ルート225  

ルート225  (2005  日本)


監督: 中村義洋
製作: 佐々木史朗
石川富康
川島晴男
プロデューサー: 佐藤美由紀
協力プロデューサ
ー: 荒井真理子
原作: 藤野千夜
『ルート225』(理論社/新潮文庫刊)
脚本: 林民夫
撮影: 小松高志
美術: 林千奈
衣裳: 宮本茉莉
編集: 森下博昭
音楽: 江藤直子
照明: 松岡泰彦
録音: 西岡正己
助監督: 平林克理
出演: 多部未華子 田中エリ子
岩田力 田中ダイゴ
崔洋一 富山のオジサン
梅沢昌代 富山のオバサン
田中要次 エビヅカの父
石田えり エリ子の母
嶋田久作 エリ子の父
石原裕太 マッチョ
小南千明 大久保ちゃん
枚田菜々子 シマちゃん
市川春樹 クマノイさん
小笠原翼 エビヅカ



弟ダイゴを迎えに行った14歳のエリコ。
帰り道に、突然、不思議な世界に迷いこんでしまった二人。
微妙に違うこの世界。
いつもと同じ風景なのに両親はいない・・死んだ友だちはいる・・
親友との関係もなんだか変だ・・
元の世界へ戻ろう!!
その方法を悪戦苦闘しながら考えるのだが・・・


感想   芥川賞作家・藤野千夜の同名小説を映画化。
お友だちのサイトで、良かったよ~~という声を聞き
早速レンタル。主演の多部未華子ちゃんは、ちらちらTVで見たことありますが
きちんと演技している姿を見たのはこれが初めて。
2005年の作品なので彼女も今よりず~~と、幼い感じですが
個性的な顔立ちは変わらず。ちょっときつめの印象ですが
声は意外と可愛いのよね。



で・・・・まず、映画の前に
原作を読みました。

↓理論社で2002年に出たもの、を読みました。
ルート理論者

新潮文庫でも出ていますがそちらは表紙が漫画チック。





作者は芥川賞作家、藤野千夜さん。以前、TEEN AGEで
読んだことありますけれど、ほとんど記憶になく結局、初読みという感じです。この方
トランスジェンダーだということです。ちょっと意外でした。


結論から言って、映画のほうが良かったです。
原作を忠実に映画化しているのですが、
細かく観てみると、ところどころうまくアレンジしているですよね。
観た人が、より感情移入できるように・・・。


原作では物足りなく感じる部分を、より膨らませて、物語として
仕上げているという印象です。


正直、原作は、読みながら、どこか、乗り切れない自分を感じていました。
素直に楽しんでいない、自分を感じていたんですね。
それは内容がつまらないというのとは全然違うのです。
むしろ、とっても興味深い話。
それなのに、なぜか乗れない・・・
エリコの友達大久保ちゃんとか、男友達マッチョの存在とか
死んだはずのクマノイさんとか、魅力的な人物たちが絡み合うお話は
けっしてつまらなくはないのに・・・

原作の文体があまり好みじゃあなかったのかもしれません。
主人公エリコが、自分自身の体験を語るという構成。

中2の彼女が見聞きしたこと、感じたことを
そのまま、彼女の言葉で、綴っているのです。
だから、言葉遣いもどっちかというと
悪いのよね・・・
エリコは「ていうか・・・」というのが口ぐせでしたし、
たまに、ちぇって舌打ちをする・・・
ヤバイ、ヤバイも連発。
今時の(といってもこの小説が書かれた時代というわけだけど)
中学生ってこういう会話をするのね・・・と、そう思えばそれはそれで面白いのでしょうが
逆に私ぐらいの年代からみると、う~~ん、気になるよ、その物言い・・という気持ちの方が
先にたってしまうんですよね。

またカッコ使って、補足したり、→使用したり、さまざまな表現方法使用です。

まるで自分のブログの文章のようなので、あまりいろいろ言いたくないけれど。

さらに、これは主人公の性格的なものなんだろうけれど、
覇気がないよね、彼女。まあ、いいか・・、しょうがないし、
別にいいけど・・みたいな、投げやりな感じ。

これは映画でもそんな感じではあるんだけれど、映画だと次第に
彼女の本来の気持ちというものが次第に出てくるんですよ。
(その点もあり映画のほうが自分の評価が上。)

たとえば、
映画でも、言葉で言えば、「ていうか・・・・」って言い方、エリコ使っているのです。
おじさんにも注意されていましたよね。
でも、それは、頻繁ではなかったので、それほど、気にならないの。
弟に暴言はいていても、こんなもんでしょ、中学生て、素直に思えたりするのです。
これは、多部さん演じていたからというのもあったのではないかな。

映画では、ダイオキシン8倍といたずらがきされたダイゴと一緒に
いじめっこのところに乗り込んでいくエリコの姿とか、
なかなか帰ってこないダイゴに不安になったエリコの姿とか
果ては、夢の中で、第3の別世界に入り込んで誰にも存在を認められない辛い状況に
陥るエリコの姿とか・・・さまざまなエリコの姿を見ることができるんです。
(これらは原作にないオリジナルの場面)

