久野容子・・・息子、一俊(おとなしく引込みじあん)
2人目妊娠するがのちに、流産。
久野容子は幼稚園に入る前から夫に友人が出来ないとグチグチいっていたこともあり
友だちを欲するタイプ。初めは千花にいい印象をもっていたが
やがて本音をいえる瞳に、異常なまでに近づいていくようになる。
受験に関しての千花の行動に反発を感じ、いろいろ影で噂するようになる。
2人目流産で自分が皆と違う、おいていかれるような不安も感じる。
高原千花・・・息子雄太(しからない主義の子育てのため、かなり乱暴もの。)
お友だちをいじめたりしても、息子は悪くないわ~~と
言い切る母親。
雑誌に出てくるような優雅な暮らしぶり。
生活の基盤を、基準のようなものを、子育てや家事で忙しくなっても失いたくない
そんな家にしたくないと感じている。(本文、100ページより)
自由奔放な外国暮らしの妹がおり、自分と比較して、うらやましくも
感じていたりする。
後に二人目妊娠→桃子
江田かおりに憧れ。かおりの子供のように受験させようと
躍起になる。友だちに嘘をついてまでお教室を探したりする。
小林瞳・・・小学校受験経験あり。短大までの付属の一貫校に通っていたが、お嬢様学校で
あるがゆえ、息苦しさも感じはじめ、やがて拒食症に。
しかし、自分の経験上、私立の環境のよさを知り、受験もありかな・・・と
思っている様子。
すべてにおいて、自信をもつことができず、依存症的なところがある。
拒食症入院していたとき、マザー・アース(慈善事業行うNPO方法人。
キリスト教を母胎にした団体のようだが、いわゆる宗教系?の団体のよう)
の活動をし、その後「風船の会」という(地球環境を考える団体。しかし
母胎は結局、マザー・アース)会に入り活動を行っていた。
そこで馬場好恵(瞳いわく、臆病で慎重で不器用で敏感な女性)と知り合い
今も文通の仲。自分に似ている彼女の存在が次第に、疎ましくなる。
夫はその団体で知り合う。(夫の仕事は宗教系。)
息子は光太郎。のちに二人目、茜を出産。
江田かおり・・・娘、衿香(他の4人より子の年齢が上)私学に通う、上品で礼儀正しい子。
しかし、後に登校拒否に。
昔の職場の上司といまだ不倫をしている→田山大介(妻子持ちで、子どもは
有名な大学までの一貫校の小学校に通っている)
5人の出会いは・・
① 久野容子と高原千花が幼稚園の書類を取りに来て、出会う。
② 繁田繭子は、引っ越してきたマンションで江田かおりと出会う。
繭子は江田かおりのエレガントな佇まい、ものの言い方からその後「マダム」と呼ぶように
なる。
③ 幼稚園の入園手続きの日、小林瞳は、久野容子に話しかける。
小林瞳は、高原千花とはすでに児童館で、出あっている。
3人とも同じ幼稚園入学とわかり、やがて親しくなる。
④ 小林瞳が二人目妊娠し、産婦人科で、繁田繭子と出会う。お互い連絡先を交換。
⑤ 高原千花も二人目妊娠。小林瞳の子(上も下も)繁田繭子の子と、同じ歳の出産。
⑥ 繁田繭子が、同マンションのマダムこと、江田かおりを他の3人に紹介。
高原千花は、江田かおりの、暮らしぶりに憧れ、自分の求めている姿と思う。
その影響からか受験を考える。
数年年月もたってのお話なので
なかなかまとめにくかったのですが、概要このよう↑内容です。
この内容を読んで
あ~~似たような人いるかも、私も似ているかも・・・・と思った人もいるかもしれませんね。
よく、教育情報のサイトなどを読んでいると、ご近所関係でのトラブル云々で
こういった人間関係、よくよく観られますもの。
だから、人ごとではないのですよね。
このお話で面白いのはやっぱり、人間ひとくくりで語れないということ。
完璧な人っていないんだな・・・・と思いました。
そして人間はやっぱり恐いです。
仲が良くでも疑心暗鬼になった途端、一変に崩れていく関係。
相手が自分と違うことが、新鮮に感じられたのに
一瞬のうちに嫌悪感として襲ってくる。
人間、もともと、だれがいい人で、誰が悪い人かなんて
判断しきれないと思うんです。
だからこの登場人物で誰が悪いって言うのはないのかも。
あとは自分の価値観と照らし合わせて、合う合わないの世界でしょ?
