タペストリーホワイト 著 大崎善生
タペストリーホワイト 著 大崎善生
明日もあなたは私を愛してくれているのでしょうか?
姉希枝子の部屋に残された手紙。
遠藤というその人は姉にどんな影響を及ぼしたのだろうか。
高校を卒業して東京に行った姉は
やがて内ゲバの犠牲になって死んでしまう。
何故姉は死ななくてはいけなかったのか・・真相を突き止めるため
妹洋子も続いて上京する・・・。
感想 大崎さんの本・・4冊目です。
今回の主人公は女性。女性の心理を男性が・・・というカタチですが
違和感もなくすんなりと入り込める
文章でした。もともと透明感があって優しい文体なので
女性の主人公でも合うのでしょうね。
舞台は70年代学園闘争。
自由と解放を求めることが・結果
人が人を殺めることになってしまうなんて
なんとも悲しすぎる現実です。
学園闘争というものを、あまり実感として感じられないない私でしたので、その点では悔しい思いをしました。(たぶん、その時代の流れを
経験したものにとってはリアルに感じてしまうのでは・・・・)
彼らの主張やそれらを引き起こすべきエネルギーというものを、
どうも理解できない自分がいるのですよね。
(この学園闘争については・・・昔高野悦子さんの「二十歳の原点」を読んで興味を覚えた時期があるのですが、やはり、客観的にしか
みることしかできなかったです。)
むしろ、この物語では
背景は何にしろ、
最愛の人の死を乗り越え、再生していくという主人公の生き方に
共感できるものが多く、読んでよかったと心から
思える作品となりました。
生きるうえで経験すべき出来事・・人の死を受け入れる・・ということを、優しい、温かい言葉で語りかけてくれるので
本当に心地よかったです。
この手のテーマは何度読んでもいいです。
大崎さんの本はやっぱり好きだな・・・。
つむぎだす言葉の数々が
なにか宝石のように輝いて見えるときがあります。
けっして、美しいお話ではなく、
悲惨でグロくて、もし映像でみせつけられたらきっと
目を覆ってしまう場面になってしまうだろうに・・
読んでいる文章からは嫌な印象を受けないことが
不思議でした。
姉だけでなく、恋人までも同じような出来事で
亡くしてしまったら。
その心の傷は、想像するだけでもつらいことです。
そして、その後彼女がとった行動。
さらに胸が詰まる思いでもありました。
痛すぎて・・せつなすぎて・・
抱きしめてあげたいくらい。
そんなに傷つかなくても
自分を犠牲にしなくてもいいじゃない?
あなたこそ・・幸せになってほしいのに・・。
そんな心の声が聞こえるかのように物語が次第に
希望がもてる展開になっていたことにホッとしたのも
事実です。
あのまま・・沈んでいくばかりでは気持ちに行き場がなくなって
しまいますもの。
人生をまっすぐに生きていっている人間には幸せになってもらいたいですものね。
<一枚の大きなタペストリーを織り上げていくこと。
生きるということはそれに近いものなのかもしれない。
一本、一本の糸が縦横に絡まりあい、何らかの模様となっていく。
絵柄に大きな役割を果たす色もあれば、小さなアクセントであるが
なくてはならない糸もある。そして、中にはないほうがいいという
糸も絡まっている。> 本文より・・
ああ・・そうだわ・・・と、こういった文章を読むたびに
心が洗われる思いを感じます。
もうこれ以上生きられないと思っても
生きるチャンスを与えられている限り
人は生き続けなくてはならないと思います。生かされている
幸せを感じるべきだと思います。
洋子が一つ新しい命を産み出すことができたとき、
命の尊さをより実感できたのではないかと思いました。
ここで・・姉が出産を助ける場面がありますが・・
ジワジワジワ~ときてしまいましたよ。
姉は洋子の心の中に存在しているのですよね。
見守ってくれていたのですよね。
キャロル・キングの歌を
それぞれのキーワードにして物語が展開されていました。
Will you Love me tomorrow
You've got a friend
It's too late
Tapestry
題名からはピンと来なかったのですが、検索して聞いてみたら
あ・・知っている!!曲もありました。
曲を聴きながらまた読んで見たい気がしました。

明日もあなたは私を愛してくれているのでしょうか?
