ある愛の風景
ある愛の風景 (2004 デンマーク)
BRODRE
BROTHERS
監督: スザンネ・ビア
製作: シセ・グラム・ヨルゲンセン
製作総指揮: ペーター・オルベック・イェンセン
原案: スザンネ・ビア
アナス・トーマス・イェンセン
脚本: アナス・トーマス・イェンセン
撮影: モーテン・ソーボー
編集: ペニッラ・ベック・クリステンセン
音楽: ヨハン・セーデルクヴィスト
出演: コニー・ニールセン ( サラ )
ウルリク・トムセン (ミカエル)
ニコライ・リー・コス (ヤニック)
ベント・マイディング
ソビョーリ・ホーフェルツ
パウ・ヘンリクセン
ローラ・ブロ
ニルス・オルセン
サラ・ユール・ヴェアナー
レベッカ・ログストロープ・ソルトー
ラース・ヒョーツォイ
ラース・ランゼ
両親からも妻からも信頼をもたれる優秀な兄ミカエル。
一方弟ヤニックの方は、家族から孤立した存在。定職もなく刑務所帰り。
何をやっても兄にかなわず、厄介者とされていた。
兄・ミカエルは家庭人としても完璧で美しい妻(コニー・ニールセン)と可愛い2人の娘を何よりも愛していた。一家は幸福そのものだったのである。
しかし、ミカエルは軍人のため、アフガニスタンへ派遣されることとなる・・・
そして知らされる戦死・・。
打ちひしがれた家族の心の支えになったのは
ミカエルの弟ヤニックだった・・・
ようやく、平穏な暮らしを取り戻したかにみえた矢先、
死んだはずのミカエルが帰還することとなる・・・。
襲撃されたヘリコプターから奇跡的に助かり
捕虜となっていたのだ。
感想 シネカノン有楽町二丁目での鑑賞。こじんまりとした劇場でした・・・。
この作品、2005年、デンマーク・アカデミー賞最優秀主演女優賞を獲得。
ハリウッドではリメイク企画も進行しているそうです。
「アフター・ウェディング」の続いてのスサンネ・ビア監督作ですが、
作品自体は2004年作。今頃の上映なのですね。
今までの作品同様
突然起きた不幸な出来事により、運命を狂わせてしまう人々たちの物語です。
今回は戦争が大きな要因。
愛している・・・何があろうとも。
人生はいつだって矛盾にみちているけど、この愛は変わらない・・。
映画の中でも流れるこの言葉。
語るのは簡単でも、実行に移すのは難しい・・・。
何があろうとも・・・・・・ということが、自分達の想像を超えた出来事だった場合、
乗越えることは簡単なことではないからですよ・・
今回、あらためてそう感じたかな・・・。
私たちだっていつ、この映画の主人公達の運命になりゆるかもしれない・・。
戦争という出来事ではなくとも・・・他の要因で・・・。
心の繊細な動きを、目や肌のUPの多様で
今回も豊かに表現してくれました。
運命に流されていく人々の日常を淡々と描いていくわけですけれど、
共感もてる場面が多いため、退屈することなく
鑑賞できました。
私は女性なのでやっぱり残された奥さんに気持ちを重ねてみたような気がします。
淡々とした・・・と表現しましたけれど
大きく物語が動く場面が2つほどあります。
一つは中盤・・・捕虜となった夫の身に起きる・・・事件。
そして後半・・・別人になって帰還した夫が起こす・・・事件。
どれも物語のキーポイントです。
ハ!!!と目を見張るような出来事ですね。
中盤の出来事は・・・私なら・・どうする?と自分に答えをも求めるのも
きついでしょう。
あれは・・・しょうがない・・・といえるのかどうか・・・・・。
そんなレベルのものではないのですよね・・・
究極の選択?あまりにも酷です。
夫ミカエルの行動を責めるほど、人間はできてはいないのです。
戦争とはなんて残酷な・・・・・
そして後半の夫。正直恐かったです。夫のしでかす・・行為も。
家族として、妻として、私なら、この夫を、どこかで見限ってしまうかもしれない・・
理由がわからない状態で受け止められることはできない・・。
その理由をききだすまでの、熱意を持ち続ける自信はないかもしれない・・・。
耐えられないかもしれない・・・
早い段階で、心休まる場所を追い求めてしまうかもしれない・・・・
そんなことを考えましたよ。
完璧な人生を送ってきたミカエルだからこそ、
心に留めておくには重すぎたのでしょう。
吐き出さなくては・・・どこかにぶつけなくては・・・自分がおかしくなってしまう・・・
なにがなんだかわからない状態で接している妻・サラの
苦しさは相当なものだったと思います。耐える妻がしのびない・・・。
映画を観るまえは、
その予告編の印象から「ひまわり」みたいなラブロマンス的な映画を
想像していたのですが、そちらの路線は少なく、
思った以上に重く、苦しい映画でした。
まさに、夫婦の愛情の深さを再確認するための物語でしたよね。
原題ではブラザーということで兄弟間のありかたを描いているように思えますが
どちらかというと夫婦愛のほうが、印象的に感じられたような気がします。
もちろん、兄と弟の関係も興味惹かれるものでしたよ。
優秀な兄と出来の悪い弟っていう図式は定番といえば定番ですが・・・・。
「エデンの東」から・・・そのテーマは描かれてきていますものね・・・・。
兄弟関係については、もうすこし、深く切り込んでもらってもよかったかな・・とも
思います。
弟のヤニックは、やんちゃな感じだけれど、心根は優しいのですよ。
そんな弟の優しさに、ついつい心を寄せてしまう
サラの気持ちはわかるわ・・・。
ヤニックも、本当はサラに対して色々思うところがあったのだろうと感じますけれど
寸止めのところで、心にブレーキかけていたに違いないですよね。
サラよりも、ヤニックのほうが思いは強いのではと思われたけど・・・。
兄にためにもサラにためにも、自分の立場をわきまえたって感じです。
あまり詳細には描かれてけれど、全体の印象から
そう感じました。
夫は、自分の捕虜中に起きた出来事を妻サラに告白
できずにいましたよね。それって、夫としての
プライドがそうさせたのかな・・・
妻に泣き言はいえんとか・・。自分の無様な様はみせられないとか・・・。
もちろん、妻だからといって簡単に告白できる事柄ではないけれど・・・。
でも、妻サラは、弟ヤニックと何かあったか?
