モーリス
モーリス(1987)
MAURICE
上映時間 140分
製作国 イギリス
監督: ジェームズ・アイヴォリー
製作: イスマイル・マーチャント
原作: E・M・フォスター
脚本: キット・ヘスケス=ハーヴェイ
ジェームズ・アイヴォリー
撮影: ピエール・ロム
音楽: リチャード・ロビンズ
出演: ジェームズ・ウィルビー モーリス
ヒュー・グラント クライヴ
ルパート・グレイヴス アレック
デンホルム・エリオット バリー医師
サイモン・キャロウ
ビリー・ホワイトロー
バリー・フォスター
マーク・タンディ
ヘレナ・ミシェル
ジュディ・パーフィット
フィービー・ニコルズ
ベン・キングズレー 精神科医ジョーンズ
ケンブリッジ大学へ進学した青年モーリスは、上流階級のクライブという男とホモ・セクシャルの関係になる。やがてクライブは卒業を迎え、弁護士になるため、モーリスとの関係を清算するが……。同性愛の世界を耽美的な映像で描き、美少年大好きな女の子たちに拍手をもって迎えられた青春ロマン。
<allcinemaより引用>
感想
1988年公開ですよ!!
それがリバイバル上映って、それだけでも本当にうれしいこと。
さらに<<4Kデジタル修正版>>
是非見てほしい・・・・と力説。
公開時は劇場鑑賞していません。ミニシアターだったから、さすがに、行けなかったですし
その時はたぶん、映画をみる状況ではなかったと推測されます・・・・(笑)
観たのはTVのみです。
当時はセンセーショナルだった同性愛映画。なんといっても、美形揃いで注目度はすごかったですよね。
モーリス初見の人にとっては、
モーリスが、ヒュー様?っていうイメージかもしれないけれど(なにせ、一番、メジャーになっているので)
主人公モーリスはジェームス・ウィルビー、金髪の青年です。
ウィルビー、最近どうしているのでしょうか。(ちなみにこの頃、ハマったのは、サンズですので…私は・・笑)
サンズは、モーリスのオファーを断ったので、ウィルビーになったのですよね。
「眺めのいい部屋」では、サンズとルパート・グレイヴスは共演しているので、こういう組み合わせもあったのかと
想像してみるのもよいでしょう。
映画は
格調高い映像と、心に染み入る音楽で(一度見ているけれどやっぱり良いからね・・え、入り込むよ)
冒頭から、もうすっぽり、この世界に入り込んでしまいました。同性愛映画というくくりですが
異性との恋愛映画でも描かれる、恋の喜び、抑えきれない欲情、届かぬ思い、すれ違う心などなど
普遍的なものが描かれているので、共感を得やすいです。
モーリスって始まりは
海辺のシーンで、先生と幼いモーリスとの会話からなのですよ。
先生、モーリスに性の教育をするんですね。保健授業のように。
女系家族なモーリスに、男の体を図式で説明もする・・・驚
結婚して、子供をつくって・・・という、ことですね。
そんな話をきき
「僕は結婚しない」とかいっていたのかな・・・・モーリス。
確か先生、10年後に君にあってみたいとか・・なんとか言っていたはず(うる覚え)
このシーン、あとあとの物語でも重要になってきて
忘れられないオープニングとなっているのです。
さて・・・モーリスの10年後はどうなっているのか~~~~~。
映画が終わり
ふとこの冒頭シーンを思い出すと
大きなため息をついてしまいます。
あ~~~、こんなあどけない少年時代だったのに。
成長するのって、生きていくのって、つらいことの連続でもあるんだな・・・・って。
この先、いろんなことで傷ついて、悩んでいくのかなと思うと、この冒頭シーンとてももの悲しく感じますよね。
「モーリス」はE・M・フォースターによって1914年に書かれていますが
同性愛ものということで(当時は、タブー)作者の死後1971年に出版されました。
同性愛者の著者でしたので、その思いが、作品に投影されていると言われています。
モーリスとクライヴとの出会いは
1909年、ケンブリッジ大学で始まります。
同性愛って当時は、罪として扱われ
公になれば、すべてを失うことになりかねませんでした。
だからクライヴの行動変化も、なるほど~~~と理解できます。
上流階級に育つクライヴにとって、破滅という道はどうしても選択としてはありえなかったのでしょうね。
保身に走ったといえば、そうですけど、
彼も彼なりに苦しんでいたことは事実。倒れるくらいびくびくしていたし・・・・。
モーリスにアプローチ最初にかけたのは、クライヴなのに、
肝心のところではまったをかける(プラトニック関係を望む)。
モーリスの方は、戸惑いながらも、そのあとは、クライヴ一筋に突っ走っていきましたから、
最後までいってほしかった的な欲求はあったと思うし、そこらへんで、苦しい部分はかなりあったんじゃあないのかな・・・とも
思います。相手の為にきっと押し殺していたんだろうな・・・・。
寄り添うことさえできればよい(それが友情となっても)と思っていたのかな・・・せつないね。
別れを切り出し
将来を考え結婚してしまう、クライヴだけれど、そのあとも、モーリスとは、別関係、友情を築いたのは
どこか、離れがたいものがあったに違いないだろうねえ。