一般的に、繭子の、行動は、首をかしげるものだと感じるものの
(小林瞳の子の茜ちゃんを預かったとき、腕をひっぱって怪我させちゃうのですよ。
それも悪かったと思わないなんて非常意識!!場所代としてお金を取るのもどうかと)
もしかしたら、その行為を当たり前のように行っている人もいるわけで
そういう人にとっては、なんで~~と思うわけですよね。
価値観は、本当、各々別だということを、つくづく感じます。
その価値観が、家庭の教育観に繋がっていくわけだから、
日々の行動がそれぞれかみ合わなくてもそれはしかたがないのだと思います。
物事の感じ方を同じにしようと思うこと自体
無理なことですよね。
心をわって話したい
自分の気持をしってもらいという思いは
子育て中なら誰だってあるはず。
だけど、そうそう、私も~~と思って共感しあっているうちはいいです。
へ~~、そういう考え方もあるのね・・・と素直に頷いていられるうちなら
いいです。
でも、そのうちそうはいかなくなってくる・・・。
それは子どもの成長とともに、そうもいってられなくなるということ。
受験とか、やっぱり、そういう進路が絡んでくると、
あの頃の素直な反応が、微妙になってくるんですよ。
ここに登場してくる女性はすべて専業主婦ですよね。
これもまた、結構大きな部分でもあるかな。
見えている世界は
子ども・幼稚園・(学校関係)、そのママという実に狭い範囲なわけです。
そういう状況下だと、関心はすべて子どもで、流れ上、教育となるわけですよね。
子どもを否定されるというのは自分を否定されることにも繋がるわけで、
お話にもでてきましたけれど、
憤る親の気持ちも理解できないわけでもない・・・・。
子どもが絡むと親もまた非常にナーバスになるわけで、それは
しょうがないことなのかなと思ってしまいます。
働いていれば見えなかったことも、お家にいることで
見えてしまうこともいっぱいあるんですよね。
そりゃ、悩みなく、自分1人で生きていくとすっぱと思える人にとっては
なんの問題もないのですが、なかなかね・・それも。
じゃあ、価値観が同じだったら、友だちになれるかということ
これもまた難しい。同じなら同じでまた色々とね、問題はでてくるでしょう。
どうしたらこういう深い森に
自分は迷い込まないでいられるのか・・
やっぱり考えてしまいますよね。
きっと
距離感の取り方でしょうね。
ここをどうするか。
他の人は、江田かおりや、千花の生活を憧れていましたけど
距離感をうまくとって、上手に世渡りできるような人こそ
憧れるべき、存在かも・・・・なんて
思ったりします。江田かおりのように不倫相手のことを簡単に人に話すのもどうかと思うし、
さっさと勝手にその不倫相手にアポとって、受験話を聞き出す、千花もどうよ・・・と
思います。
もう、こんな状況↑になると、相手のこと考えずに、自分の気持のまま、突っ走っているって
感じでしょう?
