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涙    著  乃南アサ

涙    著  乃南アサ



昭和39年(1964年)、結婚式を間近に控えていた主人公萄子。
彼女の婚約者は刑事の勝。
ある日突然、「もう会えない、自分のことは忘れてくれ」と彼から電話が。

その後、
勝の先輩刑事の娘の変死体が見つかる。
現場には勝の定期入れが落ちていたのだ。
容疑者として追われる勝。

萄子は、勝の潔白を信じ、その行方を追い続ける。




感想    お友だちからお勧めされ、初乃南作品に挑戦です。
今回、新潮で出している文庫本、上下の方を読みました。
かなりの分量でたっぷり読ませる本ではありました。

冒頭で、、主人公萄子の娘の話が出てきます。
彼女は離婚し、その傷心旅行にと沖縄へ出発。
その沖縄という場所を聞いたときから、
萄子の心はモヤモヤが・・
記憶がタイムスリップ。
忘れられない恋を思い出すのです。

すでに別の人と主人公は結婚していることは、冒頭から容易にわかります。
ということは・・・・。

あ~~~主人公は思い人とは結ばれることはなかったのね・・・と察することができるわけです。
ではどうして、その彼と結ばれることができなかったのか。
じゃあ、結婚した夫という人はどういう人?


というわけで、
興味津々。
長い・・長い・・物語を
読者も追い続けていくことになります。



主人公萄子は行方不明の婚約者を懸命に探します。
殺人犯という汚名を晴らすためにも、とにかく、行方を知りたい。
彼はそんなことをするような人でない・・・
私を置いていくなんて・・・絶対理由があるはず。

う~~ん、この一途な思い・・・は女性なら
理解できるんじゃあないかな・・。

好きな人を追い求める気持
わかるもの・・・。
あんな中途半端な別れ方では、諦めることも前に進むことも
なかなかできないですよね。

 
主人公はお嬢様で、お金もかなりあるのです。
だから、働いてもいないのに
あちこち、色んな場所に出かけ、
たっぷり時間をかけて探し求めることができるのです。

そういう部分では、それは、ずるいよ・・・というか、
恵まれているからこそできることなのかな・・・・とは
思うものの、
お金と時間があったって、探しもしない人は当然いるわけですから
やっぱり、すごいことだと素直に思ってしまいます。


主人公の気持は理解できるわ・・・・と述べましたけれど、
じゃあ、自分がそうなった場合、探し出そうという根性があるかと
いわれると
う~~んと考えてしまいますよね。
お金とか時間とかそういう部分を抜きにして・・・ですよ。


そこまで相手に情熱を持てるかってこと。


そもそも、苦労知らずのお嬢さんって、あまり好きなキャラではないのだけれど、
この情熱というか、執念には、やっぱり頭が下がる思いで、
読みながら少しずつ見方が変わってきました。
ただのお嬢様じゃあないんだな・・・って。
強い信念のもと、行動を起こす、そのパワーに
感心しました。


その萄子をずっと待っているのが、兄の後輩で彼女に惹かれている淳さんです。

この彼が実に辛抱強い。
実は物語の途中から、
淳さんのような、包容力&辛抱強い人を
主人公の彼女は大切にしてあげた方がいいのではと感じておりました。


突然、失踪し
時折、電話をかけてくる婚約者勝。
物語の中盤では居場所まで電話口で述べています。
探してもらいたいのか・・・・
見つけて欲しいのか・・・


正直、主人公の気持を乱すような中途半端な態度はやめて欲しいと
ちょっと思ってしまいました。


もちろん、婚約者勝には彼なりの事情があり、
逃げなくてはならなくなってしまったのには
それはそれは、悲しいわけがありました(最終章で判明)


でも、それでもなお、本当に主人公が好きだったのなら
もっと、彼女の幸せを、考えて欲しかったような気がしてなりません。
探しているということがわかった時点でなんとかならなかったのかって。
実際、婚約者にしてみれば、他に方法がなかったということですから
しょうがないのかな。




時代的な背景と併せて
熱海、大阪、沖縄などなど
様々な土地での捜索模様が展開され、
その時代をまさに生きてきた人にとっては
入り込みやすい世界だと思います。
私は、60年代~~は、ちょっと馴染みがない状態ですが
それでも、その時代のにおいを感じられる文章を
十分に堪能しました。


