ツリーハウス   著  角田 光代

ツリーハウス   著  角田 光代


舞台は西新宿にある中華料理屋「翡翠飯店」。
そこで生活する、祖父母、両親、孫・・三世代にわたる物語。







感想



祖父、祖母の歴史を追って遠く満州へ。

満州のお話は正直ピンとこない部分はありましたが
祖父、祖母たちが引き揚げて
新宿に中華料理店をひらく、そこからの生活の日々はぐいぐい引き込まれて読みました。


祖父母には
子供もたくさんいたのですが
満州にいるときに何人かは死去。
それでも日本にきてからまた何人か産み、その子たちが
成長して様々な問題を起こす・・・


ドラマチックな家族と言えばそうだけれど、多くの家族が
なんらかの問題は抱えているはずです。
物語は様々な出来事をけっして大げさでなく
淡々と事実のみを重ねていっているだけなのですが
どこかで自分の家族の歴史も考えたりするようになったりして
夢中になって読みました。
自分という一人の人間って
突然現れたりするわけでなく
親がいてまたその親がいてと・・・
ず==とつながっているわけですよね。
だからやっぱり・・その歴史というのは知っておいた方がいいと思ったし
皆に少しでも記録として伝えておいてもいいんじゃないのかな・・・なんて思いました。

この物語の家族たち、それぞれの世代には
時代の波が大きく関わってきています。
戦争から始まって時代はどんどんと変化していき
その中で人々の意識も変わってきているのがこの家族を通して
みることもできるわけです、



物語は過去と現代が行き来していく感じです。
現代パートでは、おじいさんの死をきっかけに
孫の良嗣と、おじさんの大二郎(おばあさんの息子)を付き添いにして
おばあさん(ヤエ)が、自分のもう一つの故郷でもある満州へ旅行をするくだり。
その旅行のさなか、おばあさんは、昔の自分のことをいろいろ思いだし
物語は過去パートに随時うつっていくわけです。


そこで
おばあさん(ヤエ)はなぜ満州に渡ることになったのか
おじいさんと何がきかっけで出会い、結婚するはめになったのかという
出発点が・・・が語られます。


もちろん
日本に帰ってきてからの
自分たちの子供の成長記録も次々にです。




良嗣のおじさん、大二郎は
仕事もせずにぷらぷらしていますが、以前は教師であったこと。
教え子とのわけあり交際もあり、さらには、新興宗教にハマっていたという過去も明らかになり
驚くばかり。

こうやって一人一人の過去が明らかになる過程はミステリーのようです。



ここで整理しますね。三世代にわたるということで
多くの名前が出てきて少し、ややっこしいので。
まず、おばあさんの名前はヤエ。
おじいさんに名前は泰造です。

ヤエの子は
光一郎(2歳頃、死亡)、洋二郎(未熟児で生まれてすぐに死亡)、慎之介(良嗣の父親)、
大二郎、今日子、基三郎(のちに死亡)

占い師に言われていましたが、6人産んで半分になってしまうのです。


孫の良嗣は、慎之介の子です。次男ですね。

良嗣の父は慎之介。漫画家志望でしたが家を継ぎました。
奥さんは文江。大学出なんですよね。
この夫婦には子は3人。
基樹・早苗・良嗣です。


少しはわかりやすくなったかしら。



学生運動
浅間山荘事件
新興宗教
西口のバス放火事件、

あ・・・そういえば、そんなこともあったと
記憶をひも解くような思いでした。



題名の
ツリーハウス。
小説の中にも、良嗣が大木に作った秘密基地木の上の家として出てきます。


根っこをもたないような家ということですが
私は
この家族・・・素敵だな・・・と思いましたよ。
一見皆、ふらふらしていて・・・
肉親の情が薄いような気もするのですがそうじゃあないのですよね。
家族ってそんなに簡単に他人にはならないだろうし
どこかしら、やっぱりお互いを思いあっているんじゃあないのかな。
表面だってわからなくても・・


おばあさんが満州で
世話になった家族を探すのですが結局、探せないんですよ。
でもおばばさんは・・自らの思いは満州で精一杯吐き出してきた感じ。
だから、
ああいう風に日本に帰ってからも
身辺整理できたんじゃないのかな・・・って思いました。


淡々としている中にも
感動もあって
好きなお話でしたね。

turi-hausu.jpg
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「ツリーハウス」角田光代

謎多き祖父の戸籍──祖母の予期せぬ“帰郷”から隠された過去への旅が始まった。満州、そして新宿。熱く胸に迫る翡翠飯店三代記。第22回伊藤整文学賞。 謎の多い祖父の戸籍、沈黙が隠した家族の過去。すべての家庭の床下には、戦争の記憶が埋まっている。新宿角筈『翡翠飯店』クロニクル。 どこにでもいそうな、いたって平凡と思える一家の、三世代に渡る物語。 それぞれの時代、各人物像をぶれることなく細か...

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道尾さん

みみこさん~こんにちは♪
みみこさんは、楽しく読めたようで、よかったー^^
いつもみみこさんのレビューって、丁寧に書かれているので、ずっと後になって
拝見しても、色々細かい処まで蘇って来るんだよなぁ~☆

ところで、道尾さん、取ったね?
なんか小説は面白いんだけど、態度がちょいとデカいというか(爆)
自信家さんだよね。
明日だか、情熱大陸で特集やるらしいから、見てみようかな~。

latifa さんへ


こんにちは。
そうなの。
意外とこれは楽しく読めたわ。
年末に借りてきてお正月にゆっくり時間をかけて読んだのが
良かったのかな。
時間があるときはレビューも丁寧に書くけど
そうでないと適当。
本も映画も、もうどんどん細かいところを忘れていくので・・・・笑
印象的な部分はなるべく感想に書いておくようにしているのよね。
以前、latifaさんのところでUPしていた川上さんの作品(センセイの~~)も
あ~~読んだよ・コメントしたいな~~と思っていたけれど、
内容がおぼろげすぎてやめたのよ。
年はとりたくないわ。
道尾さん。。。やっとよね。
今回は芥川賞が美女と野獣とかいっていて、話題になったじゃない?
そっちのほうに注目がいっちゃったって気がするわ。
情熱ね・・・
録画したけれど、まだ観ていないのよ。
あとでゆっくりとね。

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