恋の罪

恋の罪 (2011  日本)



監督: 園子温
製作: 鳥羽乾二郎
大月俊倫
プロデューサー: 千葉善紀
飯塚信弘
企画: 國實瑞惠
脚本: 園子温
撮影: 谷川創平
編集: 伊藤潤一
音楽: 森永泰弘
照明: 金子康博
録音: 渡辺真司
出演: 水野美紀 吉田和子
冨樫真 尾沢美津子
神楽坂恵 菊池いずみ
児嶋一哉 正二
二階堂智 吉田正男
小林竜樹 カオル
五辻真吾 木村一男
深水元基 マティーニ真木
内田慈 土居エリ
町田マリー マリー
岩松了 スーパーの店長
(友情出演)
大方斐紗子 尾沢志津
津田寛治 菊池由紀夫



どしゃぶりの雨の日、渋谷円山町の
ラブホテル街の木造アパートで
無惨に殺された女性の死体が発見される。
捜査に当たるのは、女刑事、吉田和子。
やがて、大学のエリート助教授・美津子と
人気作家の妻・いずみとの関係を知ることになる・・・





感想




園監督、劇場作、今年2作目。「ヒミズ」の受賞で知名度もあがり、~熱帯魚より、劇場入り多かったです。
題材的なものもあるのかな・・・笑、男性陣が多かったな~~。
レディースデイで、左右に人が座るのって久しぶり。やっぱり男性だったよ・・・。


今回は、使われた楽曲、マーラ…!!
前回もクラッシックが使われていたけれど、今回のは、ルキノ・ヴィスコンティ監督の『ベニスに死す』でも使われていた交響曲第5番なのよね。
とにかく、いろんな意味で濃い場面が続く中、
マーラ流れる場面では気持ちが落ち着くの。
その時だけは、しんみりと女というものについて考えたくなる瞬間でもありました・・・。



それにしても今回も144分の長丁場にもかかわらず、ダレることなくみせる技はさすがです・



映画はチャプター分けしてあり
全部で5パターン。

●菊池いずみ
●城
●尾沢美津子
●魔女っ子クラブ(デリヘルの会社ね)
●おしまい

という項目だったと
思うけど、記憶が定かではないので途中順序が違うかも。
おしまい・・・っていう章(これは確か)っておかしいよね・・・・笑




物語は東電OL殺人事件”にインスパイアされた、監督のオリジナル作品。
監督ならではの世界が今回も炸裂。
東電事件が当時話題になったのは、やっぱり被害者の表の顔と裏の顔のギャップからだと思うのよね。
映画の中でも、3人の女性の表と裏の顔が見えるの。
実際の事件を思わせる人物としては
尾沢美津子という日本文学の助教授の肩書を持つ、エリート女性だと思われます。
体型(やせ形)や、年齢的にもそうでしょう・・・。




今回は題材が題材なので、当然、S☆☆シーンが多いんですよね。これは、致し方ないよね。
私、意味が感じられないエロシーンは好きじゃあないんだけど、この映画の場合は
それ自体が意味があるものだからね、きちんと観るしかないです。でも思った以上に、からみは多かったです。
3人の女性の中では、神楽坂恵さんが一番脱ぎが多かったんじゃあ、ないかな。(実質、主役?)
ムチムチな体なので、見栄えするというか・・・・笑・・・存在感が体にあります。本当胸が大きい・・。
「~~熱帯魚」では、どうして今脱ぐ?と疑問ばかり感じたのだけど、
今回は、あそこまでの体当たり(脱ぎっぷり)がやっぱり物語上、必要だったわけで
よくやったわね・・・と感心さえしちゃいました。勇気はいるよね。
対して、水野さんが裸になる意味はあまり感じられなかったような・・・。
水野さん裸って、話題作りには一番だったと思うけど、映画全体を通してキャラ的なインパクトはあまりなかった
ように思います。刑事の水野さんも、人には言えない秘密、不倫をしているという設定ですが
う~~ん、メインの話(売春の果ての殺人事件ね)にあまり絡んでこないような気がしたんですね。
だから、冒頭のシャワー室シーン→全裸(このときのみ、でもしっかり見せる)も、私は結局物語上、意味があったようには思えなくって。実際、不倫相手とのリアルからみはなく(ちなみに不倫相手は夫の同僚であり、
アンジャッシュの児嶋一哉が演じているの。これにはびっくり~~児島~~~笑)
ほとんど水野さんの一人もだえシーンだったような・・・。
お相手の男性との電話での●☆☆や、
ゴミ捨てにかこつけて車内で男との抱擁。あと、事件現場で寝そべりながら雨水のうたれるとかね・・・。
なにやら、なまめかしい・
他の2人と違って、夫も子供もいる身なので、どうして今の生活に満足できていないのかが一番わかりづらく
感じた方だったように思いました。こういう性癖があるといってしまえばそれまでだけどね・・・・・。
あと、全然子供のいる主婦に見えない~~~~。
物語の最終的なものは、彼女のパートで終わる形であるのだけれど
個人的にはいずみのその後で終わっても良かったかもと思ったりもしました。ゴミ捨て話
(ゴミを捨てに出かけてそのまま、いなくなってしまうという主婦の話)は個人的には
ハッとするお話でもありましたけど。



