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わたしはロランス

わたしはロランス(2012  カナダ・フランス)
LAURENCE ANYWAYS


監督:
グザヴィエ・ドラン
製作:
リズ・ラフォンティーヌ
脚本:
グザヴィエ・ドラン
撮影:
イヴ・ベランジェ
美術:
アン・プリチャード
衣装:
グザヴィエ・ドラン
編集:
グザヴィエ・ドラン
音楽:
ノイア
出演:
メルヴィル・プポー
(ロランス・アリア)
スザンヌ・クレマン
(フレッド・ベレール)
ナタリー・バイ
(ジュリエンヌ・アリア)
モニア・ショクリ
(スージー・アームグレン)
イヴ・ジャック
(ソフィー・フォシェ)
カトリーヌ・ベジャン

 モントリオール在住の国語教師ロランス。
彼は30歳の誕生日に恋人フレッドに
ある秘密を打ち明ける。
自分の本来の姿は女である・・・と・

戸惑う
フレッドだったが、ロランスの気持ちを受け止め彼に協力するのだが・・・


感想

グザヴィエ・ドラン監督の3作品目。
前2作も感想UPしたけど
やっぱりこれが一番好き。
最初に鑑賞したので、インパクトが大きかったのと
感情移入しやすかったから・・・。
168分の長い映画だけれど
中だるみもせず鑑賞できたのも良かったわ。


性同一性障害のロランスと彼を愛するフレッドの
10年に及ぶ、恋愛劇。
どちらかというと、ロランスより
このフレッド側の心の揺れが
痛くて痛くて、どっぷりつかってしまいました。


構成としては
作家として成功したロランスが過去の話をインタビュー相手に語っていく・・・形です。
ロランスの現在はかなり成功しているご様子。

そもそも
出会いは
男性であるロランスと
女性であるフレッドとして・・・。
フレッドは当然、異性として、ロランスを知り
恋をしたんだと思うんですよね。


それがある日・・・
ロランスが
自分のありのままの姿で生きたいと言って・・・・
女装し始めてしまうの。

私は難しことはわからないんだけれど
ロランスは、女性という姿になりたいと思うものの・・
恋愛対象は男性でなく、女性であり、
関係も女性とできるみたいですよね。

男性女性という性別で恋愛するんじゃなく
フレッド個人を愛していると表現するのが良いのか・・・

でもフレッドとしては、
女性の姿をしたロランスを認めて愛していくというのは
なかなか困難なようで・・・
最初は
彼のために、彼が女性として生きやすいように、協力はするものの、
やっぱり、ストレスがたまってくるみたいで・・・。

中盤
喫茶店でフレッドが怒りを爆発させるシーンがあるんですよ。
女装しているロランスを、店員が
興味本位で、無駄に話しかけるから
一気にカ~~~とフレッドきちゃうのよ。

「彼氏のかつらを買ったことある?」・・・そりゃあ・・ないわ・・・笑
彼のシャツとか、パンツとかを彼女としてみたてたとしても
彼氏のために、女ものをみたてるのは
そりゃあ・・・複雑な心境だし、ストレスもたまるでしょう・・・よ。

私は、ロランスずるいとさえ、思っちゃう時があったわ。

「きみがのぞむものはなんでもあげる・・
何をのぞんでいる・・」って、ロランスが、フレッドを問い詰めていたけど、
そう簡単には説明できないよね・・・
ロランス・・・
結構、(押せ押せ・・・で
自分の感情をぶつけていて、
フレッドの方も、負けじと、途中からはどんどん感情ぶつけあってきて・・・
それが、
みていて、
限りなくせつない・・・・よ。
愛していても
どうにもうまくいかない現実を、嫌というほど見せつけられている感じだからね

フレッドが
見た目は気にしない
世間も気にしないと思うように努力してもしても・・・・
彼女の中に備わった、男性像…女性像・・という価値観が
完全には消えなかったんじゃあないのかな。
ロランスの言うように、生きようと思っても
フレッドはできない・・・

普通の恋愛における別れと同じように
価値観の相違っていうことかもしれないよね・・・

だからこの映画は
性同一性障害を扱っているけれど
基本的には
シンプルな恋愛劇でもあるんじゃあないのかな・・・って思うわ。

「わたしが女にならなくても、2人は終わっていた」と
別れた後再びバーで再会したロランスがフレッドに言うセリフが
あるんだけれど、
そういう言葉・・・非常にせつないよね・・・
って、この状況下で、ロランス、言わないでくれ~~~って思っちゃたよ。

女、男・・なんてこだわりは
2人の愛が本物ならば乗り越えられた・・・とロランスは思っているんだろうね。
でも、ロランスにとっては、自分が女性でいることは、そんな特別なことでないと考えていても
(自分が女装して、皆の前に出ていける
だけの勇気があるんだから強い人だと思うよ)
フレッドにとっては彼の姿が女というのは
2人の愛の根底を揺るがすくらい、重要な部分で、あったんだろうと思うよ。

将来のこととか、
子どものこととか・・・
女性としては世間体(こういういい方、いやかもしれないけど)を
考えちゃうのも分かる気がするし・・・。


ラストカットが
2人が出会った場面の魅力的な
プポーのウィンクシーンで終わるんだけれど、
すべてを知ってからの
こういった、始まりのシーンをみせつけられると
観ているものとしては
せつなさ…マックスだよ。
その後に待ち受ける
彼らの恋愛アップダウンを知っているからね~~



人を愛するというのは
性別でわけへだてるということでなく・・・・
その人そのものを愛する

言葉にすれば
簡単だけれど
待ち受ける現実は厳しいし・・
乗り越えるのは大変よね。

音楽も
映像も
とっても素敵なので
是非
この目で確認してみてくださいね
watashiharorannsudesusus.jpg
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「わたしはロランス」感想

20代前半で、監督・脚本・美術・衣装・編集・音楽をひとりでこなし、かつ、この美貌・・・ドラン恐ろしい子!

