乱反射    著  貫井徳朗

乱反射    著  貫井徳朗



幼い命が奪われた。
街路樹の木の下敷きになって。
果たしてそれは、防ぐことができなかったのか。
それとも人災か・・。
様々な人間たちのエゴの果てに起きた悲劇。





感想

第63回、日本推理作家協会賞受賞作です。
(たしか、このあとの作品「後悔と真実の色」は山本周五郎賞を受賞していますよね。貫井さんすごい)
この、乱反射に関しては
このときの、選考委員の北村薫さんの言葉にも惹かれました。
だからより読む気になったというのもあるかな・・。

ちなみに、
この第63回の候補作品には
佐藤 正午さんの「身の上話」や
湊 かなえさんの「贖罪」も入っていました!!




日常の些細な不道徳心が
一人の幼児の命を奪ってしまった。
モラルの欠如ゆえの悲劇です。


そういう話です。


映画で言えば、バタフライエフェクトのようです。


モラルが欠如していたからといって、
悲劇が、必ずしも起きるのかといえば、そう言い切れないところもあると思います。
反対に、品行方正な生活を皆がしていたとしても、
悲劇は起きるかもしれませんね・・・。
そういう考えをすると
それぞれ、この事件にかかわった人たちを
一方的に責めることもできないないのかな・・・と思ってしまう自分もいます。
こんな不道徳な人たちがいるからだ!!と
憤っても、結局、じゃあ、自分は?と振り返ってみたとき
思い当たる部分がまったくないとは、いえませんよね・・
一回ぐらい・・いいじゃないか・・・。
この程度なら・・
心当たりある人もいるかもしれません。


しかし、この物語で
いくらなんでも・・・これはひどいおこないでしょ・・・と思う人もいます。

車庫入れ、途中放棄は・・・いくらなんでもひどくありませんか?


お話の具体的な内容に





この物語は-44という章から、スタートです。
事件が起きる前までをマイナスの章で表記。
事件が起きたそのときの章をゼロとしています。


一人の幼児の死にいたるまでには様々な人々の生活模様が語られるのですが
なにしろ、登場人物が多いので
整理していくのが大変です。
とっかえ、ひっかえ・・順不同で登場してきます。


病院の待ち時間を避けるため、風邪程度で夜間救急を利用する大学生。

定年を迎えた老人、暇つぶしに犬の散歩を毎朝するようになるが、持病の腰痛のため
飼い犬のフンを放置しつづける。

生活に余裕がある主婦、周囲に認められたいがために
環境保全運動を行う。

クルマの運転が苦手な女性。大きなクルマに買い換えた途端、ますます車庫入れが苦手に。
ついに路上でクルマ放棄してしまう・・。

もめごとが嫌いな公務員。ほどほどに仕事をしようとするが、
プライドの高さだけは十分ある。

潔癖症な造園土木の作業員。病気ゆえ、自分の仕事をやり残してしまう。


そして・・・・自宅のゴミをパーキングエリアのゴミ箱に捨てる彼・・。


一見、
幼児の死には関係がないような出来事に見受けられますが
そういう人たちの身勝手な行動の積み重ねが
悲劇につながってしまうという、
考えていくと、本当に恐ろしくなるような話なのです。


こうやって物事を突き詰めて考えると
生きていること自体は偶然の賜物でありますよね。
一歩間違えれば、どこで運命変わっていくのか、わからないもの。


どんでん返しはありません。
ミステリーとして読むとちょっと系統は違うと感じるかも。


責任の所在がどこにあるのか・・・
納得できない遺族の気持ちもよくわかります。
反対に
すぐに、それは私の責任がある・・といいだせない人たちの
気持ちもなんとなく、わかります。

自分の胸に手を当てて・・・
誰かに迷惑をかけていないか・・・
そんなことを
ふと思ってしまうようなお話でした。


日常に潜む怖さを感じますよね。


あ・・・クルマの運転を放棄する女性がとくに腹立たしいと↑で
書きましたが
樹の伐採を反対する、リッチな主婦の方々。
こちらも、少々、むかむか・・しましたね。
私はそういう暇つぶしでおしゃべりして、良く考えもしない行動をとる、主婦が嫌いだわ・・・・。


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