灼熱の魂

灼熱の魂 (2010   カナダ・フランス)




監督: ドゥニ・ヴィルヌーヴ
製作: リュック・デリー
キム・マクロー
原作戯曲: ワジディ・ムアワッド
脚本: ドゥニ・ヴィルヌーヴ
撮影: アンドレ・トュルパン
美術: アンドレ=リン・ボパルラン
衣装: ソフィー・ルフェーヴル
編集: モニック・ダルトンヌ
音楽: グレゴワール・エッツェル
出演: ルブナ・アザバル ナワル・マルワン
メリッサ・デゾルモー=プーラン ジャンヌ・マルワン
マキシム・ゴーデット シモン・マルワン
レミー・ジラール 公証人ジャン・ルベル




 カナダに在住するレバノン出身の劇作家ワジ・ムアワッドの同名戯曲の映画化。
2010年度のアカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品。
 母親、ナワル・マルワンが亡くなり、
公証人から双子の姉弟にあてて遺言が伝えられる。
<父親と兄を見つけ出し、それぞれに宛てた母からの手紙を渡してほしい>
父親は死んだのではなかったか・・・
兄などいるのか・・・
当惑するジャンヌとシモン。
姉であるジャンヌは、遺言に従い、中東にある母の祖国へと旅立つ・・・




感想


お友達に地味映画として紹介されていたし
他の方面からも、良い良いと・・聞いていたので
早速鑑賞。

皆さんの感想をパッとみたときに
衝撃~~~という一言が印象的でした。
もちろん、ネタバレの部分は読んでいなのですが
どの方も凄い物語だ・・・衝撃だ・・・という表現を使っていて。
もうそれだけで非常に気になる作品でした。

そして・・・
いろんな思いを抱きながら鑑賞した今・・・
ああ・・・皆さんの言うとおりだなとあらためで実感。
なんだか、
久々にガツンときたみたいで
感想どころではない状態でした。


私は、あまりの驚きに
ちょっと頭の中が白くなりましたよ。
<ちょと、ちょっと待ってよ、じゃあこういうこと?>
<え・・そうなの?嘘・・・、整理しようか、怖いな・・・落ち着いて考えなきゃ・・・>
と、混乱気味。
事実を知ったあの双子も声にならない状態でしたが
見ているこちらも、かなりの動揺ぶりでした。

ふ~~。(大きなため息)
そしてこの事実を知ってから
主人公の人生を振り返ってみている自分がいました。
同じ、母親として女性として、
考えることはいろいろありましたね。
女性じゃなければ、わからない感覚というものかな・・・
そんな不思議な感覚に包まれた感じ。
こんなにも激しい人生を生きてきたのにも
かかわらず
根底には揺るぎない愛が存在しているんですもの。
余韻も深く、すごい映画だな・・・と
思わずにはいられませんでした。


この年の外国賞はいい作品が多いと聞いていますが
これも素晴らしいね。
私ならこれが一押しかも。
(ってノミネート全部はまだみていないけど)


今年になって鑑賞した
『瞳の奥の秘密』。
このときも脚本のうまさに唸ってしまったのだけど、
こちらの作品も
同じくらい、いやそれ以上に、上手いんですよね。
巧みなの。
物語は
母親の生きてきた人生を探る中で、
探っていた彼ら姉弟たちも、自分自身を見つめ直すということ。
自分たちがどこからきて
どこへ向かっていきていくべきなのか・・が
きちんとわかることを
この母親は臨んでいたのかもしれませんね。
しかし
その事実は
背負うにしてはかなりきついのでは・・・と思わずにはいられませんでした。


まず、ジャンヌが
兄の行方を探します。
彼女が母親のいたであろう場所にたどり着くと
母親の若かりし頃のシーンに移り変わり
その場所で起こった出来事が描かれていくという構成でした。
若いころ、母親、ナワルはキリスト教徒だったのだが
難民であるイスラム教徒の男性と恋に落ち
かけおちをする。しかし、すぐにみつかり、彼女の親族に相手の男性は殺される。
彼の子供を妊娠していた彼女は、産んだ後すぐに子どもとも切り離され
叔父の家へ・・・。というようなシーンが最初の方で描かれるので
このときの子どもが
この姉妹の兄ではないか・・・ということが理解。
この兄を捜すんだろうな・・・という推測で物語を追っていくことができます。
(それにしては
気がかりなのは
冒頭で丸刈りにされていた少年ですが・・・
この部分は、実は最後の最後で判明する事実に
裏付けされたシーンなんですよね。)