姉希枝子の部屋に残された手紙。
遠藤というその人は姉にどんな影響を及ぼしたのだろうか。
高校を卒業して東京に行った姉は
やがて内ゲバの犠牲になって死んでしまう。
何故姉は死ななくてはいけなかったのか・・真相を突き止めるため
妹洋子も続いて上京する・・・。
感想 大崎さんの本・・4冊目です。
今回の主人公は女性。女性の心理を男性が・・・というカタチですが
違和感もなくすんなりと入り込める
文章でした。もともと透明感があって優しい文体なので
女性の主人公でも合うのでしょうね。
舞台は70年代学園闘争。
自由と解放を求めることが・結果
人が人を殺めることになってしまうなんて
なんとも悲しすぎる現実です。
学園闘争というものを、あまり実感として感じられないない私でしたので、その点では悔しい思いをしました。(たぶん、その時代の流れを
経験したものにとってはリアルに感じてしまうのでは・・・・)
彼らの主張やそれらを引き起こすべきエネルギーというものを、
どうも理解できない自分がいるのですよね。
(この学園闘争については・・・昔高野悦子さんの「二十歳の原点」を読んで興味を覚えた時期があるのですが、やはり、客観的にしか
みることしかできなかったです。)
むしろ、この物語では
背景は何にしろ、
最愛の人の死を乗り越え、再生していくという主人公の生き方に
共感できるものが多く、読んでよかったと心から
思える作品となりました。
生きるうえで経験すべき出来事・・人の死を受け入れる・・ということを、優しい、温かい言葉で語りかけてくれるので
本当に心地よかったです。
この手のテーマは何度読んでもいいです。
大崎さんの本はやっぱり好きだな・・・。
つむぎだす言葉の数々が
なにか宝石のように輝いて見えるときがあります。
けっして、美しいお話ではなく、
悲惨でグロくて、もし映像でみせつけられたらきっと
目を覆ってしまう場面になってしまうだろうに・・
読んでいる文章からは嫌な印象を受けないことが
不思議でした。
姉だけでなく、恋人までも同じような出来事で
亡くしてしまったら。
その心の傷は、想像するだけでもつらいことです。
そして、その後彼女がとった行動。
さらに胸が詰まる思いでもありました。
痛すぎて・・せつなすぎて・・
抱きしめてあげたいくらい。
そんなに傷つかなくても
自分を犠牲にしなくてもいいじゃない?
あなたこそ・・幸せになってほしいのに・・。
そんな心の声が聞こえるかのように物語が次第に
希望がもてる展開になっていたことにホッとしたのも
事実です。
あのまま・・沈んでいくばかりでは気持ちに行き場がなくなって
しまいますもの。
人生をまっすぐに生きていっている人間には幸せになってもらいたいですものね。
<一枚の大きなタペストリーを織り上げていくこと。
生きるということはそれに近いものなのかもしれない。
一本、一本の糸が縦横に絡まりあい、何らかの模様となっていく。
絵柄に大きな役割を果たす色もあれば、小さなアクセントであるが
なくてはならない糸もある。そして、中にはないほうがいいという
糸も絡まっている。> 本文より・・
ああ・・そうだわ・・・と、こういった文章を読むたびに
心が洗われる思いを感じます。
もうこれ以上生きられないと思っても
生きるチャンスを与えられている限り
人は生き続けなくてはならないと思います。生かされている
幸せを感じるべきだと思います。
洋子が一つ新しい命を産み出すことができたとき、
命の尊さをより実感できたのではないかと思いました。
ここで・・姉が出産を助ける場面がありますが・・
ジワジワジワ~ときてしまいましたよ。
姉は洋子の心の中に存在しているのですよね。
見守ってくれていたのですよね。
キャロル・キングの歌を
それぞれのキーワードにして物語が展開されていました。
Will you Love me tomorrow
You've got a friend
It's too late
Tapestry
題名からはピンと来なかったのですが、検索して聞いてみたら
あ・・知っている!!曲もありました。
曲を聴きながらまた読んで見たい気がしました。

スポンサーサイト