月の満ち欠け 著 佐藤正午
新たな代表作の誕生! 20年ぶりの書き下ろし
あたしは、月のように死んで、生まれ変わる──目の前にいる、この七歳の娘が、いまは亡き我が子だというのか? 三人の男と一人の少女の、三十余年におよぶ人生、その過ぎし日々が交錯し、幾重にも織り込まれてゆく。この数奇なる愛の軌跡よ! さまよえる魂の物語は、戦慄と落涙、衝撃のラストへ。
<amazonnよりあらすじ抜粋>
感想
佐藤さんの直木賞受賞作。
毎回新作は読んでいるのですが、佐藤さんの作品って
凝った作りなので、なかなか感想を書きづらい感じはします。過去の感想を観ても
内容に漠然としかふれていないので、どんな内容だったか、忘れていることも多く・・・(笑)、
今回自分の覚書として
本から、メモ書きのように、抜粋をいくつかしてみました。
あくまでも私の覚書です。背景がネタバレなので、読む予定の人はスルーで。
まずは感想。
舞台は、東京駅のカフェ。
初老の男と小学生の女の子、母親。3人の会話。小山内瑠璃の親友だった緑坂ゆい、るい親子と小山内堅、ね。
そこから過去の話に遡っていきます。
今までの作品より入り込みやすいテーマではあると思いましたが
時系列が行きつ戻りつで
さらに、複数の人間が登場してくるので、整理しながら(紙にでも書く?)読んでいくことが必要には
なると思います。
さらに、テーマが、輪廻転生なので、そこも整理しながらでないと、誰が誰なの?と思うことになると
思います。
要は、瑠璃という女性が様々な女性に生まれ変わり
最愛の男性を追い続けるという話。
思い半ばで死んでしまったので、絶対生まれ変わりたい・・・・という気持ちが強いわけなんですね。
そして何度も生まれ変わるということは、
生まれ変わっても思いを告げることなく、短命に終わってしまうということなのです。
ここだけ聞けば、愛のために、なんとも純なお話なのねと思いますけど。
ネックは、不倫から始まる恋愛なのです。ここは好みはわかれるかな。私はべつにそれでもよいですが。
さらに、生まれ変わった子供、ある年齢までは、普通の子どもと同じように育つのですが
ある時期になると、元キャラの瑠璃が、精神というか人格というか、そういうものを、乗っ取ってしまうという設定。
いままでの自分はどこにいったのか、消滅なのか、悶々とするところではありました。自分は誰なのか
考えてしまいますよね。最初から、瑠璃の本領発揮ならよいけれど、途中で目覚めるってわけなんだもの
家族は驚くし、なんだか、寂しい気持ちになりますよね。
まあ、そういう部分で
もやもやとすることはありますけれど、会話文がとっても興味深いので、
嫌いな本にはならないのです。
瑠璃、頑張ったねと言いたくなります。映画の引用が多いのも映画ファンとしてはうれしいところ。
どちらかというと男性の方が気もちが入り込みやすいかな。追いかけてきてくれるのですから、ね。
そして結果として、初老の男性と、若い女性の組み合わせという形にはなるので
傍で観ていると、ロリっぽい雰囲気になるわけですもの。そこはね・・・・女性陣としては
ぞぞぞと感じますかねエ。
ラストの衝撃。
もしそうなら、う~~~ん、主人公と義理娘はどうなるんでしょうか
心配です。「秘密」みたいですね

<<私の覚書用>>
★東京ステーションホテル2階
三角を待つ。
母娘親子と、男一人。
男、小山内堅(つよし) 60代。
★小山内 青森八戸市生まれ
東京の私大、阿佐ヶ谷アパートで4年
石油元売りの企業就職⇒四ツ谷にある東京支社
大学時代の阿佐ヶ谷アパートから小平にある独身寮へ
4年目に九州に転勤
福岡支社で5年
妻、藤宮梢
2学年後輩、八戸高校出身
出会いは
八戸をでて大学時代、サークルで
藤宮は女子大