叔父のもとで大学に通う彼女ですが
まもなく内戦がおこり
大学は封鎖。
彼女は孤児院にわが子を探しにいきますが
孤児院は爆破。子供たちは別の場所へ・・・

やがて彼女は南部に向かうバスに乗り込む。
イスラム教徒に変装したナワルだが、
そのとき、武装集団に襲われ・・・。


このシーンがまず最初に衝撃でした。
自分がキリスト教徒だと示すことで
バスから救い出された彼女が
一緒に乗っていたイスラム教徒の母子の子供の方を
自分の子供だといって連れ出そうとするのですが・・・
子供は母親を求めて叫んでしまうんですよね。
そこで子供も射殺。
目の前で残酷なシーンが繰り広げられ
ここで彼女に生き方が、考え方が大きく変わってしまったのだと思います
見ているものもかなりのショック・・・。

報復を考えたナワルは
過激派になり
キリスト教徒の幹部を射殺。
そのため
数十年の刑務所暮らしをするはめになるのです。


そこで
歌う女と呼ばれ
芯のしっかりとして女性として過ごしていましたが
あるとき、凄腕の拷問人がやってくるのです。
その拷問の仕方が・・・
女性には残酷な…***。
なんてひどい・・・。
これも女性にはショックな出来事ですが
リアルなシーンがない分、耐えられました。


そしてそこで
ある生命の誕生を迎えます。
そうか・・・・
これが第二の出産か。
誰が?どのときの子ども?と考えているうちに
ああ・・・そうなのか・・・この子供が
双子たちなのか・・・としっかり判明。
このときは、それほどの衝撃はなかったのです。



ということは
父親は判明ということです
この拷問人です。
じゃあ・・・つぎは兄ということですが・・
これが・・・涙。



130分ほどの長い映画でしたが
最後まで
謎の部分が気になり
一気にみてしまいました。
ラスト部分は想像で出来ない内容でしたね。
「1+1=1になるのか」と弟が言っていましたが
数式を使ったあたりは数学を学んでいるからこそなのかな。
たしか姉は数学者だったような・・・。
ダイレクトに事実を言わないで
こんな風に例えをだした表現でしたが、それが逆に事の重大さを
強調させているようでもありました。


8つの章から成り立っていて
それぞれ、「双子」、「ナワル」、「ダレシュ」、「デレッサ」、「クファリアット」・・・・と
副題がついているのですが
双子やナワル←名前ね、
あたりはすんなり理解できるものの
後半は
それぞれの場所だったり、ある人の名前だったりで
物語をみてから、分かってくる部分でもあったような気がします。
これは、やや、混乱しがちになるかも。
DVDなら振り返ることができるけど
劇場だとちょっとなんだろう・・・と思ってしまったかもしれなかったです。




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灼熱の魂

お母さんあなたが生き続けた理由を教えてください。母の遺言から始まった,父と兄を探す旅。国境を越えて,時を越えて,母の過去の中へ・・・。カナダでシドニー賞の8部門を受賞し...

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おはようございます

みみこさん、おはようございます。

ご覧になったのね~!!

ビックリでしたよねぇ、いくら謎めいているとはいってもここまでの辛い衝撃の事実が待っているなんて。
一緒だわ~、頭真っ白になりますよね。
観終わってからもあと引いて、感想なかなか書けませんでした。

母親として戦前に子どもたちと心を分かち合うことが出来なかった・・・これほどの辛い過去を背負っていたなら無理のないことなのかな?
ちょっぴりでも心をひらいて見せて欲しかった・・という気持ちもあったのですが、
でも子どもたち、2人とも立派に成長してましたし、普通の母親とは違っていてももちろん愛情を心に秘めていたんじゃないかなって思いました。

これほどの事実を知ってしまった・・・二人が双子で本当に良かったと思います。ひとりならとても背負えないよね。

母親のあの手紙には、家族への思い、約束を交わした息子への思い、愛情がありましたね、どんなに辛い事実も包んでしまうくらいの。

お茶のシーンも印象的で、忘れられない作品になりました。

瞳さんへ


こんにちは♪
観ました~~
これからご報告にあがろうかと思っていました・・・
少し前に瞳さんの感想もちらりとみていて
もう気になって・・気になって・・・。
そして・・・鑑賞して観たら・・・
まあ・・・本当に、驚愕。

