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5   著  佐藤正午


結婚八年目。
記念日にもらったチケットでバリ島に訪れた中志郎と真智子夫婦。
いまや倦怠期を迎えたこの夫婦。
夫、中志郎は、妻に欲情もなにも感じない日々を送っている。
一方の妻はどうか。彼女もまた、素の自分をさらけ出し
愛を語るの忘れてしまっているようだ。
そんな中志郎の、前に
手袋をした奇妙な女が現れる
そしてその女とエレベータの中である事がおきる・・。
その後、中志郎に異変が生じる・・。



感想  佐藤正午・・・7年ぶりの新作長編です。
単純な恋愛小説とはちょっと違うような・・一風変わった小説です。

とにかく普通の小説とは違います。
今まで読んだどの小説とも違います。
なんていったらいいか・・
読む人をきっと選ぶような作品です。
でも面白いですね・・・。
ただ、女性向きではあまりないかもしれませんね。
作品の主人公は中志郎とは別にもう一人います。
中志郎の妻と浮気している
作家である男性=津田慎一です。
この2人の話が入り混じって、ストーリーが進んでいくのですが
作家のほうがですね・・・。
女性の敵のような人物なんですよ・・笑
出会い系にはまり、次々に新しい女性と関係を結びます。
誠意なんて言葉は知らないでしょうね。
マイペースで自己中。
ここがたぶん、女性なら許せない・・
こんなやつ、実際身近に居たら、殴り倒したくなりますよ。
でもでも憎めないところがあるのです。
・・なぜって
私の知り合いではないから・・・笑
いえいえ・・そうじゃなく
やっぱり彼の語りが魅力的だから。
飄々としたところが面白いキャラなんですよ。

言いたいことをストレートにいわず、
押し問答のような会話は
妙な違和感を感じるのでが
読んでいると次第に心地よくなります。
不思議です。

回りくどい書き方をしているし、
過去・現代と日付が行きつ戻りつで
誰と話しているのかわかりづらい部分も多いのですが
読む楽しさを味わえる・・そんなお話です。
登場人物の女性も
ハンドルネームを使うので
妙なものが多いです。

「必ず冷めるもののことをスープと呼び
愛と呼ぶ」

胸がキュンとする最初に記憶は
ペット・・猫である・・。


私は登場してくる女性が「ほえ」という返答する
ところがツボ
した。

ちょっと変わった恋愛小説ですが
やっぱり、愛を描いていることには
変わりありません。
超能力という胡散臭いものも出てきますが
それも愛を語るための
ものとして受け入れるといいでしょう。

スープが冷めるのは自然なこと。
冷めないスープなど
存在しない・・
そこまで言い切る潔さが
なんだかすごいな・・って思いましたね。
愛は移ろうものなのね・・・・。

題名の5。
手と手を指と指と合わせることからきていますね。
そのあとは読んでからのお楽しみです。

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