結婚式みてしまうモーリスとしてはそりゃあ、酷なことよ。
結婚相手のアンは、女性から見ても、つまらなそうな女だし、
それでいいのかクライヴと本当に思ってしまうのよね。でも、そういう生活(女性と結婚して家庭を守り
家を繁栄させていく・・・そういう親が敷いたレールに乗っていく・・・こと)のほうが大事だと
思ってしまったのだからしょうがない・・・。
やがて、 モーリスは、クライヴのところの使用人アレック と関係をもってしまうの。
アレックは前からモーリスに気があって・・・。
でもモーリスは当初そういうつもりはなかった感じ。アレックが半ば強引に部屋に押し入り・・・。
若いころ観たとき、
アレック、モーリスの性的趣向が、自分と同じでそういうもどかしい気持ちを抱えているっていうこと、どうしてわかったのかな
と思ったりもしました。執事は感づいていたみたいだからそちらからか。クライヴたちを観た感じ、ただならぬ
雰囲気がやっぱり同じ感性の人はわかったのかな・・・などと、悶々と考えたりしていました。
今は、・・・それは雰囲気でわかるんだよね・・・で、素直に納得できるほど、大人になりました。
ただ、アレックの半ば強引なあの行動。
モーリス、アレックのことあの時点では好きじゃあなかったのにどうして受け入れたのかな?押し切られて仕方なく?
クライヴの時は段階踏んでいたのに?などと、思う部分はあります。
まあ・・いろいろモーリスも我慢していたこともあったので
そういう意味でも、驚きながら受け入れたのだろうし
そういうアプローチもまた一つの愛の形としてありなんだな・・・・・と思うようにしています。
アレックが、一度目の情事の後、モーリスを追ってきたとき、そっけないモーリスに対して
俺をもてあそんで~~~や
タダではおかない~~など、恐喝めいたこといっていたのも、アレックの強がりから出た言葉で
非常にせつなくもなりますよね。
好きなんだけど・・・モーリスのつれない態度にむかついたわけでして・・・きっとね。
アレックはアレックで、身分の低さを気にしているわけですし、それはモーリスもその部分は気にしているわけだけれど。
実際のところ、モーリスは愛の前では階級の差に、こだわらない人間だったのかもしれないですよね。
(ボクシングを教えていたりしていたもの)
ケンブリッジ大学での寮生活
ピアノシーン(リンゴかじりながらのモーリスとクライヴの接近弾き語りはキュン)
ボート遊び、クリケット、狩り・・・会食シーン、
どれも、素敵です
モーリスは新しい恋を見つけました。心の中には、永遠の初恋相手としてクライヴへの思いは残っているかもしれない・・
でも、自分を懸命に愛してくれる年下の彼を選んで、前に進んだわけですよ。
自分のために将来を捨てたのだから、モーリスも同じ選択をした・・・
一方のクライヴは?
ラスト
素晴らしいですよね。このシーン。クライヴの複雑な気持ちが手に取るようにわかるシーン。
<< 妻アンと鏡の中で見つめ合い、窓を閉める。
最後の窓を閉めるとき、窓の外に若かりし日のモーリスが自分を呼ぶ声、姿、が映し出されるのです。
そして、その後ろで、アンが「誰と話しているの?」と。>>
アンは、なにか感じていたのかもしれませんね。敏感と言われているので。
夫がどこを向いているのか。
アレックと関係をもったと打ち明けたモーリスに対して「グロテスクだ」と言い切ったクライヴ。
でも、どこかで、自分の思うままに気持ちを貫いたモーリスをうらやましく思う心が
あったのかも。
かつて気持ちを傾けていたモーリスが、もはや手の届かないところにいってしまったというさみしさ。
そして、今の自分の立ち位置。
きっと複雑だったのかもしれませんね。
同じ青春時代を過ごした2人の青年が
違った道を歩んでいくという結末。
恋愛映画を超えて
生き方をめぐる物語としても、見どころ多かったです。
やっぱり名作だな・・・って思わずにはいられませんでした。
ちなみに無修正は、アレックがモーリスを訪ねてきたロンドンでのホテルの一夜の朝の場面だとおもわれます

MAURICE
上映時間 140分
製作国 イギリス
監督: ジェームズ・アイヴォリー
製作: イスマイル・マーチャント
原作: E・M・フォスター
脚本: キット・ヘスケス=ハーヴェイ
ジェームズ・アイヴォリー
撮影: ピエール・ロム
音楽: リチャード・ロビンズ
出演: ジェームズ・ウィルビー モーリス
ヒュー・グラント クライヴ
ルパート・グレイヴス アレック
デンホルム・エリオット バリー医師
サイモン・キャロウ
ビリー・ホワイトロー
バリー・フォスター
マーク・タンディ
ヘレナ・ミシェル
ジュディ・パーフィット
フィービー・ニコルズ
ベン・キングズレー 精神科医ジョーンズ
ケンブリッジ大学へ進学した青年モーリスは、上流階級のクライブという男とホモ・セクシャルの関係になる。やがてクライブは卒業を迎え、弁護士になるため、モーリスとの関係を清算するが……。同性愛の世界を耽美的な映像で描き、美少年大好きな女の子たちに拍手をもって迎えられた青春ロマン。
<allcinemaより引用>
感想
1988年公開ですよ!!