とミカエルに責められた時、「キスはしたわ・・・」といったでしょう。
あれって凄いな~~~と思いましたね。そこまでいえるかな・・・
より勘ぐられると思って黙っていたりするものでしょう?
あれって、やっぱり、夫への愛に自信があったと思うのよね。
そう思うと、女の方が、度胸というか、強さを感じさせるわ・・
そういう風にところどころ、
女性監督ならではの演出を感じさせるところが、さすがね・・・・と感じました。
さらに詳しく書くとね・・・、
妻サラがワイシャツにアイロンかけながら、いなくなった夫を思い出すっていうところとか・・・
息子の戦死がわかったとき、母親がレコードの整理をするところなども印象的。
たしか、レコードのジャケと中身が違っていたじゃない?それを直していたよね。
そういう風に一見、なんの変哲もないことに意味があったりするんですよね。
傍で見ていたらなんで・・・ということがあの母親にとっては大きな意味が
あったのでしょう。毎度毎度、
人間の心情の移ろいを細かい部分まで丁寧に描いているところがお気に入りです。
ちなみに・・・「アフター・ウェディング」の方が個人的には
評価が高いです・・・・。
邦題は、ベルイマンの「ある結婚の風景」(未見ですが・・・笑)と似た感じがして
どうかな・・・・って思いましたけど・・・。

BRODRE
BROTHERS
監督: スザンネ・ビア
製作: シセ・グラム・ヨルゲンセン
製作総指揮: ペーター・オルベック・イェンセン
原案: スザンネ・ビア
アナス・トーマス・イェンセン
脚本: アナス・トーマス・イェンセン
撮影: モーテン・ソーボー
編集: ペニッラ・ベック・クリステンセン
音楽: ヨハン・セーデルクヴィスト
出演: コニー・ニールセン ( サラ )
ウルリク・トムセン (ミカエル)
ニコライ・リー・コス (ヤニック)
ベント・マイディング
ソビョーリ・ホーフェルツ
パウ・ヘンリクセン
ローラ・ブロ
ニルス・オルセン
サラ・ユール・ヴェアナー
レベッカ・ログストロープ・ソルトー
ラース・ヒョーツォイ
ラース・ランゼ
両親からも妻からも信頼をもたれる優秀な兄ミカエル。
一方弟ヤニックの方は、家族から孤立した存在。定職もなく刑務所帰り。
何をやっても兄にかなわず、厄介者とされていた。
兄・ミカエルは家庭人としても完璧で美しい妻(コニー・ニールセン)と可愛い2人の娘を何よりも愛していた。一家は幸福そのものだったのである。
しかし、ミカエルは軍人のため、アフガニスタンへ派遣されることとなる・・・
そして知らされる戦死・・。
打ちひしがれた家族の心の支えになったのは
ミカエルの弟ヤニックだった・・・
ようやく、平穏な暮らしを取り戻したかにみえた矢先、
死んだはずのミカエルが帰還することとなる・・・。
襲撃されたヘリコプターから奇跡的に助かり
捕虜となっていたのだ。
感想 シネカノン有楽町二丁目での鑑賞。こじんまりとした劇場でした・・・。
この作品、2005年、デンマーク・アカデミー賞最優秀主演女優賞を獲得。
ハリウッドではリメイク企画も進行しているそうです。
「アフター・ウェディング」の続いてのスサンネ・ビア監督作ですが、
作品自体は2004年作。今頃の上映なのですね。
今までの作品同様
突然起きた不幸な出来事により、運命を狂わせてしまう人々たちの物語です。
今回は戦争が大きな要因。
愛している・・・何があろうとも。
人生はいつだって矛盾にみちているけど、この愛は変わらない・・。
映画の中でも流れるこの言葉。
語るのは簡単でも、実行に移すのは難しい・・・。
何があろうとも・・・・・・ということが、自分達の想像を超えた出来事だった場合、
乗越えることは簡単なことではないからですよ・・
今回、あらためてそう感じたかな・・・。
私たちだっていつ、この映画の主人公達の運命になりゆるかもしれない・・。
戦争という出来事ではなくとも・・・他の要因で・・・。
心の繊細な動きを、目や肌のUPの多様で
今回も豊かに表現してくれました。
運命に流されていく人々の日常を淡々と描いていくわけですけれど、
共感もてる場面が多いため、退屈することなく
鑑賞できました。
私は女性なのでやっぱり残された奥さんに気持ちを重ねてみたような気がします。
淡々とした・・・と表現しましたけれど
大きく物語が動く場面が2つほどあります。
一つは中盤・・・捕虜となった夫の身に起きる・・・事件。
そして後半・・・別人になって帰還した夫が起こす・・・事件。