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切ないねぇ

みみこさん、こんばんは。

わ~、感想読めて嬉しいわ。
みみこさん、とっても丁寧に書いてくれてたから、読みながらうんうん・・って頷いちゃったわ。

そうだよねぇ、普通の男性として好きになった相手から、付き合ってしばらくしてのあのカミングアウト、ビックリだし、複雑だよねぇ。

>結構、(押せ押せ・・・で
自分の感情をぶつけていて、
フレッドの方も、負けじと、途中からはどんどん感情ぶつけあってきて・・・
そうなの、二人ともとっても正直でしょう。ぶつけあう感情に、観ていて辛くて切なくて。

>フレッドにとっては彼の姿が女というのは
2人の愛の根底を揺るがすくらい、重要な部分で、あったんだろうと思うよ。
あぁ・・・みみこさんの言葉が沁みるわ~~。
その人、そのものを愛するっていってもね、日常の生活の中でそれをずーーーーと受け止めていくってこと、すごく大変だと思うわ。

この監督さんの作品、みみこさんは3作ともご覧になっているのね。
私もこれから観てみたい~と思います。

それにしてもプボーのウィンク、あまりに素敵だっただけに切ないねぇ。

観ました^^

こんにちは~。
グザヴィエ・ドラン監督のことを偶然知って、
若くてイケメンだし(笑)パーティーのシーンでチラっと出てましたよね。
すごく気になっていて、私もやっと観れました^^
よかったですね~音楽とか映像とかセンスがいいなって思いました。

ロランスの告白はフレッドにとってはかなりショックですよね。
彼のことは愛してる、でも彼は女性になっちゃう。
もう頭の中ぐちゃぐちゃになっちゃいますよね@@
フレッドが感情をおさえてロランスをサポートして頑張ってる姿が切なかったです。
ロランスはマイペースなんですよね(笑)
ロランスはフレッド個人を愛していたけど、フレッドは男性のロランスを求めていたんでしょうね。
ラストシーンの彼を見てフレッドの気持ちがわかりました。だってものすごく素敵なんだもの!
私も他の作品も観たいです♪

最近新しく始まったいくつかのドラマにハマってます^^
「ペテロの葬列」「家族狩り」「おわこんTV」
「家族狩り」見てますか?けっこう恐いのですよー(^_^;)

いいね~~この作品

瞳さんへ


遅くなってごめんなさい。

<そうだよねぇ、普通の男性として好きになった相手から、付き合ってしばらくしてのあのカミングアウト、ビックリだし、複雑だよねぇ。>

うんうん・・・そう。
突然だしね~~~
え~~~そんな趣味が・・って
まずは驚くわ。

<そうなの、二人ともとっても正直でしょう。ぶつけあう感情に、観ていて辛くて切なくて。。

あの言い争いは説得力あったよね。
それぞれの言い分
わかるし・・・
私は女性側の気持ちに入り込んじゃったけど。

<その人、そのものを愛するっていってもね、日常の生活の中でそれをずーーーーと受け止めていくってこと、すごく大変だと思うわ。。

そうなのよね~~実際
途中から性別関係なしに
付き合ってよ・・・っていうことは
難しいと思うのよね。
まして
家庭生活こなしていくのって
ハードル高いよね

是非
他の作品もみて~~
とくに
胸騒ぎ・・・が瞳さん向け・・・♪

<それにしてもプボーのウィンク、あまりに素敵だっただけに切ないね>

いや==
あのチャーミングな姿みたら
憎めないな・・て思っちゃうな




2014-07-17(18:56) : 瞳

わ~~観たのね

ポルカさんへ


こんにちは
わ~~ポルカさんもご覧になったのね
そうそも
パーティーのシーンででてくるんですよね
過去の作品にも出ているので是非~~
イケメンですよね。

音楽も
映像も独特ですよね
まるで
小説をよんでいるみたい・・・

あんな滝のように上から落ちてくるシーンなんて
文章で表現されることは
あっても
なかなか映像でそのまま・・・っていうのは
なかったようで・・・
びっくりでした。


<ロランスの告白はフレッドにとってはかなりショックですよね。
彼のことは愛してる、でも彼は女性になっちゃう。
もう頭の中ぐちゃぐちゃになっちゃいますよね@@ >

そうそう
思わず
私だったら
絶対だめだ~~って思っちゃった。
そこだけ大目に見て・・・といっても
なかなか。


<フレッドが感情をおさえてロランスをサポートして頑張ってる姿が切なかったです。
ロランスはマイペースなんですよね(笑)>

うんうん
あれ
なかなかできないよね・・・

<ロランスはフレッド個人を愛していたけど、フレッドは男性のロランスを求めていたんでしょうね。
ラストシーンの彼を見てフレッドの気持ちがわかりました。だってものすごく素敵なんだもの! >


そうね~~
やっぱり
男性のロランスに求めるものって
いろいろあったと思うわ
難しいけど
自分も同じ立場だったら・・・って考えると
フレッドの気持ちはよくわかるわ


<私も他の作品も観たいです♪>

是非~~♪


<最近新しく始まったいくつかのドラマにハマってます^^
「ペテロの葬列」「家族狩り」「おわこんTV」
「家族狩り」見てますか?けっこう恐いのですよー(^_^;)>


わ~~いっぱい観ていますね
家族狩り…私も観たかったけど
最初を見逃しちゃって・・・
今からでも間に合うかな

とりあえず
木曜日の
不倫ドラマは2本みているかな・・・・笑
北村一輝がエロすぎて笑ったけど・・・・笑

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