善き人
善き人 (2008 イギリス・フランス)
GOOD
監督: ヴィセンテ・アモリン
製作: ミリアム・シーガル
セーラ・ブート
ケヴィン・ローダー
ダン・ルポヴィッツ
ビリー・ディートリッヒ
製作総指揮: ダニエル・ダジャーニ
サイモン・フォーセット
ピーター・ハムデン
スティーヴン・ヘイズ
原作戯曲: C・P・テイラー
脚本: ジョン・ラサール
撮影: アンドリュー・ダン
プロダクションデ
ザイン: アンドリュー・ロウズ
編集: ジョン・ウィルソン
音楽: サイモン・レイシー
出演: ヴィゴ・モーテンセン ジョン・ハルダー
ジェイソン・アイザックス モーリス
ジョディ・ウィッテカー アン
スティーヴン・マッキントッシュ フレディ
マーク・ストロング ボウラー
ジェマ・ジョーンズ ハルダーの妻
アナスタシア・ヒル ヘレン
英国の劇作家、C・P・テイラーの舞台劇を映画化。
1930年代、ナチス台頭のドイツ。
ベルリンの大学で文学を教えるジョン・ハルダー。
ある日、安楽死をテーマにした彼の小説がヒトラーに気に入られる。
政治から一線を置いていた彼だったが
しぶしぶ入党することに。
しかしジョンには、モーリスというユダヤ人の親友がいたのだ。
モーリスに激しくなじられるジョン。
やがて、ユダヤ人弾圧が激しくなり
モーリスからパリへの国外脱出を頼まれるのだが。
感想
ナチスもの。
この題材ではいろんな映画が作られていますけどどれも見ごたえのあるものばかり。
それだけ、この題材は語られる要素が多いってことなんでしょうね。
この映画は
派手さはないけど
しっかりとしたメッセージが伝わってきていて、なかなかの良作でした。
前半は主人公の淡々とした日常ばかりで若干退屈ですが
物語は後半から大きく動き出します。
この後半のために、前半の主人公の日常が必要だったのですよね。
どういうキャラなのかよくわかる・・・
この主人公・・・文学を愛し、政治とは一線を置いていた人物。
生活環境は多少、ゴタゴタを抱えている方ですかね。
自分の母親と妻、子供も2人にいる彼。
その母親と妻との関係はしっくりしていない。
記憶障害がありそうな母親の面倒は息子のこの大学教授がしている様子。
妻は、そんな母親の面倒は放置していて神経的にだいぶまいっている感じ。
すぐピアノを弾きだして、困難な状況から逃げ出してしまうような女性ですよ。
ノイローゼ気味でしょうね。
お料理なんかも、できないみたい・・・
大学教授のこのジョンが作っていました。
これじゃあ、誰が観たって
家庭的にはストレス感じる日々だなと思います。
息子だからか
一生懸命、母親の面倒をみるジョンがいたわしい・・・
私としてみれば、奥さん、旦那さま愛しているなら
もう少し家庭のことやってあげてよ・・・と言いたくなります。
そんな状態の中、
若い教え子に迫られてしまうんですね。
夜、自宅に若い女性をあげるのには驚きました。
自分一人じゃなく、妻がいる家だと知ってさらに驚き・・・
なんて大胆。
教え子だからと言って女なのに・・・。
違う見方をすれば、それだけ周りの状況に無頓着ともいえます。
事の重大さがあまりわかっておらず、きっと教え子だからいいだろう…程度の
感覚じゃないのかな・・・と推測されますね~~
でも奥さんにとってみれば、嫌だろうな・・・。
だって寝静まったあとですよ。訪れる女性も女性だけどね。
結局、その教え子とは・・・・できてしまうんです❤
家庭人で一生懸命家族に尽くしているように見えたジョンですが
結局女のもとに走ってしまう。
そして妻と別居、母親を一人暮らしさせ、
この教え子を新しい妻として迎えてしまいます。
でもそんな彼が憎めなかったな・・・。
ひどい人だと思うものの、
しょうがないのかな…彼にしてみればと思えてしまう。
完璧で人物的にも模範の塊のような、大学教授ではなかったというのが
かえて、人間臭い感じがして良かったのかも。
ただの男なんだなって思えてね、
身近に感じるところはありました。
そんな彼に
ナチスが近づくのです。
昔書いた本がヒトラーに気にいられたと・・・・。
彼のその小説というのは
安楽死をあつかったもの。
大学教授という、学があるものに、論文を書かせ、
ナチスは、安楽死させることに意味を持たせようとしていた・・・
大学教授に意見を求めることで
自分たちの行為に
裏付けをもたせようとしたのでしょうか。
こうやってナチスと関わってしまった彼は
入党→出世という道を進んでいくのです。
彼が本来、強く望んでいたわけでもないのに。
私生活同様流れに任せていたら・・・
そうなってしまったということなんでしょう。
このジョンは
悪い人ではない・・・
でも、素晴らしい人でもない・・・
