シェルタリング・スカイ
砂漠の映画では、
これが一番好き。
ということで、紹介。
感想は前のものですので・・。
シェルタリング・スカイ (1990 アメリカ/イギリス)
監督 ベルナルド・ベルトルッチ
出 ジョン・マルコヴイッチ(ポート)
デブラ・ウィンガー(キット)
キャンベル・スコット(タナー)
第二次世界大戦直後、倦怠期に陥っている作曲家の夫ポートと作家の妻キットは、夫妻は関係を修復すべくニューヨークから
船で北アフリカを訪れ、そこから新たな旅を始める。旅の中で何を見つけ、何を失って行くのか。
感想 ポール・ボウルズのベストセラー小説を原作に、ベルトルッチ監督がラストエンペラーに続いて、描いた超大作。
舞台は北アフリカ。目の前に広がるのは延々と砂漠地帯。壮大な光景、エキゾチックな音楽、風土。月夜に照らし出される
ラクダの一行。沈みゆく太陽に光り輝く大地・・・。気持ちは観光者。主人公の二人は、到着後にこうつぶやきます。
私たちは観光客ではなく、旅行者だ・・・観光客はすぐ旅立つが旅行者は滞在するからです。
そんな背景の美しさに対して、描かれるテーマはかなり深いです。夫婦のあり方、失われてしまった愛・・・。
公開当初から観てみたかったのですが、ちょっと難解だと敬遠していて、今頃の鑑賞となりました。
この夫婦の有り方が、とっても興味深いのです。
昔のような愛が無くなってしまっている二人。人生にも行き詰まっているようにみえます。何となく二人で行動しているけれどしっくりはいかない夫婦。
この北アフリカの旅にはもう一人同行者がいます。タナーという
青年。妻はそのタナーと密かに愛し合っていますし、夫もそのことは気付いています。だから夫も平気で旅先で女を買うのです。
お互いの心はすれ違っているのに、離れることはできない関係。孤独になるのが怖いのか、愛を確認し合えるという希望を
失いたくないから傍にいるのか。それでも、精神的な拠り所をお互いに求めているように思えます。
人は誰でも失って初めてそのものの価値を見出すことが出来るんで
すよね。
肉体的な関係が伴わなかったとしてもかつて愛した二人なら、どこかに
分かり合える部分が残っているはずですよね。
初め3人だった旅もやがて2人、1人と状況を変えていきます。
タナーが別の街に去ってから、二人は自転車でツーリングをし、遥かかなた見渡せるがけっぷちにやってきます。
そこで自分たちの関係に初めて立ち入るって言うか、お互いの気持ちを
確認しあうのです。抱き合って・・・・・でもうまくいかない。キットにとってポートは孤独を恐れない、誰も必要としない人物に
しかみえないのです。自分が傍にいなくてもいいと思っています。でもポートは、彼女を愛している、必要だとつぶやく。
お互いの愛しかたがかみ合っていないような気がします。すれ違ってしまった心は、きっかけがないと1つにはならないのでしょうか。
そのきっかけが残酷なものだとしても、人は受け入れなくてはいけないのですよね。
シェルタリング・スカイ・・・。とてもいい題名だと思いませんか。美しく広がる空が私たちを守り、包み込んでくれている。
何から守ってくれているというのかしら・・・。1人になってからのキットの戸惑い・・・。自分の心の拠り所を探しに、砂漠の果ての果てまで放浪してしまう悲しさ。なんだかとってもせつないお話です。
作者のポール・ボウルズが冒頭場面に登場します。ナレーターでもあり、主人公たちを見守る立場の人物でもあります。
冷静な目で彼らを見ているのです。そしてラストも彼の言葉が聞えます。たぶんね、そうなんだよね・・・、と
うなずきながらこの言葉を聞くと思いますよ。この映画のラストにふさわしかったです。
坂本龍一の音楽が素晴らしくいいんですよね。この曲聴いただけで涙でそうになります。音楽が話しかけているんですよね。
せつないでしょう・・・・て。自分自身もとても癒される映画だと思いますので、未見の方は是非どうぞ。
これが一番好き。
ということで、紹介。