それがリバイバル上映って、それだけでも本当にうれしいこと。
さらに<<4Kデジタル修正版>>
是非見てほしい・・・・と力説。
公開時は劇場鑑賞していません。ミニシアターだったから、さすがに、行けなかったですし
その時はたぶん、映画をみる状況ではなかったと推測されます・・・・(笑)
観たのはTVのみです。
当時はセンセーショナルだった同性愛映画。なんといっても、美形揃いで注目度はすごかったですよね。
モーリス初見の人にとっては、
モーリスが、ヒュー様?っていうイメージかもしれないけれど(なにせ、一番、メジャーになっているので)
主人公モーリスはジェームス・ウィルビー、金髪の青年です。
ウィルビー、最近どうしているのでしょうか。(ちなみにこの頃、ハマったのは、サンズですので…私は・・笑)
サンズは、モーリスのオファーを断ったので、ウィルビーになったのですよね。
「眺めのいい部屋」では、サンズとルパート・グレイヴスは共演しているので、こういう組み合わせもあったのかと
想像してみるのもよいでしょう。
映画は
格調高い映像と、心に染み入る音楽で(一度見ているけれどやっぱり良いからね・・え、入り込むよ)
冒頭から、もうすっぽり、この世界に入り込んでしまいました。同性愛映画というくくりですが
異性との恋愛映画でも描かれる、恋の喜び、抑えきれない欲情、届かぬ思い、すれ違う心などなど
普遍的なものが描かれているので、共感を得やすいです。
モーリスって始まりは
海辺のシーンで、先生と幼いモーリスとの会話からなのですよ。
先生、モーリスに性の教育をするんですね。保健授業のように。
女系家族なモーリスに、男の体を図式で説明もする・・・驚
結婚して、子供をつくって・・・という、ことですね。
そんな話をきき
「僕は結婚しない」とかいっていたのかな・・・・モーリス。
確か先生、10年後に君にあってみたいとか・・なんとか言っていたはず(うる覚え)
このシーン、あとあとの物語でも重要になってきて
忘れられないオープニングとなっているのです。
さて・・・モーリスの10年後はどうなっているのか~~~~~。
映画が終わり
ふとこの冒頭シーンを思い出すと
大きなため息をついてしまいます。
あ~~~、こんなあどけない少年時代だったのに。
成長するのって、生きていくのって、つらいことの連続でもあるんだな・・・・って。
この先、いろんなことで傷ついて、悩んでいくのかなと思うと、この冒頭シーンとてももの悲しく感じますよね。
「モーリス」はE・M・フォースターによって1914年に書かれていますが
同性愛ものということで(当時は、タブー)作者の死後1971年に出版されました。
同性愛者の著者でしたので、その思いが、作品に投影されていると言われています。
モーリスとクライヴとの出会いは
1909年、ケンブリッジ大学で始まります。
同性愛って当時は、罪として扱われ
公になれば、すべてを失うことになりかねませんでした。
だからクライヴの行動変化も、なるほど~~~と理解できます。
上流階級に育つクライヴにとって、破滅という道はどうしても選択としてはありえなかったのでしょうね。
保身に走ったといえば、そうですけど、
彼も彼なりに苦しんでいたことは事実。倒れるくらいびくびくしていたし・・・・。
モーリスにアプローチ最初にかけたのは、クライヴなのに、
肝心のところではまったをかける(プラトニック関係を望む)。
モーリスの方は、戸惑いながらも、そのあとは、クライヴ一筋に突っ走っていきましたから、
最後までいってほしかった的な欲求はあったと思うし、そこらへんで、苦しい部分はかなりあったんじゃあないのかな・・・とも
思います。相手の為にきっと押し殺していたんだろうな・・・・。
寄り添うことさえできればよい(それが友情となっても)と思っていたのかな・・・せつないね。
別れを切り出し
将来を考え結婚してしまう、クライヴだけれど、そのあとも、モーリスとは、別関係、友情を築いたのは
どこか、離れがたいものがあったに違いないだろうねえ。
結婚式みてしまうモーリスとしてはそりゃあ、酷なことよ。