話が結構、バラバラしちゃったので、
きちんと、物語を整理しながら・・・仕切り直ししますね。


事の発端は・・・

水野さん扮する吉田和子のもとに事件を知らせる電話。
円山町の空き家で死体が発見されます。
死体は
赤いドレスを着せられた上半身だけの死体と
セーラー服を着せられた下半身の膝までの死体。
顔はマネキン顔で手、足もマネキンの合体作。
2体あるけど、どうやら死体は一つということが検視結果でわかります。
部屋の壁には城・・・という文字。
これはあとから重要な言葉となってきます。
しかし、死体がかなり猟奇的・・
みるのもおぞましい・・・・・・泣。


そこから
事件に関与されていたと思われる人物たちに
スポットがあたります。
冒頭で書いた
チャプター通りに進んでいくのです。

まずは
作家の妻、神楽坂恵扮する菊池いずみ。実生活では監督と婚約したという彼女ですよね。
作家の夫の津田さんが強烈・・・・笑
いずみは、夫を献身的に支えているんですよ。服従する妻というのかな、いわれるまま・・・。
夫には、丁寧語。ほめられると素直に「ありがとうございます!!」
夫はピュアなもので・・・・・と、奥さんは言っていますが、これ、ピュアといいます?
異常でしょう…笑
貞淑な女性を妻に求めるという図式は男性陣にはあるのだと思うけど、それって自分だけには
本当の姿を見せてくれるっていう男の優越感に支えられているのだと思っていたのよね。
でもこの夫って、お家でも妻にそれを求めているじゃない?ノータッチっていうのはね・・普通じゃあないよね。
後半で夫の正体がわかるんだけど、意外と普通でビックリしましたよ。
もっと、異常者かと思っていたから・・・・笑
いずみは、家庭でも素敵なお洋服。くだけた部屋着の私とは大違い・・・
やがて退屈な毎日からの脱出にと、パートに出る、いずみ。
しかし仕事は、スーパーの試食コーナ。一流作家の妻といえども、仕事は所詮スーパーの売り場。
その仕事も満足にできない自分にちょっと嫌気。自信喪失。
やがて彼女に転機が。モデルに誘われるんです。だませやすいオーラーというか、世間知らずオーラーが
出ているんでしょうかね。結局はそれってアダルト系の仕事。
あれよ、あれよで言われるまま、深みにはまる、いずみ。
迷いながらも自分の存在価値を再確認。自分の体が意味あるものだと気づくのです。


彼女が鏡を観ながら全裸で、ポーズし、さらには、声を張り上げてスーパーの売り場呼び込みするのが
印象的。押さえつけられていたものを、取り除いた瞬間っていうことですかね。




