変身 著 東野圭吾
変身 著 東野圭吾
成瀬純一は強盗に遭遇し、凶弾により脳の一部を損失。
しかし、脳外科の権威・堂元教授らの
おかげて、史上初の脳移植に成功。死のふちから
生還することとなる。
やがて日常生活を送ることができるまでに回復する純一だが
嗜好、美的感覚、ものの考え方など、
以前の自分とは異なっっているということに気づき始める。
そしてなにより、恋人、恵への愛情が変化したことが
彼にとっては耐え難いことだった。彼に何が起こったのか・・。
感想
映画版を先に観て、ちょっと消化不良のところが
あったので原作に挑戦しました。
今まで??的な部分が本を読みことですっきりできたのが
何よりよかったかな・・・笑
まず、純一の家族については冒頭で説明があるので納得。
映画ではよくわからなかったからね・・。
・・設計事務所を経営する父は純一が高3時に死亡。
母1人の収入ということもあって、彼は美大から
専門学校へと志望を変える・・。しかし、在学中母も死亡。
それ故・・1人・・・ということ・・ですね・・・
次に、堂元教授の研究メンバーの1人
橘直子について。彼女の存在、および行動も
映画では唐突に思えたところでしたけど
本では順序だって段階踏んで
描かれているので、これも納得。
一番重要ななぜ純一が直子に惹かれていくのかが
理解できるようになりましたね。
文面での彼女は、魅力的な女性に感じるんですよね。
もちろん、彼女の真意を知る前の段階での印象ですけどね。
映画だとね・・・どうも無表情なところが多くて
冷たい美人という印象。それゆえ、なぜか、心の温かさが
伝わってこなかったような気がしたのですよね。
温かみといっているけれど、実際は
当初思っていた人物像とは違って、
企みを秘めていた・・悪い女だったのだけれど、それは
純一同様見抜けなかったですね。
小説はね、わりとサスペンス的な要素が強かったような気がします。
もちろん、根底にあるのは、愛する人への思い・・
だったと思うけれど愛だけを終始訴えているわけではなかった
ような気がします。
人格が変わっていくことで起こる事件、そしてその後の展開・・
自分が自分でなくなることへの恐怖・。
今までの自分を否定して生きることは果たして可能なのだろうか・・
と、考えなけらばならない問題も
数々織り込まれていて
その部分でも読み応えがありました。
彼に誰の脳が移植されているのか・・というのが
謎解きの一つになっていたわけですが
これは、映画を観ていたのですぐに理解。
結論には簡単には行き着かない
構成にはなっていたけれど、感のいい人なら
この謎・・についてはすぐにわかるはずだと思います。
脳の持ち主の性格付けも
思っていたより詳しく書かれておりました。
映画だと、父への恨み&世の中の不公平さ、すべてへの反発から
・・と、わかるんだけど、いまひとつ
インパクトが弱かったような気がしたのですが、
小説では納得できる答えがありました。
かなり凶暴な性格なんですよ。だからそれがどこからきているのか
知りたくなるんですよね。これは育ってきた環境によるところも
ありますね。あと家族への歪んだ思い。妹、母へのね。
凶暴といいましたけれど、正直、映画なんか比じゃないくらい
すごい描写がありました。グロイ!!!
ラブストーリーとして読みすすめていたら驚きになるのでは
ないかな。
本文、抜粋
「あんたにはわからないさ。
脳を特別な存在と考えてはいけない、なんていっている
あんたにはね。
脳はやっぱり特別なんだ。あんたに想像できるかい?