想像もしていなかったし、
女性としてはかなり、痛い・・・真相で
驚きました。

<観終わってからもあと引いて、感想なかなか書けませんでした。>


瞳さんもそうだったのね。
そうよね・・これは難しいですよね。
ネタバレしちゃってもまずいし・・・。

<母親として戦前に子どもたちと心を分かち合うことが出来なかった・・・これほどの辛い過去を背負っていたなら無理のないことなのかな?
ちょっぴりでも心をひらいて見せて欲しかった・・という気持ちもあったのですが>

うんうん。。。そうですよね。
あの弟ちゃんの方でしたっけ?
お姉ちゃんより、親に対して厳しい見方をしていましたよね。
母親に対して、思うことが多かったのね・・・と推測できました。
真相を知ってからだと
そうか・・・と
母親の立場になって
いろいろ考えてみたくなりましたよ。


子どもたちに対して
愛はあるけれど
それでも、
葛藤はあったんだろうな・・。
そう考えるとこの母親・・・・すごい人生を送ってきたんだな・・・と
あらためて思ったり。


<これほどの事実を知ってしまった・・・二人が双子で本当に良かったと思います。ひとりならとても背負えないよね。>

そうよね~~
双子で良かったわ
でももう一人の息子の方。
心配だわ。



<お茶のシーンも印象的で、忘れられない作品になりました。>


ありました!!
やっぱり瞳さんはちゃんとチェックされていたんですね
あとで
コメント伺います

・・・

おはようございます~。
コメント、ありがとうございました。
みみこさんにコメントを頂いて、ようやくどんよりした気分の私も、立ち直りのキッカケが出来ました^^;
この映画、130分もあったのね~
あっという間の鑑賞だったけど、密度は相当濃かったよね。

かなりのシーンが目に焼き付いて残っているけど
そのひとつひとつが、ナワルの回想シーンはもちろんのこと
双子や兄の現在のシーンも、それぞれに衝撃的で言葉にならないの・・。
やっぱり感想を書くのはシンドイ作品でした。
でも、今の気持ちを吐き出してスッキリするために書いたけど、ダメだったわ(-_-;)

今も思うのは、内戦の中、それに抗えない市井の人々の上に起きてしまった事も悲しいけれど・・
ナワルの場合は、確かに余りに過酷な人生だけど、そこには自ら選んだ道の結果もある・・
でも、双子、そして兄、この人々が受ける衝撃と、それからの人生って、どう考えていいのか、
私などの想像も及ばない境地です。
ただ、ナワルは敢えてそれを望んだ訳でしょう?
彼らに、全てを知り、その上で強く確かに、生きて欲しかったのよね?
ナワルの彼らに対する「愛」は、間違いなく存在しているという事も伝えたかった!?
あぁ、、 やっぱり分かりません~~

コメント頂いた方がギリシャ悲劇の事をお話して下さったんだけど
私も、それを知らずにギリシャ悲劇がベースになったパゾリーニ監督の「アポロンの地獄」を思い浮かべて観ていました。
こちらも凄かったっけ・・^^;

今度は、もう少し楽しい映画のお話をしたいなぁ・・
では、またお邪魔しますね(^^ゞ

凄い映画だったわ

みぬぅさんへ


こんにちは♪
この映画は本当重いですよね。
観た後
結構衝撃的なので
誰かと語りあいた~~いと思うものの
なんだか核心に迫って話すのもためらわれたり・・・・。
複雑な心境ですよね。



確かに
双子たちや
兄の現在のシーンも・・・それぞれ印象的でしたよね。

<ナワルの場合は、確かに余りに過酷な人生だけど、そこには自ら選んだ道の結果もある・・
でも、双子、そして兄、この人々が受ける衝撃と、それからの人生って、どう考えていいのか、
私などの想像も及ばない境地です。>

そうですよね・・・
双子たちは今まで聞いたこともなかった事実でしょ?
あの話をきいて
どうやって乗り越えていくのか・・・
背負っていくのかと思うと・・・・
複雑だわ
でもあえて母親がそういう方法をとったのには
それなりのわけがあるのだろうと思うけど・・・。
正直、理解できる・・・とはっきり断言できるところまではいかないかも。
そういう境遇になったわけじゃないけど、
すべてを話してしまうのがなんでも良いとは思わないものもあるからね。

<彼らに、全てを知り、その上で強く確かに、生きて欲しかったのよね?
ナワルの彼らに対する「愛」は、間違いなく存在しているという事も伝えたかった!?
あぁ、、 やっぱり分かりません~~ >