そんな彼女の前に新たな女性。やがて彼女をデリヘルの世界に誘う女性です。
街頭で立ちんぼする
冨樫真扮する、尾沢美津子。
職業は日本文学を教える助教授。
いずみは美津子に親近感を覚えます。
自分に似ていると感じたのかな。
アダルトの仕事を始めたものの、どこか、今の自分の状態に不安感を感じているいずみ。
どこかで、夫を気にしているんですよね(普通、後ろめたさは感じるでしょう・・・・)
そんな彼女は美津子に答えを求めようとします。
どうしたらいいのかって・・・。
そのとき、美津子が教えたものは・・・

ある詩です。

「 言葉なんかおぼえるんじゃなかった
  日本語とほんのすこしの外国語をおぼえたおかげで
  ぼくはあなたの涙のなかに立ちどまる   
  ボクはきみの血のなかにたったひとりで帰ってくる  」



この詩、映画の中で何度か出てくるのですが、調べたところによると
田村隆一さんの「言葉のない世界」の中の「帰途」というタイトルの詩の一節。
勉強不足で、初めて聞きました。
しかし、美津子助教授の、この詩の意味合いの講義を
いずみ同様、しっかり聞き入ってしまったら、感動してしまいましたよ。
深い、深い詩だ・・・・と。
肉体ということばに、意味をもたせるのよ・・・ということなんでしょうか。




この美津子。
さすが文学の先生ということで、意味ありげな言葉をいろいろ話します。(監督が詩人ということから
言葉に対してはこだわりがあるみたいですよね。)
中でもキーワードとなるのは「城」という言葉。
これは、カフカの城・・・と関係があるようです。(カフカ読んでいないのでよくわかりません)
なんでも、城のまわりをぐるぐる回っているけど
まだ城の入り口さえみたことがなく、城にはたどり着けないというような内容。
そこで、美津子の過去に話が飛ぶわけです。


美津子と父親との関係は、変わったもの。
父親も有名な文学教授。母親の家柄とどうやら差があったようで婿養子という形で結婚。
母親はいつしか下品な血ということで、自分の夫とその夫と仲の良い娘を、蔑むようになります。
父親は美津子の絵を描いていたりして2人で濃密な時間を過ごしていて仲良しだったようです。
美津子はそんな父親にう~~ん、特別な感情があったみたいですが
父親は、一線までは踏み込まず、彼女の思いを押しとどめ。
そのとき渡されたのがカフカの城・・だったようです。
ちょっと近親相姦のにおい・・です。これは観た私の想像の域です。
美津子は城の入り口をいつも求めていて・・。
最終的に売春という行為に入っていったのも、過去が影響されているのではないかと推測。
母親にいつも見下され、否定されていた自分は
下品という言葉通りに売春へと走っていったものと思われます。
よくわかりませんが・・・。


「愛が無ければお金をとりなさい!!」美津子の言葉にはっとするいずみ。
愛しているのは夫なのだから
他の人とのそれには、金が介在しなくてはいけないのだと・・・。


それでもおじけるいずみに

「わたしのとこまで堕ちてこい!」という美津子。


いや~~~怖いです。このドスの入った声。そもそも美津子って普段と夜の生活とで
メーキャップががらりと変わるのよね。それプラス、ドスの聞いた声だもの。
怖すぎ~~~。流されそうです、この勢いに。


そこから、
怒涛の終盤へ・・・、あんなことにも、こんなことにもなります。
美津子の本心が判明し、
そこはちょっと意外でもありました。


後は劇場で・・。


もちろん、肝心の殺人事件の犯人・・・ちゃんと判明しますよ。
被害者も途中で判明します(これは最初からわかるかな)
事件そのものは、突っ込みどころも多いのですが
焦点は女性の人生そのものだから
あまり深追いはしなくていいのかもしれません。



堕ちて・・・堕ちて・・・堕ちた先に
みえるもの。
いずみにとっては、幸せなものだったのでしょうか。

まあ・・いろいろ思うことも
ありますが
日常生活ではこんなハードな展開は絶対ないとは思われ・・・・笑
誇張された
ドロリとした女世界に
今回は楽しむ余裕を感じながら
鑑賞できました。



