アンダーリポート 著 佐藤正午
アンダーリポート 著 佐藤正午
警察事務官、古堀徹のところに
ある日、大学生になった村里ちあきが訪ねてくる。
彼女は昔彼が住んでいた部屋の隣人の娘であった。
同時に15年前の殺人事件の被害者の家族でもあった。
ちあきは、母が15年前の事件に関して
なにか隠しているのではないかと、話す。
ちあきの来訪をきっかけに、古堀は
15年前の日記を読み返し、真相を突き止めようとするが・・・。
感想 「5」に続いての佐藤正午さんの作品。
こうやってみると結構読んでいる方かな・・・・・佐藤作品。
これは・・・好みが分かれる作品だと思いますね。
一度でも佐藤作品を読んでいて、その語りくちに馴染みがあるならば
OKでしょうが、初めてだとちょっと戸惑うかも。
また、ミステリーということですが、そこにあまり期待感を持ちすぎると失敗するかも・・
そんな印象を持ちました。
ミステリーというと、やっぱり・・オチとか・・・謎とかそのあたりに
焦点がいってしまうと思いますが、その部分で言えば
弱いと思うんですよね。あ・・・と驚くような展開ではないと思います。
トリックとしてみれば、ドラマでもよく使われていますし、
(本の中でも出てきますが)ヒッチコックの映画でも使われているトリックなので
よくみる形ではあるでしょう。
また、それを実行するに際しての流れに関しても、
現実的にみて、どうかな・・・と思う部分も感じます。
一種の賭けみたいなところがありますからね・・・
信頼関係の上で成り立つトリックですよ。
お互い様・・・というところからくるのですよ。
う~~ん、体許してまで・・そこまでやる心境ってどうなんだろう・・・・・・・という
疑問も感じます。それは追い詰められた状況に陥ったことのない人間だから
感じてしまうのかもしれません。
(ネタバレしないようにしているので微妙な言い回しですが・・)
物語では血路をひらく・・・・という表現をよくつかっていました。
まさに、そのためには何でもできるってことなのでしょうね。
物事を違う方向に導くためには
やっぱり、やってしまうものなのでしょうね・・・・
ふ~~~ため息です。
この物語は、トリックを楽しむことよりも、
そこに行くつくまでの、
もったいぶった語り口・・・
一体、ここでのこの文章の会話は誰なのかに始まり、
簡単には事件にも、真実にもたどり着けない構成のうまさを
味わうべきなのだと思います。
そして主人公の、どこか空気の読めない、鈍感さ・・
自分勝手さ・・・笑。
それが嫌だな・・・と思いつつも、ちょっと理屈っぽい感じが癖になりそうで
やっぱり最後まで語りについていってしまいます。
また、小道具・・
匂いと記憶の使い方がとっても面白く
魅力的になっていると思います。
記憶に関しては作者の作品にはよく出てきますよね・・・。
お話は
すっきり・・・・というわけでもないと思います。
事件は結局うやむやになってしまう感じではあります。
主人公は何のためにここまでするのか
どうしたかったのか・・・・なんて思うこともあります。
彼にとっては真犯人が誰であれ、なんのメリットもないわけですからね。
事件当事者にしてみれば
すでに終ってしまった出来事なんですからね。
でも、、振り返ってみたい事柄って誰でもありますからね。
たとえ自分に直接は関係なくても。
まあ、当事者にしてみれば、余計なことを・・・ですけど・・笑
主人公は非常にまめな男でした。
詳細に様々な出来事を日記に書いております・・凄いです・・・笑
一度結婚はしていますが、離婚して今は独身です。
その事件が起こったとき・・つまり15年前は
同じ職場の同僚でもある彼女=美由紀がいたのですが、
いろいろあって別れてしまったのです。
主人公=古堀は、よく美由紀のおばに、
あなたは血の巡りの悪い人ね・・・と言われていましたが、
それは読者の私たちも十分感じることでした。
付き合っている女性がいても、平気で、隣家の人妻を家に招きいれ
時にはその娘の世話まで快くしてやります。
面倒見の良い男といえば、聞こえはいいのですが
恋人にしてみれば、なんと女心を知らない鈍感なヤツということになりますね。
冒頭がこの物語の結末です。
そこに行き着くまでの過程がその後の物語で語られます。
つまり、最終章を読み
再び冒頭にかえってくることで、初めてこの物語は完結するのです。
ここで、古堀が語る一つの面白い話をしましょう。
ある青年が図書館で初めて会った女性に恋をしたそうです。
青年はその夜のうちにラブレターを書いて、翌日その図書館に出向きますが
会えません。その翌日も、そのまた翌日も出向きますが会えず。
実は彼女は青年に出会った次の日引っ越してしまったのです。
それから40年後。
彼女とまた同じ図書館で再会し、ラブレターを渡すことが出来ました。
たった一度しか出会っていない彼女が、40年後どうしてその人だ
わかったのか。
それは匂いだそうです。
香水でわかったそうです。
嗅覚は味覚より鋭いのです。
この物語のキーワードはまさに、匂いです。
好きな匂いは忘れられないのですよね~~~
嵌れば面白い物語だと思います。

警察事務官、古堀徹のところに