思いやりとか相手のことも考えてと人と接しましょう・・・と
子どものころはよく、学校で言われますよね。
もちろん、それは非常に大事で、大人になっても心がけようと思っていますが、
親になって、子育てをしていく中で、ドロドロした環境に入り込んでいくと
そんな悠長なこと言ってられなくなったりするんですよね。
なぜなら、やっぱり、ずうずうしい人勝ちっていう場面に
いくらでも遭遇するから・・・・笑
いや~~、本当、自己中心的に生きている人って多いですよ・・・笑
もちろん、
ある程度、年齢いってくるとね、女性って、ずうずうしくもなっていき、
自己主張も活発になってくるのは当然かと。
それって、言葉を変えれば、子どもを育てていく、守っていく上での強さとも
言えるからね。
ベースにあるのは、相手に対する思いやり。
そこに、そこそこに、自分の意思の強さものせて、
状況をみて、ここは押すべきで、ここは控えるべきでという
判断をうま~く、やっていきたいものです。
まあ年齢取っていくうちに、
学生のような同じような感覚で、付き合いたい→ママ友に・・・
と思っても、うまくはいかないんじゃあないかと思います。
自分が背負っている物が大きくなっているので(家族等)、
難しいんですよね。
基本的には
まずは、人前で人の悪口&噂話を言わないこと。
自分の家庭の話はほどほどに・・・・。
つかず離れず・・・・ということがいいのではないかな・・・・・・笑
このつかず離れずが案外難しくって。
離れすぎるとこれまた、寂しいし、くっつきすぎると、あわわ~~になってしまう・・・笑
上手な距離感でお付き合いできればいいんじゃないでしょうか。
私などは、プライベートで
この小説のようにまで、深く付き合ったことはさすがにないのですよ。
幼稚園の頃は、お家に集まって、お食事したり(持ち寄りだったけれど、場所代はとらない・・よ)
交換ノ-ト回したり(子育て中の近況報告)と、まあ、人並みにはやりましたけれど、
それでも、ここまでは人には~~~ということはけっして言わなかったです。
また、この話の5人は
幼児教室まで一緒に見学ですよね。
あれもね・・・。
それは、基本的にはお1人がいいでしょうね。
感じ方はひとそれぞれなので、よくないでしょう。
なんでつるむかな・・・・・・それが疑問です。
そんなのささ~~と1人で行けばいいし、
別に隠すことないし、
普通に振舞っていればいいだけじゃないのかな。
学生時代にもよく、おトイレにつるんでいったりとか、ありがちでしたけれど
そもそも、私はそういう密なのは好きじゃあなかったですね。
彼女ら5人のようにあそこまで仲が良くなかったとしても、
相手を
妬んだり、ライバル視したり、比べたり
正直、自分で自分が嫌になるような感情に囚われることって多かれ、少なかれ
女性ってあるのではないかと思うんですよね。(ない人いたら、すみません、)
だから、その感情自体は否定しないですね、私は。
だって、しょうがないもの、感じてしまうのは。
でも、それをあからさまに相手には見せなければいいんじゃあないかな。
ときには、夫にぶちまけたり、1人で叫んだり・・、笑、心にそっと封じ込めたり。
本当は誰でも持っているんじゃない?
こういう感情・・・と
小説が語っているようで、
すごく恐ろしかったです。
見透かされているでね・・・・。
まあ、これを読んで、結婚、子育てに不安をもったら大変ですが、
そんな悪いことばかりではないですよ。家庭生活っと、
声を大にしていいたいです。・・・笑
もちろん、いい関係築ける人も当然いますので安心してください。
今回は、専業主婦&受験ママの、まさに、私かい?というような主人公たちに
複雑な、それでいてよし~~~★気をつけよう★と
自分自身、肝銘じながら、読み通しました。
本文63ページ 容子の心の中
「私ねえ、瞳さん」本当はこわかったの。幼稚園、小学校、中学高校と、いくのはこの子なのに、
私自身がもう一度くり返さなくてはならないような気になって、前よりはずっとうまくできると
思うんだけど、それでもやっぱりこわかったの。気の合わない人やどうしても好きになれない人、
あこがれてしまう人嫉妬してしまう人、そんな大勢のなかに生きているうち、そんなことは
私には関係ないと割り切ることができなくなってしまうことが、こわかった。手に入らない
ものをほしがったり、ほしくないものに焦がれたり、そういうこと、ねえ、瞳さんにも覚えがある?
本文125ページ
「あんまり根ほり葉ほり訊くのはマナー違反って雰囲気あるし。幼稚園のママたちを
見ていると、みんな華やかで裕福で都会的で、しあわせに育ってきた人って感じで、子どものことだっなんでもうまくいく自信を持っているっていうのかな・・・でも私はぜんぜんそういう人間じゃあ
ないってことを話したかったのよ。・・・以下省略」
↑で引用したのは個人的に心に残ったから。
そういう部分も自分にもあるからかな~~~。
ラストの描写が印象的でした。
主語は、彼女はのみ・・・になっていて、それぞれの心の闇を描きだしているのです。
誰が誰だかは読んでいればわかるのですが・・・
重い・・重い・・・感じで、こちらまで息苦しく感じてしまいました。
結局、物語は終っても
彼女達の人生は続く限り
心の闇はいつまた襲ってくるかもしれないってこと。
後味はあまりよくありませんが
読む価値は充分あるかと思いました。

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