最終章の「涙」は
沖縄が舞台になります。
そこで、驚愕の事実がわかるのですが
なんとも悲惨な話に、胸が痛みました。
すさましい台風もあわせて描かれているのですが、
真相と台風状況が同時進行だったので
ややまどろこしく感じたのも事実。
もう、真相が気になって気になってしょうがなかったですからね。


ドラマや映画にしたらきっと面白い作品になるんだろうな・・・と思いました。

読み応えのある作品のお勧め
本当にありがとうございました。
今後もお勧めの作品教えてもらいたいです。
よろしく~~~~~★



なみだ

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みみこさん!しばらく来てなかったので、今、読みました^^「読むまでに時間がかかるかも?」って言ってられたけど、もう大分前に読まれていたんですね?
嬉しいです^^


今、みみこさんの記事を読みながら、また思い出していました。


感想としては、みみこさんと大体同じでしたよ^^
あのお嬢さんである主人公の、愛する人を思う気持ち。すごかったですよね?もし、自分ならば・・果たして出来るか・・・?私もそんなこと考えていました。たぶん、みみこさんと同じ、あそこまではとても出来ないと思いました。
人を愛することって、こういうことなんだよね・・・?って、愛することの凄さ?
をひしひしと感じてしまった作品でしたね?


うん。みみこさんの言うとおり、単なるお金持ちのお嬢さんならば、とてもあそこまでは出来ないでしょう。お嬢さんという設定では有るけれど、心のそこに流れている情熱?あそこまでの人は、そうはいないでしょうね?


そうそう、結末がまどろこしかったのも本当だよね?
「婚約者を捨てて行ってしまった真実は何なの?!」って、先が読みたくて
仕方なかったもの・・・本当に、最後は悲しい結末だったけれど・・・


この本は、旦那さんの同僚の奥さんのおすすめで読んだんですよ。
彼女(といっても全然顔は知らないです^^;)が、とても良かった。と言っていたとの事だったので。


読み応えのある本っていうのは、まったくの同感です。
そして、結構忘れられない本になりそうです^^


ではではまたお邪魔しますね?

ららさんへ


おはようございます~~

お返事おそくなってごめなさい。
そうなんです。
意外と早く読むことができたのです。
初めはあの厚さに躊躇したのですが読み始めてみると
サクサクいけました。


やはり、ストーリーが面白いんですよね。
婚約者の彼を発見するまではなんとしても見届けてやりたいという
思いが、ムラムラ沸いていました。


<人を愛することって、こういうことなんだよね・・・?って、愛することの凄さ?をひしひしと感じてしまった作品でしたね?>

そうでしたよね。・・・口だけではなんとでもいえるけど、
いざ行動にでるというと、やっぱり、難しいじゃあないですか。
それを↑こういうお嬢様というか、世間知らずな彼女が
頑張っているというのが、やっぱり、グッと胸に迫ってきますね。
愛のなせる業ですよね。
女性としては色々考えてしまいましたよ。
またこんなに思われている婚約者の彼はなんて幸せ者なんだ!!と
思ってしまいましたよ。


<・・本当に、最後は悲しい結末だったけれど・・・>

そうそう・・それゆえ、あの結末は悲しかったですよね。
最初に別の人と結婚しているんだな・・っていうのはわかるから
ダメだったんだろうなという推測はできているんだけど、
その理由がね。婚約者の彼も、彼女に気持があったんだよね、きっとまだ。
それをあきらめなければならないなんて。
どうすることもできない状況だったんですよね。
あれは、ひどいよね。
でもなぜ、あの真犯人の人は
あれほどまでに、婚約者の彼を憎んでいたのかなって思いました。
特に、恨みをかうようなこともしていなかったように思えたけれど。

真犯人の彼は普通の男じゃないから、ああいうひどい策略をかけるんだと思うしかないのかな。


<この本は、旦那さんの同僚の奥さんのおすすめで読んだんですよ。>
そうでしたね。
お薦めしてくれる人がいるのっていいですよね。
私の周りにはあまりこの手の小説、読む人がいなくて。
お話もできない状態ですよ。
最近、本を読む人っていないのかな・・と思ったり。
私のまわりだけですね・・・笑

これから年末&お正月にもなりますのでなにか
面白い作品あったらまたお願いしますね♪
最近のじゃなくてもいいです・・。

お話できてよかったです。
お薦めありがとうございました★
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みみこ

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