うんうん・・
そうなのよね。
双子や兄?も
強い気持ちで受け止めてほしいとは思うけど・・・
第三者の私でさえ、
動揺してしまう出来事だからね。
いろいろ心配でもあるわ。


<コメント頂いた方がギリシャ悲劇の事をお話して下さったんだけど
私も、それを知らずにギリシャ悲劇がベースになったパゾリーニ監督の「アポロンの地獄」を思い浮かべて観ていました。
こちらも凄かったっけ・・^^;>

そうなのね。
ギリシャ悲劇か・・・。
そういう悲劇もありゆるかもと思わせてしまう
世界情勢もなんだか嫌だったわ。
同じ人間なのに、憎み合うからこそ、また別の悲劇が起こってくるのよね。


アポロンの地獄という映画も凄いのね。
なかなかそういう系統の映画は続けてみるのはきついですよね。
でも興味湧いてきたわ。


みぬぅさん劇場鑑賞もいくつかされていましたよね。
あ~~そちらの方はきっと楽しかったことでしょう。
アレンでしたっけ?
残念。私は劇場は当分スルーかも・
今度は楽しい映画の話にお邪魔したいわ。
かぶる映画あるといいな・・・

こんばんは

これ,私の今年の鑑賞作ベスト3入り確実・・・
人生の中でもベスト3に入るかなぁ・・・・

あまり一般受けしないのかな
でも私も外国語賞はこれがふさわしいと思うわ。
脚本も上手いし,衝撃度がすごい
そしてテーマはきっと主人公の母性なのかもしれないけど
深い・・・・。
なんか・・・ギリシャ悲劇みたいですよね,これ。
DVD鑑賞だったから私も何度も再生を止めて
天を仰いで気持ちを整理しました。
自分が同じ目にあったらどうだろうって
そんな想像さえ不可能なくらい衝撃的な事実でしたよね。

事実を知ることで自分たちのルーツと母親の辿った道を知った子供たち
たしかに受け継ぐには重すぎる重荷かも。
双子にとってもそうだけど
兄にとっては・・・・もっと重いだろうな,事実を知ってからは。
こんなふうに親の悲劇を子供が死後に受け継ぐ物語は
「サラの鍵」もそうだけど
でも私はこっちが好きかな・・・・。いつまでも心に残ります。

ななさんへ


こんにちは。
私もななさんに続けてこの作品をチェックできて本当に良かったです。
劇場鑑賞できなかったのは残念だったけれど
DVDで落ち着いてゆっくり鑑賞できるという利点もあったので
それはそれでよかったかも。

<人生の中でもベスト3に入るかなぁ・・・・>

わかります・・・
いろん意味で印象に残りますものね。

<そしてテーマはきっと主人公の母性なのかもしれないけど
深い・・・・。>

そうなんですよね。
深いの。
簡単に言葉では説明できない感じでもあるけど・・・
女性の母親の・・
強さというか・・エネルギーみたいなものを
ひしひし…と感じました。

<自分が同じ目にあったらどうだろうって
そんな想像さえ不可能なくらい衝撃的な事実でしたよね。>

これはね・・・同じ。

私も彼女と同じ境遇なら
どうその後の人生送るだろうと・・・・
考えたかったんだけど、
見ている間はそこまでの思考力が出てこなかったわ。
考えたくないって言う気持ちも入り込んでいたからね・・・・泣


<兄にとっては・・・・もっと重いだろうな,事実を知ってからは。 >

そう・・・やっぱり兄の方が気がかり・・・
双子はお互い助け合えそうだしね。

サラの鍵は・・未見なの
そのうち見たいわ・・

少ない映画鑑賞の中
こういう良質な作品をチェックできて
そのことがうれしいわ・・・・

宗教とは

宗教とは、人々を救う為のものであるが、時に人々に争いを生み出し悲劇を与えるものなのか?宗教の教えに埋没するが為に人として越えてはならない一線を越えてしまうものなのか?この映画の本質は、そこに有るのではと思いました。

はじめまして


コメントありがとうございます。

<宗教とは、人々を救う為のものであるが、時に人々に争いを生み出し悲劇を与えるものなのか?宗教の教えに埋没するが為に人として越えてはならない一線を越えてしまうものなのか?この映画の本質は、そこに有るのではと思いました。>

そうですね・・
宗教よって争いが生じるのは
外国では多いですよね。
日本では宗教的なかかわりが薄いところがあるのですが
一人ひとりが
じっくりと考えてみたい問題ですよね。

プロフィール

みみこ

  • Author:みみこ
  • レイフ・ファインズ好き
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