新月譚 著 貫井徳郎
新月譚 著 貫井徳郎
文壇において
高い評価をもらっている咲良怜花だったが、
8年前に突然絶筆。
若い編集者は
現在57歳になった咲良怜花のもとへ
再び書いてもらいたいがために
訪問をはかる。
そこで彼女は絶筆の理由を語りたいという・・
外見も実力も兼ね備えた怜花がなぜ、絶筆したのか-。
感想
直木賞候補にもなった本作。
貫井さんの作品をかなり読んでいるので
今回のこの話は意外だな・・・という印象でした。
まったく予備知識なしに読んだので
てっきり、ミステリーものかと思っていたのですが、バリバリの恋愛ものでした。
一人の女性の生き様ってところでしょうかね。
分厚い作品ですが
一気に読めると思います。
あまり小難しい内容ではないので。
作家
咲良怜花。
本名は後藤和子という名だ。
彼女は21歳のときに出会ったひと周り年上の男性、木之内徹との恋によって
人生を変えられた。
まず、この木之内徹という男について。
どうでしょう。
これだけ不誠実で、浮気な
男なのに、そのたびに、許してしまう。
それだけ、他の魅力があるということですよね。
私もこういう男に出会いたかったものですね。
観てみたいんですよ。どれほど凄いのかって。
好奇心。
でも、出会ってもなびかないと思いますね。
まず、これほどひどい浮気されたら、きっぱり離れるな~~・・・自分は。
好きになったらそんなことできないと言われればそれまでだけど
意外と冷静になれる方なので・・・・・笑
和子のように21という年齢だったら
年上の男性に気持ちが向くというのもわからないわけではないけどね。
和子ってそもそもコンプレックスのかたまりみたいだったから
最初にそれを取っ払って、認めてくれた
男として
なんとなく、木之内にしがみつくようになったんじゃあないのかな。
それにしても、
付き合い年月長いので
どこかで、軌道修正してもらいたかったものですが。
友達に木之内をとられた時点で
すっぱり忘れることだったと思いますよ。
そのあと作家になって
いろいろな出会いがあったじゃない?
同僚の作家さんとか
編集者の人とかね。
その人たちと新しい恋に進むべきだったんだと思いますね。
彼女の作品は
途中、作風が変わります。
今まで平凡でしかなかった作品が
ぐ~~~と良くなって
情念の塊みたいな作品を次々に生み出していきます。
それに関して・・。
てっきり、ミステリーものだと思っていたので
この作風の変化はどこかに謎があるのかと思っていましたが(例えば本当に別人だったとか)
そんなことはなく・・・。
男がらみでした。
そこまで一人の男によって作風が変わってしまうのか
正直疑いたくもなるんですけど、
そこまでの威力が恋にはあると思うしかないですよね。
ラスト・・・
木之内は再婚し
とうとう子供までできます。
そしてその子供は難病でお金がいることに・・・
木之内は怜花に借金を頼むのですが
そのときに、初めて、妻も愛人怜花の存在を知っていたと知らされることになる・・
つまり妻公認の愛人だったんですね。
怜花ショックでしょうね。
奥さんはどういう心境で2人をみていたんでしょうね。
結局、妻の座が強いと感じていたんでしょう。
男の貫井さんが
ここまで女性の恋愛心情を描いたというのは
さすがだな・・・と思いました。
が
最後についついオチを探してしまったのが
私の良くないところでした。
あの編集者に過去を語る理由についても
もう少し説得力があった方が良かったかも。
ただ似ているだけっていうのではなく。
私はてっきり
木之内の親族か何かかと思ったのですが違っていました。
小説を書きあげる過程や
賞を獲得するまでの心境
編集者との関係など、
実体験を思わせる部分も多少あるのかな・・・と思いながら
読んでいました。
一人の男にしがみついてしまう人生もまた
ありかもしれないな・・・・
これは当人にしかわからない思いでもあるだろうから
とやかく言えないしね。
幸せだったのかもしれないしさ・・・。
人が人を思うことに理由などないんだというのを
ひしひし感じる本でした。

文壇において