映画デート⇒タクシードライバー鑑賞
藤宮が就職し、やがて小山内の勤務の福岡へ
そこで結婚、出産
生まれた一人娘
瑠璃
娘とともに千葉へ引っ越し、市原勤務
やがて東京本社へ勤務、
住まいはそのまま千葉稲毛の社宅
瑠璃7歳の時異変⇒高熱
アキラ君の存在をほのめかし、昔の歌を歌い
デュポンのライターに詳しい
高田馬場レンタル屋に行きたがった
瑠璃、梢
瑠璃が高校卒業時に2人とも車の事故で亡くなる
瑠璃の書いた絵、瑠璃は美術部員
★荒谷清美中学生の娘、親子。
今、小山内と暮らす女、60代のこの男と暮らす。
★三角と小山内
15年前、小山内の当時の赴任先仙台、3月
葬式時に、三角典子の弟三角哲彦
と出会う。
その時は会話なし
さらに15年後
荒谷清美の娘(みずき)の導きで再び三角哲彦と再会
三角哲彦、小山内の自宅の訪れる
三角典子、今は結婚しで札幌在住
典子は15年前に死んだ妻、梢の中高友人
三角哲彦は小山内の8年後輩。
三角哲彦は昔、小山内の娘瑠璃と話したことがある
仙台から東京の三角に会うために車で出掛けたときに
親子2人は事故にあったのだ
★三角哲彦の過去
八戸生まれ
高校まで地元で東京の私大をでて大手建設会社
彼は大学卒業に5年かかっている。
その間、アルバイト先高田馬場で知り合った女性と、不倫関係になる。
彼女の名は、正木瑠璃(27)
「瑠璃も玻璃も照らせば光る」の瑠璃
バイト仲間は彼女をアンナカリーナに例えた。
彼女は、地下鉄の電車にひかれて死亡
三角哲彦は数年後
小山内にあう。
38歳まで独身の三角。
40過ぎに見合い結婚
小山内の娘、瑠璃は仙台から三角に電話をかけている。高校生時ね。
15年前の2月、三角の姉の親友(瑠璃の母親=小山内の妻ね=旧姓、藤宮梢)と、娘、瑠璃。
卒業したら仙台の自宅から東京にいきたい。三角に会いたいと、瑠璃はそのときの電話で話している。
三角38歳の時だった。
正木瑠璃の死からは18年たつ。
つまり三角は今、56歳か。確か小山内の8歳年下だものね。
そして三角、小山内と対面。
★正木竜之介。正木瑠璃の夫。
小山内より5年早く生まれる。
千葉船橋生まれ。
大手工務店就職。
喫煙具専門店に勤める
奈良岡瑠璃と出会い、結婚。
子作りに励むが子供はできず、夫婦すれ違い。
夫にアグネス・ラム似の愛人ができる。
妻瑠璃は、三角と不倫していた人妻。
つまり、正木の妻と同一人物
その後
地下鉄の事故で死亡。
それをきかっけに、正木は落ちぶれる・・・
正木、船橋の実家に戻り、再就職。(当初の職場は、落ちぶれたときにやめていた)
58歳の、正木。
その新たな勤め先の年下社長に娘がいる。名前は、希美。
希美が7歳の時高熱。それ以来、希美の雰囲気は変わる。
希美の母親。仙台の事故をニュースで見る(小山内梢と瑠璃、親子の交通事故ね)
小山内瑠璃が稲毛の小学校にいたとき、担任だったのが、社長の奥さん。
正木が、その小学校の修繕工事にいっていたとき
小山内瑠璃と正木は出会っている。瑠璃9歳ぐらい?
正木瑠璃地下鉄事故死亡⇒小山内瑠璃誕生、やがて18歳で交通事故死⇒希美誕生、正木に連れられ東京に行く途中に
死亡⇒緑坂ゆいの娘、るい
希美は45歳の三角明彦に会いたいがために
正木とドライブ。名古屋にいる三角に会うため?
8年前の事件は、船橋女児誘拐事件とされ、正木は刑務所に。
そのころ、小山内
荒谷清美、みずき親子と出会う
8月のお盆過ぎ緑坂ゆい小山内の自宅を訪れる。
三角の訪問から1か月
実は
生まれ変わりは
瑠璃だけではない
小山内の妻、梢も生まれ変わっているのでは。
それは
今一緒にいる
義理娘、みずきであろうか・・・
三角哲彦が八戸の小山内家を訪ねた日の1ヶ月後。
6月。
三角に会いに行く緑坂ゆいの娘るい(もとは瑠璃)、7歳。ラスト・・へ・・