どれも物語のキーポイントです。
ハ!!!と目を見張るような出来事ですね。
中盤の出来事は・・・私なら・・どうする?と自分に答えをも求めるのも
きついでしょう。
あれは・・・しょうがない・・・といえるのかどうか・・・・・。
そんなレベルのものではないのですよね・・・
究極の選択?あまりにも酷です。
夫ミカエルの行動を責めるほど、人間はできてはいないのです。
戦争とはなんて残酷な・・・・・
そして後半の夫。正直恐かったです。夫のしでかす・・行為も。
家族として、妻として、私なら、この夫を、どこかで見限ってしまうかもしれない・・
理由がわからない状態で受け止められることはできない・・。
その理由をききだすまでの、熱意を持ち続ける自信はないかもしれない・・・。
耐えられないかもしれない・・・
早い段階で、心休まる場所を追い求めてしまうかもしれない・・・・
そんなことを考えましたよ。
完璧な人生を送ってきたミカエルだからこそ、
心に留めておくには重すぎたのでしょう。
吐き出さなくては・・・どこかにぶつけなくては・・・自分がおかしくなってしまう・・・
なにがなんだかわからない状態で接している妻・サラの
苦しさは相当なものだったと思います。耐える妻がしのびない・・・。
映画を観るまえは、
その予告編の印象から「ひまわり」みたいなラブロマンス的な映画を
想像していたのですが、そちらの路線は少なく、
思った以上に重く、苦しい映画でした。
まさに、夫婦の愛情の深さを再確認するための物語でしたよね。
原題ではブラザーということで兄弟間のありかたを描いているように思えますが
どちらかというと夫婦愛のほうが、印象的に感じられたような気がします。
もちろん、兄と弟の関係も興味惹かれるものでしたよ。
優秀な兄と出来の悪い弟っていう図式は定番といえば定番ですが・・・・。
「エデンの東」から・・・そのテーマは描かれてきていますものね・・・・。
兄弟関係については、もうすこし、深く切り込んでもらってもよかったかな・・とも
思います。
弟のヤニックは、やんちゃな感じだけれど、心根は優しいのですよ。
そんな弟の優しさに、ついつい心を寄せてしまう
サラの気持ちはわかるわ・・・。
ヤニックも、本当はサラに対して色々思うところがあったのだろうと感じますけれど
寸止めのところで、心にブレーキかけていたに違いないですよね。
サラよりも、ヤニックのほうが思いは強いのではと思われたけど・・・。
兄にためにもサラにためにも、自分の立場をわきまえたって感じです。
あまり詳細には描かれてけれど、全体の印象から
そう感じました。
夫は、自分の捕虜中に起きた出来事を妻サラに告白
できずにいましたよね。それって、夫としての
プライドがそうさせたのかな・・・
妻に泣き言はいえんとか・・。自分の無様な様はみせられないとか・・・。
もちろん、妻だからといって簡単に告白できる事柄ではないけれど・・・。
でも、妻サラは、弟ヤニックと何かあったか?
とミカエルに責められた時、「キスはしたわ・・・」といったでしょう。
あれって凄いな~~~と思いましたね。そこまでいえるかな・・・
より勘ぐられると思って黙っていたりするものでしょう?
あれって、やっぱり、夫への愛に自信があったと思うのよね。
そう思うと、女の方が、度胸というか、強さを感じさせるわ・・
そういう風にところどころ、
女性監督ならではの演出を感じさせるところが、さすがね・・・・と感じました。
さらに詳しく書くとね・・・、
妻サラがワイシャツにアイロンかけながら、いなくなった夫を思い出すっていうところとか・・・
息子の戦死がわかったとき、母親がレコードの整理をするところなども印象的。
たしか、レコードのジャケと中身が違っていたじゃない?それを直していたよね。
そういう風に一見、なんの変哲もないことに意味があったりするんですよね。
傍で見ていたらなんで・・・ということがあの母親にとっては大きな意味が
あったのでしょう。毎度毎度、
人間の心情の移ろいを細かい部分まで丁寧に描いているところがお気に入りです。
ちなみに・・・「アフター・ウェディング」の方が個人的には
評価が高いです・・・・。
邦題は、ベルイマンの「ある結婚の風景」(未見ですが・・・笑)と似た感じがして
どうかな・・・・って思いましたけど・・・。

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