高い評価をもらっている咲良怜花だったが、
8年前に突然絶筆。
若い編集者は
現在57歳になった咲良怜花のもとへ
再び書いてもらいたいがために
訪問をはかる。
そこで彼女は絶筆の理由を語りたいという・・
外見も実力も兼ね備えた怜花がなぜ、絶筆したのか-。
感想
直木賞候補にもなった本作。
貫井さんの作品をかなり読んでいるので
今回のこの話は意外だな・・・という印象でした。
まったく予備知識なしに読んだので
てっきり、ミステリーものかと思っていたのですが、バリバリの恋愛ものでした。
一人の女性の生き様ってところでしょうかね。
分厚い作品ですが
一気に読めると思います。
あまり小難しい内容ではないので。
作家
咲良怜花。
本名は後藤和子という名だ。
彼女は21歳のときに出会ったひと周り年上の男性、木之内徹との恋によって
人生を変えられた。
まず、この木之内徹という男について。
どうでしょう。
これだけ不誠実で、浮気な
男なのに、そのたびに、許してしまう。
それだけ、他の魅力があるということですよね。
私もこういう男に出会いたかったものですね。
観てみたいんですよ。どれほど凄いのかって。
好奇心。
でも、出会ってもなびかないと思いますね。
まず、これほどひどい浮気されたら、きっぱり離れるな~~・・・自分は。
好きになったらそんなことできないと言われればそれまでだけど
意外と冷静になれる方なので・・・・・笑
和子のように21という年齢だったら
年上の男性に気持ちが向くというのもわからないわけではないけどね。
和子ってそもそもコンプレックスのかたまりみたいだったから
最初にそれを取っ払って、認めてくれた
男として
なんとなく、木之内にしがみつくようになったんじゃあないのかな。
それにしても、
付き合い年月長いので
どこかで、軌道修正してもらいたかったものですが。
友達に木之内をとられた時点で
すっぱり忘れることだったと思いますよ。
そのあと作家になって
いろいろな出会いがあったじゃない?
同僚の作家さんとか
編集者の人とかね。
その人たちと新しい恋に進むべきだったんだと思いますね。
彼女の作品は
途中、作風が変わります。
今まで平凡でしかなかった作品が
ぐ~~~と良くなって
情念の塊みたいな作品を次々に生み出していきます。
それに関して・・。
てっきり、ミステリーものだと思っていたので
この作風の変化はどこかに謎があるのかと思っていましたが(例えば本当に別人だったとか)
そんなことはなく・・・。
男がらみでした。
そこまで一人の男によって作風が変わってしまうのか
正直疑いたくもなるんですけど、
そこまでの威力が恋にはあると思うしかないですよね。
ラスト・・・
木之内は再婚し
とうとう子供までできます。
そしてその子供は難病でお金がいることに・・・
木之内は怜花に借金を頼むのですが
そのときに、初めて、妻も愛人怜花の存在を知っていたと知らされることになる・・
つまり妻公認の愛人だったんですね。
怜花ショックでしょうね。
奥さんはどういう心境で2人をみていたんでしょうね。
結局、妻の座が強いと感じていたんでしょう。
男の貫井さんが
ここまで女性の恋愛心情を描いたというのは
さすがだな・・・と思いました。
が
最後についついオチを探してしまったのが
私の良くないところでした。
あの編集者に過去を語る理由についても
もう少し説得力があった方が良かったかも。
ただ似ているだけっていうのではなく。
私はてっきり
木之内の親族か何かかと思ったのですが違っていました。
小説を書きあげる過程や
賞を獲得するまでの心境
編集者との関係など、
実体験を思わせる部分も多少あるのかな・・・と思いながら
読んでいました。
一人の男にしがみついてしまう人生もまた
ありかもしれないな・・・・
これは当人にしかわからない思いでもあるだろうから
とやかく言えないしね。
幸せだったのかもしれないしさ・・・。
人が人を思うことに理由などないんだというのを
ひしひし感じる本でした。

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