ただただ、平凡な男。
当時の多くのドイツ市民がそうだった・・・
そう言いたいような。
彼は特別でなく
よくある市民の一人であったのでしょう。
出世もし安泰な彼でしたが
考えるべき問題が出てきます。
彼には入党前から・・
(教授になる前)軍隊にいた時からの友人
モーリスという男がいたのです。
その彼は・・ユダヤ人でした。
ユダヤ人に対してナチが何かするなど
これっぽっちも・・・想像もしていなかったジョン。
そこまで事が大きくなるとは想像もしていなかった・・・
でも、事態は悪化・・・。
ある事件がきかっけで
ナチスはユダヤ人弾圧に向かっていくのです。
モーリスの立場が危うくなっていく中、
彼から国外脱出を頼まれます。
地位はあるものの、
そこまで(国外の切符を手に入れる)の権力はない彼は
すんなりモーリスの申し入れを受け入れません。それでも
なんとか・・・
頑張ってみるジョン。
案の定、うまくことは運びません。
ジョンは小心者なんでしょうね。
もっと世渡りがうまく、口も達者なら、モーリスの頼みは
どうにかできたのでは・・・と思ってしまいます。
(だって、最後はどうにかできたんだもの)
結局、
最初の時点では、楽観的にものを観ていた感じもします。
モーリスに関しても、身の危険が、及んでいるんだという・・・
危機感なんて、これぽっちも感じていなかったんじゃあないのかな。
だから、あまり一生懸命でなかった・・・
これがのちに後悔することにつながるんだよね。
そして・・・
悲劇的なラストへと流れていきます。
ここで奥さんが(あの愛人から妻になった教え子ね)
重要なカギになるのですが、
奥さんのとった行為も
わからなくはないですね。
関わりたくなかった・・・
夫を助けたかった・・・
面倒は避けたい・・・
まあ・・・そういった気持からかと。
あの状況で責めるのも酷かなと思います。
そもそもジョンが早い段階で
段取りしてあげたら良かったんだしね。
そして・・・印象的なラストの映像は是非この目で。
余韻を感じさせ
素晴らしい・・・
聞こえてくる音楽・・
これは今まで
ジョンが
幻聴として何回か聞いていたものです。
事の重大さに
気づいとき・・・
大事なものは
もはや戻ってこないと改めて感じとるのです。
悲しいな・・・この現実が。

GOOD
監督: ヴィセンテ・アモリン
製作: ミリアム・シーガル
セーラ・ブート
ケヴィン・ローダー
ダン・ルポヴィッツ
ビリー・ディートリッヒ
製作総指揮: ダニエル・ダジャーニ
サイモン・フォーセット
ピーター・ハムデン
スティーヴン・ヘイズ
原作戯曲: C・P・テイラー
脚本: ジョン・ラサール
撮影: アンドリュー・ダン
プロダクションデ
ザイン: アンドリュー・ロウズ
編集: ジョン・ウィルソン
音楽: サイモン・レイシー
出演: ヴィゴ・モーテンセン ジョン・ハルダー
ジェイソン・アイザックス モーリス
ジョディ・ウィッテカー アン
スティーヴン・マッキントッシュ フレディ
マーク・ストロング ボウラー
ジェマ・ジョーンズ ハルダーの妻
アナスタシア・ヒル ヘレン
英国の劇作家、C・P・テイラーの舞台劇を映画化。
1930年代、ナチス台頭のドイツ。
ベルリンの大学で文学を教えるジョン・ハルダー。
ある日、安楽死をテーマにした彼の小説がヒトラーに気に入られる。
政治から一線を置いていた彼だったが
しぶしぶ入党することに。
しかしジョンには、モーリスというユダヤ人の親友がいたのだ。
モーリスに激しくなじられるジョン。
やがて、ユダヤ人弾圧が激しくなり
モーリスからパリへの国外脱出を頼まれるのだが。
感想
ナチスもの。
この題材ではいろんな映画が作られていますけどどれも見ごたえのあるものばかり。
それだけ、この題材は語られる要素が多いってことなんでしょうね。
この映画は
派手さはないけど
しっかりとしたメッセージが伝わってきていて、なかなかの良作でした。
前半は主人公の淡々とした日常ばかりで若干退屈ですが
物語は後半から大きく動き出します。
この後半のために、前半の主人公の日常が必要だったのですよね。
どういうキャラなのかよくわかる・・・
この主人公・・・文学を愛し、政治とは一線を置いていた人物。
生活環境は多少、ゴタゴタを抱えている方ですかね。
自分の母親と妻、子供も2人にいる彼。
その母親と妻との関係はしっくりしていない。
記憶障害がありそうな母親の面倒は息子のこの大学教授がしている様子。
妻は、そんな母親の面倒は放置していて神経的にだいぶまいっている感じ。
すぐピアノを弾きだして、困難な状況から逃げ出してしまうような女性ですよ。
ノイローゼ気味でしょうね。