結婚相手のアンは、女性から見ても、つまらなそうな女だし、
それでいいのかクライヴと本当に思ってしまうのよね。でも、そういう生活(女性と結婚して家庭を守り
家を繁栄させていく・・・そういう親が敷いたレールに乗っていく・・・こと)のほうが大事だと
思ってしまったのだからしょうがない・・・。
やがて、 モーリスは、クライヴのところの使用人アレック と関係をもってしまうの。
アレックは前からモーリスに気があって・・・。
でもモーリスは当初そういうつもりはなかった感じ。アレックが半ば強引に部屋に押し入り・・・。
若いころ観たとき、
アレック、モーリスの性的趣向が、自分と同じでそういうもどかしい気持ちを抱えているっていうこと、どうしてわかったのかな
と思ったりもしました。執事は感づいていたみたいだからそちらからか。クライヴたちを観た感じ、ただならぬ
雰囲気がやっぱり同じ感性の人はわかったのかな・・・などと、悶々と考えたりしていました。
今は、・・・それは雰囲気でわかるんだよね・・・で、素直に納得できるほど、大人になりました。
ただ、アレックの半ば強引なあの行動。
モーリス、アレックのことあの時点では好きじゃあなかったのにどうして受け入れたのかな?押し切られて仕方なく?
クライヴの時は段階踏んでいたのに?などと、思う部分はあります。
まあ・・いろいろモーリスも我慢していたこともあったので
そういう意味でも、驚きながら受け入れたのだろうし
そういうアプローチもまた一つの愛の形としてありなんだな・・・・・と思うようにしています。
アレックが、一度目の情事の後、モーリスを追ってきたとき、そっけないモーリスに対して
俺をもてあそんで~~~や
タダではおかない~~など、恐喝めいたこといっていたのも、アレックの強がりから出た言葉で
非常にせつなくもなりますよね。
好きなんだけど・・・モーリスのつれない態度にむかついたわけでして・・・きっとね。
アレックはアレックで、身分の低さを気にしているわけですし、それはモーリスもその部分は気にしているわけだけれど。
実際のところ、モーリスは愛の前では階級の差に、こだわらない人間だったのかもしれないですよね。
(ボクシングを教えていたりしていたもの)
ケンブリッジ大学での寮生活
ピアノシーン(リンゴかじりながらのモーリスとクライヴの接近弾き語りはキュン)
ボート遊び、クリケット、狩り・・・会食シーン、
どれも、素敵です
モーリスは新しい恋を見つけました。心の中には、永遠の初恋相手としてクライヴへの思いは残っているかもしれない・・
でも、自分を懸命に愛してくれる年下の彼を選んで、前に進んだわけですよ。
自分のために将来を捨てたのだから、モーリスも同じ選択をした・・・
一方のクライヴは?
ラスト
素晴らしいですよね。このシーン。クライヴの複雑な気持ちが手に取るようにわかるシーン。
<< 妻アンと鏡の中で見つめ合い、窓を閉める。
最後の窓を閉めるとき、窓の外に若かりし日のモーリスが自分を呼ぶ声、姿、が映し出されるのです。
そして、その後ろで、アンが「誰と話しているの?」と。>>
アンは、なにか感じていたのかもしれませんね。敏感と言われているので。
夫がどこを向いているのか。
アレックと関係をもったと打ち明けたモーリスに対して「グロテスクだ」と言い切ったクライヴ。
でも、どこかで、自分の思うままに気持ちを貫いたモーリスをうらやましく思う心が
あったのかも。
かつて気持ちを傾けていたモーリスが、もはや手の届かないところにいってしまったというさみしさ。
そして、今の自分の立ち位置。
きっと複雑だったのかもしれませんね。
同じ青春時代を過ごした2人の青年が
違った道を歩んでいくという結末。
恋愛映画を超えて
生き方をめぐる物語としても、見どころ多かったです。
やっぱり名作だな・・・って思わずにはいられませんでした。
ちなみに無修正は、アレックがモーリスを訪ねてきたロンドンでのホテルの一夜の朝の場面だとおもわれます

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