感想は前のものですので・・。
シェルタリング・スカイ (1990 アメリカ/イギリス)
監督 ベルナルド・ベルトルッチ
出 ジョン・マルコヴイッチ(ポート)
デブラ・ウィンガー(キット)
キャンベル・スコット(タナー)
第二次世界大戦直後、倦怠期に陥っている作曲家の夫ポートと作家の妻キットは、夫妻は関係を修復すべくニューヨークから
船で北アフリカを訪れ、そこから新たな旅を始める。旅の中で何を見つけ、何を失って行くのか。
感想 ポール・ボウルズのベストセラー小説を原作に、ベルトルッチ監督がラストエンペラーに続いて、描いた超大作。
舞台は北アフリカ。目の前に広がるのは延々と砂漠地帯。壮大な光景、エキゾチックな音楽、風土。月夜に照らし出される
ラクダの一行。沈みゆく太陽に光り輝く大地・・・。気持ちは観光者。主人公の二人は、到着後にこうつぶやきます。
私たちは観光客ではなく、旅行者だ・・・観光客はすぐ旅立つが旅行者は滞在するからです。
そんな背景の美しさに対して、描かれるテーマはかなり深いです。夫婦のあり方、失われてしまった愛・・・。
公開当初から観てみたかったのですが、ちょっと難解だと敬遠していて、今頃の鑑賞となりました。
この夫婦の有り方が、とっても興味深いのです。
昔のような愛が無くなってしまっている二人。人生にも行き詰まっているようにみえます。何となく二人で行動しているけれどしっくりはいかない夫婦。
この北アフリカの旅にはもう一人同行者がいます。タナーという
青年。妻はそのタナーと密かに愛し合っていますし、夫もそのことは気付いています。だから夫も平気で旅先で女を買うのです。
お互いの心はすれ違っているのに、離れることはできない関係。孤独になるのが怖いのか、愛を確認し合えるという希望を
失いたくないから傍にいるのか。それでも、精神的な拠り所をお互いに求めているように思えます。
人は誰でも失って初めてそのものの価値を見出すことが出来るんで
すよね。
肉体的な関係が伴わなかったとしてもかつて愛した二人なら、どこかに
分かり合える部分が残っているはずですよね。
初め3人だった旅もやがて2人、1人と状況を変えていきます。
タナーが別の街に去ってから、二人は自転車でツーリングをし、遥かかなた見渡せるがけっぷちにやってきます。
そこで自分たちの関係に初めて立ち入るって言うか、お互いの気持ちを
確認しあうのです。抱き合って・・・・・でもうまくいかない。キットにとってポートは孤独を恐れない、誰も必要としない人物に
しかみえないのです。自分が傍にいなくてもいいと思っています。でもポートは、彼女を愛している、必要だとつぶやく。
お互いの愛しかたがかみ合っていないような気がします。すれ違ってしまった心は、きっかけがないと1つにはならないのでしょうか。
そのきっかけが残酷なものだとしても、人は受け入れなくてはいけないのですよね。
シェルタリング・スカイ・・・。とてもいい題名だと思いませんか。美しく広がる空が私たちを守り、包み込んでくれている。
何から守ってくれているというのかしら・・・。1人になってからのキットの戸惑い・・・。自分の心の拠り所を探しに、砂漠の果ての果てまで放浪してしまう悲しさ。なんだかとってもせつないお話です。
作者のポール・ボウルズが冒頭場面に登場します。ナレーターでもあり、主人公たちを見守る立場の人物でもあります。
冷静な目で彼らを見ているのです。そしてラストも彼の言葉が聞えます。たぶんね、そうなんだよね・・・、と
うなずきながらこの言葉を聞くと思いますよ。この映画のラストにふさわしかったです。
坂本龍一の音楽が素晴らしくいいんですよね。この曲聴いただけで涙でそうになります。音楽が話しかけているんですよね。
せつないでしょう・・・・て。自分自身もとても癒される映画だと思いますので、未見の方は是非どうぞ。

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