お料理なんかも、できないみたい・・・
大学教授のこのジョンが作っていました。
これじゃあ、誰が観たって
家庭的にはストレス感じる日々だなと思います。
息子だからか
一生懸命、母親の面倒をみるジョンがいたわしい・・・
私としてみれば、奥さん、旦那さま愛しているなら
もう少し家庭のことやってあげてよ・・・と言いたくなります。
そんな状態の中、
若い教え子に迫られてしまうんですね。
夜、自宅に若い女性をあげるのには驚きました。
自分一人じゃなく、妻がいる家だと知ってさらに驚き・・・
なんて大胆。
教え子だからと言って女なのに・・・。
違う見方をすれば、それだけ周りの状況に無頓着ともいえます。
事の重大さがあまりわかっておらず、きっと教え子だからいいだろう…程度の
感覚じゃないのかな・・・と推測されますね~~
でも奥さんにとってみれば、嫌だろうな・・・。
だって寝静まったあとですよ。訪れる女性も女性だけどね。
結局、その教え子とは・・・・できてしまうんです❤
家庭人で一生懸命家族に尽くしているように見えたジョンですが
結局女のもとに走ってしまう。
そして妻と別居、母親を一人暮らしさせ、
この教え子を新しい妻として迎えてしまいます。
でもそんな彼が憎めなかったな・・・。
ひどい人だと思うものの、
しょうがないのかな…彼にしてみればと思えてしまう。
完璧で人物的にも模範の塊のような、大学教授ではなかったというのが
かえて、人間臭い感じがして良かったのかも。
ただの男なんだなって思えてね、
身近に感じるところはありました。
そんな彼に
ナチスが近づくのです。
昔書いた本がヒトラーに気にいられたと・・・・。
彼のその小説というのは
安楽死をあつかったもの。
大学教授という、学があるものに、論文を書かせ、
ナチスは、安楽死させることに意味を持たせようとしていた・・・
大学教授に意見を求めることで
自分たちの行為に
裏付けをもたせようとしたのでしょうか。
こうやってナチスと関わってしまった彼は
入党→出世という道を進んでいくのです。
彼が本来、強く望んでいたわけでもないのに。
私生活同様流れに任せていたら・・・
そうなってしまったということなんでしょう。
このジョンは
悪い人ではない・・・
でも、素晴らしい人でもない・・・
ただただ、平凡な男。
当時の多くのドイツ市民がそうだった・・・
そう言いたいような。
彼は特別でなく
よくある市民の一人であったのでしょう。
出世もし安泰な彼でしたが
考えるべき問題が出てきます。
彼には入党前から・・
(教授になる前)軍隊にいた時からの友人
モーリスという男がいたのです。
その彼は・・ユダヤ人でした。
ユダヤ人に対してナチが何かするなど
これっぽっちも・・・想像もしていなかったジョン。
そこまで事が大きくなるとは想像もしていなかった・・・
でも、事態は悪化・・・。
ある事件がきかっけで
ナチスはユダヤ人弾圧に向かっていくのです。
モーリスの立場が危うくなっていく中、
彼から国外脱出を頼まれます。
地位はあるものの、
そこまで(国外の切符を手に入れる)の権力はない彼は
すんなりモーリスの申し入れを受け入れません。それでも
なんとか・・・
頑張ってみるジョン。
案の定、うまくことは運びません。
ジョンは小心者なんでしょうね。
もっと世渡りがうまく、口も達者なら、モーリスの頼みは
どうにかできたのでは・・・と思ってしまいます。
(だって、最後はどうにかできたんだもの)
結局、
最初の時点では、楽観的にものを観ていた感じもします。
モーリスに関しても、身の危険が、及んでいるんだという・・・
危機感なんて、これぽっちも感じていなかったんじゃあないのかな。
だから、あまり一生懸命でなかった・・・
これがのちに後悔することにつながるんだよね。
そして・・・
悲劇的なラストへと流れていきます。
ここで奥さんが(あの愛人から妻になった教え子ね)
重要なカギになるのですが、
奥さんのとった行為も
わからなくはないですね。
関わりたくなかった・・・
夫を助けたかった・・・
面倒は避けたい・・・
まあ・・・そういった気持からかと。
あの状況で責めるのも酷かなと思います。
そもそもジョンが早い段階で
段取りしてあげたら良かったんだしね。
そして・・・印象的なラストの映像は是非この目で。
余韻を感じさせ
素晴らしい・・・
聞こえてくる音楽・・
これは今まで
ジョンが
幻聴として何回か聞いていたものです。
事の重大さに
気づいとき・・・
大事なものは
もはや戻ってこないと改めて感じとるのです。
悲しいな・・・この現実が。

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