今日の自分が、昨年の自分と違うんだ。
そして明日目が覚めた時、そこにいるのは今日の自分じゃない。
遠い過去の思い出は、全部別人のものにしか過ぎなくなる。
そんなふうにしか感じられないんだ。
長い時間をかけて育ててきたものが
ことごとく無に帰す。・・・それは死ぬってことなんだよ。
生きているというのは、単に呼吸しているとか、心臓が動いているとかってことじゃない。脳波が出ているってことでもない。
それは足跡を残すってことなんだ。後ろにある足跡を見て、たしかに
自分がつけたものだとわかるのが、生きているということなんだ。・・・」
ガツンときた文章でした。
今、医療は確実に進歩しているけれど、その中で
忘れてはならないこともあると思います。
なにより、
人間らしい生き方、自分らしい生き方・・。
考えていきたいですよね。
小説と映画で最大に違うところ。
それはラストなのです。
小説のラスト・・ここで涙した・・という人も多いみたい。
私は涙までは流れませんでしたが・・。
しかし、余韻の残る素敵なラストです。
愛する恋人達の思いが凝縮されたような・・
苦い結末ですが、
一瞬でも幸せだと感じられた時期があったのは
救いではありました。
映画とあわせて読みすすめるのも
いいと思いますよ。
ちなみに、小説を読んだ限りでは恵は、
蒼井優の雰囲気とはちょっと違うように感じました。
成瀬純一は強盗に遭遇し、凶弾により脳の一部を損失。
しかし、脳外科の権威・堂元教授らの
おかげて、史上初の脳移植に成功。死のふちから
生還することとなる。
やがて日常生活を送ることができるまでに回復する純一だが
嗜好、美的感覚、ものの考え方など、
以前の自分とは異なっっているということに気づき始める。
そしてなにより、恋人、恵への愛情が変化したことが
彼にとっては耐え難いことだった。彼に何が起こったのか・・。
感想
映画版を先に観て、ちょっと消化不良のところが
あったので原作に挑戦しました。
今まで??的な部分が本を読みことですっきりできたのが
何よりよかったかな・・・笑
まず、純一の家族については冒頭で説明があるので納得。
映画ではよくわからなかったからね・・。
・・設計事務所を経営する父は純一が高3時に死亡。
母1人の収入ということもあって、彼は美大から
専門学校へと志望を変える・・。しかし、在学中母も死亡。
それ故・・1人・・・ということ・・ですね・・・
次に、堂元教授の研究メンバーの1人
橘直子について。彼女の存在、および行動も
映画では唐突に思えたところでしたけど
本では順序だって段階踏んで
描かれているので、これも納得。
一番重要ななぜ純一が直子に惹かれていくのかが
理解できるようになりましたね。
文面での彼女は、魅力的な女性に感じるんですよね。
もちろん、彼女の真意を知る前の段階での印象ですけどね。
映画だとね・・・どうも無表情なところが多くて
冷たい美人という印象。それゆえ、なぜか、心の温かさが
伝わってこなかったような気がしたのですよね。
温かみといっているけれど、実際は
当初思っていた人物像とは違って、
企みを秘めていた・・悪い女だったのだけれど、それは
純一同様見抜けなかったですね。
小説はね、わりとサスペンス的な要素が強かったような気がします。
もちろん、根底にあるのは、愛する人への思い・・
だったと思うけれど愛だけを終始訴えているわけではなかった
ような気がします。
人格が変わっていくことで起こる事件、そしてその後の展開・・
自分が自分でなくなることへの恐怖・。
今までの自分を否定して生きることは果たして可能なのだろうか・・
と、考えなけらばならない問題も
数々織り込まれていて
その部分でも読み応えがありました。
彼に誰の脳が移植されているのか・・というのが
謎解きの一つになっていたわけですが
これは、映画を観ていたのですぐに理解。
結論には簡単には行き着かない
構成にはなっていたけれど、感のいい人なら
この謎・・についてはすぐにわかるはずだと思います。
脳の持ち主の性格付けも
思っていたより詳しく書かれておりました。
映画だと、父への恨み&世の中の不公平さ、すべてへの反発から
・・と、わかるんだけど、いまひとつ
インパクトが弱かったような気がしたのですが、
小説では納得できる答えがありました。
かなり凶暴な性格なんですよ。だからそれがどこからきているのか
知りたくなるんですよね。これは育ってきた環境によるところも
ありますね。あと家族への歪んだ思い。妹、母へのね。
凶暴といいましたけれど、正直、映画なんか比じゃないくらい
すごい描写がありました。グロイ!!!
ラブストーリーとして読みすすめていたら驚きになるのでは
ないかな。
本文、抜粋
「あんたにはわからないさ。
脳を特別な存在と考えてはいけない、なんていっている
あんたにはね。
脳はやっぱり特別なんだ。あんたに想像できるかい?
今日の自分が、昨年の自分と違うんだ。
そして明日目が覚めた時、そこにいるのは今日の自分じゃない。
遠い過去の思い出は、全部別人のものにしか過ぎなくなる。
そんなふうにしか感じられないんだ。
長い時間をかけて育ててきたものが
ことごとく無に帰す。・・・それは死ぬってことなんだよ。
生きているというのは、単に呼吸しているとか、心臓が動いているとかってことじゃない。脳波が出ているってことでもない。
それは足跡を残すってことなんだ。後ろにある足跡を見て、たしかに
自分がつけたものだとわかるのが、生きているということなんだ。・・・」
ガツンときた文章でした。
今、医療は確実に進歩しているけれど、その中で
忘れてはならないこともあると思います。
なにより、
人間らしい生き方、自分らしい生き方・・。
考えていきたいですよね。
小説と映画で最大に違うところ。
それはラストなのです。
小説のラスト・・ここで涙した・・という人も多いみたい。
私は涙までは流れませんでしたが・・。
しかし、余韻の残る素敵なラストです。
愛する恋人達の思いが凝縮されたような・・
苦い結末ですが、
一瞬でも幸せだと感じられた時期があったのは
救いではありました。
映画とあわせて読みすすめるのも
いいと思いますよ。
ちなみに、小説を読んだ限りでは恵は、
蒼井優の雰囲気とはちょっと違うように感じました。
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