死命   著   薬丸  岳

死命   著   薬丸  岳


三十代にして財を築いた榊信一。
自身がスキルス胃がんに冒されたことを知り、今まで抑えていた
殺人願望を開花させる。
その榊をおう刑事の蒼井。
彼もまた余命少ない病に冒されていた。
蒼井とコンビを組む若手刑事・矢部、
榊の恋人の山口澄乃。
それぞれがいろんな思いをもちながら
事件にかかわっていく。




感想



一気に読めます。

事件は無差別女性殺人。
犯人はわかっています。
物語は
犯人・・、
彼を愛する女・・・
犯人を追う刑事・・と
そのベテラン刑事と組むことになる若者刑事。
それぞれの視点で
進行していくことになります。



犯人がわかっているので、その謎ときを楽しむことはできません。
が・・・興味わくと言えば
なぜ、その犯人がそういう行為に走ってしまうのか⇒動機付けの点。
それと
犯人と追う刑事が
ともに、余命少ない状態だということです。




殺人鬼、榊と
幼いころから知り合いで
大学時代には恋人だった山口澄乃。
彼女は恋人である耳に障害がある榊信一に情事の際
首を絞められるという体験をさせられる。
どうやら、榊には人には言えない過去があるのだ・・・。
しかし、澄乃はそんな榊を恐れ、実家に帰って結婚をしてしまった・・・。
やがて離婚して再び榊と再会した彼女・・・


というような存在の澄乃だが
彼女が再び傍にいるのに
人を殺すという欲望を抑えることができない
榊はとんでもないと思いました。

なぜそんな思いを抱くのかは
いわゆる動機ですが
後半で明らかになります。


両親からの
虐待です。
悲惨なのは
とくに母親の性的虐待。
気持ち悪かった・・・
実際
そんな性的虐待ってあるのかな・・・
母親と息子の関係において・・・あるかな・・・。
動機付けとしては
もう少し同情の余地のあるような
ものを感じたかったです。
可哀そうな過去だと思うけど
そんなことあるかな…と思える事例だったので
引いてしまいました。




刑事の蒼井。
娘と、息子がいるが妻はすでに亡くなっています。
死に目にも会わずに仕事一筋だった彼に
子供たちの視線は冷たい。
だが、そんな彼に胃がんが再発。
あらためて、死への恐怖も感じ
自分はどう残された日々を送るか考え初め
結果、犯人逮捕に執念を燃やす。



若い刑事の矢部は
刑事という仕事に使命など感じていなかったが・・・
先輩刑事、蒼井と組むことで
彼自身が仕事や家族(親)に対して
成長した考えをもつようになる。




このお話で
面白かったのは
犯人の動機よりも
死とはどういうものか・・・
死んだらどうなるか・・・という哲学的なことを
刑事の蒼井によって
語らせているところかな…と思います。
誰でもが
感じるその感情の揺れを描いていたように思います。
そして
犯罪者もまた
死ぬ瞬間、
迷いや恐れの気持ちを感じて
あらためて
自分の罪に向き合うことができるのかなって思いました


連載時のタイトルは
「死にゆく者の祈り」だそう。
改題されたんですね。


shimei   yakumaruIPL
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「死命」薬丸岳

榊信一は大学時代に同郷の恋人を絞め殺しかけ、自分の中に眠る、すべての女に向けられた殺人願望に気づく。ある日、自分が病に冒され余命僅かと知り、欲望に忠実に生きることを決意する。それは連続殺人の始まりだった。榊の元恋人だけが榊の過去の秘密を知るなか、事件を追う刑事、蒼井凌にも病が襲いかかり、死へのカウントダウンが鳴り響く。そして事件は予想もしない方向へ―衝撃の展開、感涙の結末。 欲望に忠実に従...

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