ファーザー (2020年、97分、イギリス・フランス合作)
原題:The Father
ロンドンで暮らす81歳のアンソニー。
彼は認知症を患っており、記憶が薄れ始めていた
そんなとき、娘アンから、新しい恋人とパリで暮らすと告げられる
監督
フロリアン・ゼレール
製作
デビッド・パーフィット ジャン=ルイ・リビ クリストフ・スパドーヌ サイモン・フレンド
製作総指揮
エロイーズ・スパドーネ アレッサンドロ・マウチェリ ローレン・ダーク オリー・マッデン ダニエル・バトセック ティム・ハスラム ヒューゴ・グランバー ポール・グラインディ
原作
フロリアン・ゼレール
脚本
クリストファー・ハンプトン フロリアン・ゼレール
撮影
ベン・スミサード
美術
ピーター・フランシス
衣装
アナ・メアリー・スコット・ロビンズ
編集
ヨルゴス・ランプリノス
音楽
ルドビコ・エイナウディ
出演
アンソニー・ホプキンス(アンソニー)
オリビア・コールマン(アン)
マーク・ゲイティス(男)
イモージェン・プーツ(ローラ)
ルーファス・シーウェル(ポール)
オリビア・ウィリアムズ(女)
アイーシャー・ダルカール(サライ医師)
第93回 アカデミー賞(2021年)
受賞
主演男優賞 アンソニー・ホプキンス
感想
認知症である主人公の視点から描かれた映画・・ということは知っていたので
正直見るのを迷っていたのですが、GYAOも終了ということだし
この機会に鑑賞しました。
あ~~やめれば良かった・・・と後悔するほど、メンタルやられてしまいました。
それほど、生々しい映画だったなあ・・・っていう印象です。
もっと、客観的な立場で、鑑賞できた自分(過去の自分)に戻してよ・・・って感じです。
もうね、思い溢れちゃってね~~自分に世界観を引き寄せすぎてしまったかなあ。
切なくて切なくて…苦しくて・・・という思いしか湧いてこなかったのですよ。
後半はもう、号泣、でした。
とにかく、生々しいんだもん。アンソニー・ホプキンスもレクター博士の面影もないほど
老人老人・・していたし。
私の方が、映画の中か、現実経験かわからなくなってしまいました(笑)
感動を覚えるような、劇的なラストが用意されているわけでもなく
ただただ、現実をばこ~~んと、突きつけられるわけですよ…この映画。
そういう意味では
後味は、めちゃ、悪いです。
だからといって、希望を持てるような展開には、もはや、できないですよね~~。この話の流れ的には。
だって今、この病気は、治らないのだから。
なってしまったら結局、こういうこと(映画のラストのような)が、待ち受けているっていうことだから。
最終的に、
娘のアンは、父親のアンソニーを施設に預けて
恋人とパリでの生活を選びます。
たぶん、アンが一緒に暮らしたとしても、アンソニー自身の、病状は悪くなる一方なので
より一層、アンの負担は増すばかりだったと思うしね。
アンにも、人生の幸せをつかむ権利はあると思うので、仕方ないことだとは思います。
が、なにせ、アンソニーが泣くんだもん・・終盤。
アンを求めるし・・・
そして、ママを求めるし・・・。
そんなの見ていたら、アン、助けてやって~~って思ちゃう。
死ぬまで傍にいてやってよ・・って思ってしまいます。
でも、アンソニーは、アンの顔も、自分という存在ももはや
何もかも、忘れてしまうようなレベルに入り込んでいるわけですよね?
いや~~残酷。
現実と過去と、それに、幻覚が入り混じった、構成なので
わかりにくいというところは、あります。きっとこれ、予備情報なしでみたら、より一層混乱したかもしれませんね。
どういう映画なんだろうって・・・。
そもそも、わかりにくいってことに、意味がある映画だもんね。
例えば↑こういう手法で、死ぬ間際にみた夢とか、二重人格の人の精神的な世界とか、
そういう映画は過去にもたくさんありましたよね。
その手の映画の場合、それを検証する作業・・・これはこういうことで、こうなのね・・・という作業は
謎解きの楽しみもあって、面白いかも・・・という表現はぴったりだと思うのですが。
この映画に関しては、そもそも、病気である・・・っていう前提での混乱ですし、(まあ、二重人格も、病気であるわけですけど
ちょっとそれとは、感覚が違うかな・・、認知に関しては老いることで発生する病気の一種であるから・・・)
なにより、実生活において、身近な病気でもあるから、
謎解きをするっていうことは、恐ろしさ&恐怖を感じてしまうという感覚でもあるんじゃあないかなって思いました。
映画としては、今までにない世界観ですし、
短い時間の中で
主人公そして娘の心の葛藤を、細やかに表現している作品だったなって思いました。
ちなみに
アンソニーが殴られるシーンがあるのですが
あれは、誰がやったのかは、わかりませんが
やられた事実というのは、本当だと思っています。
意外と、悪い記憶って残る部分はあるから。
アンが、アンソニーが寝ているとき、殺そうとしたシーンや
涙ぐんでいるシーンも、みていて、苦しかったな~~。そういう心境はとても理解できるし。
壊れていくアンソニー自身が不安でどうしようもないというのは
よくわかったのですが、もっともっと、現実的には厳しいものがあるんだよ・・・・・・・と思ってしまう
自分が悲しいかな。
希望もなくってと、いいましたけれど、
最後の看護人のキャサリンでしたっけ?とっても優しかったですよね。
お散歩しましょう~~~って。優しく包み込むような感じで。
それだけでも慰めにはなったかな・・・
オペラ音楽もとっても印象的でした。
ルーファス・シーウェルって怖いよね・・・やっぱりあの目がねえ~~(笑)
あ、フラット・・・って家っていうことなんですね。
家にはこだわりますよね。
そうそう、
アンソニー・ホプキンスの悪役の新作映画
27日から公開だったかな。その予告見たらもはや
しっかり・・・悪人(笑)そこに老人のかけらもないよ。
役者ってすごいわ

(シネマトゥデイより画像引用)