カラスの親指   著 道尾 秀介

カラスの親指   著 道尾 秀介



詐欺師の武沢と相棒の鍵師テツ。
以前は2人とも普通の男だったが
借金取立てやに人生狂わされ
今は、裏社会での生活。

そんな彼らは
「仕事」の途中で若い女性と知り合う。
彼女はまひろ。
ひょんなことから同居生活。
やがて彼女の姉とその恋人も同居するはめに

そして、武沢がかねてから恐れていたヒグチという男が
現れたことから、彼らは、一大芝居をうつことになる。


感想   いや~~、今回も騙されました。実に鮮やかですね。
詐欺師が主人公ということで、彼らに騙される人物たちがどのようになっていくのかを
こちら側から(読者が)、面白そうに眺めていればいいだけだよね・・・と
高く食っていたら、大きくはずされちゃいました。
その騙される対象者には、私たちも含まれていた・・・・笑

でも、悔しい・・・という思いは全然なし。
むしろ、いい話じゃないか・・・・という感動すら覚えてしまうのが
このお話の魅力であるのだな・・と思います。


カラスの親指・・・、誰もが、読む前はピンときませんよね。
素人・・玄人・・のもじりで、黒→カラスというのは
なんとなくわかるきもしますが、この親指の意味。
これは想像もしなかったことです。
説明されるその箇所をそのまま、自分自身、実行に移してしまうのは
当然かもしれませんね。
だって、興味深い事実だったんですもの。
思わず、なるほど・・・と感心してしまいました(電車の中で読書していたもので
妙な仕草をしてしまった自分・・笑)



詐欺の過程は興味深く思えることが多かったですし(銀行での詐欺とか、ペットショップでの餌とりのための詐欺とか・・まあ・色々とあるものね・・・と感心)
登場人物それぞれの、コメディタッチのやりとりも、
毎回、毎回、クスリ、クスリとさせてもらいました。
さりげないところが、ツボにはまったかな。
例えばね、武沢がまひろからかと勝手に勘違いしてしまうメールの件。
いかにもありそうな出来事でしたよね。

<ほんとうは感謝してます。助けてくれて嬉しかったです。>
こんなメールもらったら、武沢だって、うれしくなちゃうよね・・・。
それがね・・・笑
誰だって、話の流れから、まひろからだと思うのにね・・。
そういう、ちょっとしたミスリードさせるところが、話のもっていきかたとしてうまいな・・。


詐欺師の生き方を描いていますけれど、
それがいい!!といっているわけでなく、そうしなければ、いけなかった悲しい人間たちを描いているこの物語。借金取立て屋に運命を替えさせられてしまった人たち。
人生ってままならないものだったりします。
でも軌道修正はいつでもできる・・
そのことを教えてくれたのは・・・一体誰なのか、というのが鍵。
ネタバレしてませんよね。


人間はやっぱり、信頼しなきゃ生きていけない。
絶対に1人じゃあ無理。
人は人を信じなきゃいけない。

やっぱり、そうなんですよね。わかっているのですが、
でも、詐欺的な行為が世の中多いのも現実。
大事なことが、どんどん忘れ去られるような気がして寂しいです
疑ってばかりじゃあ悲しいですものね。



ミステリーに加え、家族の繋がり、人と人との繋がりに
とっても温かいものを感じることができ
後味の良い物語となっております。

是非、読んでみてくださいね~~~
karasu.png


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今回もしたたかに、鮮やかに騙されましたね。
でも悔しさよりも、いい読後感の一冊でした。
コメディタッチで、特に記事に書かれてるメールの勘違いには、
いつもよりさらけ出すの早すぎ、なんて思っちゃいました(笑)。
人との繋がりの温かさがじんわり心に残りました。

藍色 さんへ


こちらにもありがとうございます。
はい・・スッキリ感ありましたね。
いい話だわ・・・と思いながら、読み終えることができて
良かったです。詐欺師の彼の最後、1人だけでも傍にいてくれる人がいて
それが、うれしかったです。
やっぱり、誰にも知られずに死んでいくのって悲しいものね。
メールの勘違い・・そうですね。すぐばらしちゃった・・笑い
結構引っ張れる内容だったのにね。
それにしても劇団員、うまいな~~

わ~~!随分前に読まれていたのね?^^
そうそう、道尾さんの作品だから、きっと後味悪いんだろう・・暗いんだろう・・って勝手に決めつけてたんだけど、この作品は、とても温かくて、なんか良い話だったよねー♪

詐欺のやり方も、そうかーこんな風に上手く騙すんだ?って楽しかったり(不謹慎だけど・・)でも、最後の最後で、全部がひっくり返って、すっかりやられた!!って驚かされたわ。その驚かされ方も、悪い方じゃなくて、なんか善良な感じというか、なんというか・・そっち方向だったから、良かったよね。

道尾さん、直木賞取るかな? もうそろそろ何かデカイ賞をあげても良い頃だよね?一杯良い作品書いてるしね☆

こちらにも、ありがとう・・・・。
少し前に立て続けに道尾作品読んだときがあったのよね。
でも、まだ初期のものは全然だけれど。

詐欺ものって、映画では観たことあるけれど
小説ではどんな感じなのかな・・・って興味があったわ。
本当よくできた作品だよね。
そうそう・・・善良な感じだよね。
暗い作品も多い中でこれは、気持ちがいい感じの作品になっているので
他人に薦めやすいよね。

直木賞・・・あ・・ノミネートされていたね。
あの作品は他にもいくつかの賞にノミネートされて
本当注目されっぱなしだけれど
ここらで、バシッと、とってほしいところだよね。
そろそろって感じよね。

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