この胸に深々と突き刺さる矢を抜け  下   著  白石一文

この胸に深々と突き刺さる矢を抜け  下   著  白石一文


グラビアアイドル、フジサキリコは、カワバタとのDルームでの情事の後、連絡を絶つ。
カワバタはそのとき、死んだ息子ユキヒコの声を聞いていた。
「お父さん、ダメだよ。その人、嘘ついている」
リコはショウダ・オサムの差し金でその時の映像を録音していたのだ。
ショウダは、それを使って、カワバタにNの記事を掲載をスットップさせろと脅迫。
話の中で妻、ミオとタケウチ教授が愛人関係にあるという事実も発覚。
戸惑うカワバタ。
一方ショウダとカワバタは、仕事以外にもつながりがあった。
ショウダの妻ユリエは、カワバタの胃がん仲間のケンゾウ君(すでに死亡)の
昔の恋人ミムラ・ユリエなのである。
その後も編集部の内部で数々の事件が起こる・
そんな中、
カワバタは政治家Nこと、新村光治から、連絡を受ける・・・


感想   物語の筋はあるものの
同時に、哲学的な要素も沢山含まれています。
下巻においても引用文は使われ、
その内容は、私にとっては、興味深いものばかりでした。
世の中には知らないことが沢山ありすぎる・・・。

精神科の女医との会話の中で・・
リコとのお花見場面で
カワバタ自身の、生き方が語られます。

その考えに、共感できるかどうか・・・。
とくに働く女性が子どもを持つことに関してのくだりは、
厳しい内容であるかと思います。

また、政治家新村氏との対談で明らかになる、神秘的な出来事。
それは、新村氏の死んだ弟の生まれ変わりが、主人公カワバタであるという説。
主人公は、死んだ息子、ユキヒコの声を
いつまでも聞いていたり、電車の中で自分と瓜二つの人物を見たりと、
今までにも霊的な体験をしているのですが、
この生まれ変わり説は、意表を突いた展開でした。
しかし、過去作品でも時折みられますよね。


そして、物語のラストはこれも
意外な感じです。意外な人物が浮上してきて驚きでした。
こうなるとは・・・・。

後半に描かれる、主人公カワバタへの拷問は
描写がリアルで凄まじかったです。



では、私が印象に残った数々の場面を羅列しておきます。

○「宇宙からの帰還」のエドガー・ミッチェルへのインタビュー。

○白血病の患者が書き残した「かなしい。」という題名の詩集の紹介(これは創作か事実かは不明)
彼は病気が原因で死んだわけでなく、ある日、不意に電車に飛び込んで死んだのだ。
「かなしい   3番」

人の生活なんてほんとうに高が知れている。
どんなゼイタクにも欲望の満足にも限界がある。
この世でほんとうにたのしいことってなんだろう?
以下略。
「丁寧に生きる」それだけ。一生懸命でも投げやりでも、真剣にでも、頑張ってでもなく、とにかく
丁寧に生きる。
慎重にともちょっとちがう。
でも、それがなによりかなしい。
生きていることがすごく、ものすごくかなしい。

○3年間の闘病の末に15歳の息子、遊雲君を小児ガンで亡くした有国智光という
浄土真宗の僧侶のインタビュー。
 


ミオとの会話から・・

(下巻133)
「じゃあ、カワバタさんはこの先どうやって生きようと思ってるの」
「僕は自分の必然に従って生きていくんだ」
「必然、?何にそれ」
「要するに、結局はそうなってしまうだろうように生きるってことだ。中略。
これは無理だなって思うことでも、それが自分にとって必然であればきっと実現するんだ。
人の力や、まして神様の力なんて借りずに、僕はそうやって自分がそうなってしまうだろう
人生をしっかりと生きたい。すでに決まっていることを自分で決めるんだよ。
必ず過去になってしまう未来を、過去にせずに、現在という一瞬一瞬で完全に食らい尽くす。
言ってみればそういう人生かな。過去がなくなれば当然未来もないだろ。そうなれば
人生には現在しかないってことになる。そうやって現在しかない人生を送るというのが、
必然を生きるということでもある」




必然を生きるという・・・

なかなかむずかしい言い回しですね。

私としては

悔いなく生きたいという思う今日この頃・・・。



今回も読み応えあって、良かったです。
正直私にはわからない部分も沢山あるんですよ。
でも読んでみたいと思う・・・何かがあるのよね。
主人公の
思考過程に興味が湧くのか。
今回も勉強させていただきました☆





フカブカト
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