そういう場面をみると、たとえ、エリコが言葉が悪く、弟に冷たい人に見えても
それは本心でない自然とわかるわけです。
思春期特有の強がリと、家族に対する気恥ずかしさからくる反発心
そういった複雑な心境が入り乱れて
ちっぴり素直でないエリコというキャラが出来上がっていたんですよね。

そんなの原作でもわかるでしょ・・・といえば、そうなのですが
私は気づくことができなくて。そこまでの表現方法が文章中にはないので
(わりと淡々とした感じ)原作における、エリコっていう人物の本質がわからなかったですね。


あと付け加えれば、
最後。もとに戻るために、彼らはいろいろ考えだし、
迷い込んだ状況と同じ状況を作り出します。
今度こそ帰れる…そう思って
玄関のドアをあけたら…・出迎えたのは・・おばさん。
彼らは笑うしかない・・・・ここの展開、すごくいいです。
笑わなくてはならないという状況が、逆にリアルに感じてしまって。
(人間てあまりにも、しょうもない状況に陥ると泣くより
笑ってしまうのですよね)
これも原作にない、オリジナル。
原作はもっとシンプルです。
何度やってもダメだって・・・と簡単に表現しているだけ。

こうやって比べてみて
映画がいいわ・・・といったところで
やっぱり原作があってこその映画です。
原作の評価をなかなかできなかった私はまだまだ
深読みできていないのね・・・と痛感しました。


異次元に迷い込んだ2人の物語として
見るだけでなく、成長物語としてみることもできるこのお話。
題名のルート225の意味を考えると、色々考えることもできますよね。

どんな状況下でも
前向きに明るく生きようとするエリコ姉弟に
切なさ以上に勇気をもらったような気がしました。

ルート225エイガ

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非公開コメント

こんばんは~♪
みみこさんが、原作に乗り切れなかった理由は何だろう?文体かな?と思ってお邪魔したら、
まぁ、そんな口調で書かれてたんですか。それは…やっぱり読みづらいでしょうねぇ。
折り目正しい文章で読ませてくれとは言わないけど、聞けばそうでもないことが
改めて文字と文章になって立ち現れると読みながら、面倒臭くなる、っていうか(ていうか、とか言ってるわ/笑)。
口調であれ、単に文章の特徴や癖であれ、自分に合わないものって時々あって、
我慢も難しければ、慣れてしまうこともなく、そのまま積読になったものはいろいろ・・・

でも、映画がそれを補って余りある作りになっていたら、嬉しいですよね。
特に、この監督は脚色が巧い人だから当然と言えば当然なのかもしれないけれど。
この年齢らしい子供たちの表情や反応、会話もとっても自然でよかったです。

こんばんは。
当ブログにコメントいただきましてどうもありがとうございました!

原作の文体に関する感想が自分とほとんど一緒で、
映画版のほうが良かったというご意見も同じなので嬉しかったです。

自分もブログだと矢印でつっこんだり、括弧つけたりは日常茶飯事ですが、
小説でやられてしまうとどうも読みづらかったです・・・。
特に小説だと縦書きなので、横書き文化で見慣れた表現方法に
違和感を感じてしまうと言うか。

おっしゃられるように原作あっての映画ですが、
これは映画が原作の良い部分を非常にうまく抜き出して
見事に映像化してくれた貴重な作品だったと思います。

悠雅さんへ


おはようございます。
早々のコメントありがとうございます。

そうなんです。文体がちょっと・・・。
今風の女の子の言葉でリアル感をもたらしているのかと
思うのですが、できれば、情景描写が頭に思い浮かぶような
小説ならではの表現方法をたくさん楽しみたかったのです。
自分では絶対表現できない文章って憧れもあるので。
美しい日本語をみたいのよね。

私普段は結構、言葉悪かったりしますし、
感想もこんな感じで話し言葉なのですが
小説は違う感じがいいな・・・・
。話し言葉でもいいけど、ギャル語?とはもう言わないのかな
は、苦手です。

<でも、映画がそれを補って余りある作りになっていたら、嬉しいですよね。
特に、この監督は脚色が巧い人だから当然と言えば当然なのかもしれないけれど。>

そうなんです。映画はとっても良くって。
あのお姉ちゃんの気持ちがす~~と心の中に入ってきました。
監督さんは伊坂さんの作品の映画化をいくつか手がけていますよね。
上手ですよね。
また追ってみてみたいと思います。

邦画のお話ができてうれしかったです。

ANDRE さんへ

おはようございます。
早々のコメントありがとうございます。

カッコや←のある、小説って
意外と珍しいですよね。
そういうものを、新鮮と感じられればまた面白くもあったのですが。
また、時代を象徴する、言葉の数々・・
あれは、時代がたつと、違和感も感じますよね。
あ~~、こういう野球選手が当時活躍していたんだよねという
懐かしさは感じられますけど。

<特に小説だと縦書きなので、横書き文化で見慣れた表現方法に
違和感を感じてしまうと言うか。>

あ~~、そうですね。縦書きですものね・・・納得です。

<おっしゃられるように原作あっての映画ですが、
これは映画が原作の良い部分を非常にうまく抜き出して
見事に映像化してくれた貴重な作品だったと思います。>

本当にそうでしたね。特にあの姉と弟の関係には
泣かされました。

本も映画も、とても参考になりましたので
またお邪魔させてくださいね。
今後ともよろしくお願いします。
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  • レイフ・ファインズ好き
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