あ・・・
たぶん、この映画の最大の名場面は
美津子と、その母親との
お茶飲みシーンだと思います。
壮絶な会話を
じっくり楽しんでいただければ
良いかと・・・



ヒミズはこれ以上に
楽しみ~~


ではでは、おしまい・・・笑


恋の罪
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恋の罪

ラブホテル街の片隅の廃アパートで見つかった女性の惨殺死体。その捜査を担当した刑事・吉田和子は、やがて事件に関わったとされる女性達へと近づいていく。

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やっとコメント

みみこさん、おはようございます。
やっとコレにコメントしに来ました(^^ゞ

いやぁ~今回も荒業炸裂で引っ張られましたね。
と言っても、自分としては、主人公たちにあんまり共感出来なかったので
「冷たい・・」ほどにはハマらなかったけど(笑)
それでも色々と見どころのある作品でしたね。

水野さん・・そうそう~冒頭からあの全裸・・にはびっくり。
しかも、ホント、別に意味ないし・・(爆)
神楽坂恵は、「冷たい・・」の時の役は好きじゃなかったし、今回のが良かったです。
胸のインパクト強いよね。3分の1でも、いや5分の1でもいいから分けてほしいくらい;;
でも、いずみのキャラ・・イマドキあんな女性いないよね~?(笑)
美津子にしても、ギャグなのか、真剣なのか・・そのさじ加減も園映画だなぁ・・と。(笑)

>たぶん、この映画の最大の名場面は美津子と、その母親とのお茶飲みシーンだと思います。
・・・・・そうそう!面白かったよね~ここ!(≧∇≦)
他の女性たちは大胆だったけど、ここで彼女がこの作品を全部持っていっちゃった感じがしたくらいに強烈~で素晴らしかったです。(笑)

「ヒミズ」も楽しみですね。
予告編見た限りでは、これのがちょっとは真面目路線かなぁ??とは思ってますが、
園映画なので、どう進んでいくのか、どう脱線するのか(笑)それも楽しみです。

こんにちは。

今回も濃い・・・作品でしたね。

<「冷たい・・」ほどにはハマらなかったけど(笑)
それでも色々と見どころのある作品でしたね。>

アハ~~確かに、冷たいの方が強烈でしたものね。


<水野さん・・そうそう~冒頭からあの全裸・・にはびっくり。
しかも、ホント、別に意味ないし・・(爆)>

そうでしたよね・・・。
意外と早い段階なのよね。
そのあともっと強烈なもの(裸のオンパレード♪)が出てくるので
話題にならない感じ。
・・・せっかく脱いだのにね。


<神楽坂恵は、「冷たい・・」の時の役は好きじゃなかったし、今回のが良かったです。
胸のインパクト強いよね。3分の1でも、いや5分の1でもいいから分けてほしいくらい;;>


私もそう思うわ・・。彼女は、冷たい~~~よりは、こっちの方がいいよね。
うんうん・・胸ね。洋服着ていてもそこばかり注目しちゃったわ。
すごいな~~・・・って・・・・笑

<でも、いずみのキャラ・・イマドキあんな女性いないよね~?(笑)>


そうよね・・・専業主婦が皆こんなだと思って欲しくないわよ。
だいたい、社会経験乏しすぎ・・・いくらなんでも・・・・笑

<美津子にしても、ギャグなのか、真剣なのか・・そのさじ加減も園映画だなぁ・・と。(笑)

美津子もね・・・裏表の激しさにビックリ・・


<他の女性たちは大胆だったけど、ここで彼女がこの作品を全部持っていっちゃった感じがしたくらいに強烈~で素晴らしかったです。(笑)>

やっぱり・・・あのおばあさんですよね・・・☆
脱ぎもせず、グロもないのに
あの会話だけで
おお~~と言わせる凄さ。
こういう演出があるところが・・・
次回も観たいという気にさせるところなのかな・・・って思います。
何をみせてくれるのかという・・・楽しみにもなりますよね。


ヒミズ・・・
年明け早々ですよね。

<園映画なので、どう進んでいくのか、どう脱線するのか(笑)それも楽しみです。>


は~~い。同感です。
あんまりグロやエロが無い方がいいけど・・・
当然そこそこはあるよね……笑

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