ある日、大学生になった村里ちあきが訪ねてくる。
彼女は昔彼が住んでいた部屋の隣人の娘であった。
同時に15年前の殺人事件の被害者の家族でもあった。
ちあきは、母が15年前の事件に関して
なにか隠しているのではないかと、話す。
ちあきの来訪をきっかけに、古堀は
15年前の日記を読み返し、真相を突き止めようとするが・・・。
感想 「5」に続いての佐藤正午さんの作品。
こうやってみると結構読んでいる方かな・・・・・佐藤作品。
これは・・・好みが分かれる作品だと思いますね。
一度でも佐藤作品を読んでいて、その語りくちに馴染みがあるならば
OKでしょうが、初めてだとちょっと戸惑うかも。
また、ミステリーということですが、そこにあまり期待感を持ちすぎると失敗するかも・・
そんな印象を持ちました。
ミステリーというと、やっぱり・・オチとか・・・謎とかそのあたりに
焦点がいってしまうと思いますが、その部分で言えば
弱いと思うんですよね。あ・・・と驚くような展開ではないと思います。
トリックとしてみれば、ドラマでもよく使われていますし、
(本の中でも出てきますが)ヒッチコックの映画でも使われているトリックなので
よくみる形ではあるでしょう。
また、それを実行するに際しての流れに関しても、
現実的にみて、どうかな・・・と思う部分も感じます。
一種の賭けみたいなところがありますからね・・・
信頼関係の上で成り立つトリックですよ。
お互い様・・・というところからくるのですよ。
う~~ん、体許してまで・・そこまでやる心境ってどうなんだろう・・・・・・・という
疑問も感じます。それは追い詰められた状況に陥ったことのない人間だから
感じてしまうのかもしれません。
(ネタバレしないようにしているので微妙な言い回しですが・・)
物語では血路をひらく・・・・という表現をよくつかっていました。
まさに、そのためには何でもできるってことなのでしょうね。
物事を違う方向に導くためには
やっぱり、やってしまうものなのでしょうね・・・・
ふ~~~ため息です。
この物語は、トリックを楽しむことよりも、
そこに行くつくまでの、
もったいぶった語り口・・・
一体、ここでのこの文章の会話は誰なのかに始まり、
簡単には事件にも、真実にもたどり着けない構成のうまさを
味わうべきなのだと思います。
そして主人公の、どこか空気の読めない、鈍感さ・・
自分勝手さ・・・笑。
それが嫌だな・・・と思いつつも、ちょっと理屈っぽい感じが癖になりそうで
やっぱり最後まで語りについていってしまいます。
また、小道具・・
匂いと記憶の使い方がとっても面白く
魅力的になっていると思います。
記憶に関しては作者の作品にはよく出てきますよね・・・。
お話は
すっきり・・・・というわけでもないと思います。
事件は結局うやむやになってしまう感じではあります。
主人公は何のためにここまでするのか
どうしたかったのか・・・・なんて思うこともあります。
彼にとっては真犯人が誰であれ、なんのメリットもないわけですからね。
事件当事者にしてみれば
すでに終ってしまった出来事なんですからね。
でも、、振り返ってみたい事柄って誰でもありますからね。
たとえ自分に直接は関係なくても。
まあ、当事者にしてみれば、余計なことを・・・ですけど・・笑
主人公は非常にまめな男でした。
詳細に様々な出来事を日記に書いております・・凄いです・・・笑
一度結婚はしていますが、離婚して今は独身です。
その事件が起こったとき・・つまり15年前は
同じ職場の同僚でもある彼女=美由紀がいたのですが、
いろいろあって別れてしまったのです。
主人公=古堀は、よく美由紀のおばに、
あなたは血の巡りの悪い人ね・・・と言われていましたが、
それは読者の私たちも十分感じることでした。
付き合っている女性がいても、平気で、隣家の人妻を家に招きいれ
時にはその娘の世話まで快くしてやります。
面倒見の良い男といえば、聞こえはいいのですが
恋人にしてみれば、なんと女心を知らない鈍感なヤツということになりますね。
冒頭がこの物語の結末です。
そこに行き着くまでの過程がその後の物語で語られます。
つまり、最終章を読み
再び冒頭にかえってくることで、初めてこの物語は完結するのです。
ここで、古堀が語る一つの面白い話をしましょう。
ある青年が図書館で初めて会った女性に恋をしたそうです。
青年はその夜のうちにラブレターを書いて、翌日その図書館に出向きますが
会えません。その翌日も、そのまた翌日も出向きますが会えず。
実は彼女は青年に出会った次の日引っ越してしまったのです。
それから40年後。
彼女とまた同じ図書館で再会し、ラブレターを渡すことが出来ました。
たった一度しか出会っていない彼女が、40年後どうしてその人だ
わかったのか。
それは匂いだそうです。
香水でわかったそうです。
嗅覚は味覚より鋭いのです。
この物語のキーワードはまさに、匂いです。
好きな匂いは忘れられないのですよね~~~
嵌れば面白い物語だと思います。

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